著者
三木 可奈子 角 康之 西田 豊明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.99, pp.55-62, 2007-09-28
被引用文献数
3

本稿では本棚周辺での人の会話や行為といった体験を研究室のメンバで共有することによるコミュニケーション支援を行う本棚システムを提案する.日常生活において積み重ねられる体験はアウェアネスやコモンセンス,ノウハウのような暗黙知を伝えるのに効果的であり,本人だけでなくその場にいなかった第三者にとっても有用な情報となりうる.特に本棚前での何気ない人の振る舞いや会話には興味や知識が見て取れる.本研究では研究室の中で共有されるべき体験の一部として会話や振る舞いを捕らえるシステムを提案する.また,本から得られる既存の書誌情報や,体験者のプロファイルにより,取得した体験シーンのデータとそれに関わる本や人に緩い紐付けを与える.そして,蓄えられた体験シーンのデータや周辺情報を利用者の状況に合わせて再利用し,'本棚にまつわる体験'を豊かにする.This paper proposes a bookshelf system to facilitate communication among research group members based on shared experiences around the bookshelves. Our daily experiences such as collaborative works and chats in research laboratories are effective to share tacit knowledge, e.g., awareness, commonsense, and know-how, etc. Especially, our behavior and conversation in front of bookshelves imply personal interests and knowledge. This paper proposes a system that captures our conversations and behaviors as tractable parts of our experiences shared in the laboratories. The captured experience scene data are linked to relevant books and other members by bibliographic information of selected book and users' profiles. Also, the accumulated data and associated information are reused to enrich other members' "bookshelf experiences" according to their situation.
著者
片寄 晴弘 平田 圭二 宮田 一乗 原田 利宣 西田 豊明 諏訪 正樹 安部 明典 Haruhiro Katayose Keiji Hirata Kazunori Miyata Toshinobu Harada Toyoaki Nishida Masaki Suwa Akinori Abe
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.434-444, 2009-05-01
参考文献数
4

非言語メディアは本質的に曖昧かつ主観的な記述でしか表現できないという性質がある.これまで,音楽,絵画,造形,モーションといった非言語メディアのデザイン支援の研究は,人工知能とあまり関連づけることなく,また互いにも関連づけることなく進展してきた.しかし,非言語メディアのデザイン支援の研究事例を俯瞰してみると,意外にも共通点が多いことに気づく.例えば,デザイン対象である非言語メディアの表現・記述の階層構造,すでに存在するコンテンツをいずれかのレベルで再利用して新しいコンテンツを生成する方法論,デザインプロセスにおける創造性支援などが共通点としてあげられる.本近未来チャレンジテーマ「事例に基づくデザイン支援と評価基盤の構築」は,「事例」の再利用・転写に焦点を当てて,非言語メディアのデザイン支援評価基盤に取り組むものとして,2002年に提案,採択された.2003年から,5年間のセッションの実施,サバイバルを果たし,今回,卒業となった.この間,「事例」の再利用・転写の技術,アプリケーションに関するテーマを中心に,メディア記述の定式化,「事例」参照デザインの社会インフラストラクチャ構成,評価手法を扱った38件の研究発表がなされ,2006年には,本チャレンジの提案者の一人平田圭二(NTT)の発表が本学会の全国大会優秀賞に選ばれた.本チャレンジ「事例に基づくデザイン支援と評価基盤の構築」が無事卒業となったことで,記念行事を執り行おうというお話がもち上がり,2008年10月4日に2名のゲストディスヵッサント西田豊明氏(京都大学),諏訪正樹氏(慶應義塾大学)をお迎えして,関西学院大学梅田キャンパスで座談会を執り行うこととなった.本稿では,その模様について報告する.
著者
丹下 雄太 中澤 篤志 西田 豊明
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.413-414, 2015-03-17

非接触センサによる人の内部状態計測が可能になれば,従来の電極取り付けによる皮膚電位計測等に比べ,人の生理指標計測センサやUIとしてより日常的な利用が期待できる.本研究では,アイカメラを用い,眼の瞳孔径変化からの内部状態推測実現を目的とし,内部状態のうち集中及び画像記憶に着目,これらと瞳孔径の変化の定量的な関係を調査した.まず,集中度と瞳孔径変化の関係を調べるため,「イライラ棒タスク」を被験者に行わせ,タスク遂行中の被験者の瞳孔径を計測したところ,タスクの難易度と瞳孔径との間に正の相関が見られた.次に,画像記憶ゲームを被験者に行わせ,画像記憶と瞳孔径との関係を調査した.
著者
岡田 将吾 西田 豊明
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.174-186, 2010-12-05 (Released:2011-02-07)
参考文献数
25

