著者
増田 隆志 村田 和久 松田 昭男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.3, pp.328-330, 1990-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The hydrogenation of carbon monoxide has been investigated using Rh4(CO)12 catalyst in 1-methylpyrrolidine (MPD) solvent at temperatures of 210-270°C and syngas pressures of 500-1800 kg/cm2 (H2/CO=1). The Rh4(CO)12-MPD system showed a high catalytic activity for ethylene glycol (EG) formation at a low catalyst concentration. Oxygenated compounds such as methanol (MeOH), methyl formate, ethanol (EtOH), ethylene glycol monoformate, 1-propanol, 1, 2 -propanediol (PD), and glycerol (GL) were formed as the by-p roduct. The selectivity to EG increased as the reaction pressure increased. Increasing reaction pressure increased the selectivity to GL and PD and diminished that to MeOH. Increasing reaction temperature diminished the selectivity to EG and Me0H and increased that to EtOH.
著者
榎田 年男 廣橋 亮
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.2, pp.211-218, 1990-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
2

2種類の結晶性を持つオキソチタニウムフタロシアニンについて結晶の配列状態や結晶性による諸物性の違いを粉末X線回折や分光学的,核磁気的,光電子的分析法により検討した。その結果,従来まで詳細な研究が行われていなかった四価金属フタロシアニンの結晶性が明確になり,二衝金属フタロシアニンと同様に熱的に安定なβ形と準安定なα形の存在を特定することができた。また,示差走査熱量分,-析の発熱ピークにより α形は230℃ でβ形に結晶転移することを確認した。
著者
塘 久夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.11, pp.1691-1696, 1981
被引用文献数
1

疎水部多鎖構造を有する界面活性剤であるポリ(オキシエチレン)硬化ヒマシ油(EC)およびポリ(オキシエチレン)ソルビトール=テトラオレアート(ESTO)の水への溶存状態を,偏光顕微鏡およびDSCにより検討し,2成分系の相図を得,これらの界面活性剤の溶解挙動をポリ(オキシエチレン)ノニルフェノニルエーテル(NP)との比較において考察した。その結果,溶存状態はいずれの界面活性剤も親水基鎖長の増加にともない,低濃度ではconcentriclamella液晶分散系からミセル溶液へ,高濃度においてはニート相液晶からミドル相液晶,さらにはミセル溶液へと変化した。これは会合体の会合数の減少という方向の変化として説明できた。一方,疎水部の多鎖化により会合数は増大した。曇点がほぼ同じであるNP,ECおよびESTOを同じ組成で比較すると,NPでミセル溶液となる組成でECではミドル相ESTOではニート相の液晶となり,またNPでミドル梢液晶となる組成においてtEC,ESTOともにニート相液晶を形成した。このことはH/Lバランスが同じでも多疎水鎖型界面活性剤の方が疎水的に作用することを示唆した。
著者
松下 一郎 大野 淳 佐藤 正壽 吉原 佐知雄 白樫 高史
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.9, pp.603-608, 1997
被引用文献数
1

本研究では,水晶振動子マイクロバラソス(QCM)法をエマルションの調製過程における経時変化のモニタリングに使用することを試みた.W/O型エマルションの場合,試料として,水相には塩化ナトリウム水溶液,油相には流動パラフィン:ケロシン=9:1の混合油を,また,乳化剤にはソルビタンセスキオレアートを用いた.O/W型エマルションの場合,水相には蒸留水,油相には流動パラフィン,乳化剤にはテトラオレイン酸ポリ(オキシエチレン)ソルビトールを用いた,油相または水相と乳化剤中に白金QCM電極と撮牟器のプロペラを挿入し,撹拝しながら,水相または油相をビュレットを用いて滴下していく過程に対してQCM法を用いて,その共振周波数を測定した.W/O型エマルションにおける共振周波数変化は,乳化初期から一時的に上昇を示し,その後は,水相滴下終了(水相比率60vol%)まで減少を示し,その後は緩やかな減少を示した.O/W型エマルションにおける共振周波数変化は,油相滴下終了までは上昇を示し,その後はわずかな減少を示した.一般的に,共振周波数は,その接する液体の密度の上昇により減少し,その接する液体の粘度の上昇により減少することが知られている.よって,本研究における周波数変化は,油相に水相を滴下していくことによるパルクの密度上昇,または,水相に油相を滴下していくことによるバルクの密度減少による効果およびエマルションの乳化の進行に基づくバルクの粘度上昇の効果によると考えられる.
著者
森田 弥左衛門 川上 実 井上 剛史 金井 智美
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.1, pp.42-47, 1990-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

