著者
津谷 恒夫 石川 恭三
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.24-31, 1992-01-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
19

心電図診断を行う際,低電位はしばしば認められる所見であるが,臨床的意義についていまだにあいまいな点が多い.また,日本人におけるQRS振幅,特に低電位についての報告は少なく,低電位の基準や臨床的評価についての検討がなされていない.そこで,筆者らは健康者のQRS振幅,低電位の基準,低電位の臨床的意義,およびその鑑別診断について検討した.健康者のQRS振幅は肢誘導と胸部誘導ともに性,年齢により異なり,女性が男性に比し低値を示し,40歳以降で低電位傾向を示した.また,健康者において,肢誘導の最大QRS振幅が0.6mV以下になると症例が急激に減少した.胸部誘導では低電位が明らかに女性に多いことを示した.肢誘導における低電位の基準は,検出率と有病率の面から全肢誘導のQRS振幅が0.6mV以下,胸部誘導では,男性が全胸部誘導のQRS振幅が1.5mV以下,女性が1.3mV以下とする基準が妥当と思われた.低電位は非特異的所見であり,その臨床的意義は大であるとはいいがたいが,心臓の病態や臨床経過を知る上で手助けになるであろう.水分貯留に対する低電位の鑑別診断は,原因となる疾患が多彩であり,今回の検討では不可能であった.したがって,心電図診断を行う際,低電位は従来の基準にこだわることなく年齢,性別および体型を考慮し,さらに低電位をもたらす背景となり得る他の心電図所見から診断する必要がある.
著者
石川 恭匡 高橋 直樹 高浜 琢 野中 謙一郎
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.1487-1493, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

近年,自動運転レベル2でも走行制御可能なエリアの拡大が望まれている.本研究では,車線情報と先行車情報とカーナビ情報と車両挙動情報をMoving Horizon Estimationによりフュージョンすることで,操舵制御性能の改善が可能となることを示す.
著者
中野 航 佐々木 広大 野村 健人 石川 恭平 濱田 七々美 古橋 秀成
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.139-143, 2022 (Released:2022-09-23)
参考文献数
12

去勢雄,9歳齢のトイプードルが疼痛を伴う四肢の肉球の紅斑およびびらんを主訴に当院を受診した。臨床および病理組織学的検査により,肝臓の空胞状変性を伴う壊死性遊走性紅斑(肝皮症候群)と診断した。治療としてプレドニゾロン,亜鉛補給,肝庇護療法,卵黄の給餌およびアミノ酸輸液を行なった。症状は一時的に改善したが,貧血,糖尿病,細菌感染などを伴って第207病日に死亡した。治療期間中の血中総分岐鎖アミノ酸(BCAA)およびチロシン濃度をモニタリングし,その意義を検討した。
著者
石川 恭 成瀬 麻美
出版者
国立大学法人愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 (ISSN:21860793)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.17-26, 2014-03-31

人間の性に関することがらは、昔から秘められ閉ざされた世界にあった。人々の性行動は、何かしら後ろめたさをもって見られていたからである。そのため近代社会において、人々の性行動に関する学術的な研究はほとんどない。オランダも例外ではなく、20世紀後半に至るまで人々の性行動の実態を客観的に知ることはできなかった。キリスト教の教義において、性に関わる婚前行為は罪だと考えられていたからである。しかし産業革命以降、近代化が進む中で、人々の価値観は多様化し、キリスト教の教義を尊守する伝統的な価値観をもった人は少なくなったと思われる。それにより、人々の性行動も解放化に向かったのではないか。このような疑問から、近代化と人々の性行動の関係について産業化の視点から取り組んだ。まず、オランダにおける宗教人口を調べ、人々の宗教離れについて検討した。次に、社会生活における人々の性行動を調べるとともに、工場労働者の性に関する言動を明らかにした。第3に、非嫡出子から見た人々の性行動について産業化の視点から分析した。いずれも限られた資料からの文献研究である。その結果、人々は社会の近代化とともに宗教生活から離れ、次第に個人の価値観に基づいた生活を営むようになった。近代化が進み、都市部で工場労働者が増加すると、人々の性行動は解放的になった。また、非嫡出子は、産業化が進んだ都市部の方が農村部より多かった。これは都市部において社会的統制が弱くなったためと考えられる。だが、これによって近代化がそのまま人々の性行動を解放的にしたとは言い切れない。地域性や、避妊行為、どのレベルでの性行動を性の解放化と捉えるかなどについて疑問が残るからである。
著者
高橋 尚志 礒田 誠 大浦 みゆき 西原 浩 高木 由美子 佐々木 信行 藤原 佳代子 高橋 智香 金子 之史 末廣 喜代一 松本 一範 稗田 美嘉 森 征洋 松村 雅文 寺尾 徹 川勝 博 北林 雅洋 笠 潤平 福家 弘康 西川 健男 高橋 正人 久利 知光 林 雄二 東条 直樹 横川 勝正 上村 和則 武藤 成継 石川 恭広 長谷川 忍
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育実践総合研究 (ISSN:1345708X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.35-43, 2008

学部の理科教員全員によるチームティーチングを実施している「理科授業研究I」の内容を,附属学校教員の立場から評価した。その観点は教育現場での実験教材としての有効性と教育実習の事前の指導としての意義であり,本報告は授業の概要の紹介を行った後に考察結果と今後の課題をまとめたものである。
著者
石川 恭 加藤 玲香
出版者
国立大学法人愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 The journal of the Organization for the Creation and Development of Education (ISSN:21871531)
巻号頁・発行日
no.3, pp.19-25, 2013-03-31

本稿は、小学校低学年において、学習指導要領の目標を基準に、体育科の授業に伝承遊びを導入することの効果を、現代社会の子どもたちが直面している様々な問題との関わりから考察することを目的とした。また、日本古来の伝統文化である伝承遊びの意義についても考察した。これらは、今の子どもたちが抱える社会問題を解決する方策となり得る可能性をもつと思われるからである。先行研究を調べてみると、伝承遊びについては、幼児教育における伝承遊びの意義や導入、民俗学や社会学あるいは文化人類学などの分野で伝承遊びの特質や分類などが研究されている。また、日本における伝承遊びの実態などの調査研究はある。これらから、本課題について取り組む意義があるといえる。研究方法は、文献研究によった。平成20年改定の小学校学習指導要領解説・体育編と伝承遊びに関する様々な文献をもとに、学校体育、文化、遊びに関する文献などを加えて考察を行った。その結果、以下の考察に達した。学習指導要領にある改訂の基本方針と体育科の6領域について検討した結果、伝承遊びの導入がいずれにおいても可能であるといえた。体つくり運動では「けんけんずもう」、器械・器具を使っての運動遊びでは「馬のり」、走・跳の運動遊びでは「けんぱ」、水遊びではプールの中での川づくり、ゲームでは「たすけ鬼」、表現リズム遊びでは「電車ごっこ」が、学習目標に照らしてみた場合、有効であると考えられた。これらは、現代社会を生きる子どもたちが直面している様々な問題を解決する手だてとなり得る。また、伝承遊びの実践は、日本の伝統文化の保存・伝達、和の精神的価値を顧みる契機ともなる。