著者
高木 大幹
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.14, pp.73-86, 1981 (Released:2009-09-16)

It is more than 25 years since Nobuyuki Imai passed away of liver cancer, and now is the time, I suppose, to talk about him, because 25 years is not so short, and suitable to take an objective view of him and his works. Soon after the war end, he came to Nara to hunt curios. He was a connoisseur of antique objects, and looked very happy in the ancient capital of Japan. I have not met him ever since. About five years later I was much shocked to hear of his decease, which might inevitably bring about the discontinuation of “Current of the World.” Talking of “Current of the World”, it made its first appearance in 1924, next year of the Kanto earthquake. It may be said that the kind of English magazine was being looked for by a lot of Japanese intellingentzia though there were two other big English magazines, “The Rising Generation” and “The Study of English.” He was a teacher and then became a journalist in English, whose experince was wonderfully put to practical use, the former to the foundation of “Weekly” and “Correspondence Course”, and the latter to “Current of the World.” He set up the Eigo-tsushinsha at Sendagi-cho, Hongo, which was transferred to Nishikata-cho, Hongo in 1919. He distinguished himself in his work. He made a hit with his “Weekly” which was read as a side-reader at almost all middle schools throughout Japan, and also “Current of the World” had a remarkable circulation. It seemed he swept away everything in his way. “Current of the World” had two major objects; one was giving reading materials in current English to intellectuals, and the other was Japanese English translation which was always in Imai's charge. And this was very famous with his unique remark. I hope the latter will be published as a book which, I believe, will be utterly helpful to university students and intelligent public persons. Imai had a rosy future with other plans, but World War II and his illness made them a very remote possibility. No, his death brought a close to everything.
著者
高木 大生 佐藤 理史 駒谷 和範
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

我々は、既存の短編小説から会話文を抜き出し、その一部を他作品の会話文と置換することにより、新たな超短編小説を自動生成することに取り組んでいる。このプロセスを機械的に実行するための準備として、我々はまず、星新一のショートショートに含まれる会話文に対し、発話者を特定する方法を実装した。この方法は、発話者を特定する手がかりとして、会話文の文体的特徴と、会話文の前後の地の文を利用する。
著者
高木 大資 辻 竜平
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.189-199, 2009

In this study, we focused on the effect of the information of others' memories and of the delay of recognition on conformable eyewitness memories to others. A2 (delay: no delay vs. one week) ×2 (experimental group vs. control group) experimental design was employed (both factors were between-subjects variables), and experiments were carried out by four participants per session (a total of 85 participants). First, in a recognition task about a video clip, participants in the experimental group were shown "false responses by others." After that, participants undertook a similar recognition task and a Remember/Know judgment task about these items. As a result, the participants that took the task after one week showed a higher conformity response rate to the false responses others' than participants that took the task immediately after encoding. Moreover, the participants in the experimental group showed a higher Remember-judgment rate in wrong answers than participants in the control group. These results suggest that even though testimony taken from an eyewitness group may be concrete and clear, it is possible that it does not reflect his/her true experience exactly.
著者
高木 大資 辻 竜平 池田 謙一
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.36-45, 2010
被引用文献数
2

In this study, we examined crime control in local communities through interpretations mainly from social capital. Using data obtained from a mail survey in an urban area, we investigated the effects of cooperative behaviors promoted by individual-level or macro-level social capital in neighborhoods on the number of respondents' crime victimizations. The results show that the network size of cooperative acquaintances at the individual level promotes the number of respondents' cooperative behaviors. Moreover, having a neighborhood where greeting and standing talking are frequent promotes respondents' cooperative behaviors. It is also suggested that cooperative behaviors aggregated at the macro level have an inhibitory effect on the number of victimizations in terms of "burglaries of the communities."
著者
松浦 康治郎 高木 大輔 影山 昌利 小島 怜士 佐々木 嘉光 宮城 道人
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第27回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.203, 2011 (Released:2011-12-22)

