著者
高木 正洋 津田 良夫 和田 義人
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.131-138, 1995
被引用文献数
10

ヒトスジシマカの分散と産卵を, 標識再捕獲法とオビトラップによる卵数調査の組合せによって調査した。吸血させた雌と雄を蛍光塗料でマークし, 長崎大学医学部キャンパス内のグビロガ丘に放逐した。20個のオビトラップを調査地域内に均一に配置し, 産卵数を放逐前2週間, 放逐後9日間調査した。また10ヵ所では人囮採集も行った。放逐前の卵および成虫密度, 放逐点からの距離を変数として, 放逐後各オビトラップで観察された産卵数, 再捕獲された成虫数について重回帰分析を行った。その結果, オビトラップの産卵数と放逐点からの距離の間に高い相関関係が見られた。再捕獲雌数は, 放逐後の2日間には放逐地点からの距離と, また放逐後4∿5日目には, 無マーク雌数と高い相関を示した。
著者
高木 正洋
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.66-78, 1985-03-10 (Released:2010-03-11)
参考文献数
49
被引用文献数
2
著者
高木 正洋 津田 良夫 和田 義人
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.223-228, 1995
参考文献数
12
被引用文献数
12

羽化後4∿5日齢の未吸血雌1,478頭を螢光塗料(0.5% Rhodamine B水溶液)でマークし, 長崎大学医学部キャンパス内のグビロガ丘に放逐した。再捕獲雌数の時間的変化および空間的な違いを調査するために, 固定した10ヵ所で9日間人囮採集を行った。その結果, 合計348頭(23.55%)の雌が再捕獲された。捕獲地点間で観察されたマーク個体数の違いを, 各捕獲地点の放逐地点からの距離とそこで捕獲された無マーク虫数を独立変数とした重回帰によって分析した。放逐地点からの距離の標準回帰係数は時間経過とともに低下し, 一方無マーク虫のそれは逆に高くなった。また, 再捕獲虫数の時間的変化を対数回帰分析し, 放逐地点および調査地域におけるマーク個体の生残確率を求めた。
著者
比嘉 由紀子 津田 良夫 都野 展子 高木 正洋
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.205-209, 2000
被引用文献数
4 16

1998年9月, 長崎大学熱帯医学研究所敷地内で家屋周辺の茂み及び裸地においてヒトスジシマカの24時間採集を行い, 周辺環境の異なる採集場所における吸血活動性と密度のちがいを調べた。ヒトスジシマカの密度は茂みで高く, 屋内や裸地で低かった。吸血活動は薄明薄暮に高まり, 夜も高かった。最も活動性が高い薄暮には, 統計的な有意差はみられないが, 昼間や夜間に比べて屋内や裸地で採集される雌個体の割合が高かった。以上の結果からヒトスジシマカの生態における夜間の吸血活動の重要性と薄明薄暮には茂み以外に裸地や屋内などでも吸血される機会が増加することが示唆された。
著者
大庭 伸也 松尾 公則 高木 正洋
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第63回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.49, 2011 (Released:2014-12-26)

