著者
園田 吉弘 滝川 清 荒巻 智子 川崎 信二 齋藤 孝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_1164-I_1169, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1981~2008年の東シナ海北部海面水温,有明・八代海海域の水温,塩分,潮位および周辺陸域の気温,流入河川の流量データを用いてMann-Kendall検定,均質性検定等の統計解析を行い,東シナ海北部海面水温および気温と有明・八代海の水温の関連性,潮位変動と水温変動の関連性,塩分と流入河川の流量の関連性を検討した.検討の結果,有明・八代海海域の水温変動は,東シナ海北部の海面水温,周辺陸域の気温の変動の影響を強く受けており,その傾向は八代海でより顕著であることがわかった.また,潮位の上昇は,水温の上昇と同時かあるいはやや遅れて出現しており,水温変動が潮位変動の要因の一つである可能性が示唆された.有明・八代海湾口部の塩分の経年変動に,筑後川,球磨川からの河川流量の経年変動の影響が現れ,特に,梅雨期においてその傾向が顕著である.
著者
齋藤 孝
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.287-294,368, 1999

この論文の目的は,「身体知としての教養(ドイツ語で言えば,ビルドゥング)」という概念の意義を明らかにすること,および,日本の伝統的な教養と教育を検討することによって,私たちによって生きられている身体の重要な役割を教育学の文脈に位置づけることである。 この概念には,二つの主な効果がある。一つの効果は,身体的な経験を通して獲得された知恵を一つの教養としてみなすようになることである。もう一つの効果は,たとえば音読や古典的な詩歌の暗誦のように,古典的な教養を学ぶ上での,私たちによって生きられている身体の重要性を評価するようになることである。生きられている身体というのは,メルロー=ポンティの『知覚の現象学』の中心概念である。「身体知としての教養」という概念は,私たちによって生きられている身体によって基礎づけられているものである。 教養というのは,通常は,多くのスタンダードな書物を読むによって得られた幅広い知識の問題とみなされている。しかし,19世紀までは,日本人にとって,五感を通して,言い換えれば,生きられた身体を通して学ぶことが非常に重要であった。日本の伝統的な学習法では,知の問題は,身体の問題と切り離すことのできないものであった。かつての日本人にとっては,教養をつけるということは,日々の生活の中で自分が生きている身体を耕すことを意味していた。それゆえに,教養ある人間には,何らかの身体的なアート(技芸)を経験していることが期待されていた。身体的な技を反復練習によって向上させる,まさにそのプロセスが,教養の概念の中心だったのである。 「身体知としての教養」という概念を代表する典型的な日本人は,卓越した小学校教師であった芦田恵之助(1873-1951)である。かれは,伝統的な呼吸法を応用したある特定の身体的実践を訓練した。そして,その身体的実践が自分自身の心身の健康にとってのみならず,教育にとって重要であると考えた。身体の基本的な技法が,自己のテクノロジーの中核であった。彼にとって,またかつての日本人の大部分にとって,教養は,心身を耕すことを意味していたのである。
著者
齋藤 孝義 丸山 仁司 菅沼 一男 鈴木 知也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.389-392, 2014 (Released:2014-07-03)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕考案した「座位での連続底背屈運動テスト」の測定値の再現性を検討することとした.〔対象〕65歳以上の高齢者の検者内再現性は16名(男性1名,女性15名),検者間再現性は14名(男性2名,女性12名)とした.〔方法〕検者内再現性の測定は1名の検者が2日間以上の間隔をあけて2日間行い,検者間再現性の測定は1名の被検者に対し,2名の検者がそれぞれ2回の測定を行った.検者内再現性および検者間再現性の評価は級内相関係数のそれぞれ,ICC(1,1)およびICC(2,1)により行った.〔結果〕検者内再現性の級内相関係数ICC(1,1)は,0.915,検者間再現性ICC(2,1)は0.932であった.〔結語〕再現性は良好であり,簡便かつ安全に実施でき,臨床の現場でも有用であると考えられる.
著者
齋藤 孝義 丸山 仁司 菅沼 一男 鈴木 知也 佐野 徳雄 岩瀬 洋樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.805-808, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

〔目的〕本研究は,座位での連続底背屈運動テストを転倒予測として用いることができるのか検証することを目的とした.〔対象〕対象者は65歳以上の高齢者50名とした.〔方法〕転倒群と非転倒群に分け,連続底背屈テスト,timed up & go test,functional reach test,5 m全力歩行テスト,立位つま先テストを評価した.その後,転倒と関係についてロジスティック回帰分析を用いて検討した. 〔結果〕2群間で全ての運動機能に差が認められた.ロジスティック回帰分析の結果,転倒の有無に影響する変数として底背屈テスト,立位テストが選択された.〔結語〕連続底背屈テストは座位で行なうことができ,安全,簡便に理学療法士以外でも実施できる転倒予測指標として有益であると考えた.
著者
古澤喜明 小川梨恵 金子洋平 齋藤孝道
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.571-572, 2014-03-11

