著者
野村 浩司 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.709-712, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
13

現在, 首都直下型地震などの巨大地震の発生が危惧されており, 特に都市部で発生する地震が日本経済へ及ぼす影響は大きい.本研究では, 兵庫県南部地震を対象として, 地震前後での土地価格の変動率関数を作成し, 地震が土地価格に及ぼす影響を分析した.地震直後の1996年は建物被害程度が大きいほど土地価格が下落したが, 2年目の1997年には全壊・全焼率が高い地域では土地価格の下落が止まる一方で, 半壊率が高い地域では下落し続けた.3年目以降は, 全壊・全焼率の高い地域から土地価格が回復し始めたが, 半壊率の高い地域では土地価格の回復に遅れが見られ, これは地域の復旧・復興の遅れによるものと考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
林 世彬 須田 義大 横溝 英明 小宮 浩資 平山 幸司
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.111-116, 2019-03-01 (Released:2019-03-30)
参考文献数
3

昨今高速バスの都市間輸送における大幅な進展がみられるが,今後バス運転手の確保の課題や,より一層の安全性やサービスの向上を考慮すると,現在,産官学で鋭意開発され,実装化が期待される自動運転技術を導入することが有益であると考えられる.本稿では,内閣官房.ITS 戦略室によるロードマップ,制度整備大綱や,経済産業省.国道交通省で進められている隊列走行トラックの技術開発状況などを踏まえて,実装化に向けたコンセプトを検討した.
著者
井原 毅 沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.367-370, 2010

近年,大きな地震により列車の脱線,高架橋の損壊,軌道変状,盛土の崩壊などの被害が報告されている.幸い鉄道利用者に被害は出ていないが,ダイヤが混み合う時間帯に大地震が発生した場合,鉄道利用者に甚大な被害が出る可能性がある.本研究では,通勤ラッシュ時に走行する列車に衝撃が加わった状況を想定し,楕円形個別要素法による群衆行動解析モデルを用いて満員電車内の乗客の挙動を追跡し,人体に作用する力を考察した.解析の結果,車両が傾くことで乗客に大きな被害が出る可能性があることが示された.また,つり革を増設することで車両の傾きが20度の場合には乗客に作用する力を軽減できることがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
齋藤 成文
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.266-271, 1999-05-01

50周年誌
著者
沼田 宗純 井上 雅志 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.257-265, 2018-07-01 (Released:2018-08-01)
参考文献数
3

2016 年4 月14 日21 時26 分に熊本県と大分県で発生した地震では,初動対応における物資輸送に関しプッシュ型の物資輸送が行われた.本研究では,プッシュ型物資輸送のオペレーションの課題を整理し,円滑なプッシュ型物資輸送を実現するための要件定義を行った.大規模災害時に単に物資を被災地に送れば良い訳ではなく,要件が成立して初めてプッシュ型の物資輸送も機能する.首都直下地震や南海トラフなどの大規模災害に対してもプッシュ型の支援は必要となるが,円滑に実施するためにも本論で定義した要件の確認は必須である.
著者
小根山 裕之 新倉 聡 柳原 正実 大口 敬
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.269-274, 2020-05-01 (Released:2020-06-13)
参考文献数
8
被引用文献数
2

信号灯器位置の違いによる運転挙動の違いを実車実験により実証することを目的に,東京大学柏キャンパスの生産技術研究所(当時,千葉実験所)の試験走路を用いて,far とnear の信号灯器位置の違いによる運転者の挙動の違いを実証分析する.青信号表示終了時の切替り時の通過・停止の判断は,far に比べてnear では停止線から離れていても通過を判断し,最終通過時刻が遅くなること,青信号表示開始時の発進挙動に交差側信号表示の視認性による違いが見られること,および,青信号表示終了時に対応直進車両の停止を確認後の右折挙動では,near の右折開始がfar より1 秒ほど遅いことが確認された.
著者
桑野 玲子
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.575-578, 2010-11-01 (Released:2011-05-12)
参考文献数
2

2009年6月17日,東京大学生産技術研究所コンベンションホールにて,英国インペリアルカレッジ名誉教授のJohn.B.Burland氏による講演会“Rescuing the Leaning Tower of Pisa -the inside story”が開催された.イタリアのピサの斜塔は,12世紀の建設初期段階から傾き始めていたが,1990年には倒壊が危惧されついに観光客に対して閉鎖される事態に至った.Burland教授は,斜塔の安定に関して召集された国際検討委員会に委員として参加され,基礎の安定の見地から,観光客に気づかれない範囲で傾きを戻して恒久的安定を確保するという困難な課題に取り組まれた.建設当初から断続的に南側に傾き続けてきたピサの斜塔は,その800年におよぶ歴史の中でおそらく初めて北側に少し回復し,倒壊という破滅的状況を間一髪で免れ,検討委員会他多くの人々の10年に及ぶ斜塔との格闘がようやく終結した.講演会では,その一連の取組みについて,ご紹介いただいた.本報告は,その講演内容の概要を記すものである.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
越 正毅 赤羽 弘和 桑原 雅夫
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.p753-760, 1989-10
被引用文献数
2