This paper describes an on-line incremental clustering approach called HMM Based SOINN (HBSOINN) for processing multi variable time-series data such as motion data of gestures. The SOINN (Self-Organizing Incremental Neural Network) is an incremental learning approach that is able to incrementally approximate the distribution of the input data by using efficient numbers of nodes and reporting the number of clusters. We enhanced SOINN by enabling it to cluster time-series data. Hidden Markov Model (HMM) is used to extract features of time-series data and to transform variable-length time-series data to fixed-dimensional data. Experimental results show that HBSOINN outperforms the comparative approach on an artificial data set and 26 kinds of isolated gesture data sets. Even though HBSOINN is an on-line incremental learning approach, it shows the same clustering performance that is evaluated based on the value of Purity and Normalized Mutual Information (NMI) as some state-of-the-art batch clustering approaches.
著者
久野 真登 西田 豊明 大本 義正
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.3O5GS1301, 2020

<p>当研究ではユーザとエージェントの協調問題解決場面において, ユーザの協調への積極性誘発を目指す. 積極性誘発にはインラクションの方法の理解と, 協調により得られる利益への信頼が重要であり, この二つのリソースが満たされている関係を社会的関係と定義する. そしてエージェントが社会感情的インタラクションを働きかけることで二つのリソースが獲得され, 社会的関係が構築できると仮定する. 提案手法として, 循環的意図更新モデルにより社会感情的行動を生成することを考える. ここで提案モデルではエージェントは社会感情的意図の階層的ネットワークを持ち, ユーザは同じモデルを持っていると仮定する. そして推定したユーザの意図モデルを基にエージェントの意図モデルを更新し, それに応じて社会感情的行動が生成される. これによりエージェントの行動がユーザに合わせて発展するため, ユーザはエージェントとの関係性に関する利益を見出すことができ, 社会的関係が強まると考えられる. 提案モデルの評価のため, ユーザとエージェントが協力してタワーディフェンスを行うという実験を行い, 社会感情的行動のユーザの積極性に対する一定の効果を確認した.</p>
著者
石田 亨 西村 俊和 八槇 博史 後藤 忠広 西部 喜康 和氣 弘明 森原 一郎 服部 文夫 西田 豊明 武田 英明 沢田 篤史 前田晴美
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.2855-2865, 1998-10-15

本論文では,国際会議におけるモバイルコンピューティング実験の報告を行い,その役割と効果について分析する.約100台の携帯電話付き携帯端末を用いて,実際の国際会議の参加者に通信/情報サービスを提供し,その際得られたログデータを解析した.ログデータのみでは十分知ることのできないユーザの使用感などは,事後アンケートにより調査した.以下の使用状況が観察されている.(a)ユーザは会議場ばかりではなく,会議後ホテルの部屋へ戻ってからも携帯端末を利用した.携帯端末は通常のデスクトップ型端末と比べて頻繁に使われ,かつ1回の使用時間は短かった.(b)情報サービスは,会議の進行を反映して利用にピークが現れるが,電子メールサービスは会議の進行にかかわらず定常的に利用された.
著者
福田 匡人 黄 宏軒 桑原 和宏 西田 豊明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.3, pp.120-130, 2020-03-01

現在の教職課程では様々な学校問題に対応する指導力を養成するカリキュラムが組まれているが,実際の教育現場において指導力を養う機会は少ない.教育現場では実際の現場に近い環境下で訓練を行う環境が求められている.この問題を解決すべく我々は,教員志望者が生徒としてのCGキャラクタ(仮想生徒)とのインタラクションを通して,指導力を養う新たなプラットホームの構築を進めている.実際の授業現場に近い環境を再現するには,複数の仮想生徒が授業に応じて適切な振る舞いを実施し学級の雰囲気を表出することが求められる.一方でCGエージェントが雰囲気を表出可能な群行動の制御手法は未だない.そこで本研究では専門家の協力のもと実験を実施し,パラメータ化された雰囲気の生成モデルの構築手法について提案する.
著者
西田 豊明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.10-16, 1997-01-15
参考文献数
30
被引用文献数
28
著者
三宅 峰 大本 義正 西田 豊明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.72, pp.335-336, 2010-03-08
参考文献数
5

