著者
萩原 健一 鴾田 明子 三輪 昭子 川合 述史 村田 義彦 内田 明彦 中嶋 暉躬
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.77-84, 1991-06-15 (Released:2016-08-26)
被引用文献数
2 3

野外にて採集した9種類の日本産クモの毒腺中の化学成分のうちカテコラミン, ポリアミン等の生物活性アミンに着目し, これらの含有量を定量し比較した。その結果, クモ毒腺はカテコラミン類の含量は低いがポリアミンの含量が高いことが示された。ただし, 刺咬時の痛みが激しいことで知られているカバキコマチグモだけは例外的に, 毒腺にカテコラミン類およびセロトニンが検出され, これらが低分子の発痛物質として作用していると考えられた。毒腺抽出物を逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)により分離分析したところ, 各クモに固有のクロマトグラムパターンが得られ, クモ毒成分の多様性が示された。さらに, 逆相HPLCで分画した毒成分について, イセエビ歩脚の神経-筋標本を用いて神経伝達阻害作用をもつ物質のスクリーニングをおこなったところ, クサグモ(Agelena)の毒分画中に新たな神経毒を見いだした。
著者
西口 雄基 萩原 健斗 大江 朋子
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル (ISSN:24340111)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.21-29, 2022 (Released:2022-09-29)
参考文献数
33

生産年齢人口において自殺は主要な死因となっており,リスクの高い個人を発見して自殺を未然に防ぐ ことは倫理的な側面からも,経済的な側面からも,これからの経営において強く求められることである. 自殺したいという思考や自殺の具体的な計画を含む希死念慮は,自殺に最も密接に結びつくリスク要因の 一つである.その一方,日常的なネガティブ体験から「死にたい」という思考が連想される場合もある. 先行研究では死が連想されやすい傾向には個人差があることが示唆されており,さらにその個人差は決定 論的信念によって左右される可能性があるが,これを実証した研究は行われていない.そこで,本研究で は,ネガティブな思考や体験から死に関する思考が連想されてしまう傾向を計測する質問紙尺度である死 連想傾向尺度を開発した.さらに,縦断調査により,決定論的信念が3カ月後の死連想傾向の増加を予測 することが示された.本研究により,決定論的信念が死に関わる思考を増加させるリスク要因である可能 性が新たに示された.このような個人差の計測を行うことで早期に自殺リスクを発見し,ケアしていく方 法は企業や官公庁におけるメンタルヘルスの問題にも応用可能であると考えられる.
著者
萩原 健
出版者
日本演劇学会
雑誌
演劇学論集 日本演劇学会紀要 (ISSN:13482815)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.53-73, 2009

<p>Since the mid-1920s, agitprop troupes were established in Japan under the influence of the Russian Revolution and the international socialist movement. Performances took place not only in theatres but also in public spaces such as factory grounds, where the agitprop troupes performed critical social sketches for workers who hardly went to the theatre.</p><p>Among these Japanese agitprop troupes, the "Mezamashi-Tai (Alarm clock troupe)" was especially remarkable. The Japanese actor Koreya Senda, who had studied and worked in an agitprop troupe in Germany from 1927 to 1931, became a troupe member in 1932 and promoted its development according to his experiences in Germany. The performances of the troupe included montages of short dramatic pieces, sprechchor and musical pieces. The troupe also performed in front of regular audiences. Their performances created a new theatrical genre. They were simply constructed and the agitprop effect was preferred to artistic perfection. The Mezamashi-Tai became very popular, but it had to close its operations in 1934 under the pressure of the national security law. Some of its former members worked in governmental theatre organizations until 1945.</p><p>The activities of the "Mezamashi-Tai" have hardly been researched yet because of their political message and of their "non-artistic" form. However, the approach of the Mazamashi-Tai contained elements which in the meantime have become characteristic features of many theatrical performances since the 1970s until today.</p>
著者
岸本 宗和 塩原 貫司 萩原 健一 今井 裕景 柳田 藤寿
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.931-939, 2012 (Released:2017-12-18)
参考文献数
27

