著者
遠藤 瑶子 渥美 恵理 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.422-428, 2012 (Released:2013-12-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ダイコン,ニンジン,ジャガイモの1~3cm角を20℃,0.8~2.0% NaCl水溶液に浸漬した時の試料内部の食塩濃度分布の経時変化をプログラム計算により算出した。プログラムは三次元熱伝導および拡散解析に基づく差分法を用い,Visual Basic(Microsoft)により作成した。水から加熱し余熱を利用して適度な硬さとしたものを試料とした。計算により試料全体の平均濃度が0.6~0.9%になる時間を求め,実際に試料を調製し,塩味の濃さについて-2から+2の5段階評点法で官能評価を行った。官能評価の結果,0.8~1.5% NaCl水溶液浸漬時の試料全体の平均濃度が0.7%であれば,野菜の種類やサイズによらず適度な食塩濃度であった。2.0% NaCl水溶液では試料断面の食塩濃度分布から表面付近が濃すぎて適度な状態が得られなかった。加熱時の調味時間はそれぞれジャガイモ>ニンジン>ダイコンの順に長かった。
著者
桒田 寛子 寺本 あい 治部 祐里 田淵 真愉美 渕上 倫子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.137-144, 2011 (Released:2014-07-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

玄米をおいしく炊く条件を探る目的で,玄米を七分つき米,精白米に搗精し,テクスチャーと組織構造を比較した。玄米の20°C,30°Cでの吸水速度は搗精した米と比べ遅かった。しかし,60°Cに2時間浸漬すると,七分つき米,精白米と同じ吸水率となった。炊飯後の玄米飯の水分含量は搗精した米飯と比べ少なく,サイズは小さかった。クライオ走査電子顕微鏡観察すると,米の搗精度が高くなるに従って,果皮,種皮,糊粉層が除かれていた。米を水に浸漬すると,玄米より搗精米のほうが,デンプン貯蔵細胞中のアミロプラストがより大きく膨らんでいた。米の搗精度が高くなるほど,小孔(水の痕跡)が増加した。これはデンプンの糊化が十分であったことを示唆している。玄米の官能評価は搗精米より悪かった。
著者
岡田 久美子 市川 朝子 下村 道子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.327-336, 2008-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

うどんのおいしさには食したときの物性が大きく関与し,それにはうどんの成分である澱粉の性状が影響するといわれる。現在製麺業界で麺の物性改良として用いられている各種澱粉としてタピオカ澱粉,コーンスターチ,サゴ澱粉のいずれかを中力粉に加えたときの物性及び官能評価を行った。その結果タピオカ澱粉代替麺は,破断エネルギー値が低く,伸長度の高い,軟らかく伸びやすい性状を,またコーンスターチ代替麺は破断エネルギー値が高く,伸長度の低い,すなわち硬く伸びにくい性状であった。この違いはα-アミラーゼ処理した生麺の走査電子顕微鏡観察でグルテン組織の形状に明らかな違いとして認められた。さらに,各種澱粉に活性グルテンを添加すると,破断エネルギー値はいずれの澱粉の場合も高くなった。官能検査ではタピオカ澱粉に活性グルテンを添加した麺が弾力,腰のある麺として好まれた。
著者
石原 三妃 大森 恵美 水野 尚子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.65-73, 2016 (Released:2016-03-01)
参考文献数
12

管理栄養士・栄養士養成施設に適した調理学実習の必要度について管理栄養士・栄養士を対象にアンケート調査を行い調理の学習内容について検討した。 アンケートは,選択回答法と自由回答法を用いて行い,施設種類ごとの評価を分析した。 その結果,いずれの施設でも基本の料理や知識が大切であることが示された。また,施設種類によって必要な調理操作や料理は異なった。特に対象となるライフステージにより,必要な料理が異なり,病院,高齢者施設および乳幼児を対象とする保育園・幼稚園ではやわらかい料理の必要度が高かった。 調理操作においては,魚の下処理に関する操作は行政では必要度が高く,他の病院,高齢者施設など給食施設では低かった。切砕操作は,日常食に用いる基本の切り方は,いずれの施設でも有意差なく,必要度が高いと評価されていた。
著者
石原 三妃 水野 尚子 大森 恵美
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.405-415, 2015 (Released:2016-01-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1