卵自中のタンパク質の分離について,通常のダウンフローカラムと,同一容量の薪規なラジアルフローカラムを比較検討した。その結果,DEAEセルロースのような軟質充填剤の場合は,目詰りのため充填圧が剃約され,両カラムとも秀填密度が0.809/mlであった。この条件で試料保持量は,側面積の大きいラジアルフローカラムの方が,断面積の小さいダウンフローカラムより格段に大きく,大量分取に適していた.また,このカラムで卵白中のタソパク質成分は三分画に分離でき・リゾチームを含むオボグロブリン類,オボトランスフェ.ジソを含むオボムコイド類,およびオボアルブミンの順に溶出した。ヒドロキシアパタイトのような硬質充填剤では,.高圧充填に耐えるダウソフローカラムの充填密度が1.119/ml,充填圧が5kg/cm2以下に制約されているラジアルフローカラムのそれは0.83g/mlで,商者に大きな差があった。この差が分離能に影響し,前者のダウンフローカラムの方が優れていた。また,このカラムによって卵白中のタンパク質成分は四分画に分離でき,オボムコイド類,オボアルブミソ類,オボトランスフェリンを含むオボグロブリソ類.およびリゾチームのように・導電点の小さい順に溶出した。
著者
田中 基雄 安本 昌彦 渋谷 勲 川端 康治郎 中村 貴義 橘 浩昭 萬田 栄一郎 関口 辰夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.11, pp.1937-1941, 1989-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

高圧下において中間物とSquaricacidの縮合によりN-オクタデシルスクアリリウム(SQ)色素を合成する方法について検討した。中間物〔1〕または〔3〕とSquaricacidの反応による色素〔2〕または〔4〕の生成反応は,400~800MPaの加圧処理により促進され,常圧下における合成を大きく上回る収率をもたらした。また中間物〔3〕から色素〔4〕を生成する反応はクロロ酢酸,トリクロロ酢酸触媒の存在下でさらに収率向上を示すことが認められた。常圧下において従来得られなかったキノリン構造を有する色素〔6〕および〔8〕を本高圧法により合成することができ,新たに4種のスクアリリウム色素を得た。これら新色素のVIS,IR,iH-NMRスペクトルを測定した結果,〔6〕が〔2〕,〔4〕と同様に1,3-型スクアリリウム環構造に合致するのに対して,〔8〕は1,2-型スクアリリウム環構造の形をとるものと推定された。
著者
西田 晶子 福田 晴喜 村川 勝哉 秋本 明男 土井 洋 藤騎 静男 梶返 昭二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.10, pp.1738-1741, 1989-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

13H-ジベ[a,i]フルオレン-13-オン〔2〕種々のアリールリチウムを作用させて13-アリール-13H-ジベソゾ[a,i]フルオレン-13-オール〔3〕を合成した。〔3〕は酢酸中ヨウ化糠酸で還元して13-アリール-13H-ジベンゾ[a,i]フルオレン〔4〕とした。つぎに13-(2-メチフェニル)-13H-ジべンゾ[a,i]フルオレン〔4a〕のCsp3-Csp2単結合の回転障壁をDNMR法で求めて,ΔG≠(ap→sp)18.66kca/mol,ΔG≠(ap→sp)=18.70kca1/mo1の値を得た。さらに単離された13-(2-メチル-1-ナフチル)-13H-ジベソゾ[a,i]フルオレン-13-オール〔3c〕のap⇔spの,また13-(2-メチル-1-ナフチル)-13H-ジペソゾ[a,i]フルオレン〔4c〕のap⇔spの種々の温度での異性化速度を,NMRスペクトルの経時変化から求めて,Csp3-Csp2単結合の回転障壁を求めた。〔3c〕:ΔG≠(ap→sp)=24.96kcal/mol,ΔG≠23.224kcal/mol,〔4c〕:ΔG≠(ap→sp)=34.78kca/molΔG≠(ap→sp)34.52kcal/mol。
著者
船越 仁 羽場 かおり 小原 加奈江 谷口 博美 玉懸 敬悦 藤田 勇三郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.9, pp.1516-1522, 1989-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6