SSL/TLSなどのセキュリティプロトコルでは,通信に乱数生成および暗号化/復号といった高負荷な演算処理を伴うため,システム全体のパフォーマンスの低下やスループットの低下を招くことがある.解決策の一つとして,暗号処理に最適化されたモジュールにオフロードする方法がある.本論文では,HTTPS通信におけるオフロードの効果を評価するため,SSL/TLSを用いた通信を解析し,通信全体における暗号処理の割合を計測した.さらに,オフロードの有無により,オフロードがHTTPS通信全体にどの程度パフォーマンス向上に寄与するかを考察した.
著者
平 俊介 高須 航 山田 智隆 武居 直樹 西倉 祐太 石川 貴之 細井 理央 安田 昂樹 高橋 和司 齋藤 孝道
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.601-602, 2016-03-10

JavaScriptを用いることで利用者のキー入力を秘密裏に採取する,所謂JavaScriptキーロガーがある.Webサイトの改ざんに伴うスクリプト挿入攻撃は数多く報告されており,攻撃者によりJavaScriptキーロガーが挿入された場合,利用者が認証に用いるIDやパスワードのパターンを採取されてしまうので,Webサイト運営者のみならず,利用者側でも対策を行うことが望ましい.本論文では,ブラウザ側での対策として,アクセスしたWebサイト上のHTMLやJavaScriptの解析,及び,疑わしいリクエストを特定し,JavaScriptキーロガーの検知を行うブラウザ拡張機能の提案及び実装を行う.
著者
齋藤 孝
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.44-45, 2011
参考文献数
3

科学の祭典の実践の中から,子供たちの興味関心の一つに,野球の変化球やサッカーのループシュートがあることを知った。なぜ曲がるかを,19世紀に砲弾の研究から発見されたというマグナスの効果(H.G.MAGNAS 1852年ドイツ)で説明することにした。そのために従来の実験に加え新しく回転できる風船を作り,その場で曲がることを実演し,子供たちの理解増進を図ろうとするものである。
著者
齋藤 孝正
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.185-198, 2001-03-30

日本における施釉陶器の成立は7世紀後半における緑釉陶器生産の開始を始まりとする。かつては唐三彩の影響下に奈良時代に成立した三彩(奈良三彩)を以て,緑釉と同時に発生したとする考え方が有力であったが,今日では川原寺出土の緑釉波文塼や藤原京出土の緑釉円面硯などの資料から,朝鮮半島南部の技術を導入して緑釉陶器が奈良三彩に先行して成立したとする考え方が一般化しつつある。なおこの時期の製品は塼や円面硯などの極僅かな器種が知られるのみである。奈良時代に入ると新たに奈良三彩が登場する。唐三彩は既に7世紀末には早くも日本に舶載されていたことが近年明らかにされたが,新たに三彩技術を中国より導入し成立したと考えられる。年代の判明する最古の資料は神亀6年(729)銘の墓誌を伴う小治田安万呂墓出土の三彩小壺であるが,その開始が奈良時代初めに遡る可能性は十分に存在する。奈良三彩の器形は唐三彩を直接模倣したものはほとんど見られず従来の須恵器や土師器,あるいは金属製品に由来するものが主体となる。ここに従来日本に存在しなかった器形のみを新たに直接模倣するという中国陶磁に対する日本の基本的な受け入れ方を見て取ることができる。奈良三彩は寺院・宮殿・官衙を中心に出土し国家や貴族が行なう祭祀・儀式や高級火葬蔵壺器として用いられた。なお,先の緑釉陶器の含め三彩陶器を生産した窯跡は未発見である。平安時代に入ると三彩陶器で中心をなした緑釉のみが残り,越州窯青磁を主体とする新たな舶載陶磁器の影響下に椀・皿類を主体とする新たな緑釉陶器生産が展開する。生産地もそれまでの平安京近郊から次第に尾張の猿投窯や近江の蒲生窯などに拡散し,近年では長門周防における生産も確実視されるようになった。中でも猿投窯においては華麗な宝相華文を陰刻した最高級の製品を作り出して日本各地に供給しその生産の中心地となった。The glazed pottery first appeared in Japan in the latter half of the seventh century, these were green-glazed pottery. Before it was strongly believed that Nara sants'ai began to be made with the introduction of the Chinese Tang sant'sai technique in the Nara Period at the same time with green-glazed pottery. But now it is generally believed that green-glazed pottery appeared in Japan before Nara sants'ai with the introduction of the green-glazed technique of the southern Korean Peninsula, by the green-glazed tiles excavated at Kawaharadera Temple and the green-glazed circular ink slab excavated at Fujiwara capital, these were in the latter half of the seventh century. Today it is known by the archeological excavation that Chinese Tang sant'sai was brought to Japan by the end of the seventh century.The oldest Nara sants'ai pottery is the small vase dated 729 excavated at Owarida-no-Yasumaro grave, but it is possible to have been made in the early Nara Period. The shapes of Nara sants'ai are derived mainly from Sue ware and Haji pottery, or metal works that were popular in Nara Period, but few are imitated directly from the Chinese Tang sant'sai. We can understand that the Japanese newly imitated directly only the shape of Chinese ceramics that was not in Japan. In the Heian Period, Yueh kiln celadon were imported from China, and these Chinese ceramics greatly influenced the manufacture of green-glazed pottery, that was the main glaze of Nara sant'sai, like bowls and dishes. The green-glaze technique spread from the surrounding areas of Heian capital to the Sanage kilns in Aichi prefecture, Omi kilns in Shiga Prefecture, Nagato kilns and Suo kilns in Yamaguchi Prefecture. The Sanage kilns was the main that produced the highest green-glazed pottery elegantly inscribed floral pattern.
著者
齋藤 孝晶 小谷野 憲一 松田 巌
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.474-478, 2003-02-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2