管理栄養士・栄養士養成施設に適した調理学実習内容の必要度について,給食施設と非給食施設に勤務する管理栄養士・栄養士にアンケート調査を行い,調理の学習内容について検討した。アンケートは,選択回答法と自由回答法を用いて行い,給食施設と非給食施設の評価を分析した。その結果,料理については,“味噌汁”,“青菜のお浸し”の必要度が高かった。調理操作について,給食施設では非給食施設より浸漬操作と茹で操作の必要度が高かった。また,いずれの施設でも基本の料理や知識が大切であることが示された。切砕操作のなかでも,日常食に用いる基本の切り方は,いずれの施設でも有意差なく,必要度が高いと評価されていた。だしを取る操作は非給食施設で給食施設より必要度が高かった。大量調理と少量の調理では,調味料の重量や調理時間が異なることが推察された。
著者
平島 円 Hirashima Madoka
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.47-51, 2007-04-01

平成18年度日本調理科学会奨励賞受賞記念論文
著者
長尾 慶子 喜多 記子 天野 里香 森田 真由美 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.491-496, 2005-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10

Keiko Nagao Noriko Kita Rika Amano Mayumi Morita Midori Kasai Keiko Hatae“Covered food cooking” is a parcel cooking method in which meat or fish is usually covered with Japanese paper or salt. We evaluated wheat flour dough, pie dough, mashed potato, misogama (miso and flour) and shiogama (salt and egg white) for food parcel wrapping in this study. The thermal diffusivity (α) of each sample was calculated from measurements of the thermal conductivity (λ), heat capacity (c) and density (ρ). The internal temperature along one axis was measured during heating, and the heat retardation time was calculated. The various materials used for covered food cooking were then studied for their properties.Shiogama had the highest thermal conductivity, being followed by mashed potato, wheat flour dough, misogama and pie dough in that order. The retardation time τ(χ), an index of heating rate, tended to follow the order of thermal conductivity for the covering materials. A high correlation was seen between 1/τ(χ) and thermal diffusivity(α).The retardation time in cooling made shiogama easy to heat and easy to cool, so it could not retain the heating effect. Misogama, wheat flour dough and pie dough retained the heating effect much better than shiogama.
著者
河村 明子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.118-122, 2001-02-20
著者
中村 光良 光田 佳代 松田 秀喜
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.375-382, 2004-11-20
参考文献数
5
被引用文献数
3

水,本みりん,煮切りみりん,ショ糖溶液及びエタノール溶液で小豆を下ゆでし,煮汁の分析を行い,小豆色素の溶出抑制効果の解明を行った。さらに,ショ糖溶液で蜜煮にした小豆のてりつやの測定によりてり・つや付与効果,胴割れ豆,軟化豆,軟化未了豆の割合,テクスチャーの測定を行い,煮崩れ防止効果について解明を行った。1.下ゆで時の煮汁の濁度から,小豆の可溶性成分の溶出抑制効果は,溶液に含有する糖であることが示唆された。豆に含まれる赤色色素の溶出抑制に関しては,加熱30分後までについては,糖を含有する区で溶出抑制効果が認められた。ショ糖,煮切りみりん,本みりんでは,本みりんが最も溶出抑制効果が高かった。エタノール及び水では,30分加熱以後,赤色度は増加しなかった。濁度も同様に本みりん20%溶液,煮切りみりん20%溶液,9.2%ショ糖溶液の糖を含有する溶液は,2.8%エタノール溶液及び水よりも濁度が低く,可溶性成分の溶出を抑制している成分は糖であることが示唆された。2.小豆の蜜煮に対するてり・つや付与効果は,本みりんを使用したものが最も高く,本みりんのてり・つや付与効果が確認された。3.小豆の煮崩れ防止に寄与する成分は,糖であるが,糖は煮崩れ防止に寄与すると共に,軟化を抑制することがわかった。また,エタノールは軟化を促進するため,本みりんのように両成分を含有する調味料が煮崩れを防止し柔らかい豆を得ることが可能であることがわかった。4.小豆蜜煮においては,柔らかさと食慾の好ましさは一致しており,柔らかい小豆蜜煮を作ることがおいしさにつながることがわかった。本みりんを用いた場合,予め水だけで10分間加熱してザルにあげて,渋切りを行い,その後,本みりん溶液で下ゆでをし,加熱調理することによって,柔らかい小豆蜜煮を得ることが可能である。
著者
堀 光代 長野 宏子 阿久澤 さゆり 下山田 真 吉田 一昭
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.31-37, 2010 (Released:2014-12-05)
参考文献数
22

