著者
小川 大智 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1678-1684, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
17

近年、都市部におけるウォーカビリティの重要性が見直され、様々な歩行者行動モデルが提案されている。しかし、その多くは、マルチモーダルな状況を扱っていない。通常、道路上の歩行者と車両は互いに認識しあっており、一方の行動が他方に影響を与える。この影響を再帰的ロジットモデルで定式化すると、推定に非常に高価な反復計算が必要となる。そこで、本研究では、敵対的逆強化学習に基づく新たな手法を提案した。このモデルでは、1回の学習で各モードのリンク価値関数を学習するため、計算コストが大幅に削減される。松山の事例では、RLと同レベルの推定をより少ない時間で行うことができた。
著者
今井 巧 雨宮 護 島田 貴仁 讃井 知 大山 智也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.751-758, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
29

子供が被害者となる声かけやつきまといなどの前兆事案は,子供から保護者に被害が伝わったとしても,保護者が警察や学校に被害を連絡しないことによって被害が暗数化し,事案への対応が遅れることが懸念される.本研究では,保護者の子供の前兆事案被害情報に関する警察や学校への連絡意図を形成する要因の解明を目的とした.ウェブアンケート調査により得られた,ある政令指定都市に住み,小中学生を第一子に持つ20歳から59歳の男女(n=518)のデータを用いて順序ロジスティック回帰分析を行った.その結果,事案の深刻さや連絡の効果,連絡の自己効力感の認知が保護者の警察・学校への連絡意図に正の関連を持つことが明らかになった.
著者
奥田 勇 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1646-1653, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
10

下位問題に内生性を考慮した経路選択モデルを据えた,駐車場位置の最適化に関する二段階最適化問題を地方都市の中心市街地において検証した.軌跡データを用いたパラメータ推定と,多目的最適化問題の求解を行い,歩行経路と自動車の走行では歩行の負の効用が相対的に高く,目的地と駐車場を近くに配置することが最適戦略となりやすいこと,歩行者専用空間は正の効用を示すが,効果的に配置できなければ社会的厚生が悪化することがあることが明らかになった.大規模な歩行者空間化によって車から歩行へのモード転換が促進され,混雑が緩和し,車での来訪者の総効用が増加する可能性があることも示唆した.
著者
白井 帆香 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1638-1645, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
19

過疎化や高齢化が進む中山間地域においては,効率的な公共交通として需要応答型交通(DRT)に期待が集まっている.DRTは非定型的な活動に付随する低頻度な移動需要にマッチすることが求められるが,その予測や対応は困難である.そこで,本研究では日々の活動ニーズの変化を取り入れた再帰的スケジューリングモデルと,先着順ではなくモデルスコアに基づいて予約を調整するアルゴリズムを提案する.アルゴリズムは,予約調整に伴う繰り返しの計算コストに対応するため,ゼロサプレス型二分決定グラフによる経路列挙索引化手法を用いて実装した.実証分析を通して,本研究の提案は非定型的で低頻度な需要を予測し,予約調整システムを通して効率的にDRTにマッチングすることで,全体のサービスレベルを改善することを示した.
著者
佐藤 滋 久保 勝裕 菅野 圭祐 椎野 亜紀夫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.71-76, 2014-04-25 (Released:2014-04-25)
参考文献数
12
被引用文献数
7

我が国の城下町都市では、道路の正面に山の頂が位置している眺望が多く見られる。しかし、目視で確認されているこうした現象が、意図を持った計画や手法であったことは証明されていない。そこで本研究は、山形県鶴岡市を対象に、GISを用いた精密な計測方法を構築して、その実態を数値データを用いて解析したものである。また、日本及び東アジアの国々おいて用いられているこうした山当ての手法・現象は、山や周囲の自然に対する敬意あるいは信仰とも結びつき、自然と一体となった文化の在り方や生態学的秩序と密接に関連する都市建設の方法論の象徴的なものであるとの著者らの仮説が基本にあり、本研究はそれに対する若干の論拠としたいとの意図がある。鶴岡市における18の道路中心ラインを分析した結果、それらは旧街道や堀割などの都市骨格を形成する道路等で多くみられ、目視によって感覚的に捉えられていた「道路の正面に見える山頂」は、道路中心ラインから0.1-2.7°の範囲に存在することを確認した。
著者
池尾 恵里 後藤 春彦 佐藤 宏亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.825-830, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