主人の代わりにスケジュール調整や交渉を行うマネージャエージェントの実現を目指している.一般に交渉の判断材料として,単に主人の実益だけでなく,丁寧さのような相手の性格や信頼性,主人の好みなどの複雑な要素があるが,人が交渉する際にどんな要素を考慮するかは状況に依存しており,詳細には検討されてこなかった.そこで本研究では,マネージャエージェント実現への第一歩として,交渉の際に丁寧さのような性格を人がどの程度考慮に入れているのか検証することを目標とする.そのために,テニスのタッグパートナーの選択交渉をタスクとし,交渉相手のエージェントに強さと丁寧さ,信頼性のパラメータを設定して実験を行い,アンケートとコンジョイント分析を用いて各パラメータの交渉への影響を検討した.その結果,丁寧さと信頼性は強さと同程度に考慮されていることがわかった.
著者
久保田 秀和 角 康之 西田 豊明
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.90(2004-HI-110), pp.1-8, 2004-09-10

本論文では,知球と呼ばれる持続的に発展可能な個人の外化記憶構築システムを提案する.初めに,外化記憶をコンテンツの一種として捉えることにより,その持続的な発展を時空間的なコンテンツの蓄積としてモデル化する.知球とはこの時空間記憶モデルに基づいた外化記憶を仮想的な球面上に構築するシステムである.実験として約1100件のコンテンツ断片から構成される外化記憶を知球上に構築した結果,知球の奥行きや左右,カードの大きさなど空間的手がかりを生かした外化記憶の配置を行うことによって,自分らしいポリシーに基づく外化記憶が構築可能であるという示唆を得た.
著者
小関 悠 角 康之 西田 豊明 間瀬 健二
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.3_41-3_50, 2007 (Released:2007-09-30)

本稿では研究発表会や博物館見学といったイベント空間において取得可能な体験データを,ユーザーが閲覧・編集するためのシステムを提案・実装する.種々のカメラやセンサー機器の発達により大量の取得が可能となった体験データを,ユーザーの扱いやすい形にすることで,その編集や共有を促すことが狙いである.システムは大きく二つの部分に分けられる.一つは体験データを自動的に要約してユーザーに提示するシステムであり,特にセンサー情報を用いることで映像データを「ぱらぱらアニメ」,すなわち,シーンを表現する複数枚の特徴的なスナップショットのセットへと変換する手法について述べる.もう一つは要約された体験データの鑑賞・編集システムであり,こちらでは「ぱらぱらアニメ」の特性を生かし漫画的なレイアウトを組むことで体験データを好みの観点で観賞・編集が出来ることを中心に述べる.本システムは体験データの閲覧や編集へのアクセシビリティを高めるため,Webアプリケーションとして実装した.
著者
大本 義正 片岡 操 西田 豊明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1E33, 2018-07-30

<p>適切な相談相手と意見を出しあうことで考えを広げ,深めることができる.本研究は適切な相談相手と認められ,対話姿勢を引き出すエージェントの実現を目指す.ユーザ思考の発散と収束に基づくマクロな対話リズムを形成することにより,ユーザがポジティブな対話姿勢を示すようになることを期待した.実験の結果,収束的な介入によって自然さなどの印象が向上し,一貫してテンポのよい会話が成立することが確認された.</p>
著者
西田 豊昭
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.137-158, 2000-03-31 (Released:2011-01-27)
参考文献数
39
被引用文献数
2 2

This study tested a model of the relationship between job satisfaction, organizational commitment, organizational justice, organizational citizenshipbehavior, and work group performance. Most research on the nature ofrelationships between job performance has not yielded convincing evidence thatsuch a relationship exists to the degree most managers believe. One reason forthis might lie in the way in which job performance is measured. Numerousstudies have reported that using organizational citizenship behavior to supplantmore traditional measures of job performance may result in more robustrelationship between job satisfaction and job performance. In this study 2076employees who provided self-report answers designed to examine the relationshipbetween job satisfaction, organizational commitment, organizationaljustice, organizational citizenship behavior, and work group performance.Results from Study supported the hypothesized model but also suggested thatalternative models fit the data well.