著者
長澤 和也 上野 大輔 Tang Danny
出版者
日本生物地理学会
雑誌
日本生物地理學會會報 = Bulletin of the Bio-geographical Society of Japan (ISSN:00678716)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.103-122, 2010-12-20
被引用文献数
1

1927–2010年に出版された文献に加えて, 筆者らが海水魚から採集した標本の観察結果に基づき, 日本産魚類から記録されたウオジラミ属カイアシ類32種と未同定種に関する情報 (異名リスト, 宿主, 寄生部位, 地理的分布)を種ごとに整理した:ヒラマサウオジラミ(新称) Caligus aesopus, カツオウオジラミ (新称) C.bonito, ベラウオジラミ (新称) C. brevis, ブダイウオジラミ (新称) C. calotomi, ニザダイウオジラミ (新称)C. cordiventris, シイラウオジラミ(改称) C. coryphaenae, ナンカイウオジラミ (新称) C. cybii, アカエイウオジラミ (新称) C. dasyaticus, ハタウオジラミ (新称) C. epinepheli, ヤガラウオジラミ (新称) C. fistulariae,フグウオジラミ (新称) C. fugu, カガミダイウオジラミ (新称) C. glandifer, イシダイウオジラミ (新称) C.hoplognathi, モジャコウオジラミ (新称) C. lalandei, シイノウオジラミ (新称) C. laticaudus, クロダイウオジラミ (新称) C. latigenitalis, シマアジウオジラミ (新称) C. longipedis, サンマウオジラミC. macarovi, メバチウオジラミ(改称) C. mebachii, トウヨウウオジラミ (新称) C. orientalis, エンガンウオジラミ (新称)C. oviceps, マダイウオジラミ (新称) C. pagrosomi, サワラウオジラミ (新称) C. pelamydis, モンガラカワハギウオジラミ (新称) C. polycanthi, ガイヨウウオジラミ (新称) C. productus, ゴマフウオジラミ (新称) C.punctatus, タイカイウオジラミ (新称) C. quadratus, ゴウシュウウオジラミ (新称) C. sclerotinosus, ヤマグチウオジラミ (新称) C. seriolae, ブリウオジラミ(改称) C. spinosus, ウミタナゴウオジラミ (新称) C. tanago,キュウセンウオジラミ (新称) C. triangularis, および未同定種 Caligus spp. また, プランクトンとして記録されたウキウオジラミ (新称) C. undulatusの情報も含めた.本目録により, 北太平洋から23種, 瀬戸内海から17種, 東シナ海から10種, 日本海から5種, オホーツク海から2種が報告されていることが明らかになった. また今回, 筆者らが調べた標本は, ヤガラウオジラミ, フグウオジラミ, モンガラカワハギウオジラミ, ゴマフウオジラミに同定され, それぞれヤガラ科のアオヤガラ, フグ科魚類のコモンフグとシロサバフグ, カワハギ科魚類のソウシハギ, フグ科のクサフグが新宿主として追加された. これらの整理と結果に基づいて, 亜熱帯海域における研究や生態・生活史研究の必要性などを述べた.Based on the literature published between 1927 and 2010 and an examination of new material of the specimens collected from Japanese marine fishes, a checklist is compiled for the following 32 nominal species and some unidentified species of the copepod genus Caligus from Japanese fishes: Caligus aesopus, C. bonito, C. brevis, C. calotomi, C. cordiventris, C. coryphaenae, C. cybii, C. dasyaticus, C. epinepheli, C. fistulariae, C. fugu, C. glandifer, C. hoplognathi, C. lalandei, C. laticaudus, C. latigenitalis, C. longipedis, C. macarovi, C. mebachii, C. orientalis, C. oviceps, C. pagrosomi, C. pelamydis, C. polycanthi, C. productus, C. punctatus, C. quadratus, C. sclerotinosus, C. seriolae, C. spinosus, C. tanago, C. triangularis, and Caligus spp. Information on C. undulatus reported in plankton is also included. This checklist contains information for each Caligus species regarding its host(s), attachment site(s), known geographical distribution in Japanese waters, and references. The new material consisted of: Caligus fistulariae from two fistulariid fishes, Fistularia petimba and F. commersonii (new host); Caligus fugu from two tetraodontid fishes, Takifugu poecilonatus (new host) and Lagocephalus heeleri (new host); Caligus polycanthi from one monacanthid fish, Aluterus scriptus (new host); and Caligus punctatus from one tetraodontid fish, Takifugu niphobles (new host). Twenty-three, 17, 10, 5, and 2 nominal species of Caligus have been found, respectively, in the North Pacific Ocean, Seto Inland Sea, East China Sea, Sea of Japan, and Sea of Okhotsk.
著者
長澤 和也 山岡 耕作 大塚 攻 海野 徹也 奥田 昇 山内 健生
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

