著者
宮田 明子 山本 朋弘 堀田 龍也 伊藤 三佐子 片山 淳一 鈴木 広則
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.49-52, 2016

校務支援システムを導入した小・中学校の教員を対象に,校務支援システムの運用前・1年後・2年後の3回において質問紙調査を実施し,校務の状況に関する教員の意識および校務支援システムの機能の必要性についての経年比較を行った.その結果,校務支援システムの運用前と比較して1年後・2年後に,教員は校務の状況が改善されたと感じること,校務支援システムの機能の必要性を高く感じることが示された.また,校務支援システムの利用年数が1年目の教員と比較して2年目以降の教員は,児童生徒の状況把握や帳票印刷の機能に対して,より高く必要性を感じていることが示された.
著者
鈴木 広
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.414-430, 1990-03-31 (Released:2009-11-11)
参考文献数
50

清水幾太郎は, 「コントにおける三段階の法則について」を書いて、東京帝国大学を卒業し、五七年の後、再び『オーギュスト・コント』を書いて、社会学者を卒業した。二つのコント研究の間には、正反対ともいうべき、極端な対照がある。このような振幅の大きさは、清水の特有のパターンである。二つのコント像の間に、清水の大衆社会論と社会学説研究のすべてが横たわっているはずである。本稿では、 (一) 清水の人間形成過程における、想像を絶する特異性と、それに由来する、 (二) 彼の地方観、田舎意識の驚くべき未熟さとを手掛りとしてアプローチし、彼の社会学の実体をなしている、大衆社会論の特色、欠陥、限界を示唆する。そして、そのような大衆社会像が、図らずも、次第に日本においても現実のものとなり、彼のニヒリズムが現実化したため、そのような状況を克服すべく、逆に自分自身が、普遍的デモクラットから、日本的ナショナリストへと、転身せざるを得なかった、という秘密を解読する作業に迫りたい。
著者
保崎 則雄 鈴木 広子
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.25-37, 1997-03-31

字幕つき映像においては、画面上で視るものが、映像情報と文字情報の2種類存在する。その情報内容は、音声と映像の提示技術と相まって、重複したり、異なったりという様相を絶え間なく繰り返しつつ進行するため、初級者にとっては、認知負荷が増し、混乱を招き、理解の干渉になっていることが確認されている。一方、英語上級者にとっては、字幕は新たな効果的情報源となりうると示唆される。ところが、その上級者の視聴過程に踏み込んで分析した研究は、ほとんどない。本研究では、現在までに収集した英語上級者の字幕つき音声映像の特徴的な視聴モデルを紹介する。映像と字幕間の三角形の情報処理パターン、ネイティブスピーカーの多角形視聴パターン、安定した字幕読みのパターン、上級者と初級者の視点注視時間のパターンの違いなどを具体的な視線運動の分析を中心として示し、上級者の視聴モデルについて実例を交え考察する。
著者
鈴木 広一 苅田 丈士 甲斐 高志 小林 弘明 高嵜 浩一 廣谷 智成 倉谷 尚志
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-20, 2008-01

宇宙航空研究開発機構では,将来の宇宙輸送システムコンセプトの絞り込み,開発すべき技術課題の抽出,および現状技術の改善目標を設定するため,概念設計ツール(Systems Evaluation and Analysis Tool: SEAT)を開発中である。本報告書では,まずSEAT開発の目的,開発シナリオをまとめ,開発した雛形ツールについて報告する。ついで,代表的なエンジンの評価を行うため,雛形ルールを用いて5種類の宇宙輸送システムの概念設計を行った。本報告書では,液体ロケットエンジン,Turbine-Based Combined Cycle(TBCC)エンジン,およびRocket-Based Combined Cycle(RBCC)エンジンを対象とした。概念設計は,全備重量が最小となるように行った。その結果,母機,軌道機共にロケットエンジンを使用する二段式宇宙往還機のコンセプトが,最も軽量となる結果が得られた,本システムはエンジン搭載性についても問題がなく,最も現実的なシステムである。TBCCエンジンやRBCCエンジンといった空気吸い込み式のエンジンを使用する場合には,必要なエンジン基数が多くなり,その搭載性に問題があるという結果が得られた。
著者
脇田 亮 佐藤 実 鈴木 広隆 岩月 尚文
雑誌
日本歯科麻酔学会雑誌 (ISSN:03865835)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.232-236, 2000-04-15
被引用文献数
7
著者
平井 清子 岡 秀夫 鈴木 広子 河野 円 金丸 芙美 飯田 深雪
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本の英語教育が海外の言語教育から学べる点をバイリンガリズムの視点で分析した。その結果、言語を介して新しい概念を習得させ、考えていることや理解したことを言語で「話す」、「書く」ことを通して表現させるCALPを養成することが重要であり、思考を伴う言語教育が高いコミュニケーション能力を育成する上で重要であることが示唆された。その方法として、認知的に深い思考を要求し、比較・評価・判断という活動を可能にする、内容重視の教授法(content-based instruction)やイマージョン教育など、学習内容を中心とした学習者主体の授業の有効性が実証された。
著者
鈴木 広光
出版者
奈良女子大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

