著者
久保 賢太 片平 健太郎 池田 大樹 岡田 正人 岡ノ谷 一夫 川合 伸幸
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.483-487, 2013-12-01 (Released:2014-12-24)
参考文献数
8

この度はこのような栄誉ある賞を戴くことができ,大変感激しております.私の受賞に関しては,研究の成果の大きさというよりも,アプローチのユニークさを評価していただのではないかと考えております.私は,JST ERATO 岡ノ谷情動情報プロジェクトにおいて,コミュニケーションや社会的な場面で生じる情動を,自律神経系活動・脳活動を用いて検討しております.本研究は,二者間の息の合ったコミュニケーションを解明する試みとして実施しました.これからも,実生活に潜む面白い現象を抽出することを目的とし,日々一つ一つ成果を積み上げて参りたいと思います.こうした一風変わった研究を実施できたのも,プロジェクトの総括でいらっしゃる岡ノ谷一夫東京大学教授と,私の所属する名古屋サイトのグループリーダーである川合伸幸名古屋大学准教授の懐の広いご指導の賜物です.お二人には,感謝してもしきれない御恩を感じております.このたびの受賞も,未熟な私を日ごろから丁寧に指導してくださっている川合伸幸先生と,研究室スタッフの皆様のおかげです.この場をお借りして感謝を申し上げます.
著者
原田 和弘 井澤 修平 中村 菜々子 吉川 徹 赤松 利恵 池田 大樹 久保 智英
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.417-429, 2022-10-01 (Released:2022-09-13)
参考文献数
38

Previous studies among middle-aged and older adults have shown that engagement in exercise with others is more strongly associated with better mental health than engagement in exercise alone. However, the applicability of such findings to workers remains unclear. This study aimed to examine whether 1) engagement in exercise with others and time spent exercising with others were associated with lower stress response and mental distress among workers, and 2) self-determined motivation toward exercise mediated these associations among workers. This was a cross-sectional study. A web-based questionnaire survey was conducted among 810 workers aged 20 to 59 years. The survey measured respondents’ engagement and time spent exercising alone and with others, self-determined motivation toward exercise, psychological and physical stress responses, mental distress, and basic factors. Basic factors were treated as covariates. The analyses of covariance showed that engagement in exercise with others was significantly associated with lower psychological and physical stress responses and mental distress, while engagement in exercise alone was not. Multiple regression analyses revealed that longer time spent exercising with others was not associated with lower psychological and physical stress responses or mental distress. Path analyses showed that mediation effect of self-determined motivation on these associations was not significant. Although dose-response associations and the mediating role of self-determined motivation were not confirmed, this study found that engagement in exercise with others was associated with lower stress responses and mental distress among workers.
著者
池田 大樹 林 光緒
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.1-9, 2012 (Released:2012-09-26)
参考文献数
32

This study investigated the effects of self-awakening on daytime sleepiness. Eleven undergraduate and graduate students without the habit of self-awakening participated. They were instructed to follow their usual sleep-wake schedule at home during the experimental weeks and were required to awaken at their usual time by themselves every morning for one week without the aid of an alarm (self-awakening condition) or in response to a telephone call from the experimenter every morning for another one week (forced-awakening condition). On the last day of each week, daytime tests were conducted in the laboratory. The participants would arrive at the laboratory 2 h after awakening, and 1 h later, they performed the auditory simple reaction time task, the digit-symbol substitution task, the letter cancellation test, and the multiple sleep latency test, and assessment of sleepiness, fatigue, comfort, and work motivation every 2 h. In the week when the participants underwent the self-awakening condition, self-awakening had a higher success rate (82%) than failure rate (18%) on the seventh day. In comparison with forced-awakening, self-awakening resulted in an improvement in subjective fatigue; however, sleepiness did not deteriorate.
著者
池田 大樹 久保 智英 井澤 修平 中村 菜々子 吉川 徹 赤松 利恵
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2023-0006-CHO, (Released:2023-07-19)
参考文献数
28