【はじめに】長胸神経麻痺とは、長胸神経が外傷等により損傷を受けることで前鋸筋の筋力低下をきたし、肩関節の屈曲、外転方向の運動が障害され、翼状肩甲骨等の臨床症状を呈す疾患である。一般的に外傷性の神経断裂がなければ2~3ヶ月、遅くとも6ヶ月程度で自然治癒してくるとされ、24~48ヶ月でほぼ回復するとされており、理学療法介入の機会は少ない。<BR>1998年に北村らは、8症例に対し保存的治療後5年間の経過を追ったが、治療成績には個体差がみられ、また、1995年にKuhnは二次的に上肢帯機能不全を呈す症例があると報告している。つまり、長胸神経麻痺症例がたどる経過や治癒成績は一定していないと考えられ、さらに理学療法の介入効果の報告は散見される程度である。今回長胸神経麻痺を呈した後に運動時の疼痛を主とする二次的な上肢帯機能不全の合併が疑われた症例を経験した。約8ヶ月間の理学療法介入を経験する機会を得たため、経過をまとめて報告する。 【症例紹介】症例は10歳代後半の男性で、平成21年5月上旬に左肩周辺に疼痛が出現し、上肢挙上困難となった。8月中旬に当院受診し、長胸神経麻痺と診断。その後、上肢安静、運動制限(良肢位保持)を行い約3ヵ月後より医師の指導で肩周囲の自主訓練を行ったが、機能改善に乏しく、同年12月中旬より理学療法開始となった。尚、今回の報告に際し、本人に口頭および紙面で説明し同意を得た。 【初期評価時現症(平成21年12月中旬)】左肩ROM(Active/Passive)は、屈曲80°P/120°P、外転60°P/70°P。徒手筋力テスト(MMT)は屈曲・外転4。握力(左/右)25/47kg。疼痛(NRS)は、左肩屈曲・外転・外旋の自動運動時に6~8で、翼状肩甲を認めた。筋持久力の評価を目的とし、連続して反復運動可能な回数(左/右)を評価した結果、肩屈曲2/53回、肩外転1/45回であった。 【経過】平成21年12月中旬より理学療法を開始。ホットパック、ストレッチ、マッサージ、他動・自動のROM訓練を40~60分、週4回実施した。理学療法介入より40病日で左肩屈曲・外転筋群の筋力がMMT5となり、59病日には、ROMが左肩自動屈曲120°、外転150°となった。84病日には左肩自動屈曲・外転ROMが150°になり、116病日には左肩自動屈曲・外転ともに170°まで改善した。116病日より前鋸筋を中心に筋力訓練を開始。127病日に明らかな翼状肩甲が消失し、左肩自動運動時痛も減少を認め(NRS 4~6)、左肩反復屈曲は15回、外転は12回まで可能となった。143病日には左肩自動屈曲、外転180°まで改善。189病日には左肩反復屈曲が25回まで可能となり、左肩運動時痛はNRS2~4となった。200病日には左肩反復外転20回となり、228病日に理学療法終了となった。 【最終評価時現症(平成22年7月下旬)】左肩ROM(Active/Passive)は、屈曲180°P/180°、外転180°P/180°。MMTは屈曲・外転5。握力(左/右)32/50kg。疼痛(NRS)は、肩屈曲・外転・外旋時に2~4で、明らかな翼状肩甲は消失。連続して反復運動可能な回数(左/右)は、肩屈曲25/48回、肩外転20/51回であった。 【考察】長胸神経麻痺後の症例に対して、約8ヶ月間の理学療法を実施した結果、MMTが介入後約40病日、ROMが約140病日まで改善を認めた。ROMの改善については、2009年に加古原らは過剰収縮のある筋群を抑制し、前鋸筋訓練を行うことで、長胸神経麻痺症例の肩ROMが大幅に改善したと報告している。本症例も、代償筋群へのリラクセーションや前鋸筋を中心とした訓練により、筋の過緊張が抑制され、ROMが改善したと考える。また、MMTにおいても、代償筋群の過剰収縮の軽減による筋出力の再調整、疼痛の軽減が改善の要因に挙げられるのではないかと考える。疼痛については、1995年にKuhnらは、長胸神経麻痺症例では、上肢帯運動時に代償筋群の過剰な収縮により、二次的に疼痛を起こす場合があると報告している。本症例は上肢帯拳上の際に、努力性の動作を認めたことから、代償筋群の過剰収縮が筋血流量の減少をもたらし、筋の収縮時痛が生じていると考える。また、筋血流量の減少により筋持久力の低下も招いている可能性が推測されるが、今回は客観的評価に乏しかったため、今後検討が必要である。 【まとめ】長胸神経麻痺で二次的な上肢帯機能不全がある症例に対して理学療法を行い、ROMとMMTの改善がみられた。一方で、疼痛や筋持久力低下などのさらなる障害も認めたため、今後は長胸神経麻痺に対してのリハビリテーションによる経過や効果等の検討を積み重ねていく必要がある。
著者
高木 大生 佐藤 理史 松崎 拓也
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.171-172, 2015-03-17

