著者
松下 聡史 古川 徹生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.483, pp.257-262, 2012-03-07

本研究の目的は,代表的な位相保存写像アルゴリズムである自己組織化マップ(Self-Organizing Map : SOM)および生成位相写像(Generative Topographic Mapping : GTM)を統一的に理解することである.位相保存写像をベイズ的に計算する場合,通常は変分近似を用いて写像と潜在変数の事後分布が独立であると仮定し,EM法などで交互推定する.本研究では変分近似を見直し,写像と潜在変数の依存性を考慮することでより良い近似解法を導出した.そしてこの近似解法に基づくアルゴリズムを記述するために,われわれは競合因子Kと呼ばれるパラメータを導入した.Kを用いると,新たに導出したアルゴリズムはK^<-1> = 0.5の場合に該当し,さらにGTMはK^<-1> = 1, SOM はK^<-1> → 0の場合に相当することがわかった.すなわち位相保存写像のアルゴリズム群は単一のパラメータKの違いとして表現され,しかも好ましいKの値がSOMとGTMのちょうど中間に位置することが示された.
著者
打矢 泰志 中村 篤祥 工藤 峰一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.195, pp.13-20, 2009-09-07

Auerらにより研究されたadversarial bandit問題は,プレーヤーが選択したアクションに対する報酬生成過程において確率的な仮定をおかないmulti-armed bandit問題である.本稿ではadversarial bandit問題を,各時刻においてk(≧1)回のアクションを選択できるように拡張し,アクションの重複選択を許す場合と許さない場合の2つの設定で分析を行う.両方の設定において,Auerらが提案したアルゴリズムExp3を一般化し,最適固定アクション集合に対する損失上界の一般化を得る.
著者
TECHAUMNAT Boonchai 濱田 昌司 宅間 董
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.247, pp.85-90, 2000-07-25

曲面形状の人体モデルを用いて商用周波の一様磁界の誘導電流を計算した。計算方法は境界要素法である。人体モデルは二次の曲面要素で構成した。一様導電率の場合を含め、臓器の導電率を4通りに変えて検討した。一様導電率のモデルでは縦方向の磁界による最大誘導電流密度は前と後ろの体表面の近くで生じ、横方向の磁界による最大誘導電流密度は左右の体表面の近くで生じる。人体モデルの姿勢の影響を検討したが、誘導電流はほとんど変わらない。臓器のあるモデルの計算結果は多くの場合に臓器の誘導電流密度と他部位の導電率との比が導電率の比に比例する。
著者
谷藤 正一 亀田 卓 末松 憲治 高木 直 坪内 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.110, pp.59-64, 2013-06-20

60GHz帯の無線通信用に90nm Si-CMOSを用いた高耐電力送受信切換(T/R)スイッチを提案する.従来のGaAsのMMICで用いられた,送信ポートに直列,受信ポートには並列にそれぞれFETを挿入した回路構成を採用した.また,それぞれのFETは,FET単体でのモデリングを行い,320μmのゲート幅を採用することにより耐電力特性の向上を図った.広いゲート幅のFETの使用は,FETがOFF状態の時の容量C_<off>に伴い,受信モードにおける挿入損失とアイソレーションを劣化させるため,C_<off>と60GHz帯で共振させるマイクロストリップラインをソース/ドレイン間に接続した.90nm Si-CMOSを用いて試作したT/Rスイッチは,送信モードにおいて,36GHzおよび60GHz帯でそれぞれ36.5dBm, 24.8dBmの出力電力まで,利得圧縮のない,線形な特性を確認した.なお,これらの値は,測定系の出力限界によるものであり,回路シミュレーションでは,60GHzで1Wを超える出力電力まで,線形な特性が得られている.
著者
和泉 潔 山下 倫久 車谷 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.725, pp.53-58, 2004-03-09

本研究では,資源選択を簡略化したマイノリティーモデルと呼ばれるモデルを用いて,資源割り当て問題の分類を行った.学習の効率性と正確さの異なるエージェントを3種類用意して,獲得した利得の比較を行った.その結果,システムの複雑性と学習への時間的制約という2つの条件に応じて,4つの領域が存在することが分かった.そして,それらの領域にしたがって,実際の資源割り当て問題を分類できた.実際の資源割り当て問題が属する領域に応じて,モデル化を行うときにエージェントの持つべき特徴が分かった.
著者
橘 誠 才野 慶二郎 久湊 裕司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.22, pp.1-6, 2013-12-12