光照射によって生じたジメチン型メロシアニン(MD)の光異性体が,安定体にもどる速度過程を4種の誘導体について測定し,熱異性化速度定数(ka),活性化エネルギー(Ea)に対する複素環効果とプロトンの触媒作用の機構について調べた。kdは複素環の種類,とくに硫黄の導入数によって5ケタもの差となって現われた。溶媒の種類およびpHの変化によって島はいちじるしく変わるが,Eaはほとんど変わらないこと,Arrheniusの頻度因子はほとんど複素環効果を示さないことなどから,異性化の中間体としてプロトン化メロシアニンが重要な役割を果たしており,かつ,活性化エネルギーはプロトン移動過程の障壁ではなくプロトン付加体の内部回転の障壁を反映しているという結論を得た。メロシアニンの熱異性化速度はプロトン性非水溶媒における潜在的プロトン活動度の定量化に役立つと提案し,純メタノールの塩酸等価水素イオン濃度として2×10-6mol・dm-3を得た。
著者
五十嵐 喜雄 〓上 奎介 知久 幸宏 今井 良子 渡辺 昭次
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.9, pp.1616-1619, 1989-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
4

種々のN-(置換フェニル)マレイミドを合成し,3種のかびについて抗かび試験を行ったところ,いずれも活性を示し,とくにN-(ジアルキルフェニノ)マレイミドは良好な結巣を与えた。ケルキル置換の位置と活性の闘係を調べるために,N-(ジメチルフェニル)マレイミドの各異性体の抗かび試験を行い,2,6に置換体および2,4-二置換体が多くのかびに対して活性を有することを知った。さらに,この2種のN-(ジメチルフェニル)マレイミドとN-(2,6-ジエチルフェニル)マレイミドは多くの細菌類,酵母類に対しても高活性であった。N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミドは,1グラム陽性菌に対しては活性を示すものの,グラム陰性菌に対して活性を示さなかった。数種のN-(置換フェニル)マレイミドとフランのDiels-Alder付加体を合成し抗かび活牲を調べたが,無置換の化合物が弱い活性を示すものの,置換された化合物は活姓を示さなかった。
著者
徳村 邦弘 伊藤 道也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.8, pp.1311-1318, 1989-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
25
被引用文献数
5

室温ヘキサン中安定には存在し得ないパラ置換ベンジルラジカル(D0)の励起状態(D1)の電子スペクトル(D1→D0蛍光,Dn←D1吸収スペクトル)を,2段励起レーザー分光法により測定した。シアノ,メトキシ,フッ素,塩素がパラ位に導入されたベンジルの蛍光寿命が比較的長い(>50ns)ことから,励起状態ラジカルとアミンやジエンとの分子間相互作用を蛍光消光により検討した。また,これらラジカルが室温溶液中蛍光性であることを利用して,パラ置換トルエン三重項(T1)からパラ置換ベンジルラジカルニ重項(D0)へのT-Dエネルギー移動を明らかにした。
著者
太田 和子 岩岡 純子 上條 裕子 岡田 みどり 野村 祐次郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.9, pp.1593-1600, 1989-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
42
被引用文献数
7

イソオキサゾール類とエナミン類との反応により,ピリジン誘導体が生成することを見いだした。たとえば,イソオキサゾールと1-(1-シクロヘキセニル)ピロリジンを,THFまたはジオキサン溶液中,低原子価チタン塩(塩化チタン(IV)と亜鉛末から調製)の存在下還流して,1,2,3,4-テトラヒドロキノリンが得られた(収率75%)。同様の方法により,イソオキサゾール類とβ(またはα)-置換エナミンから,種々の3(または2)-位置換ピリジン類が得られた。しかし,5-メチルイソオキサゾール類との反応では,ピリジン類の収率はきわめて低かった。
著者
下茂 徹朗 村岡 富美子 染川 賢一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.10, pp.1765-1771, 1989-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
8

3種の2-ピロン-5-カルボン酸エステルと鎖状ビニルエーテル類とのDiels-Alder(DA)反応を60~80℃で行い,それぞれ主生成物の6種のen40-8-アルコキシ-3-オキソ-2-オキサビシクロ[2,2,2]オクト-5-エン-6-カルボン酸エステル(endo一体)〔1〕と6種のexo一体(2)を得た。また,2-ピロン-5-カルボン酸メチルと環状ビニルエーテルである2,3-ジヒドロフランとの反応では9-オキソ-3,8-ジオキサトリシクロ[5,2.2.02,6]ウンデク-10-エン-11-カルボン酸メチル(endo一体)〔3〕とexo一体〔4〕を得た。いずれも付加配向は特異的で生成物は安定である。一方,フマロニトリルとの反応はより高温条件を必要とし,endo-7,exo-8-ジシアノ-3-オキソ-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-6-カルボン酸メチル〔5〕を与え,テトラシアノエチレンと廉反応しなかった。その他定量的分析およびMINDO/2からの計算も行い,2-ピロン-5-カルボン酸エステルは逆電子要求型のDA反応性をもつこと,および反応点の立体効果および極性効果を受けることなどが推定された,また二,三のDA付加体の加水分解を行い,この方法ではベンゼン環のメタ位二置換もしくは1,3,5-三置換のポリカルボン酸誘導体が選択的に得られることがわかった。
著者
友田 晴彦 斎藤 正治郎 大石 雅文 白石 振作
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.12, pp.2059-2062, 1989-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
5