海産栽培漁業種の生態を寄生虫を生物標識に用いて解明するために、瀬戸内海における主要放流魚であるマダイ、クロダイ、メバル類などの外部・内部寄生虫相を明らかにした。瀬戸内海の6水域からマダイ1歳魚を採集し、寄生虫相を比較することにより、系群識別を試みたところ、マダイは比較的狭い海域で小さな地方群を形成していることが示唆された。また、クロダイは内部寄生虫相に基づくと、日本各地で異なる系群を形成していると推測された。
著者
長澤 和也
出版者
広島大学大学院生物圏科学研究科
雑誌
生物圏科学 : 広島大学大学院生物圏科学研究科紀要 (ISSN:13481371)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.7-12, 2016-12-25

高知県沿岸で養殖されていたブリSeriola quinqueradiata 幼魚2尾の筋肉に大型吸虫の寄生を認めた。この吸虫は各尾に1個体が寄生し,生時の体長約7–15mm で,わが国の養殖カンパチから報告されている「ヒルディネラ類吸虫」によく似ていた。寄生魚が見出されたのは2015年5月中旬で,養殖種苗はその約1か月前に高知県沖の北西太平洋で漁獲された。寄生魚の皮膚は寄生部位付近で凹凸を有し,筋肉には吸虫から排泄されたと考えられる黒色異物が見られた。Two big trematodes, provisionally identified as a hirudinellid, were found individually in the muscle of two juveniles (ca. 150 mm fork length) of Japanese amberjack, Seriola quinqueradiata Temminck and Schlegel, 1845, cultured in mid-May 2015 in coastal waters of Tosa Bay off Kochi Prefecture, Shikoku, western Japan. The trematodes were 7-15 mm long in fresh conditions. The juveniles were caught in the western North Pacific Ocean off Kochi Prefecture around 10 April 2015 and then cultured in net pens. The body surface of the infected juveniles was uneven in the affected area, and black substances, probably excreted by the trematodes, were found in the host's muscle.
著者
長澤 和也 上野 大輔
出版者
日本生物地理学会
雑誌
日本生物地理學會會報 = Bulletin of the Bio-geographical Society of Japan (ISSN:00678716)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.17-25, 2011-12-20
参考文献数
50

