著者
和田山 智哉 伊藤 絢 大坪 亮一 大谷 恭子 森川 雅史 上田 直子
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001289, (Released:2019-07-23)
参考文献数
19

症例は48歳,男性.全身痙攣発作後に左顔面,上肢の間代性痙攣が持続し入院.ジアゼパム,ホスフェニトイン,レベチラセタム投与で止痙したが,再び部分てんかん重積状態となり全身麻酔下で管理した.右前頭葉に皮質を含む拡散強調画像,T2強調画像で高信号の病変を認め,造影MRIで病変の中心部とその近傍の皮質が増強された.第6病日に開頭腫瘍摘出術を施行.増強された中心部で退形成性乏突起膠腫を認めた一方,近傍の皮質には腫瘍組織は認めず,増強効果はてんかん重積によるものと考えられた.てんかん重積に伴う造影MRI異常信号は,臨床的に脳腫瘍などの他疾患との鑑別が困難な場合があり,慎重な判断が必要と考えられた.
著者
中野 綾美 池添 志乃 益守 かづき 高谷 恭子 首藤 ひとみ 佐東 美緒
出版者
高知県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

子どもの脳死に直面した家族が辿る苦悩に満ちた意思決定プロセスを支えるケアガイドラインの開発を目的とした。臓器提供を行った家族の 10 編の手記、子どもの看取り又は臓器移植をした家族への看護を看護師 13 名に面接調査し質的に分析した。その結果と家族看護エンパワーメントガイドラインを活用し、研究者と小児看護や家族支援 CNS、小児救急看護 CN の 12 名でブレインストーミングを実施した結果、家族が子どもの最善を考えるケアガイドラインを検討し、今後、洗練化が課題である。
著者
伊加 真士 清水 一好 川出 健嗣 金澤 伴幸 西谷 恭子 森松 博史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-6, 2016-01-15 (Released:2016-02-12)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

スガマデクスは安全・迅速にロクロニウムを拮抗できる薬剤として広く使用されている.今回われわれは筋弛緩モニターを使用し,投与基準どおりにスガマデクスを使用したにもかかわらず,術後に再クラーレ化が疑われた症例を経験した.症例は78歳の男性で,胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除術が施行された.術中およびスガマデクス投与前にTOFウォッチを使用し,TOFカウント2を確認後,スガマデクスを3.6mg/kg投与し抜管した.その約70分後に著明な酸素化の悪化と四肢の体動低下を認め,ネオスチグミン投与により酸素化・体動の改善を得た.投与基準どおりのスガマデクス使用でも再クラーレ化の可能性は否定できないため,抜管後の厳重な呼吸の観察が重要である.
著者
進賀 知加子 下野 勉 仲井 雪絵 紀 瑩 守谷 恭子 瀧村 美穂枝 加持 真理 竹本 弘枝 森 裕佳子 山中 香織
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.584-592, 2007

妊婦の口腔内ミュータンスレンサ球菌群(MS)の菌数レベル,喫煙習慣,食事習慣に関する実態調査を目的として,産婦人科医院を受診した妊娠3-6か月目の妊婦400名(平均年齢29 .2±4.2歳,19-43歳)を対象にデントカルトSMを用いた唾液検体中のMS菌数レベルの測定,食事調査および喫煙習慣に関する質問調査を行ったところ,以下の結果を得た。<BR>1.各SMスコアの割合は,8.5%(SM=0),35.3%(SM=1),38.0%(SM=2),18 .3%(SM=3)であった。MS菌数レベルがハイリスク(SMスコア>2)を示した者は半数以上(56 .3%)であったにも拘らず,歯科医院を受診中の者は1割未満であった(7.8%)。その中で受療目的が「予防」であった者の割合は29.0%であった。歯科医療者と妊婦に対し,妊娠期の口腔衛生管理の重要性について認識を広めるための社会的啓蒙活動や教育が必要である。<BR>2.喫煙習慣の既往がある妊婦はMS菌数レベルがハイリスクになる傾向を認めた(10 .7%vs.6.3%;P=0.08)。<BR>3.「シリアル(無糖)」「アイスクリームまたはシャーベット」「ドーナツまたはマフィン類」「クッキー」「チョコレート」「あんパンまたはジャムパン」「まんじゅう」「ようかん」の8項目の食品においてハイリスク群はローリスク群より有意に摂取頻度が高かった。
著者
永田 泰史 竹内 正明 大谷 恭子 園田 信成 尾辻 豊
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.343-349, 2019
被引用文献数
2

左室流出路狭窄は時に大動脈弁狭窄症に合併する.しばしば両者の狭窄を分離することができないため,大動脈弁狭窄症の真の重症度を正確に評価することが困難になる.症例は外傷性血気胸で入院となった75歳女性.心エコー図検査により大動脈弁狭窄症と左室流出路狭窄を認めた.ドプラーエコーでは収縮後期をピークとするダガー型の血流波形を認め,左室流出路と大動脈弁を通過する最高血流速度は6.0 m/sであったが,両者の最高血流を分離することが困難であった.正確な大動脈弁狭窄症の重症度評価のため,ランジオロール(短時間作用型βブロッカー)とシベンゾリン(ナトリウムチャネルブロッカー)を用いた負荷心エコーを行い,同時にカテーテル検査により左室圧と大動脈圧を測定した.ランジオロールは無効であったが,シベンゾリンにより左室流出路狭窄は消失した.シベンゾリン負荷心エコー検査により大動脈弁狭窄症の重症度は中等度以下と評価され,適切な治療方針の決定が可能となった.本症例によって,シベンゾリン負荷心エコーは左室流出路狭窄を合併した大動脈弁狭窄症の重症度評価に有用である可能性が示された.
著者
内野 泰伸 亀谷 恭子 六人部 隆夫 近藤 雄基 吉田 一朗 相原 建人 平野 元久
出版者
法政大学理工学部・生命科学部
雑誌
法政大学理系学部研究集報 = Bulletin of the Science Faculties, Hosei University (ISSN:21888507)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.79-85, 2019-04

本報告では機械工学科PBL授業を紹介するとともに,工学分野の他大学におけるPBL関連の授業との調査し比較検討を行った結果を報告する.また,授業改善への取り組みとして自由記述式感想文の計量テキスト分析を行い,分析結果から教育効果の定量的な測定やPBL授業改善に必要な項目の抽出を試みた結果を報告する.
著者
佐藤 正恵 中谷 恭子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-56, 1992-06-30

生後1〜6ヵ月の健常児計12名(各月齢7名)とこれとほぼ同月齢のダウン症児1名およびハイリスク児5名の、大人(母親)と事物(ガラガラ)に対する「おはしゃぎ反応」の発現、発達を検討した。その結果、以下のことが判明した。1)「おはしゃぎ反応」は、まず大人のコミュニケーション作用への応答として生後1ヵ月頃初出し、それより約半月遅れてコミュニケーション作用を行わない大人にも生起するようになる。他方、事物では、3ヵ月頃生起するようになる。2)「おはしゃぎ反応」の現われは、人と事物で明確に異なる。3)活気に満ちた活動状態としてのより強い能動性が向けられる対象は、6ヵ月頃に人から事物へと変化する。4)「おはしゃぎ反応」に問題があったハイリスク児では、1、2歳代で発達の遅れが確認され、「おはしゃぎ反応」は障害の有無を診断する時の指標となりうることが示唆される。