著者
池田 惇 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.2112-2122, 2010-11-15

近年,人間の動作とその背景に投影された映像を組み合わせて,演者の動作が映像に作用しているように見せるパフォーマンスが注目されている.しかし,演者は映像を背にしていたり,ステージ上を移動してさまざまな方向を向いていたりするため,つねに映像を確認しながら演技することはできず,映像と演者が直接掛け合いを行うようなインタラクティブなパフォーマンスを行うことが難しかった.そこで本研究では,装着型/非装着型の情報提示デバイスを用いて演者に映像情報を提示することの有効性を評価する.本研究では実際にインタラクティブパフォーマンスのための演者支援システムを構築し,提示デバイスや提示内容が演技に与える影響を評価した.結果から,提示デバイスによって,演技の自然さが変化することや,提示内容によって,演技動作の精度が変化することが確認された.また,装着型デバイスの使用が演者の演技に与える影響についても評価を行い,対応可能なパフォーマンスを確認した.
著者
桝井 文人 柳 等 伊藤 毅志 山本 雅人 松原 仁 竹川 佳成 河村 隆 宮越 勝美
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

今年度は,戦術要素の収集・解析と戦術推論手法開発の継続,ストーントラッキング手法の実証実験,人工知能アルゴリズムの応用,スウィーピング計測システムのモデル化と実験に取り組んだ.以下,各項目別に報告する.(1)戦術要素の収集と解析については,新たに日本代表決定戦,平昌オリンピックの試合情報を追加して分析し,チームショット率と得点の関係,ポジション別ショット率と得点の関係,さらに,先攻後攻におけるショット率と得点の関係についての知見を得た.さらに,得点機会と失点機会に注目した分析を行い,チーム固有の発生確率パターンが存在することを発見した.(2)人間判断要素の収集と解析については,昨年度に実施した認知心理学実験結果を分析し,戦術の思考過程の考察を行なった.戦略書に基づいたデジタルカーリングAIにおける序盤定石の構築も引き続き行なった.(3)ストーン挙動要素の収集については,実際のカーリングホールにて氷上での動作検証実験を行なった.シートの氷の下にキャリブレーション用モジュールを埋め込むことで,昨年度の課題を解消した.シーズンを通しての耐久性と,キャリブレーション時の誤差について検証を行い,概ね陸上と同じ結果が得られることが確認できた.(4)戦術推論手法の開発では,昨年度実装した離散化座標と評価値の期待値に基づいてショット選択を行う人工知能アルゴリズムを用いて平昌オリンピックの試合を人工知能アルゴリズムで再現した.また,デジタルカーリング環境における戦術学習支援システムを構築した.(5)スウィーピング計測については,計測システムに加わる力のモデル化と,スウィープ時の力とモーメントの計測結果の検討を行なった.
著者
牧 成一 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.26, pp.53-58, 2009-02-28
被引用文献数
2

近年,ダンスと映像効果を組み合わせた新たなパフォーマンスが注目を集めている。しかし,既存の映像効果生成ツールは,キーボードなどのPC 操作用入力インタフェースによって操作しており,パフォーマンス中にパフォーマ自身で操作することが困難である。また,他者が操作する場合,パフォーマの意図を忠実に反映したり,思いつきでパフォーマンスを変更することが困難となる。そこで本研究では,パフォーマの動作によって映像効果を制御するシステムを提案する。提案システムは,パフォーマがLEDを取り付けた服を身にまとい,カメラによってLED を検出することで身体の動作を認識する。また,スクリプト記述を採用することでユーザが映像効果と身体動作とのマッピングを容易に記述でき,ユーザの自由な発想を反映できるようにする。提案システムを2008 年神戸ルミナリエのイベントにて実際に試用し,その有効性を確認した。In recent years, a new performance that combines dance with visual effects attracts a lot of attention. However, it is difficult to operate the existing visual effect generation tools during performance because they were operated by PC interfaces such as a keyboard. On the other hand, if another person operates it, it is difficult to reflect the intention of performer correctly. Therefore, in this study, we propose a visual effects controlling system by performer's movement. In the system, a performer wear a cloth equipped with multiple LEDs, and the system recognizes physical movement by detecting LEDs using a camera, and changes visual effects according to predescribed scripts. We have actually used our prototype system on an event stage of Kobe Luminarie in 2008.
著者
竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.88-97, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
25

