著者
今城 哲二 鈴木 弘 大野 治 植村 俊亮
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.31, pp.143-152, 2001-03-22
被引用文献数
1

約20年前からコンピュータでの漢字利用が普及し,標準ログラム言語で日本語データ処理が可能となった.日本語処理は国際規格化され,いくつかの言語では識別名にも漢字などマルチオクテット文字が使用できる.予約語まで日本語にした本格的な日本語プログム言語も,分かち書きのレベルで,実用化されている.本論文では,分かち書きをしない,より日本語に近い日本語プログラム言語"まほろば"の言語仕様について述べる.20 years ago, programming languages have acquired an ability to handle Japanese. Generalizing it to internationalization (i18n), many of i18n facilities of each programming language were accepted as ISO standards. Some programming languages allow users to use user-defined words in such multi-octet characters as kanji. Some new Japanese-based programming languages have also been developed and used. In all those languages, keywords and grammar are based on Japanese, but words have to be separated by spaces. This paper discusses a non-separated (No wakachigaki) version of Japanese-based programming language "Mahoroba". "Mahoroba" is a word of ancient Japan, and means a nice country. The paper desscribes it's design philosophy and syntax by experimental implementation.
著者
是川 空 五十嵐 力 但馬 康宏 小谷 善行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, [ゲーム情報学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.65-72, 2007-03-05
参考文献数
2

はめ込みパズルの一種であるHeptamond問題は膨大な分岐数と解局面を持つことで知られている.この問題について未知数である全解数の推定を行った.探索を高速化する手法として,複数の分岐の可能性から最少の分岐数を選択して探索を行うアルゴリズムを用いた.各探索深さにおける選択された最少の分岐数の平均が,その探索深さの局面数の変化率に値することに着目し,各深さにおける平均最少分岐数を得るための実験を行った.一つ目の実験は探索を一定確率で打ち切るシミュレーション実験,もう一つは探索深さに閾値を設けた全探索を行った.この実験によって,平均最少分岐数の推定を行い, Heptamond問題の各深さにおける総局面数を求め,全解数がおよそ10^<11>であると推定した.
著者
高木 浩光
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ARC,計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.31-36, 1996-10-31
参考文献数
17

細粒度並列処理においてオブジェクトコードの最適化は避けることのできないものである。最適化の対象としては命令パイプラインの最適化、レジスタ割り当ての最適化、機能ユニットへの割り当てと実行順序の最適化、通信スケジュールの最適化、同期スケジュールの最適化、各命令について投機実行をさせるべきか否かの最適化、条件実行すべきか/分岐すべきかの最適化、などがあり、これらは互いに複雑に影響しあっていてもはや発見的な手法の積み重ねによる経験によってしか解決は困難である。今こそこれらを統一的に同じ条件の下で評価するための枠組が必要である。本稿ではこのような細粒度最適化方式研究のためのオープンな評価システムについてその概略を紹介する。
著者
齋藤 智世
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 情報システムと社会環境研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.A1-A8, 2010-09-13
参考文献数
12

レポート作成時の負担 (テーマや調べ方を決定する,情報を整理してレポートの構成を考える) を減らして,スモールステップを意識した小設問形式の課題に取り組ませると,レポート作成が苦手な学生でも課題に取り組むことができることがわかった.調査内容を広範囲にすることや,座学で学んだことを実社会のコンテンツで確認するような調査活動を課題に設定すると,理解・知識・考えを深めることができることがわかった.Students can be supported in preparing assignments by reducing their load (such as by deciding the themes and methods of investigation and considering the composition of reports by sorting information) and by working on small tasked-based assignments with small steps in mind. Students can increase their understanding, knowledge, and thinking by broadening the scope of investigation or by selecting a real-world investigation based on what they studied at school.
著者
萩行 正嗣 柴田 知秀 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. NL,自然言語処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.185, pp.45-52, 2008-05-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

近年、インターネット環境の普及とともに数多くの人がブログを通じて情報を発信するようになっている。それに伴い、大量に存在するブログから面白いものを探し出すことが困難になってきている。本研究では表層・語彙的特徴量に基づき、ブログの面白さを分析する手法を提案する。まず、ブログの記事から文字長などの表層的特徴量や評価表現などの語彙的特徴量といった様々な特徴量を抽出する。そして,これらを特徴量として与えてSVRを用いた機械学習を行なうことで、ブログの面白さを推定する。独自に設置したブログを用いて収集した249件のブログ記事とそれを採点したものを用いて実験を行なったところ,ベースラインを上回る精度を達成することができた。また、面白さの個人差の問題についてはドメインアダプテーションを用いることで対処した。最後に、学習されたモデルからブログの面白さの要因について考察を行なった。
著者
帷子 京市郎 鈴木 智之 中村 克行 趙 卉菁 柴崎 亮介 仲川 ゆり
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.158, pp.229-236, 2007-03-19
参考文献数
13
被引用文献数
1