勤務間インターバルとは,勤務終了後から翌始業までの休息時間のことを言う.本研究は,勤務間インターバルと睡眠時間の組み合わせと職業性ストレスおよび病気欠勤の関連を検討した.本横断調査は,WEB形式で2022年2月に実施した.日勤労働者13,306名に対して勤務間インターバル,睡眠時間,職業性の高ストレス(職業性ストレス簡易調査票),病気欠勤について尋ねた.参加者を勤務間インターバルと睡眠時間に基づき14群に分類し,これを独立変数,高ストレス判定と病気欠勤を従属変数としたロジスティック回帰分析を実施した.その結果,短いインターバル(<11時間)と通常睡眠(≥6時間)や十分なインターバル(15時間)と短時間睡眠(<6時間)の組み合わせで,基準(十分なインターバルと通常睡眠)と比べてオッズ比が有意に高かった.これは,勤務間インターバルと睡眠時間を十分に確保することが職業性ストレスの低減に重要であり,勤務間インターバル制度によりインターバルが十分に確保されても,睡眠時間が短いと健康リスクが生じる可能性を示している.病気欠勤について,短いインターバルと短時間睡眠の組み合わせでオッズ比が有意に低かった.この原因として,勤務間インターバルが短い(長時間働かなければならない)人々は,忙しいために病気欠勤が必要な状況になっても休みを取れずあるいは取らず,結果的にオッズ比が低くなった可能性が考えられる.
著者
松元 俊 久保 智英 井澤 修平 池田 大樹 高橋 正也 甲田 茂樹
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-11, 2022-01-20 (Released:2022-01-25)
参考文献数
38

目的:日本においてトラックドライバーは脳・心臓疾患による過労死や健康起因事故が多い職種である.また,トラックドライバーは,脳・心臓疾患のリスクである高血圧症,肥満,高脂血症,糖尿病に関連する項目の定期健診での有所見率も高い.そこで,トラックドライバーの過労死防止策の立案に向けて,職種の特徴を踏まえた労働生活条件と,脳・心臓疾患に高血圧症,肥満,高脂血症,糖尿病を含めた健康障害,疾患前としての過労状態との関連について検討した.対象と方法:全国のトラックドライバーを対象として,上記の健康障害の既往歴および過労状態を含む,基本属性,生活習慣,働き方,休み方,運転労働の負担について質問紙調査を行った.47都道府県の1,082のトラック運送事業所に5部ずつ合計5,410部を配送し,1,992部を回収した(回収率36.8%).そのうち,女性41人および性別不明4件を除く男性1947人を解析対象とした.労働生活条件と各種健康障害との関連は多重ロジスティック回帰分析を用いて検証した.結果:解析対象トラックドライバーにおいて,肥満は22.2%,高血圧症は19.3%,高脂血症は8.5%,糖尿病は5.6%,心臓疾患は2.5%,脳血管疾患は0.7%,過労状態は6.0%に見られた.多重ロジスティック回帰分析の結果,健康障害の既往歴は,運行形態が長距離2泊以上と地場夜間早朝,勤務日の早朝覚醒有り,休日の過し方が不活発,夜間運転の重い負担と有意な関連が示された.また,過労状態は,勤務日の中途覚醒および睡眠不足感有り,休日の睡眠時間が6時間未満および睡眠不足感有り,ひと月あたりの休日数が0–3日,運転・夜間運転・作業環境の重い負担と有意な関連が示された.考察と結論:トラックドライバーにおける健康障害および過労状態と有意な関連は,夜間・早朝勤務への従事および夜間運転の負担が重いこと,また夜間・早朝勤務に付随する睡眠の量と質の低下に見られた.本研究より,過労死防止策を念頭に置いた勤務の改善点として,夜間運転の負担軽減や,十分な夜間睡眠取得および活動的に過ごすための休日配置の重要性が示唆された.
著者
松元 俊 久保 智英 井澤 修平 池田 大樹 高橋 正也 甲田 茂樹
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.3-10, 2020-02-28 (Released:2020-02-29)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

本研究は,脳・心臓疾患による過労死の多発職種であるトラックドライバーにおいて,労災認定要件であ る過重負荷と過労の関連について質問紙調査を行った.1911人の男性トラックドライバーから,属性,健康状態, 過重負荷(労働条件:運行形態,時間外労働時間,夜間・早朝勤務回数,休息条件:睡眠取得状況,休日数),疲労感に関する回答を得た.運行形態別には,地場夜間・早朝運行で他運行に比して一か月間の時間外労働が 101時間を超す割合が多く,深夜・早朝勤務回数が多く,勤務日の睡眠時間が短く,1日の疲労を持ち越す割合 が多かった.長距離運行では地場昼間運行に比して夜勤・早朝勤務回数が多く,休日数が少なかったものの, 睡眠時間は勤務日も休日も長く,過労トラックドライバーの割合は変わらなかった.過労状態は,1日の疲労の持ち越しに対して勤務日と休日の5時間未満の睡眠との間に関連が見られた.週の疲労の持ち越しに対しては,一か月間の101時間以上の時間外労働,休日の7時間未満の睡眠,4日未満の休日の影響が見られた。運行形態間で労働・休息条件が異なること,また1日と週の過労に関連する労働・休息条件が異なること,過労に影響 を与えたのは主に睡眠時間と休日数の休息条件であったことから,トラックドライバーの過労対策には運行形態にあわせた休日配置と睡眠管理の重要性が示唆された.
著者
池田 大樹 久保 智英 松元 俊 新佐 絵吏 茅嶋 康太郎
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.51-59, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
28