1.セミヨン種ワイン発酵醪および醸造設備から乳酸菌を分離し,そのリンゴ酸分解能を検討した。前期醪から分離された22菌株中の18菌株に,後期醪から分離された24菌株すべてに,醸造設備から分離された10菌株中の1菌株,合計 43菌株にリンゴ酸の分解能が認められた。2.16S rDNAのPCR-RFLP解析および塩基配列解析の結果から,前期醪から分離されたリンゴ酸分解能を有する乳酸菌は,Lb. plantarumに,後期醪から分離された乳酸菌はO. oeniに,ワイナリー醸造設備から分離された乳酸菌はP. pentosaceusに分類される可能性が極めて高いことが示された。3.リンゴ酸分解率に及ぼすpHの影響について検討したところ,前期醪から分離された09Se-A1-4株はpH 2.9の条件下においても90%以上の高いMLF能を有していた。4.セミヨン種ブドウを原料とする小規模試験醸造において,09Se-A1-4株は速やかにMLFを生起し,さらには,クエン酸の消費が少ない特徴を有する菌株であることが認められた。
著者
星野 裕司 萩原 健志 小林 一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.339-348, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14

本研究では、事象を含めた景観を考察するためには、事象の想起とそれへの参画を主要な機構とする場所論的把握が必要であると考え、そのモデル化のための1つのサンプルとして明治期につくられた沿岸砲台から得られる眺望景観に着目した。九州内の3要塞 (下関・佐世保・長崎) を対象に、各砲台から得られる眺望景観を事象パターンの相違に着目し、4パターンに分類した。それらのパターンに対して、場所論的な考察を行い、現在公園化が進んでいない「疾走型」、「斜行型」は、観察者・事象・眺めの関係の中で何れかに不備があり、公園化の進んでいる「擦過型」、「周流型」は、事象の想起あるいは参画の何れかが優れていることを明らかとした。
著者
萩原 健一 山河 芳夫 花田 賢太郎
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.155-166, 2009-12-24 (Released:2010-07-03)
参考文献数
106
被引用文献数
2 3

プリオン病(伝達性海綿状脳症)は,生前の確定診断法・治療法が確立していない致死性神経変性疾患である.ヒトの場合,1)全体の8~9割を占める孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD),2)プリオン蛋白質の遺伝子変異による家族性プリオン病,3)病原体プリオンに汚染された医療用具,生物製剤あるいは食物を介した感染を原因とするプリオン病,が知られている.中枢神経系に蓄積する異常型プリオン蛋白質(PrPSc)は病原体と等価であると考えられており,感染型プリオン病患者に由来するPrPScのみならず,孤発性/家族性患者のPrPScも基本的に感染性をもつ.ウシ海綿状脳症(BSE)プリオンの経口摂取が原因の変異型CJD(vCJD)は1996年に英国で確認されて以来,世界で215名の患者が発生している(2009年9月現在,英国NCJDSUデータ).孤発性CJDと異なり,vCJDでは脾臓や扁桃にもPrPScが検出される.このことから,潜伏期のvCJD患者がドナーとなる輸血の安全性が以前から議論されていたが,輸血が原因と疑われる2次感染が英国で5例確認された.本稿では,感染症としてのプリオン病を再考察する.
著者
井上 秀雄 萩原 健一 中嶋 暉躬
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.307-313, 1993

チャイロスズメバチは, キイロスズメバチとモンスズメバチの巣に社会寄生することが知られている。本研究は, SDS電気泳動および高速液体クロマトグラフィーを用いて3種スズメバチの毒嚢成分の比較検討を行った。キイロスズメバチ毒とモンスズメバチ毒の泳動パターンには顕著な差が認められなかったが, チャイロスズメバチ毒は他の2種との成分パターンがわずかに異なり, 蛋白性成分の多様性が示された。さらに, チャイロスズメバチ毒には, スズメバチ毒に共通した活性ペプチドであるマストパランやVes-CPsが検出されなかった。一方, スズメバチ科のもつハチ毒の特徴であるセロトニン, ヒスタミン, ポリアミンがチャイロスズメバチ毒にも含まれていた。とくに, プロトレッシンおよびセロトニンの含量は他の2種に比べ顕著に高いことを認めた。これらの結果から, チャイロスズメバチ毒は, 従来報告されているスズメバチ属のハチ毒と異なる成分組成をしていることが示唆された。
著者
田口 哲也[司会] 萩原 健次郎[詩朗読] ソルト ジョン[解説]
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.[25]-31, 2008-03

講演これは2007年10月11日(木曜日)に同志社大学室町キャンパスで開催された「大野一雄フィルム・フェスティバル at 同志社」においてなされた、ハーバード大学ライシャワー日本研究所のジョン・ソルト博士による暗黒舞踏と大野一雄に関する講演録である。ゲスト詩人、萩原健次郎による朗読詩も掲載されている。This is the full transcription of a lecture given by Dr. John Solt, associate in research of Edwin O. Reischauer Institute of Japanese Studies, Harvard University on the occasion of Kazuo OHNO Film Festival at Doshisha University, October 11, 2007, with the full text of the poem the honorable guest poet Kenjirou Hagiwara read at that time.