近年,計算機の普及に伴い,電子メール,ブログ,チャットなどテキストベースのコミュニケーションが活発に行われている.また,感情や込めたい思いをより良く表現し他者に伝えるために,写真,ムービー,効果音,音楽,香りなどさまざまなコミュニケーションメディアやインタフェース,システムが提案されてきた.一方,ピアニストは鍵盤楽器を使って感情や思いを巧みに表現している.したがって,文字入力に演奏者の音楽的な表現力を付加できれば,感情や思いをより豊かに表現・伝達できると考えられる.そこで本研究では,鍵盤を使って文字入力に音楽表現を付加できる文字入力システムTEMPEST (TExt input and Musical PErforming SysTem) を提案する.TEMPEST の文字入力方式は,楽器演奏による感情伝達を考慮した設計になっており,ユーザはあたかも演奏しているかのように文字入力できる.さらに,実装したプロトタイプを用いた,文字入力演奏の視聴評価実験の結果から,提案システムは感情伝達手段として有効であることが証明された.
著者
竹川 佳成 松村 耕平
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.2_95-2_108, 2018

本研究では,1人でのライブ中継形式のレポートを支援するシステム「ポケレポGO」を提案する.ライブ中継ストリーミングサービスの普及に伴い,だれもが自分の興味・関心,身の回りの出来事を放送できるようになった.1人でのライブ中継形式のレポートにおいては,撮影後に編集ができないことや,多くの作業を同時に行うことが求められるため,放送の品質の低下や,限られた情報の伝達による信頼性の低下といった問題を引き起こす可能性がある.これらの問題を解決するために,複数業務を円滑に進めるための機能をもつシステムを開発した.提案システムのプロトタイプシステムを実装し,評価実験によりプロトタイプシステムで撮影した映像の品質は,複数人で取材をする形態の比較手法と同等であることが明らかになった.
著者
竹川 佳成 寺田 努 西尾 章治郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.4_51-4_59, 2006 (Released:2007-06-11)

鍵盤演奏において運指は演奏に影響する重要な要素であるが,同じ楽曲であっても演奏家の身体的特徴や音楽の表現方法によってさまざまな運指が考えられるため,楽曲から運指を一意に決定することは難しい.一方,実際に演奏を聴きながらリアルタイムで演奏者の運指情報を得られれば効率的な演奏学習や奏者と一体感のある音楽視聴が可能となる.そこで,本研究ではカメラベースのシンプルな画像処理と,鍵盤や運指特性から得られた演奏ルールを組み合わせることで,実時間で高精度に運指を取得するシステムを構築する.さらに,鍵盤習熟者による評価実験を行うことで,システムの有効性を検証する.
著者
松井 遼太 長谷川 麻美 竹川 佳成 平田 圭二 柳沢 豊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.789-797, 2020-04-15