休耕田を利用したビオトープは,水田耕作を辞めたために生息地が失われた水生昆虫や魚類,両生類など様々な水辺の生き物に新たな生息地を提供し,生き物観察会や体験学習など環境教育の場としても注目されている.しかし,ビオトープの造成は水田に類似した環境を創出するため,元来,水田を繁殖地としていた病原媒介蚊類に新たな繁殖地を提供することも意味するが,ビオトープから発生する蚊に関する研究はこれまでに全くなされていない.本講演では,ビオトープとその近隣の水田地帯の蚊類とその他の水生昆虫を中心に比較調査を行い,病原媒介蚊の繁殖地としてのビオトープについて考察する.長崎市相川町の休耕田ビオトープ(以下,ビオトープ)と比較対象として,ビオトープから最も近隣の水田地帯を調査地として選定とした.2009年4月から10月にかけて原則的に月に1度の頻度で調査を実施し,採集されたカ科の幼虫(ボウフラ)とその他の水生生物を可能な限り同定した. 水田地帯にみられるボウフラはビオトープにおいて全種が確認された.これは病原媒介蚊が水田と同じようにビオトープを繁殖地として利用していることを示唆している.しかし,ボウフラは水田よりも明らかにビオトープの方で少なく,低密度で推移することが分かった.その理由として考えられるのがボウフラの天敵水生昆虫(以下,天敵)の密度の違いである.天敵の密度は水田よりもビオトープの方で高く,安定していた.また,天敵の代替餌(カ科以外の双翅目とカゲロウ目の幼虫)の密度もビオトープの方で常に高いことが分かった.ビオトープでは豊富な代替餌が存在するため,ボウフラが少ない時期でもそれらが天敵の餌となり,天敵の密度低下が起こらないと考えられる.以上から,ビオトープは病原媒介蚊の発生源となりうるが,豊富で多様な天敵の存在により,水田よりもボウフラの密度が低く,突発的な密度上昇が起こりにくいことが示唆された.
著者
高木 正洋
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.7, 2009

日本の疾病媒介蚊研究は、多くの先人により業績が積み上げられてきた。国内や台湾などで繰り広げられたマラリア防遏事業に関わっての媒介蚊研究から数えれば、その歴史は今やほぼ一世紀である。特に第二次世界大戦後の1950年頃からの進捗はめざましく、日本衛生動物学会もこの時期に大いなる充実を果たした。中でも山田信一郎博士らに始まり戦後に跨る日本脳炎の疫学とその媒介蚊の研究の成果は、広範かつ組織的に行われた研究スタイルと共に、世界に誇るべき学術的果実のひとつといってよいであろう。<BR> それから約半世紀、日本の環境は大きく変わった。それに伴って蚊媒介性感染症と媒介蚊の発生様相も劇的に様変わりしてきた。国内のマラリアや日本脳炎は駆逐、或いは激減した。しかし一方では、温暖化の進行と軌を一にして、デング熱やチクングニャ熱を媒介するヒトスジシマカの北方への分布拡大が確認されている。また海の向こう、熱帯を中心として数々の感染症とその媒介蚊が相変わらず我々を取り囲んでおり、しかもその間を半世紀前とは比較にならない規模で人と物が行き交うという現実もある。今の日本は不気味な空白のただ中に置かれている、という表現が当たっているように感じるのである。間断無き侵入監視の強化とともに、1960年代に負けない活発な研究を、グローバルな視点で再構築することが何よりも大切な時期にさしかかっているのではないだろうか。<BR> このシンポジウムは、上記のような認識に立って企画された。我々には、日本における媒介蚊研究の隆盛期以来ずっと今日まで日本の蚊学を支え、余人及ばぬ造詣を蓄えられた先輩があり、他方、気鋭の蚊学者による国際的な評価に能うべき研究成果も次々に挙がってきている。ここでは、それらの蚊学者のうち5名の会員にお願いし、媒介蚊の研究は過去どのように進展してきたかについて学び、加えて今、そして未来に向けグローバルな視野に立った蚊研究は何をすべきなのだろうかを、二、三の疾病を例にあげて討議を試みる。<BR> この討議が今後斯学の発展に寄与するだけではなく、多くの疾病流行地での研究向上に資すること、そして疾病対策や媒介蚊駆除戦略の再検討に役立つことを期待している。
著者
今井 長兵衛 池本 孝哉 高木 正洋 矢麦 寿雄 POHAN Wesly HASIBUAN Halomoan SIRAIT Halomoan PANJAITAN Willem
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.293-300, 1988
被引用文献数
2 12

