著者
中里 トシ子 長谷川 千佳子 村上 智子 横田 聖子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.381-386, 2000-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
15

Gomadango was made by adding 10,20 or 30% of wheat starch or wheat flour to glutinous rice flour. The effect of those additions on the formability and taste of gomadango were examined.The breaking stress of the dough was initially decreased by the addition of wheat starch and wheat flour, but after steaming, increased to a higher value than the control with no addition.The percentage weight loss of gomadango was increased with increasing amo unt of added wheat starch and wheat flour. This weight loss was larger with wheat flour than that with wheat starch.The formability of gomadango was enhanced by the addition of wheat starch and wheat flour to result in a better appearance than that with no addition. The color of gomadango added with wheat flour was deeper, this depth of coloratin increasing with the amount of wheat flour added.A sensory test showed that gomadango samples with 10% wheat starch and 10% w heat flour were preferred to the control sample without either of these additives in the total evaluation, while the sample with 10% wheat flour had the most favourable color and flavor.
著者
石渡 奈緒美 堤 一磨 福岡 美香 渡部 賢一 田口 靖希 工藤 和幸 渡辺 至 酒井 昇
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.265-274, 2012-08-05
参考文献数
19
被引用文献数
1

IHクッキングヒーターを加熱源とし,フライパンでハンバーグを片面ずつ焼成する時の温度と水分移動を予測できる数学モデルを構築するため,モデル試料(シリコン,ボロニアソーセージ)を用いた解析を行った。蓋をしたフライパン内全体を調理空間とみなした伝熱モデルは,IH発熱層,フライパン伝熱層,フライパンと試料との接触層および試料から構成される伝導伝熱領域と,フライパン内の空気との熱伝達からなる。試料表面と空気との熱伝達とともに,フライパンから空気への放熱が,試料の温度上昇に影響をおよはずことから,試料のないフライパン面と空気との熱伝達も考慮した。水分移動の計算では,試料表面とともに,試料内部も水分蒸発の計算領域とした。本モデルの妥当性を検証するため,調理中に形状が一定とみなせるボロニアソーセージを用い,中心温度50℃で一度反転させた際の温度と含水率変化を算出した。その結果,解析値は実験値と同様な傾向を再現可能であった。
著者
柳本 正勝
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.32-36, 2002-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
28
被引用文献数
4

食べ物のおいしさは一般に,感覚特性で決まるとされている。ところが,それぞれの重要性の差についてはあまり取り組まれてこなかった。そこで,著者が行ってきた10品目の「食べ物のおいしさとは」を考察した表を用いて,感覚特性の食べ物のおいしさに対する貢献度を比較した。6つの感覚特性,味,匂い,テクスチャー,外観品温,音のうち,テクスチャーと味が(35)35日本調理科学会誌Vo1.35No.1(2002)2大特性であった。テクスチャーと味を比べれば明確な差はないが,テクスチャーの方が貢献度の高い項目が多いことが指摘できた。また,液状食品と固形食品に分けると,液状食品は味が,固形食品はテクスチャーの貢献度が高い結果を得た。外観と匂いがこれに次いで高かったが,外観のこの評価は他の調査結果と比べると低い。音は最も低かったが,これは常識的な結果と考える。
著者
池田 博子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.214-218, 1999-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9

The effect was investigated of the temperature of water on the foaming property of powdered green tea. Water temperatures of 20,40,60,70,80,90 and 100°C were tested to dissolve powdered green tea with subseqnent stirring of the tea solution. The foam volume, expansion rate and degree of stability of the foam were measured. The amounts of tannin, soluble nitrogen and pectin that could be dissolved at each of these temperatures in 30 seconds and the viscosity of the resulting tea solution werem also measured.The higher the temperature of the water used to dissolve the powdered green tea, the more chemical elements were dissolved, the more the viscosity increased, the more the foam volume increased and the more the foam became fine and stable.Evaporation at the surface of the foam membrane became more active, the foam disappeared more easily and the foam stability decreased as the temperature of the water during stirring was increased.
著者
大石 恭子 渡邊 暦 渋川 祥子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.184-191, 2010 (Released:2014-11-21)
参考文献数
6

調理済み冷凍食品の揚げ上がりは表面の色で判断されることが多く,中心温度は調べられていない。そこで,冷凍コロッケとミートボールを用いて揚げ調理中の中心温度の変化を調べ,適度な揚げ色と中心温度を満たす揚げ条件について検討した。一般的に用いられる油温で揚げると,適度な揚げ色になった時点では中心温度の上昇は十分ではなかった。この傾向はコロッケよりもミートボールのような揚げ衣のない揚げ種の方が著しかった。ミートボールを揚げるには,加熱初期に低温の油で揚げ,中心温度が0°Cに達した時点で火力を上げるのが最も良い方法であり,加熱終了時の中心温度は十分に上昇し,かつ揚げ色も適度であった。この条件で揚げたミートボールは,表層はより硬く,もろくなり,揚げ物として好まれるテクスチャーであった。
著者
間宮 貴代子 小出 あつみ 阪野 朋子 松本 貴志子 山内 知子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.58-64, 2016

本研究では愛知県の雑煮を構成する食材について検討した。愛知県の雑煮の食材構成では,東日本で多く使用された角餅に,醤油とかつおだしの清まし仕立てが多かったが,これは味噌仕立を嫌った武家社会の歴史的影響である。具は古くからの形式が現在も維持され,縁起担ぎから,尾張地域在来の餅菜が使用され,かまぼこ・なるとを加え,かつお削り節を添えていた。しかし,尾張地域と三河地域には相違点がみられた。和風風味調味料の使用が,女性の労働力率が高い三河地域で有意に多かった。また,三河地域の雑煮の具は,収穫量が多い白菜,豆腐・油揚げ(大豆),人参を使用する地産地消の傾向が伺え,尾張地域より多彩な具であった。
著者
露久保 美夏 石井 克枝
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.15-20, 2011 (Released:2014-08-08)
参考文献数
31
被引用文献数
1

サツマイモ飯やサツマイモ粥の調理において,サツマイモに含まれるβ-アミラーゼが米に及ぼす影響を調べるため,サツマイモ粗酵素液を用いて飯と粥を調理し,糖量測定,官能評価を行った。粗酵素液を用いて調理した飯と粥では,対照(水炊飯)に比して還元糖量およびマルトース量が顕著に多かったことから,粗酵素液中のβ-アミラーゼが米デンプンに作用し,マルトースにまで分解していることが明らかとなった。また,飯と粥の生成糖量について比較したところ,炊飯液の種類に関わらず,粥の還元糖量およびマルトース量が飯よりも多かった。これには,飯と粥の加熱温度履歴や米に対する加水量の違い等が,酵素活性や米デンプンの酵素作用の受けやすさに影響していることなどが考えられた。また,米デンプンの分解は米粒表層部に加えて内層部でも起きていることが示唆された。官能評価の結果から,粗酵素液炊飯を行った飯と粥は水炊飯と比較して有意に甘味が強いと評価された。