著者
佐藤 正幸 中村 次男 畠中 浩行 冬爪成人 笠原 宏 田中 照夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.868-879, 2007-02-15

次世代集積回路の規模は数十から数百のIP コアからなると予測されており,IP コアの流通が不可欠となる.しかし,製造元の異なる多種多様なIP コアの仕様を理解して集積化および各IP コアを使用することは非常に困難である.また,ますます高精度化する処理データに対し,柔軟に対応しようとして,単にスケーラブルなアーキテクチャを用意しても,回路やソフトウェアの変更をともなうのでそのIP コアの詳細な仕様を理解することが不可欠となる.そのため,次世代の高集積回路においては多種多様なIP コア間インタフェースの標準化,再利用性,使用容易性および拡張性などが求められる.そこで,処理に必要なデータをIP コアに与えるとデータの長さに合った処理をIP コア内で判断し,結果を返すという,処理精度に対してスケーラブルなアーキテクチャを持ったIP コアの設計法を提案する.設計過程におけるスケーラビリティではなく,設計成果物としてのIP コアそのものがスケーラブルであり,外部からの制御をまったく必要とせず,かつ処理データの長さに制限されない,まさに完全自立形IP コアの実現である.これにより,以上に述べた諸問題がいかに解決できるかを,多くの多項式からなりモジュール化が困難であった楕円曲線暗号アクセラレータに,可変長鍵に対応可能なIP コアとして適用できることを示し,提案する設計法の有効性を検証している.
著者
小笠原 宏 川方 裕則 石井 紘 中谷 正生 矢部 康男 飯尾 能久 南アフリカ金鉱山における半制御地震発生実験国際共同研究グループ
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.61, no.Supplement, pp.563-573, 2009-07-31 (Released:2013-11-21)
参考文献数
54
被引用文献数
2 3

Experimental sites with potential earthquakes up to M ∼ 3 in coming few years are known beforehand from mining schedule at 2-3 km depths in South African gold mines, which allows us to deploy various borehole instruments including Ishii strainmeters, geophones, accelerometers and AE sensors. Deployment of these wide-dynamic-range and high-resolution observations in the past 15 years has led to many findings about the earthquake rupture and its preparation stage. High-sampling seismograms obtained at close proximity of M > 1 earthquakes have demonstrated similarities of these earthquakes to natural, greater earthquakes in many aspects, including stress drop, energy efficiency, and complexity of rupture propagation. Some of larger mine earthquakes are preceded by perceivable abnormal seismicity. However, no immediate precursors for earthquakes with M ∼ 2 were observed by our high-resolution strain and AE sensors installed within the dimension of mainshock rupture. In contrast, aseismic strain-step events that we had recently discovered were sometimes preceded by further slower forerunners. Ongoing projects bring in novel technologies such as field-scale AE monitoring and fast-response strainmeters, and novel targets including mines being flooded for closing operation.
著者
坂本 祐一 柳井 武志 高橋 賢一郎 中野 正基 福永 博俊 小笠原 宏 掛橋 英典
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.43, pp.14, 2010

無電極放電ランプは,長寿命,高効率,比較的高い演色性,などの特徴を有しており次世代の光源として期待されている.無電極ランプの発光状態は,プラズマの状態に依存するため,プラズマ状態を把握することは,効率改善を検討する上で有効であると考えられる.本稿では,プラズマへの伝達電力に着目し,パナソニック電工社製の球状無電極放電ランプ(150 Wタイプ)内のパワーカプラに関する設計指針を検討した.プラズマ電力,Cu管およびAl土台で消費される電力に対するフェライトコアの位置依存性を検討したところ,フェライトコアの位置を市販のランプのコアの位置よりも上昇させることで,プラズマ電力が増加することがわかった.この原因は,フェライトコアを上昇させることにより,コア下端とアルミ土台の上端の距離が離れ,アルミ土台を流れるうず電流が減少するためであることがわかった.次に,パワーカプラ(コア+Cu管+Al土台)全体の位置を変化させて解析を行ったところ,パワーカプラの上昇に伴ってプラズマ電力が増加することが確認された.同様の実験を実機にて行い,光量を測定したところ,プラズマ電力と同様,パワーカプラの上昇に伴って光量が増加し,光束とプラズマ電力の増加の傾向は比較的良い一致を示した. 以上の結果より,パワーカプラの構造はプラズマ電力に影響を与え,プラズマ電力が増加すると光量が増加する傾向にあることがわかった.
著者
横山 友暉 廣野 哲朗 小笠原 宏 石川 剛志
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