HMM 音声合成は統計的な韻律のモデル化により,話者性やスタイルを柔軟に多様化することができる.本稿では,その表現力を波形素片接続型の歌声合成システムである VOCALOID™ に取り入れる方法として,歌唱表現が現れる重要な特徴と考えられるピッチの変化をHMMでモデル化,生成する歌唱スタイル生成手法を提案する.HMM音声合成手法を歌唱スタイルのモデル化に利用する際には,未知の音高に対しても適切なパラメータ生成を行う必要がある.そこで本研究ではピッチベンドチェンジを用いたモデル化を提案する.また,長い時間伸ばされる音符に対して自然な変動を付与するため,ノート内を複数のセグメントに分割した単位でモデル化し,多段階のコンテキストクラスタリングを導入して楽曲構造と音符内の変動を階層的に表現する.また,この手法をVOCALOID™3の機能である Job Plugin として組み込んだ例を紹介する.Recent HMM-based speech synthesis systems have the capability to control speaker/style characteristics by statistically modeling prosodic features of speech. In this paper, we aim to introduce such flexibility into VOCALOID™, a singing voice synthesizer based on concatenative synthesis. An HMM is used to model the pitch trajectory, which is an important feature for expressing singing style. In order to synthesize appropriate results for pitches which do not have training data, we propose using pitch bend change as a feature for training the HMM. We also propose a segment-level unit modeling and multiple-stage clustering technique for the expression of long note sequences. We show the proposed technique implemented as a VOCALOID™3 Job Plugin.
著者
奥田 博隆 小形 真平 松浦 佐江子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.468, pp.73-78, 2011-03-03
被引用文献数
1

我々はUML要求分析モデルからWebUIプロトタイプ自動生成手法を提案してきた.しかし,業務ロジックの記述方法が開発者に依存し,非定式的に定義される為にサービスの実現可能性が保証されない.そこで,本研究では,クラス図及びアクティビティ図より構成されるUML要求分析からデータライフサイクルの検証を行うことで業務ロジックの妥当性を確認でき,実現可能性を検証する機能型プロトタイプの自動生成する方法を提案する.
著者
芝田 将 泉 将之 西村 友佑 佐村 敏治 西村 治彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.213, pp.77-82, 2014-09-05

スマートフォンの急激な普及により,不正アクセスや情報漏洩の危険性が増加しつつある.従来のPIN(Personal Identification Number)やパスワードのみの認証システムでは総当り攻撃や覗き見攻撃に対して脆弱であり,比較的容易になりすましを行うことができる.効果的な対策としてPINやパスワードを入力すると同時にタッチスクリーンの入力パターンを利用した生体認証方法がある.本研究ではPIN入力時のタッチスクリーン認証の可能性について議論する.特に本論文では,スマートフォンアプリ実装方法や闘値決定手法について提案する.
著者
芝田 将 泉 将之 西村 友佑 佐村 敏治 西村 治彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.213, pp.77-82, 2014-09-12

スマートフォンの急激な普及により,不正アクセスや情報漏洩の危険性が増加しつつある.従来のPIN(Personal Identification Number)やパスワードのみの認証システムでは総当り攻撃や覗き見攻撃に対して脆弱であり,比較的容易になりすましを行うことができる.効果的な対策としてPINやパスワードを入力すると同時にタッチスクリーンの入力パターンを利用した生体認証方法がある.本研究ではPIN入力時のタッチスクリーン認証の可能性について議論する.特に本論文では,スマートフォンアプリ実装方法や闘値決定手法について提案する.
著者
丸山 伸 小塚 真啓 中村 素典 岡部 寿男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.173, pp.31-36, 2006-07-13
被引用文献数
1

複数のアドレスを同時に利用して通信を行うSCTPによる接続に対して、動的にIPアドレスの増減を行うための拡張であるmSCTPは、トランスポート層におけるモビリティ実現技術として知られている。しかしmSCTPは仕様上の制約によりアドレス増減の通知を連続して行うことが出来ないため、ハンドオーバにおいて本来は不必要なはずの長い時間が必要となったり、相互に通信可能なアドレスを取得したにもかかわらず接続を維持できない場合が発生したりする。本研究においては、アドレス増減の通知の再送を複数個まとめて送信できるようにmSCTPを拡張する手法を示し、この変更により複数のアドレスが連続して増減した際においても、通信できるアドレス対が存在する限り実用的な時間内で確実にハンドオーバできるようになることを示す。
著者
鵜野 将年 田中 孝治 平木 英治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.411, pp.7-12, 2011-02-03

DC-DCコンバータやインバータ等の電力変換装置は動作周波数ならびに商用周波数に応じたリップル電流を発生する.燃料電池を電力変換装置と接続して使用する場合,燃料電池には平均直流電流にリップル成分が重畳した電流が流れるため,燃料電池の電位は高周波で変動することになる.固体高分子形燃料電池(PEMFC)の主な劣化要因の一つとしてPt/C触媒の電気化学的表面積(ESA)の低下が挙げられるが,この劣化モードは電位変動時に顕著に進行することが知られている.本稿では電力変換装置との相互作用により発生する高周波の電位変動がPEMFCのPt/C触媒劣化に及ぼす影響の定性的評価を目的とし,発電ならびに非発電状態のPEMFCを高周波の電位変動環境に晒し,ESAの劣化傾向を観察した.電位変動周波数が低周波の場合は顕著なESA劣化傾向を示す一方,100Hz以上の高周波域では直流条件時と同等の低い劣化率を示した.本稿で得られた知見は電力変換装置の動作周波数の決定ならびにリップル周波数を規制する際に有用になるものと期待できる.
著者
水間 幸大 加藤 富士夫 古田 真治 佐々木 一正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.265, pp.13-17, 2002-08-15
被引用文献数
5

