著者
眞嶋 良全
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

高校までの教育,科学技術概念の基礎的理解,日常的なメディアへの接触頻度,認知判断傾向等の個人差変数が,疑似科学的信念の強度に与える影響について,変数間の関係性を統計的に分析する共分散構造分析を用いて検討した。その結果,正しい科学的知識(科学リテラシー)の獲得は疑似科学的な信念を弱める一方で,認知的な安定性を求める傾向が拙速な判断に関与している可能性が指摘された。
著者
眞嶋 良全
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.22-38, 2012 (Released:2013-12-27)
参考文献数
103
被引用文献数
3

現代は科学技術が高度に発達し,科学技術の成果が広く応用されることで社会の発展が進むと同時に,科学技術の高度かつ専門的な細分化に伴って,特定の領域の専門家以外の公衆(他分野の科学者も含む)の理解が追いつかなくなっている.さらには,従来のように科学が真理の探究のみを目標としていた時代と異なり,価値判断や政策的意思決定などをも含む,科学だけでは解決できないが,一方で科学とは切り離せないような問題,あるいは“科学に問うことはできるが,科学だけでは答えられない”(トランスサイエンス)問題が生じている(小林, 2007; Weinberg, 1972).このような状況の中で,科学と社会とを繋ぐ科学技術コミュニケーションの重要性が指摘されるだけでなく,学校教育,あるいは生涯教育としての科学リテラシーの重要性も認識されるようになっている.リテラシーは,元来,言語による読み書き能力を指す言葉であるが,近年は,情報一般の活用力を指す情報リテラシー,健康や医療の面での情報活用力とそれに基づいた意思決定の能力を指すヘルスリテラシー,科学の成果とその方法論を理解し,批判的に評価する能力を指す科学リテラシーなどさまざまな能力を指す言葉として用いられている.科学リテラシーをどのように定義するか,あるいはどこからどこまでを科学リテラシーの範囲とするかについては未だに議論があるが1),いずれの定義においても,科学の諸分野における基本概念や科学の方法論を理解することと,科学的な主張を批判的に評価するためのスキルを獲得することが重視されている(川本・中山・西條, 2008; National Research Council,1996; OECD, 2007a).
著者
眞嶋 良全
出版者
北星学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,個人の疑似科学信奉の説明変数としての,論理・確率的推論能力,認知スタイル,および科学リテラシーの予測力を検証した。その結果,論理・確率的推論能力は信念の程度に対して説明力を持っていなかったが,認知スタイル,特に二重過程思考と関連した思考傾向が信念の強度に対して説明力を持っていることが示された。これらの結果から,誤帰属仮説は妥当な説明モデルであるとは言えず,むしろこれらの非合理的な信念は分析的思考と関連した「非形式的推論」の産物であることが示された。
著者
眞嶋 良全
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.272-281, 2019-06-01 (Released:2019-12-01)
参考文献数
37

Crowdsourcing is a newer labor portal where anonymous workers earn small amount of money for completing Web-based tasks. Recent research investigating human behavior often recruit workers through these platforms to ask them to participate in online survey and experiment. To make it short, the advantage of crowdsourcing is that it enables researchers to collect empirical data at relatively lower economical, human,and temporal costs. However, it is also known that some professional survey takers who repeatedly participated in academic survey tasks are likely to show satisficing —behavior in which workers do not pay attention adequately to research materials. In addition, internet-based research practice has other concerns specific to ethical consideration in online data collection, including presenting proper post-survey debriefing and maintaining ethical level of compensation. Present article outlined a state of the art of internet-based research in the domain of social sciences, indicated both strong and weak point of the online study, and suggested possible future direction in cognitive studies with crowdsourcing.
著者
眞嶋 良全
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

超常現象や疑似科学等の実証的根拠を欠いた事物の信奉 (empirically suspect beliefs; ESB) に関する先行研究では,ESB は分析的で熟慮的な内省的思考により抑制されること,分析的認知スタイルの持ち主はESBを持ちにくいことが指摘されてきた。しかしながら,日本人参加者を用いた先行研究では,直観的認知スタイルの方が信念をより良く説明すること,さらに分析的認知スタイルは,むしろESBを高めることが示されている。本研究では,日本および西洋文化圏の参加者を対象に,論理的推論やニュメラシー等の認知能力指標,直観および分析的認知スタイル,その他の人格・思考特性がESBをどの程度予測するかを検討した。その結果,認知能力および分析的スタイルではなく,直観的スタイルが信念とより強く関連していることが示された。また,ESBに対する媒介変数の影響は文化によって異なることが示された。