われわれは、コンピュータにショートショートを自動生成させることを目指している。ショートショートの自動生成には、プロットやキャラクター、時間、場所、文法知識など様々な背景知識が必要になる。われわれは、プロットとそれらの背景知識を持ち、ショートショートを自動生成するシステムを実装した。このシステムは、プロットを穴埋め式のテンプレートとして保持し、背景知識を用いてこの穴を埋め、物語を生成する。さらにこの時、一つ穴を埋める要素を変更することで、連鎖的に他の穴を埋める要素も変わり、一つのプロットから複数の物語を生成できる。
著者
辻 大士 高木 大資 近藤 尚己 丸山 佳子 井手 一茂 LINGLING 王 鶴群 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.383-393, 2022-05-15 (Released:2022-05-24)
参考文献数
40

目的 地域診断により要介護リスクを抱えた高齢者が多く居住する地域を特定し,モデル地区として重点的に通いの場の立ち上げや運営を支援することで,地域レベルの指標が改善し地域間の健康格差が縮小するかを検証することを目的とした。方法 神戸市と日本老年学的評価研究は,要介護認定を受けていない高齢者を対象に全市で実施したサンプリング郵送調査データを用い,市内78圏域(1圏域≒中学校区)の地域診断を行った。複数の要介護リスク指標で不良な値を示し,重点的な支援が必要と判断された16圏域を2014~19年度にかけてモデル地区として指定し,市・区・地域包括支援センター・研究者らが連携して通いの場の立ち上げや運営を支援した。さらに,4回(2011, 13, 16, 19年度)の同調査データ(各8,872人,10,572人,10,063人,5,759人)を用い,モデル地区(16圏域)と非モデル地区(62圏域)との間で,中間アウトカム9指標(社会参加3指標,社会的ネットワーク2指標,社会的サポート4指標)と健康アウトカム5指標(運動器の機能低下,低栄養,口腔機能低下,認知機能低下,うつ傾向)の経年推移を,線形混合効果モデルにより比較した。結果 2011,13年度調査では,全14指標中13指標でモデル地区は非モデル地区より不良な値を示していた。その差が2016,19年度調査にかけて縮小・解消し,年度×群の有意な交互作用が確認された指標は,中間アウトカム4指標(スポーツ・趣味関係のグループ参加,友人10人以上,情緒的サポート提供),健康アウトカム3指標(口腔機能低下,認知機能低下,うつ傾向)であった。たとえば,2011年度の趣味関係のグループ参加はモデル地区29.7%/非モデル地区35.0%であったが,2019年度には35.2%/36.1%と地域差が縮小した(P=0.008)。同様に,情緒的サポート提供は83.9%/87.0%が93.3%/93.3%(P=0.007),うつ傾向は31.4%/27.2%が18.6%/20.3%(P<0.001)となり,差が解消した。結論 地域診断により要介護リスクを抱えた高齢者が多く住む地域を特定し,住民主体の通いの場づくりを重点的に6年間推進することで,社会参加やネットワーク,サポートが醸成され,ひいては地域間の健康格差の是正に寄与したことが示唆された。
著者
高木 大 福田 諭 中丸 裕爾 犬山 征夫 間口 四郎 飯塚 桂司
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.675-681, 2001-06-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
19