本稿では,ピアノ演奏時の悪癖アノテーション機能を持つ,ピアノ教師向け悪癖発見支援システムの構築について述べる. ピアノ演奏者にとって正しい指使いを身につけることは,高度な演奏技術を修得するうえで必須となる. 指使いは身体や運動に依存するため,個人の体格や弾き方に影響されやすい.そのため,演奏者が誤った指使いを身につけた場合,指使いは悪癖として定着しやすく,定着後に修正することが難しい.したがってピアノ教師は,生徒の指使いに関する悪癖を発見し,指導する. しかし,生徒に悪癖があっても上手に演奏できている場合もあり,教師が一聴しただけでは悪癖の発見が難しい.一方,悪癖を視覚的に判断する手段も存在するが,演奏時の手指の動きは素早いため,教師は実時間で単方向から見ただけでは生徒の悪癖を見逃してしまう. そこで,提案システムは生徒の演奏を3視点から撮影した映像それぞれをコマ送り再生できる機能,打鍵間隔や打鍵の強さを可視化する機能を持つ.これにより,教師は単に映像を見るよりも効率良く生徒の悪癖を発見できる.また,提案システムは深層学習を用いた悪癖アノテーション機能により,演奏中に悪癖がある箇所を推定し,教師の見逃しを防止できる. 一般的な動画再生機能を持つツールを使用した従来手法群と,提案システムを使用した提案手法群を比較した評価実験の結果,提案手法群が悪癖発見に役立つことが示唆された.
著者
竹川 佳成 植村 あい子 奥村 健太 高道 慎之介 中村 友彦 平井 辰典 森尻 有貴 矢澤 櫻子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-112, no.10, pp.1-6, 2016-07-23

「新博士によるパネルディスカッション」 は,音楽情報科学の研究に取り組んできた博士号を取得したばかりの方を集め,研究の紹介,博士課程進学の動機,博士課程在学中のドラマ,今後の抱負などについてパネル形式で議論する.本稿では,今回パネリストとして参加していただく 7 名の新博士を紹介する.
著者
梅澤 章乃 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-EC-44, no.25, pp.1-5, 2017-05-25

対面コミュニケーションにおいて,人は対話者の顔の特徴から対話者の性格を推測するといったように,顔は人の印象を決める重要なパーツである.また,対話者の顔の印象が好ましいほど,対話者に対して親近感が湧く傾向があるということも知られている.自分自身の顔そのものを変えることができれば,他者に与える装着者自身の印象や雰囲気をより柔軟により強力に操作できると考えられる.そこで本研究では,ユーザの顔をアバタの顔に変えられる仮面型ディスプレイ e2 - Mask の提案を目的とする.
著者
佐藤 僚太 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2019-EC-51, no.12, pp.1-6, 2019-02-15

本稿では,メドレー楽曲におけるマッシュアップを考慮した楽曲断片検出法について述べる.メドレー楽曲とは,複数楽曲の一部分の区間を接続することで作られる新たな形式の楽曲のことを指す.メドレー楽曲では原曲をテンポやキー,音の追加や削除などのアレンジやマッシュアップを行うことで,一曲であるかのように楽曲断片同士の接続を行っている.我々は,メドレー楽曲において何の曲がどこからどこまで登場しているか同定するため,Wang の音声指紋とカバーソング同定法 (Cover Song Identification, CSI) である Serrà らの相互再帰定量化 (Cross Recurrence Quantification, CRQ) を組み合わせた楽曲断片検出法の提案する.メドレー楽曲とその構成楽曲から音声指紋を抽出し,2 曲の類似度行列である行列 CR とカバーソングを定量的に評価するための累積値行列 Q を作成し,開始地点を同定することで楽曲断片の検出っを試みる.実験結果から,やや低い精度ではあるものの,パラメータの検討によって本手法の楽曲断片検出の精度が向上することが示唆された.
著者
澤田 隼 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.941-950, 2018-03-15

本稿では,Generative Theory of Tonal Music(GTTM)を音楽のスペクトログラムに直接適用して階層的クラスタリングによってタイムスパン・セグメンテーションを生成する新しい方法を提案する.まず初めに,スペクトログラムを時間軸方向に分割し,周波数方向に縦長の矩形(bin)をピッチイベントとして,スペクトログラムを一連のbinの集合として考える.binのテクスチャの特徴は,グレーレベル同時生起行列(Gray level co-occurrence matrix: GLCM)を使用して抽出され,テクスチャ特徴量の時系列データを生成する.テクスチャ特徴量による隣接bin間の類似度によってフレーズの近接度および変化量が計算される.並列性および反復性などの大域的な構造は,一連のbinの自己相似性行列(Self-similarity matrix: SSM)によって検出される.隣接するbin間の境界の強さを表す時系列データが与えられ,隣接するbinをボトムアップに反復的に併合していくことで,最終的にタイムスパン・セグメンテーションに対応する系統樹を生成するアルゴリズムを開発する.MozartのK.331とK.550を入力して実験を行った結果,音高や調和などの音楽知識をほとんど考慮していないにもかかわらず,有望な結果が得られた.
著者
飛世 速光 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_57-2_66, 2014-04-24 (Released:2014-06-24)

