著者
高橋 陽子 玄田 有史
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.29-49, 2004-01-31

20万人に達する高校中退者および中学卒非進学者の労働市場には,高校卒以上に就業環境の悪化が予想されるものの,その実像は明らかでない.本稿では35歳以下の無業者に関する調査を用いて実証分析し,高校中退者は卒業者に比べて,明らかに学校をやめた直後に正社員となる確率が低いことを確認した.ただしそれと同時に,中退だから正社員になりにくいという傾向は,年齢を経るに従って解消されていくこともわかった.さらに中退者は学校をやめた直後に正社員となりにくいが,正社員となった後の就業継続でみれば,高校や中学の卒業者との違いは存在しないことも発見された.中退者が正社員としての就業が困難なのも,継続志向の弱さや認知能力といった資質のせいではなく,高卒以上に本人能力や志向に適った就業機会に出会いにくいことの結果である.
著者
高山 憲之 鈴村 興太郎 青木 玲子 玄田 有史 小椋 正立 小塩 隆士 土居 丈朗 原 千秋 臼井 恵美子 清水谷 諭
出版者
公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2010-04-21

近年、年金をはじめとする世代間問題が緊急性の高い重大な社会問題の1つとなっている。本研究では、くらしと仕事に関するパネル調査等、各種の実態調査を実施して世代間問題の内実を的確に把握した一方、経済理論を駆使して世代間問題の本質をえぐりだした。そして世代間対立を世代間協調に転換するための具体的アイデアを提示した。
著者
玄田 有史
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.2_16-2_20, 2021-02-01 (Released:2021-06-30)
参考文献数
7
著者
玄田 有史 神林 龍 篠﨑 武久
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.18-31, 2001-03-20 (Released:2022-07-30)
参考文献数
25
被引用文献数
4

成果主義的賃金制度が労働意欲を刺激するには,どのような条件整備が必要だろうか.成果主義が導入された職場でホワイトカラー非管理職の労働意欲が高まるには,能力開発の機会拡大が重要である.それは,性別,年齢,学歴,職種等の個人属性,規模,社員増減,業績等の企業属性の違いを超えてあてはまる.能力開発と並び,仕事の分担や役割の明確化も労働意欲を高め,これらは職場全体の個々の能力を活かす雰囲気も改善する.
著者
玄田 有史
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社会科学研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.1-19, 2008

希望を有する個人や世帯の特徴は,その実現見通しや内容などの類型により異なっている.プロビットモデルの推定結果によれば,実現見通しのある希望及び仕事に関する希望を有する確率が高いのは,20代から30代の若年層,高校から高等教育機関への進学経験者,健康状態が良好な場合であった.また本人年収が300万円未満の場合,実現見通しのある希望を持ちにくく,無収入者は仕事の希望を有しない傾向が強くなっていた.さらに年収1,000万円以上の高所得世帯に属する個人ほど実現見通しのある希望を有する確率は高く,年収300万円未満の世帯では,見通しのない希望を持っていたり,希望について否定的な考えを有することも多かった.以上の分析を通じて,日本社会において近年,希望の喪失感が広がってきていたとすれば,その社会的背景として,人口分布の高齢シフト,無業者・低所得者の増加,高所得世帯の減少,健康状況の悪化,進学率の停滞等が影響していた可能性があることを示した.
著者
玄田 有史
出版者
学習院大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

労働者の労働意欲を高め、企業内への定着を促す為の誘因システムとして、日本の退職金制度がどのような機能を果たしているかを考察した。分析は、主に二つの内容からなる。一つは、情報の経済理論モデルを用いて、自就職時の労働需給状況と退職の際の自己都合退職金と会社都合退職金の差額との関係を分析した。経済理論的には、労働のインセンティブを高める為の長期契約には、供託金の労働者と企業間での授受によるもの(供託金仮説)と、企業が労働者に一定期間勤続後の退職には一定のプレミアムを含めた支払を行うもの(効率賃金仮説)の二つの種類が考えられる。これらの理論を退職金制度に応用した結果、次のことが明らかになった。供託金仮説が妥当であるときには、経済に発生する失業はすべて自発的な失業であり、需給逼迫時に就職した労働者ほど、退職時の二種類の退職金の差額は小さくなる。一方、効率賃金仮説が妥当であるときには、経済に非自発的失業が発生し、需給逼迫時に就職した者ほど二種類の退職金の差は大きくなる。もう一つの分析内容は、先の理論仮説についての実証研究からなる。実証分析には、中央労働委員会『退職金・年金事情調査』と労働省職業安定局統計を用いた。分析方法は、製造業の各産業について、被説明変数を二種類の退職金の差として、説明変数の中に就職時の雇用充足率を含め、その変数の最小自乗推計量を用いて行った。その結果、日本の製造業の退職金制度には供託金制度の妥当性を支持する結果は得られなかった。一方、繊維産業や機械産業などの製造業の退職金制度については、効率賃金仮説を支持する結果が得られた。これから、日本の労働者の動機付け、将来のプレミアムの支払らわれる可能性を通じて行われており、その結果日本の失業者には非自発的な失業者も含まれていることが分かった。
著者
高橋 陽子 玄田 有史
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.29-49, 2004-01-31

20万人に達する高校中退者および中学卒非進学者の労働市場には,高校卒以上に就業環境の悪化が予想されるものの,その実像は明らかでない.本稿では35歳以下の無業者に関する調査を用いて実証分析し,高校中退者は卒業者に比べて,明らかに学校をやめた直後に正社員となる確率が低いことを確認した.ただしそれと同時に,中退だから正社員になりにくいという傾向は,年齢を経るに従って解消されていくこともわかった.さらに中退者は学校をやめた直後に正社員となりにくいが,正社員となった後の就業継続でみれば,高校や中学の卒業者との違いは存在しないことも発見された.中退者が正社員としての就業が困難なのも,継続志向の弱さや認知能力といった資質のせいではなく,高卒以上に本人能力や志向に適った就業機会に出会いにくいことの結果である.
著者
石田 浩 佐藤 博樹 苅谷 剛彦 本田 由紀 玄田 有史 永井 暁子 白波瀬 佐和子 佐藤 香 三輪 哲
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、若年者を対象としたパネル(追跡)調査を2007年から毎年実施した。同一の個人を何年にもわたり追跡して調査することにより、(1)学校から職場への移行、(2)初期のキャリア形成と転職、(3)離家と異性との交際・結婚、(4)意識・態度、価値観といった多様な側面から若年者のライフコースを総合的に捉え、その変化を跡付ける分析を行った。
著者
宮川 努 玄田 有史 出島 敬久
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
經濟研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.248-260, 1994
被引用文献数
1