釧路地方におけるアレルギー性鼻炎患者についてCAP RASTの陽性率を検討した. また当地方の花粉の飛散状況もあわせて調査し, 札幌での報告と比較し, その地域特異性について検討した. 平成10年4月1日から平成12年3月31日までに市立釧路総合病院耳鼻咽喉科を受診した患者でアレルギー性鼻炎様症状を示し, CAPRASTを施行した結果, アレルギー性鼻炎の診断を下した107名を対象とした. また, 釧路地方でのシラカンバとイネ科花粉について飛散量を調査し, 札幌での飛散量と比較検討した. CAP RASTの結果は花粉類の陽性率ではオオアワガエリが22.4%と最も高く, 以下ハルガヤ17.7%, タンポポ15.0%, シラカンバ14.0%, ヨモギ12.1%, ハンノキ11.2%, ブタクサ8.4%の順であった. シラカンバ花粉の飛散量は釧路では5月下旬から6月上旬にかけて飛散のピークがみられた. 札幌では4月下旬から5月にかけて飛散がみられ, ピークは5月上旬頃であり, 釧路では約2週間程度ピークが遅れていた. また, シラカンバRAST陽性患者の初診月は6月が多く, 時期的にも一致していた. イネ科花粉の飛散時期は釧路地方では札幌に比し約1カ月遅れていた. 釧路地方の花粉症ではイネ科花粉症が最も多く, シラカンバがそれに次ぐ形になっており, シラカンバ花粉症が近年増加している札幌周辺とは若干異なった結果になった. これらの結果については釧路地方の気候等の地域的特徴が影響しているものと思われた.
著者
地理ゼミ生 三浦 駿平 川畑 維吹 斎藤 優史 前園 太一 松田 信太朗 小島 隼 熊谷 暦太 高木 大成 高橋 航大 星 穣司 安藤 希 大内 星李 亀谷 伶央 佐藤 豪 浅川 俊夫
出版者
東北福祉大学教職課程支援室
雑誌
教職研究
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.45-61, 2020-03-31

「地誌」授業で、2016年度から世界の10か国及び日本の10都県の位置について、受講生がどの程度認識しているか調査してきた結果を、①高校での地理科目履修状況との関係、②正答率の経年変化、③誤答の傾向に分けて分析・考察した。①では、世界の地理認識について正答率が低い国で地理科目履修者の正答率が未履修者を上回る傾向がみられる。②では、変化パターンから、調査した10か国は、正答率が上昇傾向、低下傾向、調査年により上昇・低下、ほぼ一定の4グループに、10都県は、上昇傾向、調査年により上昇・低下、ほぼ一定の3グループに分けられる。③では、世界の地理認識について、正答の国に近接またはその国が属する地域の国を誤答、名称の似た地域・国を誤答、全く別の地域の国を誤答という三つの誤答パターンが、日本の地理認識については、隣接または正答の県が含まれる地方の県を誤答、全く別地方の県を誤答という二つの誤答パターンが認められる。
著者
高木 大資 辻 竜平 池田 謙一
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.36-45, 2010-08-31 (Released:2017-02-21)
被引用文献数
6

In this study, we examined crime control in local communities through interpretations mainly from social capital. Using data obtained from a mail survey in an urban area, we investigated the effects of cooperative behaviors promoted by individual-level or macro-level social capital in neighborhoods on the number of respondents' crime victimizations. The results show that the network size of cooperative acquaintances at the individual level promotes the number of respondents' cooperative behaviors. Moreover, having a neighborhood where greeting and standing talking are frequent promotes respondents' cooperative behaviors. It is also suggested that cooperative behaviors aggregated at the macro level have an inhibitory effect on the number of victimizations in terms of "burglaries of the communities."
著者
小松 文子 高木 大資 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1711-1725, 2010-09-15