本研究では、断層掘削プロジェクトのひとつであるICDP DSeisに参加し、回収された断層岩試料およびその母岩の物質科学的特徴について、多角的な分析・実験を実施した。 Moab鉱山の地下2.9 kmからM5.5 Orkney地震の余震発生域に向けて掘削が行われ、断層および付近の母岩のコア試料の回収に成功した。回収されたコア試料は、浅部よりRoodepoort層・Crown層・Babrosco層と区分され、Crown層の貫入岩に断層が位置している。本研究にて分析を実施するため、断層および母岩より計50箇所の試料を採取した。 X線回折による鉱物組成定量の結果、断層が位置する貫入岩は主に滑石・黒雲母・角閃石(透閃石)・方解石で構成され、周囲の母岩は主に石英・長石・緑泥石で構成される。また、蛍光X線分析の結果、断層ではMg・Feに富み、周囲の岩石とは著しく異なる元素組成を示す。一方で、顕微鏡による観察の結果、断層では明瞭な葉状構造が観察された。断層を含む貫入岩は強い変質を示し、原岩(火成岩)としての組織を保持していない。しかし、鉱物組成・元素組成を考慮すると、その原岩はランプロファイアであると考えられる。また、二軸摩擦試験機を用いたせん断実験の結果、母岩の摩擦係数は0.68–0.75であるのに対し、断層では0.54と低い値を示す。 以上の分析・観察・測定結果から、M5.5を引き起こした断層が摩擦強度の著しく低い滑石を多く含むため、広域のテクトニックな力によりランプロファイア沿いに応力が集中し、地震の発生につながったと考えられる。一方で、滑石はランプロファイアには不均質に分布しているため、断層沿いの摩擦強度にはムラがあり、それが地震の規模(破壊域の面積)に影響している可能性がある。 なお本研究および本プロジェクトは、ICDP、JSPS Core-to-Core Proram、高知大学海洋コア総合研究センター共同利用・共同研究ほかのサポートを受けて、実施された。
著者
廣野 哲朗 横山 友暉 金木 俊也 小笠原 宏 矢部 康男 松崎 琢也 山本 裕二 徳山 英一 Tullis C. Onstott Martin Ziegler Durrheim Ray Esterhuizen van Heerden Bennie Liebenberg The ICDP DSeis team
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

Drilling into seismogenic zones of M2.0-M5.5 earthquakes in deep South Africa gold mines (DSeis Project) was undertaken in 2017–2018 near Orkney, South Africa, to understand principal mechanism of earthquakes nucleate and propagate. Drilling at two main holes, Hole A (817 m) and Hole B (700 m), was completed at the Moab Khotsong mine, and the latter hole penetrated the fault zone that slipped at the 2014 M5.5 earthquake. Fault-related material and its surrounding host rocks were successfully recovered from the hole, and the samples were analyzed in the Center for Advanced Marine Core Research, Kochi University, Japan. The main damaged zone is characterized by highly fragmented fault breccia with high amount of talc and amorphous material, which is likely to related to recent earthquake event. Nondestructive continuous measurements of physical properties (X-ray CT image, density, magnetic susceptibility, and natural gamma ray) are in progress. We will show the preliminary results about the characteristics of the M5.5 fault zone and its implication for generation of the M5.5 earthquake.
著者
佐藤 博之 増田 英孝 笠原 宏
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.219-220, 1994-03-07
被引用文献数
2

いくつかのGUI部品には同じ操作目的を持つものがある。 どの部品を使用するかを決定するのは、 アプリケーションプログラマである。 しかし同じ操作目的であれば、どの部品を使いたいかはユーザ毎に異なる。 ユーザから部品交換の要求があれば、 プログラマがアプリケーションに変更を施し、 ユーザヘ還元するのが現状である。UIの独立性により複数のUI戦略が利用可能となっているが、それは設計段階においてである。 部品交換がユーザレベルで実行時に可能となれば、 より柔軟なインタフェースを提供できる。ユーザレベルでデザインの変更が可能なことはGUIの1つの目標であり、 それを様々な形で積極的に促進すべきである。そこで本研究ではユーザレベルでのデザインの変更を容易にすることを目的として、 GUI部品ごとの接続インタフェースを整合させ、 いくつかの基本部品で構成されたGUI部品群として利用できるアダプタを提案する。実例としてラジオボタンをボタン群と捉え、単一選択リストと同じ接続インタフェースを持った部品、 ラジオボタンアダプタを作成した。 また同様に、 複数選択を行える複数選択リストに対しチェックボックスアダプタも作成した。
著者
小笠原 宏樹 加藤 昇平
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

