著者
大須賀 節雄 冨山 哲男 上田 春康 西田 豊明
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.37-45, 1993-01-01

「AIマップ-AI研究のあり方」(Vol.7, No.5, pp.796-809に掲載)についていろいろな方から御質問やコメントをいただいた.筆者は「AIマップ」という名のもとに,現在行われている多くの研究がそのなかに要素研究として位置づけられるようなAI技術の体系(の一つ)を提案することを試みたわけであるが,その意図は,現在のAI研究のあり方に多少危惧ないしは疑問を持っており,筆者なりにその対案を示すことであった.今日,AI研究の多くは要素研究として行われ,傾向としてはますます理論的な側面が強くなってきた反面,これらの研究成果は必ずしも直接的に利用されにくくなっている.応用分野の人々からのAIへの関心は大きく,応用研究の必要性がいわれているが,応用研究というとともすると「特定の」応用問題として受け取られ,論文にはなりにくいと思われている.その結果,学会誌が難しいといわれているのが現状である.実際には現在行われている要素研究を現実の応用に結びつけるためには,この間に別の「普遍的な」方法論が必要であり,それを実現する情報技術が存在すべきである.AI研究者にそのことが気づかれておらず,したがってAI研究がバランス良く行われていないように見える.「AIマップ-AI研究のあり方」(以下,本文中では本稿と表記)では,体系化を通してそのことを述べたかったのであるが,表現が不十分であり,紙面の制約もあってこの意図が必ずしも理解されなかったかもしれない.いただいた質問も,体系化を議論するうえで必要最少限に留めた個々の要素研究に対する筆者の考え方に対するものが多かった.もちろん,体系化をにらんだうえでの要素研究のあり方に関するものもあり,このような体系化の研究をいかに進めるかという研究の進め方に関する質問もあった.この意味では,問題点を全般的にカバーしているといってもよいかもしれない.それらのなかで,重複を避けた最少限のご質問・コメントを選んで回答させていただいた.
著者
西田 豊明
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.626-626, 2016-06-15
著者
西田 豊明 河原 達也 黒橋 禎夫 中野 有紀子 角 康之 大本 義正 黄 宏軒
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は,高度な会話エージェントシステム開発のためのさまざまなチャレンジが円滑にできるようにするための研究基盤と方法論を確立することである.研究成果は,会話エージェントシステム構築用プラットフォーム,コンポーネント技術,没入型WOZを用いた会話エージェントシステム開発環境,会話コーパスに基づく会話行動モデル開発方法論の開発,コンテンツ制作支援システム,評価手法の8項目から構成される包括的なものである。
著者
大柿高志 阿部将和 大本義正 西田豊明
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.765-767, 2015-03-17

構成的考証法とは、人々が断片的な考えや証拠を持ち寄ってストーリーを形成するのを助けるために、演劇ロールプレイとディスカッションを組み合わせた独自の方法論である。本論文では、構成的考証法を登場人物の内面理解を深める目的で用い、部分的実装について報告する。 ワークショップIでは、時代考証のために参加者が議論と演技を交互に行い、ひとりずつ演技をしながら議論を再検討した。演技による議論の進展があったが、内容は物理的な行動や客観的解釈に偏った。 ワークショップⅡでは、没入型ディスプレイを複数台用い、仮想空間内で時代考証の演技をしつつ、演技の役を入れ替わりながら議論を進めた。その際、人物の動機や感情への言及が観察され、部分的だが内面への踏み込みが確認された。
著者
岡本 和憲 中野 有紀子 西田 豊明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第18回全国大会(2004)
巻号頁・発行日
pp.39, 2004 (Released:2006-02-11)

本研究は、TVML等の形式で記述された台本中の台詞を抽出し、発話文に即したジェスチャを自動的に決定、生成することにより、キャラクタ動作が細かく記述されていない台本から、CGキャラクタに効果的なジェスチャを付加した番組を生成するメカニズムを提案する。
著者
岩爪 道昭 武田 英明 西田 豊明 太田 衛 高岡 良行 水上 雄一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFS, オフィスシステム
巻号頁・発行日
vol.97, no.212, pp.33-40, 1997-07-25