岐阜県産小麦粉(中国152号)の製パン性を製粉方法による粒度の面から検討した。ロール製粉機による製粉(中国152号(I)),テストミルによる製粉(中国152号(II))の2種類で製粉し,これらの小麦粉粒度,色差,製パン性等を比較した。小麦粉の平均粒度は,中国152号(I)95.5μm,同(II)56.9μmであった。粒度分布タイプも異なり,中国152号(I)にふすまの混入が示唆された。小麦粉の色差は「感知できるほど」の差がみられた。製パン結果では,比容積は中国152号(II)が(I)より高い結果であった。パンの色差は,小麦粉の色差結果より差が大きかった。パンのクリープ試験結果では,中国152号(II)は1CWに近く,中国152号(I)と(II)には顕著な差がみられた。パンの品質評価は,中国152号(I)の焼き色と色相の2項目が低かった。官能評価では中国152号(I)は(II)と比較して香り以外のすべての項目で低い評価であった。
著者
松村 康生
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.185-189, 1995-08-20
参考文献数
21
被引用文献数
2
著者
沢村 信一
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.231-237, 2011

現代の抹茶は,微細に粉砕され,滑らかな食感である。このように微細になったのは,茶の栽培技術や粉砕道具の発達を考慮すると近世になってからと考えられる。粉砕の面から抹茶を4期に分けて再現し,その粒度を測定し味の評価を行った。薬研で粉砕した2種類の抹茶は,粒度が粗く,ざらつきを感じた。味は,強い苦味を感じた。2種類の茶臼で粉砕した抹茶は,微細に粉砕され,滑らかな食感であった。味は,まろやかでうま味を感じた。
著者
肥後 温子 井部 奈生子 大坪 俊輔 大楠 秀樹
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-57, 2016

9種類の穀粉; 薄力小麦粉,薄力小麦全粒粉,米粉,玄米粉,赤米粉,トウモロコシ粉,そば粉,ひえ粉およびあわ粉を用い,各々生粉と焙焼粉で作製したクッキー焼成品について官能的な評価とレオロジカルな客観評価とを行ったところ,以下に要約するような評価が得られた。 (1)穀粉を焙焼すると硬さが低減してもろい焼成品となり,口どけが改善された。また,(2)穀粉を焙焼すると味・あと味,香りが改善されて,総合的に好ましい評価となった。(3)総合的評価で高得点を得たクッキーは,生および焙焼小麦,焙焼小麦(全粒),焙焼玄米および焙焼トウモロコシの製品であった。(4)焙焼による硬さの低減効果が特に大きいのは米粉であった。
著者
杉山 寿美 水尾 和雅 野村 知未 原田 良子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.411-416, 2011 (Released:2014-04-25)
参考文献数
20