2-アミノ-3-クロロキノキサリンが2,3-ジクロロキノキサリンのホル1ムアミド溶液ヘアンモニアガスを吹き込むことにより生成し,同様な反応系に過剰の塩化アンモニウムを添加すると2,3-ジアミノキノキサリンが生成した。ビス(3-アミノ-2-キノキサリニル)アミンは2,3-ジクPtPtキノキサリンのホルムアミド溶液に高温でアンモニアガスを吹き込むことにより得られた。5,11-ジヒドPt-5,6,11,12-テトラアザナフタセソを過マンガン酸カリウムで酸化すると1,4-ジヒドロ-1,4,9,10-テトラアザアントラセン-2,3-ジオンが生成した。従来知られているキノキサリン誘導体の融点の文献問の違いは,分子内および分子間縮合反応によることがわかった。
著者
林 罠生 伊藤 嘉彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.12, pp.1965-1971, 1989-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
25
被引用文献数
2

光学活牲ホスフィン配位子を含む遷移金属錯体を触媒とする不斉合成の研究を行った。光学活性フェロセニルポスフィンは,その側鎖上に各種の官能藩が導入できる独特の構造をしており,以下に示す触媒的不斉合成で,それぞれの触媒反応,反応基質に適合した官能基を有するフェ群セニルホスフィンを用いることにより,高い立体選択性を示した。1)金触媒不斉アルドール反応-β-ヒドロキシ-α-アミノ酸の不斉合成。2)ロジウム触媒による三置換アクリル酸の不斉水素化。3)パラジウム触媒アリル位不斉アミノ化およびアルキル化。4)パラジウム触媒不斉ヒドロシリル化一アリルシランの不斉合成。5)ニッケル触媒クロスヵヅプリングによる軸不斉ビナフチルの不斉合成。また,パラジウム触媒を用いたα,β一不飽和ケトンの不斉ジシリル化によるβ一ヒドロキシケトンの不斉合成やロジウム触媒によるスチレン誘導体の不斉ヒドロホウ素化など薪しいタイプの触媒的不斉合成を開発した。
著者
飯島 正 櫻井 忠光 久保 勘二 井上 廣保
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.2, pp.163-166, 1997

The reaction of N-acyl-o-aminophenol with 1-naphthoyl chloride in the presence of triethylamine gave N- (1-naphthoyl) -O-acyl derivative, while the same product was obtained from the reaction between N- (1-naphthoyl) -o-aminophenol and acyl chloride (RCOCl: R=CH<SUB>2</SUB>OEt, CH<SUB>2</SUB>OPh, or OCH<SUB>2</SUB>Ph). The hydrazinolysis of the product revealed that the equilibrium between acyl-exchanged iso mers lies almost completely in favor of N-(1-naphthoyl)-O-acyl-o-aminophenol. This interesting result was explained on the basis of the strong electron-donating ability of an oxygen atom incorporated into the substituent Ras well as of the electrostatic model of exchanged isomer pair.
著者
梶返 昭二 山本 益司 渡辺 茂樹 廣利 芳樹 西田 晶子 藤崎 静男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.10, pp.1757-1764, 1989-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

種々の9-置換9-(2-プロモメチルフェニル)フルオレン誘導体〔1〕(9-置換基としてOH,CH20HCOOH,COCH8,COOcH8など)を合成し,ついでこれらに塩基を作用させたところ,好収率でO-フェニレン基を環内に含むスピロフルオレン誘導体が得られた。また,いくつかの9-[2-(ヒドロキシアをぜルキル)フェニル]-9-フルオレノール誘導体〔2〕(ヒドロキシアルキル基としてCH20H,CH,C(CH8)20H,CH2C(CHs)(C2H,)OH,CH2C(C2H,)20Hなど)を合成し,これらを酢酸中,酸触媒存在下加熱して分子内脱水し,同じくスピロフルオレン誘導体を得た。また,こめ際のスピロフルオレン誘導体の生成機構を考察した。
著者
小野 雅之 吉田 哲郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.2, pp.234-239, 1981