1898-2011年に出版された文献に基づき,日本産魚類から記録された以下のヒトガタムシ科カイアシ類11種および未同定種2種に関する情報(異名リスト,宿主,寄生部位,地理的分布,文献)を種ごとに整理した:ツバサヒトガタムシ(新称) Lernanthropinus sauridae, マルツバサヒトガタムシ(新称) Lernanthropinus sphyraenae, タイノヒトガタムシLernanthropus atrox, サガミヒトガタムシ(新称) Lernanthropus belones, クロダイノヒトガタムシ(改称) Lernanthropus chrysophyrs, ダツノヒトガタムシ(新称) Lernanthropus cornutus, ニベノヒトガタムシ(新称) Lernanthropus gisleri, ブリノヒトガタムシ(改称) Lernanthropus seriolae, シシドヒトガタムシLernanthropsis mugilii, アシナガヒトガタムシ(新称) Mitrapus heteropodus, ヨロイヒトガタムシ(新称) Sagum epinepheliおよび未同定種Lernanthropus sp. 1とLernanthropus sp. 2. また,Lernanthropinus,Lernanthropsis,Mitrapus,Sagumの各属にツバサヒトガタムシ,シンヒトガタムシ,アシナガヒトガタムシ,ヨロイヒトガタムシの新標準和名を提唱した.今後の研究課題として,亜熱帯海域におけるヒトガタムシ類相に関する研究のほか,各種の生態や生活史研究の必要性を述べた.Based on the literature published between 1898 and 2011, a checklist is compiled for the following 11 nominal species and two unidentified species of the copepod family Lernanthropidae from Japanese fishes: Lernanthropinus sauridae, Lernanthropinus sphyraenae, Lernanthropus atrox, Lernanthropus belones, Lernanthropus chrysophyrs, Lernanthropus cornutus, Lernanthropus gisleri, Lernanthropus seriolae, Lernanthropsis mugilii, Mitrapus heteropodus, Sagum epinepheli, Lernanthropus sp. 1, and Lernanthropus sp. 2. This checklist contains information for each lernanthropid species regarding its host(s), attachment site, known geographical distribution in Japanese waters, and references.
著者
平林 公男 荒河 尚 吉田 雅彦 風間 ふたば 吉澤 一家 有泉 和紀 長澤 和也
出版者
日本陸水学会
雑誌
日本陸水学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.176-176, 2005

山梨県四尾連湖において、1994年4月から2004年3月までの10年間、動物プランクトンネットによって、水深ごとにチョウ(Argulus japonicus)の浮遊個体数、齢別構成などを調査した。調査期間中、チョウ類が観察されたのは、2000年から2002年の3年間のみで、他の年には、全く発生していなかった。発生ピーク年は2001年で、196.3個体/tであった。夏期の水温の上昇とともに浮遊個体は多くなり、8月にピークが認められた。また、水深2m層で、個体数が多かった。
著者
長澤 和也 DANNY Tang TANG D.
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

わが国では近年,気温の上昇ばかりでなく,周辺海域における海水温の上昇が観測されており,地球温暖化が現実のものとなりつつある。水産分野で早急に対処しなければならないのは,地球温暖化による漁業生産への影響評価である。本研究では,1)沖縄産亜熱帯性魚類に寄生するカイアシ類の分類学・生態学的特性を明らかにするとともに,2)地球温暖化に伴う彼らの本土侵入を予測し,わが国の水産養殖業における病害虫としての彼らの影響を評価することを目的とする。本年度も,昨年度に引き続き現地での標本採集を行って同定するとともに,地球温暖化に伴って本土に侵入する種を推測した。得られた知見は以下のとおり。(1)沖縄県沿岸・近海で漁獲された海水魚を入手して寄生虫学的検査を行い,得られた寄生性カイアシ類の同定を行った。大きな研究成果として,アマダイ類の鰓に寄生するカイアシ類を新科Pseudohatschekiidaeとして認め,記載した。(2)人工飼育下(水産研究機関・水族館)の海水魚を調べ,寄生性カイアシ類の同定を行った。ハタ類からレペオフテイルス属の1種,ジンベエザメからプロシーテス属の1種が採集された。後者の分類・同定には混乱が見られたので,形態を詳細に観察して,この問題を解決した。また,前者は亜熱帯性で,水産養殖上重要なハタ類に特異的に寄生し,重度寄生の場合には宿主の斃死を招くほど病害性が高いことが判明した。
著者
海野 徹也 長澤 和也 小路 淳 斉藤 英俊
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

放流事業によって漁獲量が著しく回復した広島湾のクロダイについて、産卵場、卵分布、稚魚の分布、成長、食性などの初期生態を解明した。クロダイの主産卵場は広島湾の湾口部に形成され、産卵は夜間であり、卵は幅広い水深に分布した。卵密度と稚魚の日周輪解析より、産卵ピークは5月下旬から6月中旬であり、着底は7月上旬から中旬にピークを迎えることがわかった。稚魚の主食はヨコエビ類、カイアシ類、であったが、生息環境に応じ柔軟性を示していた。