著者
樋口 収 埴田 健司 藤島 喜嗣
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.160-167, 2010 (Released:2010-02-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究は,達成動機づけと締め切りまでの時間的距離感が計画錯誤に及ぼす影響について検討した。計画錯誤は,課題の遂行を楽観的に予測するために生じるといわれている。先行研究は,予測時の動機づけが予測を楽観的にし,また時間的距離感は楽観的予測を調整することを示唆している。そこで本研究は,48人の参加者に動機づけの操作のための乱文再構成課題(達成プライミングvs.誘惑プライミング)と期末テストまでの時間的距離感に回答してもらい,また期末テストのための勉強時間を予測してもらった。その後,テスト当日に,実際に行った勉強時間について回答してもらった。その結果,達成プライミング条件の参加者は,誘惑プライミング条件の参加者に比べて,勉強時間をより楽観的に見積もり,計画錯誤が生じていた。またこの傾向は,時間的距離感により調整されており,テストまでの時間的距離感が遠い場合にのみ,この傾向はみられた。最後に,計画錯誤における動機づけと時間的距離感の影響および今後の研究の可能性について考察した。
著者
藤島 喜嗣 樋口 匡貴
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.84-97, 2016 (Released:2018-04-13)
参考文献数
41

There is currently an ongoing debate about reproducibility in social psychology. One reason for low reproducibility is the excessive use of questionable research practices, called “p-hacking”. We present two direct replication studies of social priming and embodied cognition that failed to replicate the original findings under the circumstances of high statistical power. However, a variety of p-hacking attempts made it possible to obtain some false-positive findings based on the data from these two studies. We note that selectively reporting the results and deriving the hypothesis after the results are obtained may disguise the presence of p-hacking, and argue that pre-registration of studies and fair publishing of negative results could inhibit p-hacking.
著者
三浦 麻子 平石 界 樋口 匡貴 藤島 喜嗣
出版者
関西学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究計画は,心理学,特に社会心理学領域における,実験結果の再現可能性の検証を組織的に実施する世界規模の再現可能性検証プロジェクトに参画するために,日本における拠点を構築するものである.具体的には,追試研究の実施の拠点となる研究者ネットワークを形成し,標準化された刺激・手続きの日本語版を作成し,手続きの共有と結果の蓄積・公開をインターネット上で実現する.2017年度の研究実績は,以下の3点に集約できる.まず,自分たちの手で着実に再現可能性の検証を積み重ねるため,標準化された刺激・手続きを共有しうる追試研究を事前登録の上で実施し,その成果を日本社会心理学会の年次大会で3件報告し,参加者と活発な議論を行った.次に,心理学における実験結果の再現可能性検証の重要性に対する認識を普及させるための取り組みを行った.特に今年度は,心理学の関連領域の学会誌(ヒューマンインタフェース学会誌)特集号への招待論文の掲載や関連する内容を取り扱った著書や翻訳書の刊行,インターネットラジオ番組への出演など,心理学を超えた周辺領域や心理学に関心をもつ一般市民をも視野に入れた活動を展開した.そして,結果の再現性に疑念のある研究ばかりが追試されがち(そして,再現されないという結果が公表されがち)な現状を憂慮し,心理学の今後の発展のためには,頑健な再現性をもつだろう研究の再現可能性にも注目すべきという信念を持って,その追試マテリアルを作成することにも注力した.この作業は現在も進行中で,2018年度にはAdaptive Memoryに関する実験のマテリアルが完成する予定である.
著者
清水 三千香 藤島喜嗣
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.832, pp.16-26, 2010-02-01

The present study investigates the effect of ambiguous rejection(e.g., people are ignored by others)and obvious rejection(e.g., people are negatively evaluated by others)on predictions of future rejection. One hundred and thirty-seven male and female undergraduates were asked to imagine situations in which they were either accepted, rejected implicitly, or rejected explicitly, and to complete a questionnaire. The results suggest that social rejection lowered participants' state self-esteem and boosted the perceived likelihood of future rejection by the rejecter. However, social rejection did not boost the perceived likelihood of future rejection by people they didn't already know. Although there was no difference between ambiguous rejection and obvious rejection generally, males were less likely than females to lower their state self-esteem in cases of obvious rejection. The results are discussed from the perspective of sociometer theory.
著者
藤島 喜嗣 町田 玲奈
出版者
昭和女子大学
雑誌
昭和女子大学生活心理研究所紀要 (ISSN:18800548)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.35-44, 2006-03-31