ニオブ-チタン合金およびバナジウム-ニオブ合金の複合窒化物を作成する目的で60ニオブ-40チタン(wt%)合金粉末(粒径約80μ)ニオブ0チタン合金板(Nb:20,40,60,80wt%)および50バナジウム-50ニオブ(wt%)合金板を窒素中(1atm),700~1350℃で窒化し,断面の組織観察,EPMA解析ならびにX線解析により反応状況を調べ,合金組成の均一な複合窒化物合成の可能性を検討した。ニオブ0チタン合金ではまず高チタン濃度の針状窒化物を生成した。高チタン濃度の窒化物の析出した周辺は高ニオブ濃度の低級窒化物または合金相となった。さらに反応が進むと高チタン相と高ニオブ相が窒化増量にともない反応して表面から合金組成の複合窒化物を生成した。60Nb-40Ti合金粉末は1300℃,4時間で,またNb-Ti合金板(Nb:20,40,60,80wt%,厚さ約0.3mm)は1350℃,48時間でそれぞれ合金組成の複合窒化物となった。50バナジウム-50ニオブ合金では針状窒化物は奪成せ劣表面から合金組成の窒化物が層状に成長した。50バナジウム-50ニオブ合金板(厚さ約0.8mm)は.1350℃,48時間で合金組成の複合窒化物となった。
著者
山口 達明 長岡 伸郎 高橋 勝治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.7, pp.1164-1165, 1989-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
2

Kolbe-Schmitt type carboxylations of 1- and 2-na phthol by carbon dioxide in the homogeneous solution in aprotic solvents were found to proceed under ordinary pressure and ordinary temperature giving 1-hydroxy-2-naphthoic acid and 27hydroxy-1-naphthoic acid, respectively, in extremely high selectivities and yields, . The best yield (ca.80%) for the carboxylation of 1-naphthol was obtained by the reaction of its potassium salt in nitrobenzene at 80°C under 3.9 x 1O5 Pa of carbon dioxide within 30 min.
著者
尾中 篤 杉田 啓介 泉 有亮
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.3, pp.588-590, 1989-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Regioselective reductions of 2, 3-epoxy-1-alkanol and its derivatives are carried out by use of lithium borohydride supported on calcium ion-exchanged Y-type zeolite.2, 3-Epoxy-substituted ether is found to be reduced at the C-3 position with the above heterogeneous reducing reagent more regioselectively than 2, 3-epoxy-1-alkanol. High regioselection is attributable to the interaction between the organic substrate and the calcium ion in the zeolite since the reducing reagent supported on sodium ion-exchanged zeolite shows low selectivity.
著者
矢田 智 矢沢 直樹 山田 義和 助川 しのぶ 高木 弦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.4, pp.641-647, 1989-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23
被引用文献数
4

白金族金属触媒による 4-t-ブチルシクロヘキサノン (1) の還元アミノ化反応と立体化学について検討した。反応生成物は第一級アミンの 4-t-ブチルシクロヘキシルアミン (2) と第二級アミンのビス (4-t-ブチルシクロヘキシル) アミン (3) などであった。(2) の生成は Pt<Os<h<Pd<Rh<Ruの順で収率59~97%の間であった。(3)はPtでは収率34%に対し, Ruではまったく生成しなかった。触媒によって(2)と(3)の生成量は異なる。これは反応中, 一時的に生成する4-t-ブチルシクロヘキサンイミン(6)やシップ塩基, 4-t-ブチル-N-(4-t-ブチルシクロヘキシリデン) シクロヘキシクルアミン(5)に対する水素付加の速度の違いと(5)の反応性の違いによる。たとえば, 別途に合成した(5)を用いてRu上, アンモニア存在下での水素付加反応では1分子の(5)から2分子の(2)が定量的に生成し, (3)は得られない。しかし, Ptではこ(5)から(2)と(3)が同時に得られた。(1)の還元アミノ化における立体化学ではいずれの触媒とも(2)のtrans-体よりも cis-体を多く生成した。また, (5)の立体構造を1H-NMRによって調べ, C-N結合がアキシアル(ax)結合とエクアトリアル(eq)結合をもつ2種類の立体異性体の存在を確認した。さらに(5)が水素付加されて得られた(3)では C-N-C 結合が ax-ax, ax-eq, eq-eq 結合した3種類の立体異性体が存在した。