本研究では,職場環境改善の取組み時における勤務時間外の仕事に関する行動(メール確認,自宅仕事)が,労働者の睡眠や疲労,生産性等に及ぼす影響を検討した.製造業の中小企業において,組織体制の変更,勤務 開始時刻の多様化,勤務体制の多様化,作業環境の変更の4つの職場環境改善取組みが実施された.調査は,職場環境改善の約1か月前(事前調査),3,6,12か月後の計4回実施し,調査の同意が得られた36名を分析対 象とした.調査内容として,基本属性,睡眠の質,勤務時間外における仕事との心理的距離,生産性,疲労回復状況等を測定した.また,勤務時間外における仕事に関するメールの確認,自宅での仕事に関する設問を設け,その有無により,群分けを行った.線形混合モデル分析を行った結果,生産性に群と調査時期の交互作用が見 られ,自宅仕事が有った群のみ,職場環境改善前と比較して3か月後の生産性が低下したこと,無かった群と比較して3,6,12か月後の生産性が低かったことが示された.また,調査時期の主効果が睡眠の質と疲労回復 に見られ,職場環境改善後にそれらの改善及び改善傾向が生じたことが示された.また,群の主効果が心理的距離に見られ,勤務時間外にメール確認が無かった群は,有った群と比較して,勤務時間外に仕事との心理的距離が取れていたこと,一方,自宅仕事が無かった群は,有った群と比較して,心理的距離だけでなく,睡眠の質や疲労回復状況も良いことが示された.以上により,職場環境改善時における仕事関連の行動が労働者の生産性に影響を及ぼすこと等が示された.今後,職場環境改善の一環として,職場外・勤務時間外における働き方・休み方の改善も検討していく必要があると考えられる.
著者
松元 俊 久保 智英 井澤 修平 池田 大樹 高橋 正也 甲田 茂樹
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2019-0021-GE, (Released:2019-12-06)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究は,脳・心臓疾患による過労死の多発職種であるトラックドライバーにおいて,労災認定要件であ る過重負荷と過労の関連について質問紙調査を行った.1911人の男性トラックドライバーから,属性,健康状態, 過重負荷(労働条件:運行形態,時間外労働時間,夜間・早朝勤務回数,休息条件:睡眠取得状況,休日数),疲労感に関する回答を得た.運行形態別には,地場夜間・早朝運行で他運行に比して一か月間の時間外労働が 101時間を超す割合が多く,深夜・早朝勤務回数が多く,勤務日の睡眠時間が短く,1日の疲労を持ち越す割合 が多かった.長距離運行では地場昼間運行に比して夜勤・早朝勤務回数が多く,休日数が少なかったものの, 睡眠時間は勤務日も休日も長く,過労トラックドライバーの割合は変わらなかった.過労状態は,1日の疲労の持ち越しに対して勤務日と休日の5時間未満の睡眠との間に関連が見られた.週の疲労の持ち越しに対しては,一か月間の101時間以上の時間外労働,休日の7時間未満の睡眠,4日未満の休日の影響が見られた。運行形態間で労働・休息条件が異なること,また1日と週の過労に関連する労働・休息条件が異なること,過労に影響 を与えたのは主に睡眠時間と休日数の休息条件であったことから,トラックドライバーの過労対策には運行形態にあわせた休日配置と睡眠管理の重要性が示唆された.
著者
劉 欣欣 池田 大樹 小山 冬樹 脇坂 佳子 高橋 正也
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.47-50, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
20

長時間労働は様々な心身不調と関連し,特に脳・心臓疾患の発症リスクを増大させることが知られている.国内では,過重労働(特に長時間労働)によって脳・心臓疾患を発症したとする労災認定件数,いわゆる過労死等の認定件数は年間250件から300件程度で推移し,明らかな減少傾向は認められていない1).長時間労働による心血管系負担の軽減策を検討・提案することは,労働者の健康維持,さらには過労死の予防に極めて重要である.本研究では,長時間労働を模した実験室での被験者実験により,血圧を維持するための心臓と血管系の反応(背景血行動態反応)について検討した.本稿では,その実験結果の一部である血行動態反応の個人差について紹介し,心血管系負担の軽減策を検討するための資料提供を目的とした.
著者
久保 賢太 片平 健太郎 池田 大樹 岡田 正人 岡ノ谷 一夫 川合 伸幸
出版者
Japanese Cognitive Science Society
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.483-487, 2013