ロボットが人間同様に個々の環境に応じて独自の個性を獲得することは,人間のロボットに対する感情移入度を向上させると考えられる.本稿では,個性を決定付ける要因として「性格」に着目し,サイモンズの養育態度尺度と対人感情の心理モデルを基に,ユーザの行動選択傾向からロボットの性格付けを行う手法を提案する.本手法をロボットに実装し,インタラクション実験を行った結果,本手法による性格付けの有効性を確認した.
著者
中谷 正生 飯尾 能久 小笠原 宏 佐野 修 山内 常生
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

断層の滑り摩擦の絶対値を知るために、来るべき地震の断層のすぐそばに精密温度計のアレーを設置するという世界で初めての観測を行った。南アフリカの金鉱山に、地下3kmでの採掘活動が大規模な地質断層のそばで行われているところがある。我々は、この地点で長さ30m程度の多数のボーリングを行い、コアと、孔内ビデオ映像の詳細な解析により、厚さ20mを超える複雑な断層帯の構造を三次元的に描きだした。その結果、断層帯の片側と母岩の境界の厚さ10cm程度の部分だけが、損傷が激しく、際だった弱面になっていることが見出された。この構造は面をつらぬくボーリング孔がカバーする全範囲(10x10m程度)にわたって連続しており、また、相当に平面的であった。この面を中心に、距離1m以内に多くの温度計を設置することができた。断層帯は、主に母岩の砕屑物が固結した岩石でできていたが、その中で面構造を示す部分はごくわずかであった。数センチの厚みで、剪断の集中による葉状構造が観察される所は他にも数カ所あったが、先に述べたものだけが、ぼろぼろの状態で、全ての掘削孔で、この面を通る部分だけ、壁の材質がリング状に失われていた。連続観測された温度データは非常に安定で、この鉱山で発生が期待されるM2-3クラスの地震が、上述の弱面で起こった場合、その滑り摩擦強度が、実験室から予想される値の1/10程度でも、測定することができるほどである。これは、いわゆる地殻応力問題で取りざたされている断層強度の範囲の全域をカバーできていることになる。地震によって起こった発熱による周辺岩盤温度の時間変化をみるこの観測では、地震後1ヶ月ほどのデータが必要だが、地震の被害を受けやすい断層直上での観測であるため、地震後に観測機器にアクセスできなくなる可能性もある。そのため、データの収録、伝送、電源供給方法は無線を含めた多重化を行った。
著者
土師 誠二 宇佐美 真 平井 昭博 阪田 和哉 小谷 穣治 磯 篤典 金丸 太一 笠原 宏 山本 正博 斎藤 洋一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.1652-1657, 1996-07-01
被引用文献数
8

大侵襲の消化器外科周術期の真菌血症の発生について検討した.対象は臓器真菌症を有さない胸部食道切除6例,胃全摘12例,膵切除4例で,術前,術後2,10日目に末梢静脈血を用いて細菌培養,カンジダ抗原価(Cand-Tec),β-D-glucan値(トキシカラー値とエンドスペシー値の差)を測定し,真菌血症の診断を行った.カンジダ抗原価,β-D-glucan値陽性率は2PODにはともに42.8%と有意に上昇し(p<0.01),カンジダ抗原価は10PODにさらに増加するのに対し,β-D-glucan値は減少し,一過性の上昇を示した.血液培養は全て陰性だった.術式別では食道切除術で陽性率が高かった.陽性群と陰性群で比較すると,カンジダ抗原価陽性群は手術侵襲が大きく,低栄養の症例が多かった.以上より,消化器外科手術後早期には培養陽性とはならぬが一過性の真菌血症が生じ,手術侵襲の程度や栄養状態と関連し,microbial translocationの可能性が強く示唆される.
著者
堀 武宏 中村 次男 冬爪 成人 笠原 宏 田中 照夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.412, pp.171-176, 2009-01-22
被引用文献数
2

非同期式回路では同期式回路で発生する消費電力・速度・ノイズ・クロックスキューなどの問題を解決することができるが、その性質上、一対一の場合のみ、かつ一方向にしかデータを転送できない。そこで、同期式回路における双方向の同時通報機能を模した、非同期式回路におけるバス方式を提案する。また、同期式・非同期式の回路が混在するGALSのネットワークにも対応できるように設計した。これにより、既存の設計資産も利用可能で、省電力・高速・低ノイズで安定したチップ内ネットワーク(NoC)を実現することができる。