ギター演奏において運指(指使い)は演奏に影響する重要な要素である.また,触弦(指が弦に触れている状態)や押弦,離弦(指と弦が離れている状態)といった状態や,複数の指が1本の弦上にあるなど,左手の指と弦との関係は多彩である.これらの情報を演奏支援システムが取得することで,ミュート(触弦により弦の振動を防ぎ消音すること)のために弦上に配置された指や,次の発音の準備のために弦上に配置されている指など,発音に関わらない運指情報を判別でき,効率的な独習支援や,細かい演奏技術が盛り込まれた楽譜の自動生成に応用できる.そこで本研究では,押弦,触弦,離弦を認識可能な,ギターのための触弦認識システムの構築を目的とする.本研究では弦やフレットの導電性に着目した電気的な機構による触弦認識手法を新たに提案する.また,実装したプロトタイプを用いて,システムの認識率を調査する実験を行い,高精度に触弦認識できることを確認した.さらに,本研究の枠組みを利用したアプリケーションを提案した.
著者
竹川 佳成
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.526-528, 2016-05-15

本稿では,音楽,特に,楽曲制作・楽器制作・演奏の練習において,ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(Human Computer Interaction)が適用されている事例を挙げながらその意義や動向について解説する.
著者
丸山 裕太郎 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.193-201, 2011

人は音楽を奏でるために古くからさまざまな楽器を開発してきた.西洋楽器を例に挙げると,バイオリンとチェロのように共通する形状・構造・奏法をもち,音域の異なる楽器がある.また,2段の鍵盤をもつ電子オルガンと1段の鍵盤しかもたないピアノのようにミクロの構造は同じでも組み合わせ方が異なる楽器も存在する.一方,電気・電子技術の発展に伴い,アコースティック楽器と同様の見た目や演奏方法をもち,電子的に音を生成する電子楽器が多数開発されてきた.しかし,従来の電子楽器は既存楽器の形状をそのまま模写することが主な目的であった.本研究では,楽器を発音や音程決定などの機能要素(ユニット)の集合であると捉え,それらのユニットを自由に組み合わせることで,音域や演奏スタイルの変化に柔軟に対応できるユニット楽器の開発を目指す.ユニットを組み合わせて楽器を再構築することで,楽器の音域増減などのカスタマイズや,既存楽器の特徴を組み合わせた新たな楽器の創造が行える.ユニットの設定は,本研究で提案するスクリプト言語によって柔軟に記述できる.また,本研究ではユニット楽器のプロトタイプを実装し,さまざまなイベントステージで実運用を行った.
著者
竹川 佳成 松村 耕平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.472-477, 2015-04-15

本記事では,デモ・ポスター発表開始直前に実施されるティザーセッション(学会参加者がデモ・ポスターセッションで発表される研究を一覧することを目的とし,発表者が1分間程度で自身の研究の概要を説明するセッション)を生中継するための「ウェアラブル実況中継システム」を紹介します.生中継を導入することで,デモ・ポスター発表者は実機やポスターを利用しながら自身の研究概要を参加者に説明できます.提案システムには,機動性や安定性などを配慮して,少ないスタッフでありながらも高品質なコンテンツを提供できる機能をもたせました.インタラクション系の査読付国内会議WISS2014にて提案システムを実運用した結果をもとに,提案システムの有用性や今後の展望について解説します.
著者
竹川 佳成 松村 耕平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.472-477, 2015-04-15