生活の質の向上と心身の健康の維持のため、高齢者の外出促進の重要性が高まっている。外出行動は高齢者と都市空間との関係を考える上で、都市計画的課題になりつつある。本研究では、要介護者の外出行動の実態とデイサービスが提供する外出支援の課題を明らかにしている。また、調査では大田区の外出支援を行っているデイサービスセンター(以下、DS)において、ボランティアとして勤務しながら、65歳以上の要介護者を対象として、ヒアリングおよび参与観察を行った。本研究では以下の3点を明らかにした。1)利用者の日常生活における外出行動を自立積極型、依存積極型、自立消極型、依存消極型の4類型に分類し、類型別に外出行動の実態を把握した。2)利用者の外出行動に差異を生む要因として、身体状況、家族環境、居住環境、生活習慣の4点が挙げられ、外出行動の促進・抑制に影響することが明らかになった。3)DSによる外出支援サービスの実態を空間的に把握し、利用者が外出支援を利用する理由を明らかにした。以上から利用者の外出行動を類型ごとに考察することによって、DSに求める外出支援の全体像と課題を明らかにした。
著者
古山 周太郎 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.379-384, 1997-10-25 (Released:2018-05-01)
参考文献数
6

This study means to show the geographecal characteristics of mental hospitals' positions and their historical change. The way of study is to analyze the city area conditions of mental hospitals and their change in Tokyo. As a conclusion, mental hospitals are likely to be built in the outerskirts. Expectionally, they had been in the city area before 1920. Secondly, the hospital has been in the city area even if we have urbanization there. Thired, in each decade of these hosipals foundation in Tokyo, They have been classified into 4 types. As the times have gone by, they have moved to the west.
著者
伊藤 香織 德永 景子 前橋 宏美 結城 和佳奈 髙栁 誠也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1570-1577, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
9

本研究では,「唐桑町屋号電話帳」から作成した旧唐桑町全体の屋号語彙地理空間データに含まれる4600余語の屋号語の分布を地理的観点,社会的観点から定量的に分析し,屋号が人の認識を通して地域のどのような性質を表しているのかを探る.分析で得られた主な知見は,以下の通りである.(1)職業や家,分家,位置関係などを表す屋号語は出現頻度が高く,満遍なく分布しており,旧唐桑町全体に共通する共同体や位置関係の認識を表していると考えられる,(2)山,海,川,田,船,店,道など立地の地理的条件や人の活動を反映していると考えられる屋号語彙が多い,(3)特定の地区に集中する屋号語や特定の屋号語に偏った屋号語彙構成をもつ地区などが共同体の社会的条件を反映していると考えられる.
著者
前田 旭陽 伊藤 香織 高柳 誠也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1578-1583, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
13

歩きやすい街を実現するためには、空間のデザインや配置、人々の活動が重要な要素と考えられている。さらに人間の表情も街並みの重要な要素となり得ると考える。本研究の目的は、人々のアクティビティと表情の関係を調査し、表情、アクティビティ、歩行者量が街並みの印象に与える影響を明らかにすることである。調査及び実験の結果、会話というアクティビティは、他の行動に比べて幸福な表情が増え、観察者に活気があり居心地良い印象を与えることがわかった。一人でのアクティビティは、悲しげな表情が増える傾向があり、観察者に活気のない印象を与える。また歩行者が多いと、観察者に活気のある印象を与えるが、居心地の良い印象にはならない。人が多いと活気はあるが居心地が悪い印象を与える一方、人が少なくても活気はないが居心地の良い印象を与える。そのため、1人でも複数人でも思い思いに活動できる公共空間の実現には、人が多く「活気」を感じる「賑わい」ある空間だけでなく、多様なアクティビティを許容する「居心地良い」空間が必要であると言える。
著者
信野 翔満 佐々木 葉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.547-554, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
19