本研究は,長時間の湿式加熱におけるコラーゲンの構造変化(酸可溶性コラーゲン(ASC),ペプシン可溶化コラーゲン(PSC),不溶性コラーゲン(ISC)量の変化)とそれに伴う脂質量の変動,さらに植物プロテアーゼの影響について明らかとすることを目的とし,豚角煮を試料として実験を行った。蒸し加熱後には,ISCは認められず,ASCは有意に増加,PSCは有意に減少した。その後の煮る過程でのPSCの減少は有意ではなかった。生姜搾汁あるいはキウイフルーツ果汁を添加した場合,蒸し加熱後ではコントロールと同程度であったが,続く煮る過程ではPSCは減少し,キウイフルーツ果汁を添加した場合にコントロールよりも有意な減少を示した。この煮る過程におけるPSCの減少は,蒸し加熱前および蒸し加熱初期に植物プロテアーゼがコラーゲンのテロペプタイド部位および熱変性部位に作用した結果であると推察された。いずれの条件でも調理後の脂肪およびコレステロールは減少した。キウイフルーツ果汁を添加した場合は,コントロールよりも有意な脂肪量およびコレステロール量の減少が認められた。これらのことから,豚塊肉の調理では,加熱によりコラーゲン繊維は脆弱化するものの,脂肪の多くは保持されること,キウイフルーツ果汁を添加した場合にコラーゲン繊維が脆弱化し,脂肪およびコレステロールの溶出が増加することが示された。
著者
松下 純子 後藤 月江 金丸 芳 遠藤 千鶴 長尾 久美子 有内 尚子 高橋 啓子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.42-48, 2014

日本の調理文化の地域性の特別研究のうち,平成21年から平成22年に「行事食・儀礼食」についてアンケート調査を行った。徳島県に10年以上在住する人を対象に,正月を除く年中行事について30歳未満,30歳以上50歳未満,50歳以上の年代区分に分類し検討した。人日,端午の節句,七夕,土用の丑,盂蘭盆,重陽の節句,春分の日,秋分の日,冬至,秋祭りでは,認知率および経験率の双方に年代区分で有意差がみられた。節分「巻き寿司・のり巻き」,土用の丑「うなぎの蒲焼き」は行事食としての喫食率が高かった。春分の日,秋分の日の「ご飯・だんご」,春祭り,秋祭りの「ご飯・すし」は,若い世代への伝承が薄れていることが推察された。全ての年代区分で年末のクリスマス,大みそかは行事として定着しており,「ケーキ」や「年越しそば」を多く食べていた。多くの行事食は以前には家庭で作ったが,現在は買う入手方法へ変化しており,特に50歳以上で顕著であった。
著者
奥田 玲子 石村 哲代 金谷 昭子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.394-403, 2009 (Released:2014-12-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

米粒組織から遊離した炊飯液中の固形成分が,米飯粒表面付着層形成に関わる主要なファクターの一つになっているのではないかとの観点から,炊飯過程における炊飯液固形成分量と,それに対応する付着層固形成分量の量的変化を追跡し,固形成分による付着層形成のメカニズムの解明を試みた。また米粒組織と付着層の境界を明らかにして光学顕微鏡観察をおこなうとともに,SEMによる米飯粒表面付着層の詳細な観察をおこなった。その結果,付着層の形成は糊化開始温度付近から始まり,炊飯の進行につれて炊飯液の固形成分量は次第に減少するが,それに伴って固形成分の集積による付着層の増加がみられるという,炊飯液固形成分の付着層形成機構への関与が明らかになった。また光学顕微鏡による米飯粒付着層の厚さの測定およびSEMによる表面観察より,日本穀物検定協会による食味評価ランクが高い品種の米飯粒は全体的に均一で厚く滑らかな付着層に覆われており,食味と付着層形成状態との関連性が示唆された。
著者
上部 光子 秋山 舞子 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.336-343, 2004-11-20
参考文献数
18