東京都心部および東京周辺の行楽地における実地調査により交通渋滞の現状を定量的に把握し、それに基づいて渋滞対策を検討した。その結果、路上駐車の排除、交通信号機の調整、交差点の改良、そして適切な迂回路の設置・誘導などの対策により、現有の道路施設の交通処理能力をフルに活かせば、短期間に渋滞を大幅に緩和、あるいは解消することが十分に可能であることが明らかとなった。
著者
近江 崇宏
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.151-155, 2018-05-01 (Released:2018-05-30)
参考文献数
11

近年,高頻度金融データと呼ばれる取引単位の大規模データが利用可能になったことを背景として,このようなデータを解析するための手法が求められている.その中で最近,点過程が高頻度金融データを解析する有用な手法として注目を浴びている.点過程はある注目する事象が発生するタイミングを記述する確率モデルであり,その一種であるHawkes(ホークス)過程は実際に観測されるようなクラスター状に起こる取引や注文の発生パターンを再現できる.この解説ではこのような点過程を用いたモデリングについての簡単なレビューを行うとともに,それを用いた高頻度金融データの解析に関する私たちの研究についての解説を行う.
著者
加藤 孝明
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.429-432, 2012

2012年1月大手新聞社は科学的知見をもとに「マグニチュード (M) 7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生する」と報道した. その後追随したマスコミは, 「東京湾北部地震」を「首都直下地震」として取り扱って報道した. 明らかな誤解である.<br>ここでいう「首都直下地震」は, 首都圏のどこかで起こる直下型地震のことをいう. 一般に直下地震の強震範囲は限定され, 首都圏全体が強震するわけではない. したがって, ある場所から十分に遠くで地震が起こっても被害は生じない. 4年で70%の発生確率の地震は, そういう地震をすべて含んだものである. 「東京湾北部地震」の発生確率ではないし, ある特定の場所が強震する確率ではない.<br> 今回の一連の報道は, 一見, 社会全体として防災意識を高め, 防災対策の推進に寄与したと言えそうだが, その一方で, 負の側面がある. 科学的な知識が正しく社会に伝わっていない. 対策推進に寄与したことは免責にならない. 科学的に正しい知識をもって防災意識を啓発し, 同時に防災対策を推進できる状況をつくることが本来の状況である.<br>本稿では, 1月23日報道の情報ソースのいう確率とその後の報道の確率の違いが異なることを解説した上で, 「M7級首都直下地震の発生確率」と「首都圏内のある特定の場所 (或いは, 地域) がM7級首都直下地震によって強震する確率」との関係を示し, 地震の発生確率の適切な提示の仕方について論考する.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
古関 潤一 ファウジ ウサマジュニアンシャー 佐藤 剛司 宮下 千花
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.565-568, 2014-11-01 (Released:2015-01-15)
参考文献数
2

浚渫土を用いて埋立てた砂質地盤が分級堆積構造を有している点に着目し,実際に液状化した埋立て砂質土を用いた2 種類の再構成供試体の非排水繰返し中空ねじり試験を実施した.浚渫埋め立て地盤を模擬する水中落下法で作成した不均質な供試体は,湿潤突き固め法でほぼ同一の平均相対密度となるように作成した比較的均質な供試体よりも液状化強度が高かった.不均質な供試体の試験では,堆積中の分級作用で生じた上部シルト薄層における局所的な変形量が,その下の砂層部分の変形量よりも大きかった.
著者
福元 和真 川崎 洋 小野 晋太郎 子安 大士 池内 克史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.105-111, 2015-03-01 (Released:2015-03-30)
参考文献数
10

近年,ドライブレコーダーなどの車載カメラの増加とWeb による画像や動画の共有サービスの一般化により,世界中の都市の風景画像や映像をインターネットから取得することが出来るようになってきた.これらの情報は,都市の三次元モデル生成への応用や,地図の頻繁な更新,あるいは景観シミュレーションへの応用が期待出来るが,そのためには撮影された位置の情報が必要となる.しかし,必ずしもこのような情報が付加されているとは限らない.そこで,このようなシーンの情報から撮影位置を同定する研究が盛んに行われているが,複数の都市の画像や映像の同定に成功した事例はほとんど知られていない.そこで,本論文では世界中の画像を対象として,大域的な位置推定を行うことを目標とし,その国ごとの識別をすることを目標にする.提案手法では,ストリートビュー画像から各都市の情報をランダムフォレストを用いて学習させ,撮影位置の不明な画像の撮影場所の推定を行う.実験では15 都市の画像を用いて検証を行った.
著者
安藝 雅彦 中野 公彦 須田 義大 岸波 友紀 高須賀 直一 磯貝 俊樹 川合 健夫 小野口 一則 青木 啓二
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.105-107, 2013-03-01 (Released:2013-06-19)
参考文献数
4

本稿は専用道における大型車両自動運転のためのセンサシステムのフィージビリティスタディ環境構築の報告である.エネルギーITS 推進事業「自動運転・隊列走行に向けた研究開発」において,これまで開発した技術実証の場として,専用道を走行するダブルストレーラを対象に自動運転のためのセンシングシステム検証のために長期計測環境を構築したので報告する.