The present study investigates the hypothesis that people should overestimate the extent to which their make-up changes are noticed by others. In Experiment 1, female participant who was asked to change her make-up overestimated the number of observers who would be able to notice her make-up change. Neither male nor female observers differed in their ability of noticing actor's make-up change. These results provide the evidence of the spotlight effect in cosmetic behaviors. In Experiment 2, a substantial time delay attenuated the actor's overestimation, but did not attenuate the actor's belief about the observer's ability of detection. It supports an anchoring-and-adjustment interpretation of the spotlight effect. Consistently with prior researches, the spotlight effect in cosmetic behaviors seems to be a kind of egocentiric bias. The implications for interpersonal relationships were discussed.
著者
平石 界 三浦 麻子 樋口 匡貴 藤島 喜嗣
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

社会心理学の教科書に載るような知見の頑健性が疑われると同時に、その背景に「問題のある研究慣習」のあることが指摘されている。科学としての社会心理学の進展のために、それを支える「確実な知見」を確認する作業が必要である。本研究は、国内学会大会発表において蓄積されて来た情報のメタ分析を行う。更に必要性が認められたテーマについて追試を実施し、全てのデータを国内外に公開する。日本という独自の文化的背景を持つ母集団についての、公刊バイアスの影響の小さい、日本語圏外に閉じられてきた情報を、整理・分析・追試・公開することで、社会心理学の基盤の確認と再構築に向けた国際的な動きに、独自性のある貢献を果たす。
著者
藤島 喜嗣
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.62-74, 1999

本研究は, 自己肯定化を公的な形式で行うことによって, 低自尊心の人でも自己肯定化の効果が現れるかどうかを, 課題成績の原因帰属過程において検討した。他者の前で自分のポジティブな側面を供述することで, 低自尊心の人は, 自己にポジティブな側面があることを確信し, 自己肯定化が可能になると考えられる。そして, このような公的な自己肯定化は, 課題の失敗をより自己卑下的に原因帰属させる効果を持つと予測される。実験は, 成績フィードバック (成功・失敗) ×自尊心 (高・低) ×自己肯定化 (あり・なし) の被験者間デザインで行われた。<BR>主な結果は次の通りである。(1) 被験者は一般的に自分の成績を自己卑下的に帰属する傾向にあった。(2) 低自尊心の人は, 公的な自己肯定化の機会を与えられると, 与えられない場合と比べて, 失敗の原因をより自己卑下的に原因帰属する傾向にあった。高自尊心の人ではこのような違いは認められなかった。本研究の結果は, 低自尊心の人は, 公的に自己肯定化をすることで, はじめて自己完全性への脅威に間接的に対処することができるようになることを示唆した。
著者
藤島 喜嗣 髙橋 幸子 江利川 滋 山田 一成
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.17219, (Released:2018-08-10)
参考文献数
11

The Japanese version of the “Regret and Maximization Scale” (JRMS) can predict the individual difference in the style of decision-making. However, according to two previous studies that examined the reliability and validity of the JRMS, the reliability was not very high. In addition, the factor validity needs to be examined because the number of common factors the JRMS might consist of was ambiguous. The present study tested the factorial pattern of the JRMS using voluntary panel Web surveys. We conducted an exploratory factor analysis on 1,121 samples in Study 1 and a confirmatory factor analysis on 480 samples in Study 2. Both analyses showed that the JRMS consists of three factors: regret for one’s life, regret for purchase, and maximization. These results verified the factor validity of the JRMS. Each subscale showed an acceptable level of internal consistency. Each factor index positively correlated with each other, and also positively correlated with the age of participants. We discussed the reason why regret was divided into two categories, and the applicability of the JRMS to other studies.
著者
藤島 喜嗣
出版者
昭和女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

将来予測に対する自己知識の影響が時間的距離で調整されるかを10の実験で検証した。自己概念は遠い将来の予測に影響する一方で、自伝的記憶は近い将来の予測に影響した。これは、解釈レベル理論の妥当性を示しただけでなく、さらに制限条件を特定した。この制限条件の存在は、(1)異なる知識利用が解釈レベルの相違をもたらすこと、(2)将来予測が意識的過程であること、(3)自尊心の情報価が低いことを示唆した。