著者
白石 涼 佐藤 圭祐 千知岩 伸匡 吉田 貞夫 尾川 貴洋
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
2021

<p>【目的】大腿骨近位部骨折患者を対象に,腹部Computed Tomography(CT)の大腰筋面積で推定した骨格筋量と機能的予後の関連を調査した。【方法】回復期病棟に入院した113 名を骨格筋量減少群と対照群に分け,患者背景,機能的予後を比較した。Functional Independence Measure(以下,FIM)利得を目的変数とした重回帰分析を行い,骨格筋量との関連性を検討した。【結果】平均年齢は83.5 ± 8.3 歳,男性35 名,女性78 名であった。骨格筋量減少群は56 名だった。骨格筋量減少群は対照群に比べ,高齢で,痩せており,入院時認知FIM,退院時FIM 合計,FIM 利得が有意に低かった。多変量解析で,骨格筋量減少とFIM 利得に有意な関連を認めた。【結論】大腿骨近位部骨折患者における大腰筋面積で推定した骨格筋量減少は,機能的予後不良と関連することが示唆された。</p>
著者
西村 和久 平田 耕造 白水 智子 竹森 利和
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.187-196, 1993-12-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
29
被引用文献数
1

体脂肪率の違いにより体幹部と末梢部の皮膚温挙動が異なるか否かを検討するために, 16名の被験者を体脂肪率により2群 (L群: 10.7±0.6%, O群: 19, 4±6.3%) に分類し, 環境温22, 28, 34℃に90分間暴露中の皮膚温, 皮膚血流量, 体重減少量, 温冷感を測定した.その結果, 体幹部の皮膚温は環境温22, 28, 34℃においてL群に比較してO群の方が有意に低かった.また, 手部皮膚温は環境温22, 28℃においてL群に比較してO群の方が有意に高く, 足部皮膚温は環境温28℃においてL群に比較してO群の方が有意に高かった.体脂肪率の増加とともに体幹部の皮膚温は低くなり, 逆に末梢部の皮膚温は高くなることが認められた.これらの結果から, 皮下脂肪により物理的に抑制された体幹部からの熱放散量は, 末梢部からの熱放散量を生理学的な血流調節反応により促進することで, 全身の熱バランスを維持していることが示唆された.
著者
白田 耕蔵
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.11, no.8, pp.568-575, 1983
被引用文献数
3

The laser-induced fluorescence (LIF) spectra for C<SUB>2</SUB> Swan system (d<SUP>3</SUP><I>&pi;</I><SUB>g</SUB>-a<SUB>3</SUB><I>&pi;</I><SUB>u</SUB>) were observed with an Ar<SUP>+</SUP> laser. Two laser lines of 472.7 and 514.5nm coincided with two ro-vibronic transitions: <I>R</I>(4) (<I>&Omega;</I>=2-2, =1-0) and <I>Q</I>(21) (<I>&Omega;</I>=2-2, <I>v</I>=0-0). The analysis yielded the vibrational parameters for the a<SUP>3</SUP><I>&pi;</I><SUB>u</SUB> electronic state. The observed LIF spectra could not be explained using the known parameters for the d<SUP>3</SUP><I>&pi;</I><SUB>g</SUB> electronic state. The parameters for the d<SUP>3</SUP><I>&pi;</I><SUB>g</SUB> state were redetermined through the reanalysis of the emission spectra for C<SUB>2</SUB> Swan system. The obtained parameters well explained the LIF spectra.
著者
岸岡 正伸 柿野 純 井上 隆彦 多賀 茂 和西 昭仁 白木 信彦 山崎 康裕 小野里 坦 國森 拓也 宮後 富博 齋藤 秀郎 鹿野 陽介
出版者
山口県水産研究センター
巻号頁・発行日
no.13, pp.25-45, 2016 (Released:2016-10-20)

2011~2013年度にかけて,山口市秋穂湾の遊休化したクルマエビ養殖池(50×100m,面積0.5ha)を用い,池に施肥することで餌料生物を増殖させながらアサリを大量育成する手法を開発するため,年間300~600万個のアサリ人工種苗(殻長2mm)を池内に収容し,実証レベルの試験を行った。研究初年度は,施肥を行った直後からアオサの急激な増殖が見られ,2ヶ月の間に池の大半を覆った。このため移植した種苗の成長,生残とも極めて低かった。また,攪水機によって流速4cm/sec. 以上になる場所が成育場所として適していると考えられた。2年目以降,種苗池入れ前に池内の大型藻類や食害生物を可能な限り除去するとともに,日常管理として週3~4回,小型の底びき網で池全体を引き回し,夾雑物を排除しながら海底を攪拌した。3~7月にかけて,毎週200kg(海水トンあたり27g)の半有機肥料を池に散布することで,栄養塩の供給と微細藻類の増殖を維持することができた。この結果,2年目以降は池内での大型藻類の繁茂が抑制され,3月に平均殻長2mmで移植した種苗は60%以上の高い生残率で急速に成長し,7月に殻長20mmに達した。施肥した試験区と施肥しない試験区を設けてアサリの成長及び生残状況を比較した。その結果,施肥による成長促進効果は,無施肥による場合と比較すると6月以降に顕著に現れた。試験期間中に,魚類の卵稚仔や甲殻類の幼生などが多数侵入・成育したが,アサリを回収するまでの間,これらの魚介類がアサリを食害した痕跡はほとんど見られなかった。最終年度は,11ヶ月の育成期間中に,1m2あたり平均3kg(500万個,15.7トン)のアサリが成育し,事業として実施するのに十分な高い生産能力を有することを確認した。生産した20~25mm貝を県内のアサリ漁場に保護放流したところ,調査を実施した3箇所の干潟で成長や生残に違いが見られたものの,母集団としての機能は果たしていると考えられた。また,試験池で生産したアサリは,肥満度の上昇する4月~6月であれば,自然浜のアサリとほぼ同じ一般成分,コハク酸,遊離アミノ酸を含有していた。
著者
白畑 知彦 新保 淳 北山 敦康
出版者
愛知教育大学大学院・静岡大学大学院教育学研究科 共同教科開発学専攻
雑誌
教科開発学論集 (ISSN:21877327)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.181-188, 2015-03-31