この度はこのような栄誉ある賞を戴くことができ,大変感激しております.私の受賞に関しては,研究の成果の大きさというよりも,アプローチのユニークさを評価していただのではないかと考えております.私は,JST ERATO 岡ノ谷情動情報プロジェクトにおいて,コミュニケーションや社会的な場面で生じる情動を,自律神経系活動・脳活動を用いて検討しております.本研究は,二者間の息の合ったコミュニケーションを解明する試みとして実施しました.これからも,実生活に潜む面白い現象を抽出することを目的とし,日々一つ一つ成果を積み上げて参りたいと思います.こうした一風変わった研究を実施できたのも,プロジェクトの総括でいらっしゃる岡ノ谷一夫東京大学教授と,私の所属する名古屋サイトのグループリーダーである川合伸幸名古屋大学准教授の懐の広いご指導の賜物です.お二人には,感謝してもしきれない御恩を感じております.このたびの受賞も,未熟な私を日ごろから丁寧に指導してくださっている川合伸幸先生と,研究室スタッフの皆様のおかげです.この場をお借りして感謝を申し上げます.
著者
久保 賢太 片平 健太郎 池田 大樹 岡田 正人 岡ノ谷 一夫 川合 伸幸
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.483-487, 2013

この度はこのような栄誉ある賞を戴くことができ,大変感激しております.私の受賞に関しては,研究の成果の大きさというよりも,アプローチのユニークさを評価していただのではないかと考えております.私は,JST ERATO 岡ノ谷情動情報プロジェクトにおいて,コミュニケーションや社会的な場面で生じる情動を,自律神経系活動・脳活動を用いて検討しております.本研究は,二者間の息の合ったコミュニケーションを解明する試みとして実施しました.これからも,実生活に潜む面白い現象を抽出することを目的とし,日々一つ一つ成果を積み上げて参りたいと思います.こうした一風変わった研究を実施できたのも,プロジェクトの総括でいらっしゃる岡ノ谷一夫東京大学教授と,私の所属する名古屋サイトのグループリーダーである川合伸幸名古屋大学准教授の懐の広いご指導の賜物です.お二人には,感謝してもしきれない御恩を感じております.このたびの受賞も,未熟な私を日ごろから丁寧に指導してくださっている川合伸幸先生と,研究室スタッフの皆様のおかげです.この場をお借りして感謝を申し上げます.
著者
池田 大樹 林 光緒
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.1-9, 2012

This study investigated the effects of self-awakening on daytime sleepiness. Eleven undergraduate and graduate students without the habit of self-awakening participated. They were instructed to follow their usual sleep-wake schedule at home during the experimental weeks and were required to awaken at their usual time by themselves every morning for one week without the aid of an alarm (self-awakening condition) or in response to a telephone call from the experimenter every morning for another one week (forced-awakening condition). On the last day of each week, daytime tests were conducted in the laboratory. The participants would arrive at the laboratory 2 h after awakening, and 1 h later, they performed the auditory simple reaction time task, the digit-symbol substitution task, the letter cancellation test, and the multiple sleep latency test, and assessment of sleepiness, fatigue, comfort, and work motivation every 2 h. In the week when the participants underwent the self-awakening condition, self-awakening had a higher success rate (82%) than failure rate (18%) on the seventh day. In comparison with forced-awakening, self-awakening resulted in an improvement in subjective fatigue; however, sleepiness did not deteriorate.
著者
池田 大樹
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

【研究目的】睡眠短縮(5時間睡眠)時において、自己覚醒が起床直後の睡眠慣性と日中の眠気に及ぼす影響を検討した。【研究方法】自己覚醒習慣のない労働者15名(平均年齢40.5歳,27-49歳)を対象に実験を実施した。実験は、参加者宅での3目間の生活統制(5時間睡眠)と1日の実験室実験からなっていた。生活統制期間は就床前と起床後に主観的・行動的眠気を測定した。また、実験室実験時は、1時間おきに主観的・行動的・生理的な眠気を測定した。なお、生活統制期間中は、毎朝目覚まし覚醒あるいは自己覚醒した。その後、再びもう一方の覚醒方法で自宅での3日間の生活統制と実験室実験を実施した。【研究結果】睡眠短縮により、起床直後や日中に強い眠気が認められた。一方で、自己覚醒すると、目覚まし覚醒した時と比べて、起床後や日中の覚醒度(ヴィジランスパフォーマンス)が高かった。このことから、自己覚醒は覚醒維持能力を高める可能性が示された。【意義】夜型化が進む現代社会において、人々の睡眠時間は減少している。特に労働者の中には、残業や交代制勤務などにより睡眠時間を十分に確保できない者も少なくない。そのようななか、睡眠不足はQOLの低下だけでなく,労働意欲の減退や就労場面での健康と安全を阻害する問題につながる。これに対して、本研究の結果から、自己覚醒は睡眠時間が短い場合でも睡眠慣性や日中の眠気予防に有効であることが示された。