光ファイバは,太い棒状のプリフォームと呼ばれる母材を作成し,その先端を加熱,軟化させ線引きすることにより作成される.母材の段階で形成される構造は線引き後も光ファイバに受け継がれることから母材の段階でどのような構造が形成されているかを測定することが光ファイバの製造工程における品質管理の上で不可欠となっている.著者等は,これまで,画像歪み解析処理を利用する新しい屈折率分布測定技術を開発してきたが,それらは母材の構造,すなわち製造方式に依存して選択するが必要であった.しかし,最近製造されている母材はさまざまな方式を組み合わせて作成されており,作成部分により構造も異なる.したがって,その構造がどんなんものか判断し,それに最適な測定法を選択して適用する必要がある.そこで,今回はそのような判断をインテリジェント方式と呼ぶこととし,その技術について検討を加え実用性を確認する.
著者
長塚 豪己 鎌倉 稔成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.95, pp.9-14, 2008-06-13

本稿では,3母数ワイブル分布における2つの推定法を提案する.提案法は,最尤法が使えないケースにも適用可能であり,その推定の手続きは簡便である.また,数値実験により,提案推定量は,biasとRMSEの面において,修正モーメント法及び修正最尤法より概ね良い性質を持つことを示す.
著者
菊島 浩二 中川 慧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.391, pp.1-3, 2011-01-20

著者らは,昨年,2009年9月電子情報通信学会ソサイエティ大会(新潟市)にて,気持ちを伝えることのできる「気持ち通信」を提案した.本研究会では,その後の著者らの研究成果を報告する.
著者
菅原 清子 堀口 寛子 沖田 善光 竹田 千佐子 鮫島 道和 高橋 勲 平田 寿 杉浦 敏文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.456, pp.57-60, 2005-12-02

経穴刺激と自律神経活動, 即ち身体の状態の間には密接な関係が存在することが指摘されている. 中でも足底の指圧は比較的手軽な手法であるため一般に広く行なわれており, その効果も看過できないものがある. 本研究では被験者22名に対して足底のツボを指圧することにより, 自律神経活動と脳波がどのように変化するのかを検討した. 自律神経活動を解析した結果により, 指圧中に交感神経の活動レベルが増加する被験者群(Sym-G)と副交感神経活動の活動レベルが増加する被験者群(Para-G)に分けて検討した. 指圧時には両群ともに脈波伝播時間は遅くなり, 心拍数は減少した. 脳波のα1帯域(8〜10Hz)パワーに関しては, Sym-Gで右足指圧時に増加したが, Para-Gではあまり変化が見られなかった. また脳波のα2帯域(10〜13Hz)パワーに関しては両群ともに同じような傾向が見られた.
著者
別所 克人 内山 俊郎 片岡 良治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.58, pp.79-84, 2007-05-17

従来のテキスト分類方式は、文書をベクトルとして表現し、コサイン類似度やユークリッド距離のような双方向性のある尺度を、ベクトル間の近さのベースと考えるものが多い。これに対し本稿では、カルバック・ライブラー距離という双方向性のない尺度をテキスト分類に導入する。単語ベクトル間の距離尺度としてカルバック・ライブラー距離を用いると、コサイン類似度を用いた場合と比べ、単語間の連想の様相が変わる。本稿では、この性質を利用し、従来のコサイン類似度やユークリッド距離をベースとする分類方式と、カルバック・ライブラー距離をベースとする分類方式を組み合わせる方式を提案する。評価実験の結果、組み合わせることにより、従来方式よりも精度が向上することを確認した。
著者
長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.340, pp.19-24, 2008-12-04
被引用文献数
8

WYSIWAS(What You See Is What You Are Suggested) Navigationとは,神々に包まれて,困ったときに「こっちだよ」って教えてくれるような直感的な案内のことであり,サクッと行動可能な環境を実現する.本講演では,著者らのグループがシステム創成論に則り研究開発してきたWYSIWYAS Navigation(WyN)システムの実例を,その上位概念を示しながら紹介し,リアルワールドのIT(Information Technology)の意味を明らかにする.
著者
辻 貴介 清水 明宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.225, pp.11-16, 2003-07-18
被引用文献数
3

インターネットやモバイル端末を利用した通信技術が普及し,お金や個人情報を扱うサービスも増加している.そのようなサービスでは,第3者による秘匿情報の傍受や悪用を防ぐために認証の技術が必要不可欠である.ネットワークを介した個人認証における脅威を防ぐ方法として,認証情報が毎回変わるワンタイムパスワード認証方式がある.しかしこのような方式ではサーバに認証情報等を蓄積しているため,stolen-verifie problemのような問題がある.我々は,安全なパスワード認証方式として提案されているROSI (RObust and SImple password authentication procotol)に対する攻撃法を考案し,さらに,処理コストを増やすことなくそれらの攻撃を解決する方法を提案する.この方式は,認証情報更新の必要がなく,S/Keyのように高いセキュリティを有する.