症例は12歳,男児.右下腹部痛を主訴に1996年5月30日当院外科外来を受診した.腹部US, CTで回盲部に3×5cmの腫瘤を認め, WBC 15, 300, CRP 10.1と高値であった.全麻下に腫大した虫垂とこれに癒着していた腫瘤状の大網を切除し, 7病日目に退院となった.しかしその翌日,発熱と下腹部痛のために再入院し, CTで左腸腰筋前面に膿瘍を認め,手術時の摘出標本の病理組織検査では大網の炎症性肉芽腫の中に放線菌のコロニーが認められた.以後放線菌症の診断にて保存的加療を行い軽快した.小児の腹部放線菌症は稀な疾患であるが,炎症を伴う腹部腫瘤の鑑別疾患として念頭に置くべきである.
著者
園田 吉弘 滝川 清 齋藤 孝 青山 千春
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1026-I_1030, 2012

We examined fluctuation about sedimentary environment and benthic biota of the Okigamisenishi point in Inner Ariake Sea. and focused on the impact of formation of oxygen-deficient water and resuspension of fine sediments with the typhoon in Summer 2006. As a result, about the relation between oxygen-deficient water and benthos, benthos with poor mobility as Annelida, Mollusca fluctuated corresponding to change of dissolved oxygen, while Arthropod escaped from the ocean space of oxygen-deficient water. About the relation between water contet of fine sediments and benthos, decrease in water content was increased the stability of the sediments, and benthic species and population increased. Dissolved oxygen and water content are an important environmental factors of the benthic habitat.
著者
塚本耕司 後藤浩行 齋藤孝道
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.611-613, 2013-03-06

本論文では, ユーザの行動追跡を行う上での新たな特徴点の一つとして, JavaScriptベンチマークであるsunspiderの結果を用いたユーザのCPUを推定する手法を提案し,その実装を示す.
著者
齋藤 孝道 鬼頭 利之 萩谷 昌己 溝口 文雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1118-1126, 2006-04-15

ネットワーク通信における安全性確保のためのセキュリティプロトコルとして,SSH(Secure SHell)がある.サーバとクライアント間でのバルク通信に先立ち行われるSSH Handshake の過程で,サーバ認証の後,ユーザ認証を行う.ユーザ認証には,パスワードを用いた方式と公開鍵を用いた方式があり,そのどちらかを行うことにより,相互認証を達成し,安全な通信を行うことができるとされている.しかしながら,SSH パスワードユーザ認証には,プロトコルの設計上の問題により,脆弱性があることが確認できた.本論文では,SSH パスワードユーザ認証における攻撃を具体的に示したうえで,攻撃モデルに基づき,その攻撃の特徴を明確にする.さらに,その原因を特定し,修正を提案する.Although some flaws have been found out in SSH (Secure SHell), there is not so much discussion about its architecture or design security. Therefore, in this paper, reconsidering the SSH handshake, we analyse some critical flaws of the SSH password-based user authentication, and show the reason by three types of attack modeles.
著者
齋藤 孝道
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

昨今のCPUアーキテクチャの多様化の中で,コア内に暗号処理を専ら行うモジュール(以降,暗号モジュールと呼ぶ)を持つプロセッサがいくつか登場した.この種のプロセッサでは,暗号処理以外の処理は汎用モジュールで行い,処理速度の要求される暗号処理は暗号モジュールで行うことにより,プロセッサ全体で処理速度の向上を狙っている.しかしながら,既存のソフトウエアの多くは,この種のプロセッサ向けに設計されておらず,一般的に,暗号モジュールを活用するためにはソフトウエアを改修するなどの処置が必要となる.本研究では,コアの中に暗号モジュールを一つ持つプロセッサにおいて,暗号ライブラリの処理の一部を透過的に暗号モジュールへオフロードし暗号処理を行う仕組みを提案し,その実装と評価を行い,効果があることを確認した.