- 著者
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奥乃 博
中臺 一博
水本 武志
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
- 巻号頁・発行日
- vol.95, no.5, pp.401-404, 2012-05-01
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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4
私たちが日常耳にする音は複数の音や背景雑音が混じった混合音である.実世界で音情報を活用するためには「聞き分ける」機能が不可欠である.聞き分けるセンサ技術は,インストルメンテーション(装置化)という観点から音を収録するデバイス(センサ)と収録音に対する処理ソフトウェアから構成される.本稿では,混合音のセンサ技術の動向を,ロボット聴覚とカエルの合唱の観測について解説を行う.混合音を聞き分けるという立場から,音源定位,音源分離,分離音認識に取り組むべきであると考え,音環境理解という研究を過去15年進めてきた.離れて聞くという技術は,ロボットでは不可欠の技術であり,ロボット聴覚に不可欠な機能を統合的に提供するソフトウェアHARKを開発し,公開している.HARKの設計思想から具体的な実装まで概観し,その応用として,音環境可視化技術と人ロボット共生学への応用について報告する.また,カエルの合唱機構を音を聞き分けて解析する応用では,フィールドで聞こえる様々な音のために,音響処理だけでは難しいので,近傍の音を拾ってLEDを光らせる「カエルホタル」を開発した.カエルホタルを多数並べて実際の田んぼで観測し,カエルの鳴き方の観測実験についても合わせて報告する.以上の報告を通して,混合音を聞き分ける技術が,今後重要な技術になることを提案する.