駐車場のような低未利用地がランダムに出現する現象である「都市のスポンジ化」は、地方都市における深刻な課題である。この現象を構造的に理解することは、その対策のために必要である。本研究では、福山市を対象として、駐車場の立地状況の空間自己相関分析と、スペースシンタックス理論による街路構造分析とを行い、両者の関係を時間的に明らかにした。その結果、駐車場の集積と街路のアクセス性の傾向の時代的変化を明らかにした。また地区の詳細調査によって、コインパーキングがアクセス性の高い場所に立地している傾向を示した。以上より、ランダムと見做されている「都市のスポンジ化」現象の特性を都市空間構造との関係で読み取ることを可能にした。
著者
落合 知帆 ワン ジンイン
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.759-766, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
14

本研究では、旧志賀町17ケ村のうち、比良山麓地域に位置するの9ケ村(現在は地区となっている)を対象として、以下の3点を目的とした。1) シシ垣に関する絵図を確認しながら各地区におけるシシ垣の配置を明らかにし、2) 現存するシシ垣の配置、形状、石積み方法および現在の状態を比較分析することで、地域に残されたシシ垣遺構の特徴や実態を示す。また、3) これらの解体要因を明らかにする。
著者
山本 英輝 黒瀬 武史
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.680-687, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
41

明治維新後、各都道府県の行政機関の中枢機能として都道府県庁(以下県庁)が置かれたが、その後施設の狭隘化や老朽化といった課題への対応に迫られ、いくつかの県では県庁舎の移転を行った。本研究では、県庁移転の概要と経緯を整理し、移転先の立地として中心市街地内、中心市街地近郊と郊外があることを明らかにした。そのうえで、移転した県庁舎周辺地区の特性を明らかにした。県庁舎周辺地区には、県庁や県議会に直接関係のある事業所に加え、県全域にサービスを行う産業が集積しやすいことがわかった。また、県庁に関連する産業の集積が共通してみられた典型的な県庁周辺地区では、県庁建設用地取得時から周囲に関連する事業所が立地できる街区が存在し、地区計画等で拠点の形成を促す施策がとられていた。
著者
大久保 彰洋 岸本 達也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.531-538, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
21

鉄道ネットワークの分析は,グラフ理論を用いた研究がいくつか行われている。しかし,空間ネットワークの構築に急行や快速などの列車種別は考慮されておらず,列車種別が多様化した複雑な交通ネットワークを解析することは困難であった。本研究では,東京都市圏の各路線において列車種別の停車駅および運転本数を考慮した鉄道ネットワークモデルを構築し,2018年の首都圏の PT調査の駅間トリップのODデータからより現実の移動に即した旅客流動および移動時間を再現した。そして鉄道ネットワークの解析から駅のアクセシビリティ評価に用いるための11の指標を提案した。さらに主成分分析とクラスター分析によって駅を5つのクラスターに分類し,各駅の特徴を定量的に評価した。これらの分類によって,駅ごとのアクセシビリティやコンパクト性が可視化され,列車の在り方が多様化した日本の複雑な鉄道ネットワークから都市構造を把握することができた。
著者
上杉 昌也 上村 要司 矢野 桂司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.153-160, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
39

人口減少期にある日本では,大都市圏においても急速な高齢化や転出に伴う空き家・空き地の増大が予想される.本研究では,人口動態の異なる東京・大阪・広島・福岡の4つの都市圏を対象に,空き家予防の観点から,将来(2030年)の空き家の立地状況について推計し,その空間構造を小地域単位かつ都市圏規模で明らかにした.特に,ミクロな空間スケールでの地理的および社会人口学的特性が把握できるジオデモグラフィクスを活用することで,都市圏内部の多様性や都市圏間の特徴の違いが定量的に示された.地区特性によって空き家化の進行の度合いや要因は異なることから,空き家問題に携わる自治体や民間事業者等においては,将来的に空き家対策に取り組むべき優先地域を特定し,地区レベルの特性に応じた空き家予防策を展開してくことが求められる.
著者
阿部 くらん 藤巻 米隆 小西 弘樹 宇佐美 朋香 大澤 義明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1109-1116, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
22

国土交通省の平成26年度調査によると,空き家の半数以上が相続によって発生しているという.深刻化する空き家問題に対処するため,本稿では相続データを体系的に整理し,日本国内で相続がどの程度空き家を発生させているかを空間的に分析することを目的とする.まず,潜在的な空き家の発生率と,全国の空き家調査で示される現在の空き家率の関係を明らかにする.次に,相続属性に関して,クロス分析やロジスティック回帰分析を行い,空き家を発生させやすい相続と建物の特性を把握する.
著者
吉武 俊一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.169-176, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
14