白玉粉調理の生地作りでは,水を白玉粉の80~90%加えて捏ねる。この混捏時は,水分の多少により,生地のひび割れやだれを生じ,生地の捏ね操作上で扱い難い欠点がある。白玉粉生地の調理操作性改善方法としては,捏ねた生地の一部をゆで,元の捏ね生地に戻し、加えて混捏する方法が考えられる。そこで,ゆで生地量の違いによる生地の取り扱いやすさや,生地のレオロジー特性値を検討した。さらに,元宵と白玉団子の食味の官能検査について検討し,以下のような結論を得た。1)生地作り操作上の難易度の評価,および、ゆで後の食味の官能検査については,ゆで生地5%混入試料が捏ね時に操作しやすく,ゆで後の食味の官能検査結果から美味しいと認められた。2)円柱形に成形した生地についてテクスチャー・プロフィールアナリシスの結果,(1)ゆで生地無混入試料は硬く,多少べたつき,ぼそぼそとまとまりが悪い生地で,圧縮応力が最高値を示し,硬かった。また,ゆで生地混入試料は,混大量が多くなるにつれ圧縮応力が小さくなり,生地が柔らかく,捏ね操作がやりやすくなった。しかし,ゆで生地7.5%以上の混入試料は生地が柔らかすぎて扱い難いことが示された。(2)ゆで生地5%混入試料ではゆで生地2.5%混入試料に比べ付着量が少なく,触感から見て粘り気をおびて扱いやすかった。3)円盤形の生地の周縁を保持し,中心部を球形プランジャーで圧縮して引き伸ばす測定において,ゆで生地が増すにつれ,生地が柔らかく,粘り気が加わり伸びやすいことがわかった。ゆで生地5%混入試料は,荷重-変形曲線から見ても,生地作りの操作上で扱いやすい生地であることを見出した。
著者
上部 光子 秋山 舞子 西成 勝好
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.336-343, 2004-11-20

白玉粉調理の生地作りでは,水を白玉粉の80〜90%加えて捏ねる。この混捏時は,水分の多少により,生地のひび割れやだれを生じ,生地の捏ね操作上で扱い難い欠点がある。白玉粉生地の調理操作性改善方法としては,捏ねた生地の一部をゆで,元の捏ね生地に戻し、加えて混捏する方法が考えられる。そこで,ゆで生地量の違いによる生地の取り扱いやすさや,生地のレオロジー特性値を検討した。さらに,元宵と白玉団子の食味の官能検査について検討し,以下のような結論を得た。1)生地作り操作上の難易度の評価,および、ゆで後の食味の官能検査については,ゆで生地5%混入試料が捏ね時に操作しやすく,ゆで後の食味の官能検査結果から美味しいと認められた。2)円柱形に成形した生地についてテクスチャー・プロフィールアナリシスの結果,(1)ゆで生地無混入試料は硬く,多少べたつき,ぼそぼそとまとまりが悪い生地で,圧縮応力が最高値を示し,硬かった。また,ゆで生地混入試料は,混大量が多くなるにつれ圧縮応力が小さくなり,生地が柔らかく,捏ね操作がやりやすくなった。しかし,ゆで生地7.5%以上の混入試料は生地が柔らかすぎて扱い難いことが示された。(2)ゆで生地5%混入試料ではゆで生地2.5%混入試料に比べ付着量が少なく,触感から見て粘り気をおびて扱いやすかった。3)円盤形の生地の周縁を保持し,中心部を球形プランジャーで圧縮して引き伸ばす測定において,ゆで生地が増すにつれ,生地が柔らかく,粘り気が加わり伸びやすいことがわかった。ゆで生地5%混入試料は,荷重-変形曲線から見ても,生地作りの操作上で扱いやすい生地であることを見出した。
著者
角野 猛 会田 久仁子 角野 幸子 山田 幸二
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.212-217, 1996-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
24
被引用文献数
5

From the viewpoint of food hygiene, public nutrition and food chemistry, were studied the bacterial contamination, the amounts of sodium, potassium and salt, and the free amino acids composition of “kapit” in Thailand.The results were as follows:1. Bacterial counts isolated from “kapit” were 106-107/g. The detected ratio of Coliform organisms, E coli and Staphylococcus were 40.0%,40.0% and 0%, respectively.2. The genus of Family Enterobacteriaceae (14 strains) isolated from “kapit” consisted of Enteraerogenes (4 strains), Proteus mirabilis (5 strains) and Escherichia coli (1 strain) and others.3. The averages of contents of sodium, potassium and salt and water activity of “kapit” were 4318.4mg/100g,179.8mg/100g,11.0% and 0.872, respectively.4. The total amounts of free amino acids of “kapit” were 721.3mg/100g-4565.1mg/100g. The major free amino acids of “kapit” were glutamic acid, leucine, alanine and lysine. The content of glutamic acid was 26.4-77.4% of total free amino acids.