本稿ではオントロジーとドキュメントベースに基づく現場技術情報の共有支援法を提案する. 技術者・作業者は, 業務を遂行する過程でさまざまな技術情報を参照する必要がある. 企業内では, 円滑な業務遂行のために基準・規定類が整備されている. また, 近年ネットワーク技術の進歩により, これらの書類は電子化され, イントラネット(Intranet)上に蓄積されるようなってきた. しかし, これらの技術情報の利用方法は必ずしも自明ではなく, 業務に利用するためには, 長年の専門知識やノウハウを必要とした. 本研究では, 対象に関するオントロジーを用いて, ベテラン技術者の専門知識やノウハウの継承を促進する現場技術情報共有支援システムを提案し, 配電用変電所における流用変圧器の改修計画業務支援を対象としたプロトタイプを構築した. これにより筆者らの手法の有効性および構築したシステムが十分実用的であることを検証した.
著者
前田 晴美 糀谷 和人 西田 豊明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.616-625, 1997-03-15
被引用文献数
8

既存の雑多で構造の不均質な情報源から情報を収集・整理する手法を提案する.基本となるアイデアとして,雑多な情報をゆるやかに関連づける連想構造というデータ構造を用いる.連想構造は生データから容易に生成でき,人間が直観的に理解しやすい.我々は,連想構造を用いて既存の情報源から情報を収集し,整理する過程を支援するシステムCM?2(Contextual Media version2)を試作した.CM?2では,(a)既存の情報源から情報を取り込み,連想構造を生成する情報キャプチャ機構と,(b)キーワードに基づき情報の切り出しと構造化を行う知的情報統合機構を実現した.CM?2の有効性を実験によって確かめた.We propose a method to gather and reorganize information from heterogeneous information sources.The method is based on the use of a plain information representation called associative structures.Associative structures connect various information media without defining the semantics rigorously.They are easy to generate from raw data and comprehensible to humans intuitively.We developed a system called CM-2(Contextual Media version 2) to realize this method.We describe the system's two major facilities;(a) an information capture facility which gathers information from heterogeneous information sources and generates associative structures and (b) an intelligent information integration facilitywhich reorganizes information according to user's input.We verify our approach by analyzing results of experiments.
著者
西田 豊明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.542-546, 2000-05-15
被引用文献数
9

ネットワーク社会における知の創造と伝承の支援は,これからの情報処理技術が向かうべき方向の1つである.本稿では,ネットワーク社会における新しい知のプロセスの担い手として大きな役割が期待されているネットワークコミュニティに注目し,ネットワークコミュニティにおける知のプロセスを支援するテクノロジーの研究開発の進め方について論じる.
著者
古谷 翔 角 康之 西田 豊明
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.19, pp.1-8, 2009-05-08

本稿では,共有体験におけるコミュニケーション支援システムであるPhotoChatで行われる仮想的な会話の構造分析について報告する.PhotoChatユーザは,撮影した写真とそこへの書き込みを無線で共有することができ,気軽に興味対象を伝えたりチャットを行うことが可能である.実会話の構造分析においては,会話場への参加・離脱における関与の仕方(参与構造)や,そこでの様々な周辺言語や振る舞い(発話交代,立ち位置や顔の方向の変化,うなずきやあいづち等)の役割について分析が行われてきた.PhotoChat上のチャットは,写真撮影を会話場形成,写真閲覧を会話場への参加,書き込みを発話と考えると,一種の会話現象とみなすことができる.本稿では,PhotoChat上のユーザの振る舞いデータに対して会話分析を行うことで,会話の盛り上がりシーンの特定や,会話構造理解の可能性を議論する.This paper shows the analysis of dialogue structures on virtual conversations with communication support system ”PhotoChat”. Users of ”PhotoChat” share the pictures and free writing data with wireless network. We can regard Chattings on PhotoChat as a kind of conversation : Taking a picture means to make a floar of conversation and looking at the pictuer means joining the floar. The analysis shows that there are different dialogue structures depending on the scenes in which Users use PhotoChat and that there are some problems to facilitate virtual comversations.
著者
矢野 正治 大本 義正 西田 豊明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