インドネシア国北スマトラ州の1海岸村落に生息するマラリア媒介蚊Anopheles sundaicusの発生源を, 日本・インドネシア共同, 北スマトラ地域保健プロジェクトの一環として, 1980&acd;1985年に調べた。主要発生源は開放的な氾濫原, ココヤシ裁培用の灌漑水路, 自家消費用の小規模な養魚池, 道端の水たまりであり, これらはいずれも年間の最高潮位かそれと同等の高潮位のときにのみ。潮汐作用の影響を受ける高塩分濃度止水域に分布していた。他方, 毎日の潮の干満の影響を受ける感潮域低湿地, 自然植生に密に被覆された水域, 水田, および低塩分濃度(おおむね0.1%以下)の水域に位置する養魚池は発生源として不適であった。浮游藻類やウキクサ等は時に幼虫と共存していたが, それらの繁茂していない水域に, より多数の幼虫が生息していた。好適な発生源は年間最高に近い潮位が記録された直後の1985年5月においても, 感潮域低湿地に沿った地域や河口付近など, 比較的限られた地域にのみ分布していた。
著者
津田 良夫 沢辺 京子 高木 正洋 杉山 章 江下 優樹 都野 展子
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

野外のネッタイシマカ集団が有する斑紋変異の現状をベトナム、インドネシア、ラオス、シンガポール、フィリピン、タイを調査地として調べた。その結果大陸に位置する調査地(ベトナム、タイ、ラオス)では、体色の黒い個体が集団の95%以上を占めていることがわかった。これに対して島嶼に位置する調査地(フィリピン、インドネシア)では白色化した個体の割合が高く変異の幅も広いことがわかった。インドネシア、ベトナム、タイで採集された個体を親世代として、それぞれの集団に対して体色のより黒い個体あるいはより白い個体の人為淘汰を行った結果、どの地域の集団からも黒色個体と白色個体を選抜することができた。スラバヤの集団より選抜された黒色系統と白色系統を用いて、個体群形質の比較を行った。その結果、(1)白色系統は黒色系統に比べて発育が遅い、(2)砂糖水だけで飼育したときの寿命はほぼ同じ、(3)繰り返し吸血させ産卵させた場合は白色系統の寿命の方が短い、(4)成虫の令別生残率と令別産卵数とから求めた繁殖能力は黒色系統の方が大きいことがわかった。白色系統と黒色系統の産卵場所選択について調べるために、インドネシア・アイルランガー大学の動物舎でmark-release-recapture実験を行った。黒色個体は放逐場所に最も近い屋内に設置したオビトラップに集中的に産卵したが、約40m離れた屋外のオビトラップにも産卵していた。一方白色個体は動物舎内の比較的明るい場所に設置したオビトラップにより多く産卵し、屋外のトラップへの産卵はごくわずかであった。野外集団のデング熱ウイルス媒介能力を成虫のトラップ調査によって実施するためには二酸化炭素源が必要であり、簡便に二酸化炭素を発生できる装置を考案し定期調査を実施した。
著者
Suwonkerd Wannapa Prajakwong Somsak 津田 良夫 高木 正洋
出版者
日本熱帯医学会
雑誌
日本熱帯医学会雑誌 (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.113-115, 1997-09-15

A field study was carried out in 2 villages of Phare Province, Thailand to evaluate effect of the residual spraying of a microcapsulated formulation of 20% fenitrothion (Sumithion 20 MC(R)) on Anopheles minimus populations. In the treatment village, houses were sprayed with 1g/m2 of fenitrothion, except for 2 houses which were selected to spray with 0.5g/m2 of fenitrothion for comparative bio-assay test. The results of bio-assay test showed that mortality of An. minimus was 100% in 1g/m2-30 miniutes until 4 months after the spray. The growth rate of An. minimus population during the first 4 months of the study period in the treatment village was lower than that in the control area. These results suggested that the residual spray of fenitrothion microcapsules at the beginning of the dry season was effective at least for 4 months after the spray and could suppress the density of An. minimus.