本論文では,面的に測距を行うレーザスキャナを用いた群集の追跡手法,及び駅での検証実験により求められた群衆流動の可視化の方法について述べる.提案手法は,複数のレーザスキャナを時間的・空間的に同期させ,計測された歩行者の足断面のレンジデータから複数の歩行者を追跡する.追跡アルゴリズムは,レーザポイントに対して単純な時空間的クラスタリングを行うことで,実時間の処理を可能にしている.さらに得られた多数の軌跡データに対して位置と方向を考慮した三次元的なカーネル密度推定を行うことで,群衆流動の方向や通行密度,サイズといった情報の可視化を行う.また,得られた軌跡に対してOD別通行量の精度を評価した.
著者
間瀬 正啓 木村 啓二 笠原 博徳
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.184, pp.O1-O10, 2009-08-04
参考文献数
27
被引用文献数
11

本稿ではコンパイラによる自動並列化を可能とするための C 言語の記述方法として Parallelizable C を提案する.Parallelizable C で記述した科学技術計算およびマルチメディア処理の逐次プログラム 6 本に対して OSCAR コンパイラによる自動並列化を適用し,マルチコアシステム上での処理性能の評価を行った.その結果,逐次実行時と比較して,2 コア集積のマルチコアである IBM Power5+ を 4 基搭載した 8 コア構成のサーバである IBM p5 550Q において平均 5.54 倍,4 コア集積のマルチコアである Intel Core i7 920 プロセッサを搭載した PC において平均 2.43 倍,SH-4A コアベースの情報家電用マルチコア RP2 の 4 コアを使用した SMP 実行モードにおいて平均 2.78 倍の性能向上が得られた.This paper proposes Parallelizable C, a guideline for writing C programs which enables automatic parallelization by a compiler. 6 sequential programs written in Parallelizable C from numerical and multimedia application domains are automatically parallelized by OSCAR compiler. The parallel processing performance for these applications are evaluated on multicore systems. The evaluation results show that the compiler automatic parallelization achieves average 5.54 times speedup on a 8 cores server IBM p5 550Q with 4 dual-core Power5+ processors, average 2.43 times speedup on a 4 cores multicore processor PC with Intel Core i7 920, and average 2.78 times speedup on Renesas/Hitachi/Waseda RP2 with SH-4A cores in SMP execution mode using 4 cores compared with sequential execution, respectively.
著者
伊藤 一成 橋田 浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DBS,データベースシステム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.505-510, 2006-07-14
参考文献数
14
被引用文献数
3

文法の理解を必要としないで直感的に理解できる表現形態として絵文字(ピクトグラム)があげられる.我々はその応用として二次元的に配置された絵文字群の空間的な位置関係を意味構造化した"絵文"という概念を提唱している.絵文の構成素となる絵文字間の相対位置関係に基づく関係と既存のオントロジーをマッピングすることで,絵文字の作成や理解を支援する仕組みについて提案する.
著者
佐藤 嘉則 川崎 明彦 森田 豊久 福本 恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CSEC, [コンピュータセキュリティ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.459-465, 2005-07-21
参考文献数
11
被引用文献数
1

プライバシー保護への社会的要請が高まっている昨今, 個人情報に関わるあらゆる企業内情報システムではプライバシーへの配慮が不可欠となっている.本稿では, 情報主体への到達可能性を制御するというコンセプトに基づき, 実名・偽名データの結合をICカードにより制御する個人情報管理システムを提案する.提案システムは, 業務アプリケーションへの影響をできるだけ抑えつつ, 詳細な個人情報の利用機会の最小化, 利用権限の物理的保護の実現を狙うものである.本稿では提案システムの概要について述べる.
著者
福田 洋治 佐野 工 白石 善明 森井 昌克
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.69-76, 2001-07-23
参考文献数
20