移動を伴う複数人会話の分析のために,会話場面を三次元記録し閲覧できるシステムを構築した.複数のRGB・深度カメラで撮影した会話参加者の動きを,データごとの信頼性を計算し統合することで三次元モデルと骨格座標データを推定する.3m四方程度の領域で相談しながら物の飾り付けを行うような会話場面に対して,会話参加者や物による映像の遮蔽を補完し,環境自体の三次元復元と合わせて会話場面全体の復元ができる.
著者
古谷 翔 角 康之 西田 豊明
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2009-UBI-22, no.19, pp.1-8, 2009-05-08

本稿では,共有体験におけるコミュニケーション支援システムであるPhotoChatで行われる仮想的な会話の構造分析について報告する.PhotoChatユーザは,撮影した写真とそこへの書き込みを無線で共有することができ,気軽に興味対象を伝えたりチャットを行うことが可能である.実会話の構造分析においては,会話場への参加・離脱における関与の仕方(参与構造)や,そこでの様々な周辺言語や振る舞い(発話交代,立ち位置や顔の方向の変化,うなずきやあいづち等)の役割について分析が行われてきた.PhotoChat上のチャットは,写真撮影を会話場形成,写真閲覧を会話場への参加,書き込みを発話と考えると,一種の会話現象とみなすことができる.本稿では,PhotoChat上のユーザの振る舞いデータに対して会話分析を行うことで,会話の盛り上がりシーンの特定や,会話構造理解の可能性を議論する.
著者
松尾 利行 西田 豊明 星本 健一
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.68-77, 1997-01-01
被引用文献数
3

In this paper, we describe a practical method of extracting, structuring, summarizing, and integrating technical information from technical papers in metallurgy. The heart of the method is packets of domain specific knowledge called KP (Knowledge Pieces) in which procedures for extracting and structuring technical information from technical papers are embedded. We studied information structure of ten technical papers in metallurgy and constructed about a hundred KPs. We implemented a system called METIS which takes technical papers in metallurgy encoded in a mark-up language and produces a varieties of summaries and surveys including structured technical summary, visual display of similarites and differences of relevant papers, and Cause-effect relations. We have undertaken qualitative and quantitative evaluation of METIS against 106 technical papers so far. The evaluation demonstrates the reliability and robustness of our method.
著者
小関 悠 角 康之 西田 豊明 間瀬 健二
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.41-50, 2007-07-26
被引用文献数
2

本稿では研究発表会や博物館見学といったイベント空間において取得可能な体験データを,ユーザーが閲覧・編集するためのシステムを提案・実装する.種々のカメラやセンサー機器の発達により大量の取得が可能となった体験データを,ユーザーの扱いやすい形にすることで,その編集や共有を促すことが狙いである.システムは大きく二つの部分に分けられる.一つは体験データを自動的に要約してユーザーに提示するシステムであり,特にセンサー情報を用いることで映像データを「ぱらぱらアニメ」,すなわち,シーンを表現する複数枚の特徴的なスナップショットのセットへと変換する手法について述べる.もう一つは要約された体験データの鑑賞・編集システムであり,こちらでは「ぱらぱらアニメ」の特性を生かし漫画的なレイアウトを組むことで体験データを好みの観点で観賞・編集が出来ることを中心に述べる.本システムは体験データの閲覧や編集へのアクセシビリティを高めるため,Webアプリケーションとして実装した.
著者
神田 賢一 大本 義正 西田 豊明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