本共同教科開発学専攻では、教員養成をおこなう上でこれまで別々に捉えられていた感のある3つの領域、教科専門、教科教育、教職専門を融合し、新たな学問領域を構築しようとしている。このような特色を持つ本専攻と、他大学の「博士(教育学)」課程の教育・運営方針を比較することで、本専攻の今後の方向性を考える一助とする。白畑、新保、北山の3名は、2014 年3月、アメリカ合衆国におけるDoctor of Education Program の現状を把握するために、同国カリフォルニア州の3つの大学(南カリフォルニア大学 (USC)、カリフォルニア大学ロサンジェルス校 (UCLA)、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校 (CSULB))を視察した。このうち、USC とUCLA の2校でEd.D. Program 担当者と面会し、話を聞くことができた。そのインタビュー内容を紹介する。次に、日本でEd.D.の学位を授与している唯一の大学院である名古屋大学の博士課程について、今津の2 本の論文を考察することで、1)日本における学位の授与規定について、2)日本におけるEd.D.コースの現状について情報提供する。以上の考察に基づき、本専攻の方向性についてもう一度確認することで我々の方向性を確認する。
著者
高橋 啓悟 白井 祐介 鍋倉 賢治
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.371-381, 2020-10-01 (Released:2020-09-16)
参考文献数
49

This study aimed to elucidate the effects of exercise intensity on stretch-shortening cycle (SSC) function of the lower limbs after cycling. Ten male triathletes performed a cycling graded test to determine the ventilatory threshold (VT) and two hopping-cycling (30 min of cycling at 90 or 110% VT)-hopping tests. The two hopping-cycling-hopping tests performed in random order. Power output (PO), heart rate (HR) and rate of perceived exertion (RPE) were monitored throughout the 30-min cycling. Blood lactate concentrations (BLa) were measured in order to assess metabolic stress. The SSC function was calculated as the ratio of the jump height to the time spent in contact with the ground (reactive strength index [RSI]). PO, HR and RPE values during cycling at 110%VT was higher than at 90%VT (p < 0.01). BLa value after the cycling at 110%VT was higher than at 90%VT (90%VT: 2.4±1.0 vs. 110%VT: 5.9±2.8 mmol/L, p < 0.01). Regardless of the cycling exercise intensity, the RSI significantly decreased after the cycling exercise (p < 0.01). The RSI remained decreased at 15 min after the cycling exercise (p < 0.05). These results demonstrated that the SSC function decreased after cycling. Exercise intensity during cycling is likely to have no effect on the decrease in SSC function.
著者
白眉出版社編輯部編
出版者
白眉出版社
巻号頁・発行日
1924
著者
白井 郁子 武田 祐子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.258, 2010

本研究では、横浜市港北区に2008年3月に開店した複合型商業施設「TRESSA横浜」の顧客カードの情報をもとにGISを利用した詳細な商圏分析を行い、顧客の空間分布の実態を明らかにした結果を報告する。<br><br>TRESSA横浜は、オートモール&ショッピングエリアというタイプの車の販売を含む複合型商業施設である。東急東横線の日吉駅・綱島駅・大倉山駅・菊名駅、JR鶴見駅・新横浜駅の各駅からバスで20分程度の場所に位置しており、車での利用が多い。トヨタの物流拠点整備工場の跡地に開発され、その敷地面積は7万m<sup>2</sup>,テナント220店舗、収容可能駐車数2700台である。<br><br>TRESSA社の独自システムで管理されている顧客データベースの一部の変数を抽出したデータを利用した。このデータには、会員番号、自宅の郵便番号、性別、買上回数、買上金額、DM発行数が含まれており、サンプル数は11万4千件である。また記録された期間は、TRESSAが開店した2008年4月以降2009年9月までである。<BR><BR>顧客カードの郵便番号を住所変換し、CSISアドレスマッチングサービスを利用して経緯度座標を付与することで、顧客の郵便番号区ごとの分布図を作成した。さらに、TRESSAからの距離帯ごと、郵便番号区ごとに会員数、買上回数、買上金額を集計し、顧客の空間分布、売上実績の実態を明らかにした。また、国勢調査の小地域統計より、顧客分布と人口分布との関係を検討した。<BR><BR>顧客カードを利用したGISによる商圏分析の結果は、以下に要約される。1)顧客の分布は、TRESSAから3km圏で全顧客の約50%、5km圏で全顧客のおよそ70%を占めていた。このゾーンは、TRESSAが戦略とする10km圏よりも相当狭いエリアである。また買上金額では、2km圏に全体の50%、4km圏までで全体の80%にのぼる。2)4km圏外であっても、TRESSAより南西に位置する港北区南部と神奈川区西部にかけての地域、およびTRESSA北部にあたる川崎市中原区の会員比率が高い。3)DM発行は、その70%が4キロ圏内で行われているが会員比率の多寡は考慮されていない。4)人口密度と会員比率の多寡には、相関はみられない。以上より、大型商業施設であるTRESSAの商圏は、その規模に相応しない地元完結型と見なされる。