ネットワークのサービス品質(Quality of Service; QoS)を保証するQoS制御技術は, ネットワーク・ポリシーに基づいてトラヒックをいくつかのクラスに分類してそれぞれ異なった扱い方をする, 差別化されたサービスクラスを実現する.したがって, QoS制御に利用されるパケットの識別情報(IPヘッダやTCP/UDPヘッダの情報)は, ネットワーク上で閲覧できなければならない.しかし, ESP(Encapsulating Security Payload)やSSL(Secure Socket Layer)などのアプリケーション層に属さない, 暗号化をともなうセキュリティ・プロトコルは, 元パケットの識別情報を秘匿または隠蔽し, ネットワーク上のQoS制御を妨げてしまう.そこで本稿では, ネットワーク上のQoS制御を考慮したセキュリティ・プロトコル(ESP considered QoS, ESPQ)を提案し, その安全性と有効性を検討する.
著者
吉田 翔 金井 秀明
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014-GN-91, no.52, pp.1-8, 2014-03-06

本研究は,食事中のそしゃく癖の改善を目的としたそしゃく状況通知手法に関する研究である.共食の場において周囲に悪影響を及ぼす 「クチャラー」 を対象とし,聴覚遅延フィードバックを用いたそしゃく状態の通知を行った.被験者のそしゃく音を遅延させて再生することで,自分のそしゃく行為が周囲からどのように認識されているかを通知する.構築システムでは通知だけでなく,被験者の顎の動きを検出することで,そしゃく状態を測定することが可能である.このシステムを用いた実験により,遅延時間を大きくした場合,被験者は自らのそしゃく状態を認知でき,そしゃく行為を控えようとする傾向が確認できた. : In this paper, we propose a notification system of a state of mastication in order to improve a habit of mastication during the meals. The system senses user's mastication state, and uses the delayed auditory feedback to notify the user of the state. The system does the feedback of user's mastication sound depending on the mastication state in order to make sense of the state. We carried out user experiments in order to investigate the effects of the system and how to change user's behavior of masticating using the system. From the experiments, we found that the subjects tend to change their masticating action depending on the delayed auditory feedback.
著者
黄 海湘 藤井 敦 石川 徹也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. NL,自然言語処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.174, pp.49-54, 2006-07-28
参考文献数
10

外国語の固有名詞や専門用語を翻字するときに,日本語や韓国語ではカタカナやハングルなどの表音文字を用いる.しかし,中国語では漢字を用いて翻字する.漢字は表意文字であるため,音は同じでも漢字によって与える印象が異なる.本研究は,中国への翻字において適切な漢字選択するために,発音だけでなく,翻字対象の印象や種別を考慮する手法を提案する.評価実験によって提案手法の有効性を示す.
著者
佐藤 和男 松原 仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EC, エンタテインメントコンピューティング (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.10, pp.1-6, 2014-03-06

本研究では,スマートフォンアプリを使った時間管理方法の確立を目的としている.やること (What to do) が重なるとき,付せんや ToDo リストを用いてやることを整理することがある.ソフトウェア開発においてはガンチャートを用い,作業の工程と各作業に対する見積もりの時間を視覚的に示すことで,工程管理やスケジュール管埋を行っている.しかし,日常生活において簡易的にタスクを把握したい場合,スマートフォンや PC アプリの ToDo リストやメモ帳などを使うことが多いが,ひとつのタスクに対して優先度 (Priority) や締切 (DeadLine) を設定する機能があっても時間コスト (Time-Cost) を設定する機能は稀である.我々は,ひとつのタスクに対して時間コストを設定することができる ToDo リストを開発した.そして,タスクに対して目安となる時間を設定することができれば,タスクの締切を考えながらスケジュールを立てやすくなり,従来の ToDo リストよりも有用性が高いと仮説を立てた.本研究では "時間コスト" に着目し,ひとつのタスクに対してユーザが目安となる時間を設定することによりもたらされる,効果と有用性を明らかにする.
著者
西郷 清和 片岡 幹夫 小川 祐紀雄 小高 浩 新井 利明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EVA, [システム評価] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-6, 2007-06-22
参考文献数
8

ブレードPC方式シンクライアントシステムへの移行に伴い導入されたフリーアドレスオフィス形態におけるユーザのプレゼンス管理について論じる.従来,座席位置を各社員が手動で入力したり,出勤状況を表示したりするツールはあった.しかしこれらのツールは,手間を嫌った社員がデータを入力しないと,誰が出勤しているのか正確に把握できないという課題を抱えていた.そこでユーザに負荷をかけることなく,自動でプレゼンス情報を収集し,在席・離席も含め平易な手段で提示し,ユーザ同士のコミュニケーションを促進するプレゼンス管理システムの開発を行った.
著者
山本 真司 子安 大士 前川 仁
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.172, pp.Y1-Y8, 2010-05-27
参考文献数
11