平成17年度研究実績は以下の通りである。1.平成16年度に高精密デジタル画像化した嵯峨本『伊勢物語』(慶長13年初刊本)の印字と版面に写り込んだインテル・クワタの痕跡から以下の事柄が判明した。該書の印刷に使用された木活字は縦12・6mm、横14.2mmを全角とし、縦寸法2〜4倍に規格化されたものである。(2)組版はベタ組みである。(3)インテルの幅は2.6mmである。これらのデータをもとに、2DビジュアルCGによる組版想定図を作成した。2.該書の印字悉皆調査をコンピュータ上で行い、印字の精細な異同識別によって、使用された木活字が2130種にのぼることが判明した。この印字悉皆調査の結果を「印字標本集」として、本研究課題の研究成果報告書に公開した。3.研究協力者高木浩明を中心に、嵯峨本『伊勢物語』初刊11伝本の全丁調査を行い、部分異植字という組版上の特色とその具体的異同状況を明らかにした。この成果も研究成果報告書に公開している。4.上記の研究成果を、「嵯峨本『伊勢物語』の活字と組版」と題して、日本近世文学会平成17年度秋季大会(於奈良女子大学、2005年11月5日)で口頭発表した。この発表にもとづく論文を学会誌『近世文芸』に投稿した。5.コンピュータを用いた書誌学、印刷史研究の方法の開発について、開発協力者津田光弘(研究協力者)と連名で、「嵯峨本『伊勢物語』の木活字及び組版分析モデルに関する報告」と題して、第11回公開シンポジウム・人文科学とデータベース(2005年12月3日,於大阪樟蔭女子大学)で口頭発表した(発表者はプログラム開発者の津田)。
著者
鈴木 広光 津田 光弘
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、所謂「古活字版」のうち、特に日本で独自に技術的展開を見た平仮名交り文古活字版の活字規格、組版にはどのような種類のものがあるかを明らかにしようとするものである。古活字版における平仮名活字の使用を網羅的に調査した結果、平仮名活字の規格とその組版には三つの方式があることが確認された。最も一般的な方式は、大きさ(縦寸法)が全角の整数倍で、それをベタ組みするものである。また慶長初年頃刊『徒然草』を調査したところ、10mm×16.6mmの全角を基準にした縦寸法が整数倍の活字のほか、1.5倍の活字があることが判明した。この方式は極めて珍しい。一方、縦寸法が文字や文字列の丈に応じたプロポーショナルな活字で、字間調整を施す組版方式を採用するのは、『無言抄』、『徒然草寿命院抄』、伏見版『東鑑』、烏丸本『徒然草』の四点のみであった。さらに、従来の整版本の記述を基礎とした書誌学の方法では説明することが難しかった異版関係の判断を精密に行なうための分析方法を提唱した。
著者
鈴木 広光 矢田 勉
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、印刷術の導入と出版メディアの発達によって、平仮名の字体・書体がどのように変容したのかを明らかにすることである。古活字版と江戸時代の整版本の印刷書体の特徴を明らかにするため、文献資料を高精度のデジタル画像におさめ、印字の画像にアノテーションを付けるという新しい分析方法を採用した。研究の成果は以下の通りである。(1)嵯峨本『伊勢物語』慶長13年再刊本における全ての印字の調査を行い、活字の種類とその使用状況を明らかにした。また同書の印字標本集を編纂した。この調査によって、再刊本に使用された活字のうち、この刊本で使用するために新彫された活字はわずかに三割であり、残りの七割は初刊本の活字を再利用したものであることが判明した。従来、再刊本は主として新彫された活字で印刷されたといわれてきたが、この調査結果はその説を訂正するものである。(2)嵯峨本とその他の平仮名交り文の古活字版における活字の書体を比較し、その特徴を分析した。その結果、ほとんどの古活字版において、規格化された活字サイズによる仮名文字の均一化が確認された。その一方で、嵯峨本では仮名文字の伸びやかさを再現するために、さまざまな工夫がなされていることが明らかになった。(3)江戸時代の整版本については、平仮名書体の通時的な推移の様相を明らかにするために、前期の資料と後期の資料の比較を試みた。調査の結果、前期の版本と比較して、後期の版本には、連綿の減少、文字の大きさの均一化、書体の定型化といった特徴が見られることがあきらかになった。