著者
山地 一禎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.54-59, 2014-02-01

大学や研究機関では,多くのオープンソースソフトウェアが公開されている。その多くは,個人やチームで利用するものを単に公開しているにとどまり,大きなコミュニティにまで発展している例は数少ない。あるいは,日本の学術関係者が海外のオープンソースソフトウェアの開発に積極的に関与している例も多くない。諸外国に比べ日本では,オープンソースソフトウェアに対する理解や活動が低いのが現状である。本稿では,学術機関においてオープンソースソフトウェアを開発・活用する意義を概説するとともに,これまでに開発してきたリポジトリソフトウエアWEKOの開発事例を紹介する。さらに,筆者が関係しているオープンソースコミュニティの活動状況や,その背景にある政治的な側面についても言及する。
著者
高久 雅生
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.48-53, 2014-02-01

15年間にわたるオープンソース運動を振り返りながら,図書館サービスとの接点,オープンソースソフトウェアの利用事例を紹介する。図書館サービスにおけるオープンソースソフトウェアの例として,図書館管理システム,機関リポジトリ,次世代OPACといつた分野を取り上げ,国内及び海外の事例を紹介する。近年の図書館サービスの文脈におけるオープンソースソフトウェアの課題として,クラウドコンピューティングの進展やオープンデータ,人材育成などの観点から考察し,今後の課題を述べる。
著者
越智 泰子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-259, 2004-05-01
被引用文献数
1

特許検索で困ったときや,スキルアップのためには,ヒューマンネットワークから得られる情報も欠かせません。特許検索に関する情報交換ができる各団体にアンケートをお願いし,連絡先や活動状況などをまとめました。形式の統一を除き,各団体からのアンケート結果をそのまま掲載しています。アンケートに御協力いただきました各団体の皆様,誠にありがとうございました。なお読者の皆様にお願いですが,運営方法や代表者及び事務局の役割は各団体により異なり,組織的運営が行われている団体もボランティア運営が行われている団体もありますので,問い合わせ等の際は御配慮くださいますようお願いいたします。
著者
越智 泰子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-259, 2004
被引用文献数
1

特許検索で困ったときや,スキルアップのためには,ヒューマンネットワークから得られる情報も欠かせません。特許検索に関する情報交換ができる各団体にアンケートをお願いし,連絡先や活動状況などをまとめました。形式の統一を除き,各団体からのアンケート結果をそのまま掲載しています。アンケートに御協力いただきました各団体の皆様,誠にありがとうございました。なお読者の皆様にお願いですが,運営方法や代表者及び事務局の役割は各団体により異なり,組織的運営が行われている団体もボランティア運営が行われている団体もありますので,問い合わせ等の際は御配慮くださいますようお願いいたします。
著者
竹之内 禎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.505-510, 2013-12-01

本稿では,基礎情報学の観点から,図書館・情報サービスの一環としての情報発信において,留意すべき情報倫理の問題として,4つの点について論じた。第一に,情報の受け手は「心」であり,心は「自律的システム」であるため,同じ情報(刺激)を受け取っても,一人ひとりの心に形成される意味内容は異なっている。第二に,高齢者,障害者などの利用に配慮した「情報のユニバーサルデザイン」への配慮が必要である。第三に,情報発信の内容に含まれる人格への配慮が必要である。第四に,歴史研究,科学研究における定説と異説の存在を考慮することが必要である。
著者
橋元 良明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.480-485, 2013-12-01

インターネットは,1)それまでのメディアでやりとりされたすべての情報種を受発信でき,受信情報の編集・保存も容易であること,2)ほとんどの地域で国家等の「制度」の制約を受けないこと,3)情報の発信に大きな資本力を必要とせず,対価なしで多くの情報を受容できること,等の点で画期的なメディアである。橋元研究室で継続的に実施している「日本人の情報行動調査」によれば,2012年には,10代においてネット利用時間がテレビ視聴時間を上回った。ネットの普及により情報の受容という側面では,コミュニケーション系情報の受容量が増え,それによって個々人の「主観的現実」の多様化・個性化が進行した。また,関心領域の狭小化などの現象も進みつつある。一方で,若年層の文字情報の受容量はむしろ他の年層より多くなっている。情報の発信という側面では,誰もが自分の作品や意見を発信でき,音楽や文芸の世界でも変化の兆しがある。しかし,CGMはアクセス数やリンク数が評価の基準になることが多く,既存のメディア経由のものと比べ,質的な面では不安定である。
著者
依田 紀久
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.492-498, 2008-10-01

本稿は,近年漸進的な変化を遂げつつある米国図書館の経営の実態の理解を目的とするものである。ピッツバーグ公共図書館にスポットライトをあて,全国的な動向を意識しながら,事例報告という形でその経営を調査した。このピッツバーグ公共図書館の事例分析から見えてきたものは,公共図書館経営の,1)複線性,2)戦略性,3)科学性という3つのキーワードである。すなわち,米国の図書館の経営は,1)様々な資金調達方法を組み合わせた複雑なものであること,2)それを実現させるために専属の部局が設置され館全体のサービスやプロジェクトを資金調達に向けて戦略的に組み立てていること,3)経験が蓄積され理論・実践とも深まりをみせていること,特に資金調達の科学的手法が実証されつつあること,が明らかになった。
著者
梅澤 貴典
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.511-516, 2008-10-01