本記事では,デモ・ポスター発表開始直前に実施されるティザーセッション(学会参加者がデモ・ポスターセッションで発表される研究を一覧することを目的とし,発表者が1分間程度で自身の研究の概要を説明するセッション)を生中継するための「ウェアラブル実況中継システム」を紹介します.生中継を導入することで,デモ・ポスター発表者は実機やポスターを利用しながら自身の研究概要を参加者に説明できます.提案システムには,機動性や安定性などを配慮して,少ないスタッフでありながらも高品質なコンテンツを提供できる機能をもたせました.インタラクション系の査読付国内会議WISS2014にて提案システムを実運用した結果をもとに,提案システムの有用性や今後の展望について解説します.
著者
丸山 裕太郎 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.1-6, 2009-05-14

ギターは長い歴史をもち,幅広い音楽のジャンルで用いられてきた.しかし,従来のギターはフレット数や弦数の固定された構造をしているため,求められる構造に柔軟に適応できなかった.そこで本研究では,弦の音高を制御する指板ユニットおよび発音のタイミングを制御するピックアップユニットを動的に組み合わせることでさまざまなギター構造に適応できるユニットギター (UnitGuitar) を構築する.UnitGuitar は各ユニットを組み合わせることでさまざまな構造のギターを構築できる.さらに,センサやアクチュエータなど入出力機器を搭載した拡張ユニットを用いて直観的な操作や特殊なエフェクトが実現できる.加えて,UnitGuitar は各ユニットが接続されると接続関係を認識し音色および音高の設定を自動で行う機能をもつ.UnitGuitar の有効性を検証するために 2008 年 12 月 13 日および 14 日に行われた,神戸ルミナリエのイベントステージにてプロトタイプを実運用した.The guitar has been used in various genre of music in its long history. Generally, a guitar lacks structural flexibility to cover variety of playing styles, which has been one of the limitations of performance using it. In this study, we propose UnitGuitar that can dynamically change the structure by dividing and combining finger-plate units that are used for controlling the pitch, and pick-up units that are used for controlling the timing as unit components. The system recognizes the connection relationships among units configure the settings. We developed a prototype of UnitGuitar and used it in the event stage of Kobe Luminarie on December 13 and 14, 2008, which showed the effectiveness of UnitGuitar.
著者
竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.111, pp.101-106, 2004-11-06

筆者らの研究グループでは,いつでもどこでも楽器を演奏して音楽を能動的に楽しみたいという要求を満たすため,手軽に持ち歩いて利用できるモバイル楽器の開発を行ってきた.これまで,あたかも演奏しているかのようなPC操作が行える小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIや,音域変更操作をスムーズに行う仕組みを備えることで,音域が広い楽曲を演奏しやすくした楽器であるモバイルクラヴィーアIIを開発してきた.そこで本研究では、文字入力可能な小型鍵盤であるモバイルクラヴィーアIと,黒鍵追加型小型鍵盤であるモバイルクラヴィーアIIを統合し,より芸術的な文字入力を可能にしたモバイルクラヴィーアIVの構築を目的とする.さらに,モバイルクラヴィーアIVのアプリケーションである歌唱機能について述べ,小型鍵盤を用いた新たなエンタテイメントシステムの可能性について議論する.Our research group has proposed and developed mobile electronic musical instruments to enable users to play music anytime and anywhere. Mobile Clavier I enables a user to control his PC like playing a musical instrument, and Mobile Clavier II is an instrument for playing a music that has a wide diapason easily by the function for changing diapason smoothly. The goal of our study is to construct the Mobile Clavier IV, which is a new musical instrument enables a user to input character artistically by integrating Mobile Clavier I and Mobile Clavier II. Moreover, we discuss the possibility of a new entertainment system by exploiting Mobile Clavier IV to melodia.