本研究では,ドラムの演奏動作を撮影した動画像からの動作抽出手法を提案する.ドラムの学習支援の研究として電子ドラムやモーションキャプチャを用いて演奏動作を解析する研究があるが,普段の練習や演奏とは異なる状況で演奏しなければならない制約がある.そこで,我々は演奏動作を動画像からマーカーレスで腕とスティックの動作を抽出し,動作点の動きから奏法を解析する手法を提案している.しかし,見掛けの変化が生じる正面からの撮影では追跡ができないことや,動作点を見失うとその後のフレームの追跡ができないといった動作抽出での問題がある.そこで本研究では,複数のオプティカルフローの情報を確率的に統合することで領域の移動を推定し,その位置関係から奏法の解析に必要な動作点の検出を行う.動作を点ではなく領域により追跡することで追跡のロバスト性が向上し,同時に見え方の変化への対応が可能となる.高速度カメラで撮影された動画像に対して提案手法を適用し,手法の有効性を確かめた.Motion capturing during actual drumming is important both to support of learning and to analyze the performance. Methods based on specialized equipments such as electronic drums or dedicated capturing system with markers may affect the motion to be performed. Therefore we present a marker-less method of motion extraction of drumming stick from video image. In the method, we first track regions of each body part and stick. To track regions robustly, we use a combination of M-estimation and Bayesian approach. Then feature points such as stick-tip and the grip of basic drumming scene are extracted by the boundary of the regions.
著者
玉木 久夫 土屋 裕希
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. AL, アルゴリズム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.121-128, 2007-03-09
参考文献数
15

平面ユークリッド距離巡回セールスマン問題に対する分割統治法アルゴリズムを提案する。このアルゴリズムは、まず与えられた点集合のドローネ三角形分割を求め、その全域閉小路を再帰的に求める。巡回路をハミルトン閉路から全域閉小路に緩和したのは解の存在を保証するためである。部分解の統合においては、部分解に属す辺とその他のドローネ辺をあわせて統合グラフを構成し、その上の最適解を線形刻み分割を用いた動的計画法により求める。このアルゴリズムの実行時間は分割の幅wを固定したとき、O(nlogn)である。
著者
阪田 真己子 八村 広三郎 丸茂 祐佳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.65-72, 2003-10-24
参考文献数
9
被引用文献数
3

本研究では,1名の演者が松本の7Motivesのキーワード「寂しい」「楽しい」「厳かな」「鋭い」「流れるような」「躍動的な」「さりげない」に対応する振りを演じた映像を刺激として評価実験を行った.刺激映像からどのようなイメージが感じ取られるかを調べ,さらにイメージに運動の型がどのような影響を及ぼすかを示す重回帰モデルの構築を試みた.主成分分析の結果,42語からなる松本のCheck List2から6つの成分が抽出され,日本舞踊独自の認知構造が提示された.また,重回帰分析の結果,それぞれの振りから感受される感性的イメージには,固有の運動の型が寄与していることが示唆された.
著者
宮本 圭太 阪田 真己子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.D1-D8, 2009-05-23
参考文献数
10

本研究は,ストリートダンスの 1 ジャンルである Locking ダンスにおける優劣の評価が何から発生しているかを,身体動作解析・感性評価という 2 つのアプローチから探り出すことを目的としている.実験では,熟練度の違う 4 人のダンサーに踊ってもらった各 6 種類の Locking ダンスの基礎技をモーションキャプチャにより三次元動作解析を行うとともに,その動画を呈示刺激とした感性評価実験を実施した.本稿では評定者の経験差,ダンサーの熟練度,およびモーションキャプチャシステムによって得られたダンサーごとの身体動作情報に注目し,どういった要素がどのように評価に影響しているかについて検討した.The purpose of the current study is to investigate how the qualitative evaluation occurs while watching a Locking dance, a genre of street dance, by analyzing physical data and KANSEI evaluation. In the experiment, a video of four differently-skilled dancers performing six types of basic steps each were taken. Several dance experienced and non-experienced person saw and evaluated those videos by the questionnaire of the semantic differential method. In the current study, the investigation was made of difference between the experience of rating person, dancers' skill level, and the physical data obtained by using motion capture system.