アメリカの大学図書館においては寄付金など外部からの資金調達がたいへん重要な活動で,高度な教育研究支援を支えている。本稿では,これから日本で資金調達をおこなう上での布石となるように,アメリカにおける重要な要素(歴史・宗教的背景と寄付文化・税制優遇措置・資金調達者としての図書館長・専門団体・寄付者情報の蓄積管理・図書館司書の高度な教育研究支援能力・アドヴォカシー活動)を挙げ,日米間の相違点と,日本に応用する上で注意すべき点を述べる。
著者
横山 広美
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.464-469, 2013-11-01

世界における科学コミュニケーションの潮流は,政策に寄与することに注目が集まっている。本稿では,日本の科学技術政策の中でも,その運営に注目が集まる「ビッグサイエンス」について,科学コミュニケーションの立場から,その歴史と問題点,課題を述べる。ビッグサイエンスが持つ,多様な側面において,科学コミュニケーションが関わる側面は限定的に見える。しかしここで指摘する,筋の通つた戦略を練ることに,科学コミュニケーションは大きく貢献する可能性がある。多くの科学が大型化する中で,限られた人材,予算の中,よりよい科学を育てるため,科学コミュニケーションがどのような貢献ができるか整理する。
著者
吉田 幸苗 高橋 菜奈子 木下 克之 尾城 孝一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.452-457, 2013-11-01

電子リソース管理は,その煩雑さにおいて,大学図書館にとって依然として問題であり続けている。その克服のために,現在,大学図書館と国立情報学研究所が連携して電子リソース管理データベース(ERDB)の構築を目的としてプロジェクトを行っている。ERDBは国内外の電子リソースを管理するためのナレッジベースであり,参加館の契約情報を結び付け,電子リソース管理の効率化を図るものである。ERDBは,データの整備に課題を抱えているものの,日本の電子リソースのメタデータ基盤を整理することにより,学術情報の流通に大きな役割を果たすことが期待される。本稿では,このプロジェクトの現状を報告するとともに,海外の動向を紹介し,電子リソースの管理をめぐる将来展望にも触れる
著者
長澤 公洋
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.443-451, 2013-11-01

大学等の教育研究活動の成果である学術情報は,高度な教育研究の展開,将来の社会発展,国際競争力の強化につながる情報であることから,その流通基盤の整備は極めて重要である。国の施策の方向性として,第4期科学技術基本計画では,機関リポジトリの構築や電子化による体系的な収集・保存,オープンアクセス,第2期教育振興基本計画では,学生の主体的な学習のべースとなる大学図書館の機能強化,ICTを活用した双方向型の授業・自修支援を促進するとされ,世界的な流れとしては,オープンアクセスやオープンデータの必要性がクローズアップされている。学術情報流通における課題としては,主な要素ごとに,論文では,日本のジャーナルの国際発信力強化,図書については,電子書籍化への対応,データについては所在の把握・流通体制の整備教材・講義については保存.共有の促進とともにオンライン教育の充実があり,全体的には,機関リポジトリにおけるコンテンツの充実やクラウド環境の構築による学術情報の効果的な流通・利活用の促進を進めるべきである。最近のICTの進展は著しく,学術情報流通に関わる環境変化も大きい。各大学がこうした流れを的確に把握し,大学としてふさわしい学術情報流通基盤の充実・高度化に大学全体で取り組むことが重要である。
著者
林 和弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.436-442, 2013-11-01

学術情報流通の革新は新しい段階に入り,17世紀から続いた,紙,印刷と物流を基盤として電子化対応を含めて発展してきた情報流通基盤の骨格がいよいよ崩れ,新しいフレームワークが形成され始める,あるいはその変化がこれまで以上に加速されることが推察される。東京の都市交通の一時代を作った馬車鉄道の歴史を参照しながら,学術情報流通における変革を連続的変化と不連続的変化に分けて論じた。また,情報や関係者のリンクとネットワークが生み出す信頼性が新しいフレームワーク構築のキーワードであり,既存の関係者の保守化のリスクを指摘しながら,新しい情報流通基盤のデザインに繋がるポイントを考察した。
著者
矢田 俊文
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.29-36, 2014-01-01

Google世代もしくはGoogle時代のインフォプロがおちいり易い「情報リテラシー」の盲点に留意し,調査研究を行う人材を育成するためには,どのような教育を設計し,どう実行するべきか。データベース会社のノウハウを通して,利用者教育のデザインと具体的手法について論じる。急増するエンドユーザに必要な「情報リテラシー」を伝え,利用者対応で疲弊しない,サステイナブルな知識と人材育成の方法を議論する。
著者
佐渡島 紗織
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.22-28, 2014-01-01

本稿の目的は,アカデミック・ライティング教育において情報リテラシーに関する問題はどのような点にあるかを検討し,今後,求められる指導の方向を示すことである。国語科教科書や小論文演習教材などをみると,日本の小・中・高・大学と受験塾では,情報を自分の文章にどのように取り込むかの,十分な指導,一貫した指導がなされていないことがわかる。引用・参考文献明記の学習を通して,《情報を再定義させる》学習をさせることが必要である。それによって,多様な立場・意見を検討した上で自身の立場を確立し,明確な意見を発信できる学生を育成したい。
著者
兵藤 健志
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.15-21, 2014-01-01

本稿では,ACRLが2000年に発表し,また,2014年に改訂を予定している『高等教育のための情報リテラシー能力基準』を軸として米国の高等教育における情報リテラシーのこれまでの定義や最新の議論を概観する。併せて,情報リテラシーの展開に学術コミュニケーションという新たな視点をもたらした2013年のACRLによる白書『学術コミュニケーションと情報リテラシーの交点:変わりゆく情報環境へ向けて戦略的協同を創造する』を紹介する。