継続的使用が見込まれるシステムにおいて,長期利用による内部要素の肥大化により,構造全体の一貫性の低下,ユーザの作業量の増大という問題が生じる.そこで,本研究では,要素間の時間的近傍関係を利用したユーザ補助機能により,システムが構造の一貫性を保つための提案を行う機能を考案した.そして,実際に知識構造可視化,共有システムを開発し,上述の機能を用いた継続的使用を行うことで,その効果を検証した.
著者
大本 義正 三宅 峰 箭内 亮太 西田 豊明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

特定の対象への選好構造を推定することは、人間の意志決定を助ける際に重要な手がかりとなる。このような選好構造は、検討を重ねることで変化していくことが考えられる。本研究は、検討の中で変化するユーザの選好構造を、生理指標や非言語情報によって推定しながら意志決定を助けるシステムの開発を目指した。実験の結果、開発したシステムを利用した場合の方が最終的な意志決定に対する満足度が有意に高いことが示された。
著者
西田 豊昭
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.101-122, 1997-10-20
被引用文献数
1

One of the most widely believed axioms of management is that a happy worker is a productive worker. However, most research on the nature of relationships between job satisfaction and job performance has not yielded convincing evidence that such a relationship exists to the degree most managers believe. 0ne reason for this might lie in the way in which job performance is measured. Numerous studies have reported that using Organizational Citizenship Behavior to supplant more traditional measures of job performance may result in more robust relationship between job satisfaction and job performance. Although citizenship behavior has been regarded as an important factor and done as a daily work in Japanese company, little research has focused on it. ln this study 71 employees who work for the Japanese company were interviewed and found that the most employees engaged in the citizenship behavior for their self-interests. And then a questionnaire survey was conducted with 403 subjects who provided self-report answers designed to examine the relationship between citizenship behavior and satisfaction, commitment, and stress. ln addition the relationship between citizenship behavior and employees' awareness of evaluation was examined. Results showed support for the relative importance of employees' awareness of evaluation as well as satisfaction. Implications for research on the causes of citizenship are discussed.
著者
中田 篤志 角 康之 西田 豊明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.1, pp.113-123, 2011-01-01

我々は会話中に,視線,指差し,うなずきといった様々な非言語行動を行っている.それらの非言語行動は会話の制御に使われていると考えられ,その出現パターンには一定の構造がある.本研究ではこれを会話構造と呼ぶ.本研究では,会話参加者らによる非言語行動出現の時間構造をN-gramで表現し,会話記録のデータから会話構造を自動抽出するインタラクションマイニングの手法を提案する.そして,提案手法を用いてポスター発表会話とポスター環境自由会話という2種類の会話状況における会話構造の自動抽出を試みた.その結果,発話者は非発話者より指差しが多い,とか,うなずきの後に相槌を行うことが多いといった会話構造は二つの会話状況に共通して見られる一方で,沈黙の後に発話を続けるのは元の発話者であるという会話構造はポスター発表会話特有のものであるといったことを確認することができた.
著者
久保田 秀和 角 康之 西田 豊明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.1-8, 2004-09-10
被引用文献数
3

本論文では,知球と呼ばれる持続的に発展可能な個人の外化記憶構築システムを提案する.初めに,外化記憶をコンテンツの一種として捉えることにより,その持続的な発展を時空間的なコンテンツの蓄積としてモデル化する.知球とはこの時空間記憶モデルに基づいた外化記憶を仮想的な球面上に構築するシステムである.実験として約1100件のコンテンツ断片から構成される外化記憶を知球上に構築した結果,知球の奥行きや左右,カードの大きさなど空間的手がかりを生かした外化記憶の配置を行うことによって,自分らしいポリシーに基づく外化記憶が構築可能であるという示唆を得た.
著者
村上 裕介 西田 豊明 角 康之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.59-63, 2004-09-10

コミュニティにはメンバー全体で共有すべきタスクが少なからず存在する。本研究では、タスクの分配システムを構築・運用することで、メンバーのタスクに対する嗜好の強さやタスク分担を通してメンバー間に生じている、心理的な貸しと借りの関係を測定し、その関係に応じた、効率的なタスクの分配手法について提案を行う。また、それらの手法をシステムに実装し実証実験を行った結果についても報告を行う。