我が国では、災害危険区域など、土砂災害リスクの高い地域での居住を制限する仕組みが整備されているが、実際には居住制限には憲法で保障された財産権に関わる面があり、各自治体は崩壊防止施設を公的に整備することなどによって、土砂災害リスクの高い地域における住宅建築を認めてきた。本論文では、全国市町村の中で急傾斜地崩壊を理由とする災害危険区域の面積が最も広い横須賀市において、崩壊防止施設の選択と集中の必要性や、立地適正計画における居住誘導区域に関する課題を抽出した。そして市内2つの地域のケーススタディを通して、崩壊防止施設維持の集中化及び崩壊防止施設新設の抑制を、ゾーニングの手法で、土砂災害リスク軽減と併せて行うことで、財産権の問題に対処し、且つ駅周辺でありながら居住誘導区域から外れている地域の再生や、駅から離れた居住誘導区域の持続性確保を進める可能性を検討した。
著者
吉城 秀治 辰巳 浩 楠田 寛人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.646-653, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

近年、SNSの普及が目覚ましく、幅広い年齢層で利用されている。そのSNSの特徴の一つとして口コミの効果の高さがあげられ、口コミが人々の行動に及ぼす影響は極めて大きい。企業においてもSNSを活用したマーケティングが進んでおり、SNSは人々の消費、ひいては回遊、来店行動に大きく影響しているものと言える。 そこで本研究では、個人属性や同伴状況を考慮した上で、中心市街地における来店行動とSNSの利用の関係を明らかにしてきた。その結果、SNSの利用、特に情報発信を伴うことによって、目的地を定めないぶらりとした来店から、目的地を定めた目的型の来店になる傾向にあり、そこで時間やお金を消費する傾向にあること等が明らかになっている。
著者
輿石 彩花 後藤 智香子 新 雄太 矢吹 剣一 吉村 有司 小泉 秀樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.1355-1362, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
36
被引用文献数
3 2

コミュニケイティブプランニングの普及に従い、都市計画やまちづくりにおいて住民参加の重要性が高まっている。本研究では、2020年にバルセロナから日本に導入された住民参加のためのオンラインプラットフォーム「Decidim」に着目し、3つの先進的な事例からDecidimの日本での活用実態を明らかにする。導入者へのインタビューやDecidim上のコメントの分析から、Decidimの利用における効果や課題を明らかにした。日本では、様々な目的や方法でDecidmが導入され、参加の間口を広げることに寄与していた。一方で、行政や住民による受け入れ体制やDecidimの「使い方」、カスタマイズ方法に課題があることが明らかになった。日本におけるDecidimは、熟議のためのツールではなく、共感のためのツールであると言える。
著者
松中 亮治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.811-816, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
39

本研究では、LRT導入による影響を明らかにするため、LRTが導入され都市内交通として定着しているフランスのストラスブールと、LRTの導入が予定されているミュールーズを調査対象とし、ストラスブールおよびミュールーズのLRT導入に関する事前・事後調査報告書の記述内容を精査し、LRT導入による交通行動や社会経済に対する影響について評価項目ごとに整理している。その結果、自動車交通については、LRTの導入や交通サーキュレーションなどの影響を受け減少傾向にあることが明らかとなった。しかし、中心部の商業や賃貸料への影響については、十分に明らかにされておらず、その点には留意する必要がある.
著者
李 偉国 川上 洋司 本多 義明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.811-816, 1998-10-25 (Released:2018-04-01)
参考文献数
8

This study aims to clarify urban environmental problems accompanied with rapid economic development, in Hangzhou City on coastal area of China, based on three aspect's analysis of environmental feature, environmental policy system and resident's awareness. The conclusions are as follows: 1) Urban environmental problems are becoming more complex than before, so now traffic, industry and building activity are being main pollution sources that affect whole area of the city. 2) Though local environmental policy system is being set up by each local government, there are still less sufficiency in correspondence with activities of traffic, urban development, and resident living throughout the city. Finally, 3) the study points out the issues of urban environmental administration from the viewpoint of government and resident' roles.