情報セキュリティ対策は,安全なネットワークを使用するうえで必須である.これまで情報セキュリティ対策は,技術対策と組織などのマネジメントの局面から推進されてきたが,実行主体である利用者の実行がともなわないという現象が見られる.これを解決するためには,個人の意思決定のメカニズムを明らかにすることが有効であると考えられる.本研究では,情報セキュリティ対策を必要とするネットワークを社会的ジレンマ状況ととらえ,利得構造と個人の認知構造について実証調査分析をした.この結果,利得構造では,協力率が低い状況を説明できず,認知構造の調査では,社会的ジレンマ状況であることを支持する結果は得られなかった.しかし,利得構造は対策実行意図と整合し,また認知構造では特定の要素が実行意図へ影響を与えていることが分かったので報告する.
著者
久保 勇輔 高木 大輔 森上 亜城洋
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.84, 2012 (Released:2013-01-10)

【目的】 転倒セルフエフィカシーとは、転倒しないで日常生活をどのくらい行えるかという見込み感であり、セルフエフィカシー(自己効力感)や自信は身体機能と強く結びついている。自己効力感と身体活動量には関係性があると報告されているが、一方で身体活動をどのように維持するかという問題点も浮上している(竹中ら、2002:加藤ら、2006)。谷本ら(2010)によると、加齢に伴う身体組成の変化は、高齢者の生活機能障害に深く関わり、加齢に伴う筋肉量の減少と基本的ADLの障害は関連し、高齢期の健康づくりにおいては下肢筋肉量に着目した支援の必要性が報告されている。そこで筋肉量の増減が、高齢者の生活機能への変化を通して、自己効力感に影響を及ぼす可能性が推測されるため、本研究では加齢、筋肉量、自己効力感との関係性を検討した。なお本報告は、対象者に紙面、口頭にて説明し同意を受け、公立森町病院倫理委員会の承認を得た。【方法】 対象は、地域在住女性高齢者24名とし、年齢は71±9歳、身長は148.9±5.6㎝、体重48.4±7.4㎏であった。全身筋肉量は、BIA法(生体インピーダンス法)でデュアル周波数体組成計(TANITA:DC-320)を用いて測定した。Brown et al(1998)は、BIA法で推定した筋横断面積とCT法で測定した筋横断面積に有意な相関があることを報告している。転倒セルフエフィカシーに対しては、竹中ら(2002)が開発した転倒セルフエフィカシー尺度(FES:falls efficacy scale)を用いた。加齢、筋肉量、転倒セルフエフィカシー尺度の各々の関係において、Pearsonの積率相関係数で検討し、有意水準は、危険率5%未満にした。【結果】 加齢と全身筋肉量の間に、有意な負の相関を認め(r=-0.57, p<0.05)、加齢に伴い全身筋肉量が減少していた。また、筋肉量とFESには有意な正の相関を認め(r=0.44, p<0.05)、筋肉量が多い対象者は、動作に対して自信を持っていることが示された。【考察】 全身筋肉量が自己効力感に影響を及ぼす可能性が示唆された。高齢者では加齢に伴い筋肉量が減少し、身体活動量が減少することで自己効力感が低下することが推測される。自己効力感は多くの研究において運動参加への定着についての重要因子とされている。そこで本研究より高齢者においては、まず筋肉量を増やすことが生活機能障害、ADL障害を改善し、結果身体活動を通して自己効力感を向上できるのではないかと考える。一方で今回は、全身筋肉量について検討したが、加齢ではサルコペニアにより速筋線維は萎縮し(河野ら、2011)、遅筋線維は影響を受けない(Fujiwara et al, 2010)。高齢者では特に筋線維間の分布に差異を認めるため、今後は筋線維組成からの検討もしていきたい。また身体活動量に影響を及ぼす要因として、認知機能の低下や環境因子もあるため合わせて検討する必要がある。【まとめ】 今回、全身筋肉量と自己効力感に関係性があり、高齢者では筋肉量を増やすことが生活機能の改善を通して、自己効力感を変化させる可能性が示唆された。