著者
藤本 健四郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.271-276, 2006-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
25
被引用文献数
2
著者
綾部 園子 本間 千裕 長浜 ゆり 高橋 伸幸
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.188-193, 2009 (Released:2015-02-13)
参考文献数
17
被引用文献数
1

同じ条件で栽培したF1種のフルーツトマト(甘しずく)と普通のトマト(麗容),および比較のため特殊栽培によるフルーツトマト(アメーラ)の品質と嗜好性について検討した。その結果,甘しずくの糖度は,麗容と同じ栽培方法であったが,アメーラとほぼ同じであった。甘しずくとアメーラは麗容に比べてフルクトースとグルコースの含量が多かった。フルクトース/グルコースは甘しずくはアメーラよりも高く,甘味の質が異なることが示唆された。酸度は甘しずくのゼリー部において有意に高かったが,果肉においては有意の差はなかった。皮付きの破断応力は甘しずくが最も高く,皮を除いた果肉の圧縮応力はアメーラが最も高かった。官能評価の結果,麗容に対し甘しずくとアメーラは有意に好まれた。
著者
添田 孝彦
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.87-92, 2004-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
4

1.訴求表現に関する文字数訴求文字数は豆腐1 個あたり平均2 1 . 7 字の表現がなされていた. 項目としては「大豆」, 「にがり」, 「味風味」および「製法」における文字数は多く,「安心安全」,「新鮮さ」,「料理」,「形態」,「食感」および「消泡剤」に関するものは少なかった.地域的にみると,「大豆」および「にがり」は四国地方で多く,沖縄地方は少なかった.「製法」は沖縄地方および近畿地方で多く, 北海道および東北地方で少なかった. 「味風味」は各地域一様に表現されていた.2.具体的訴求内容「大豆」は"無農薬有機栽培大豆","国産大豆"および"地名+国産大豆"の出現がほとんどで,「にがり」は" にがり使用" または" 地名+ にがり" , 「水」は" 地名+ 水" が多く出現した. 「製法」は" 手造り" が最も多く,"生絞り法","一丁仕込み"なども使われ,「味風味」は" 豆の旨み・香り・こく・甘味" , " まろやかな味わい"が多く出現し,「食感」は"煮くずれしない"," なめらかな舌ざわり" といったわかりやすい表現が多かった.3.地名を冠した訴求表現の出現頻度地名を冠した表現のものは全体に対して3 5 . 8 % と高く,項目別では「大豆」および「水」が高く,地域的には東北,関東,北陸地方の東日本および四国地方で高かった.
著者
三神 彩子 喜多 記子 佐藤 久美 長尾 慶子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.98-105, 2010 (Released:2014-10-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では,幅広い料理法に対応できる中華鍋(鉄製)の特性を活用し,省エネルギー効果およびCO2排出量削減効果をはかることを目的に,「炒める」「焼く」「揚げる」「蒸す」「煮る」の 5操作法別に代表的な調理での他の鍋類との比較を行い,調理時のガス・水使用量,試料内部温度,仕上がりまでの加熱時間を測定し,さらにCO2排出量に換算した。 炒める(キャベツ炒め)では,中華鍋は鉄製フライパンと比較し約26%,テフロン加工フライパンとでは約56%,焼く(ハムステーキ)は,中華鍋は鉄製フライパンと比べ約13%,テフロン加工フライパンとでは約47%,揚げる(トンカツ)は,揚げ鍋と比較し約16%,蒸す(蒸しイモ)は,中華鍋で蒸籠を使った場合と西洋蒸し器とで比較すると,約7%のCO2排出量削減効果が得られた。煮る(煮豚)では,中華鍋によるCO2排出量削減効果はみられなかった。以上5項目中4項目の加熱操作の中華鍋使用の料理で7~56%のCO2排出量削減効果が確認できた。
著者
畦 五月
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.362-370, 2016 (Released:2016-12-19)
参考文献数
49
被引用文献数
1

岡山県南部地方で食用とされているヒラ,サッパ,コノシロの食習慣に注目した。これら三種の魚は分類学上極めて類似し,白身が多く,しかも小骨が多いという特徴を示す。酢の物,すし,焼き物,煮物などの多彩な調理方法で三種は食べられるが,昭和初期から大正時代には,稲作行事や祭りの行事に合わせ使い分けがされている魚であった。その食習慣が形成されている背景を,江戸時代の岡山藩の文献より明らかにした。三種は岡山藩の産物として認定され,幕府に届け出をされた魚であった。後楽園での各種行事の饗応膳にも使用された魚であったが,藩主など身分階級の高い人の膳にはのらない魚であった。この江戸時代からの食習慣は,調理法を伝承しながら,現代も他の魚の食習慣とともに岡山県南部地域に継承され,岡山県独自の食習慣を形成している。
著者
肥後 温子 寺本 あい 富永 暁子 井部 奈生子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.221-230, 2013 (Released:2013-08-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1

水,バッター生地,食パンを試料とし,スチームコンべクションオーブンの7種類の加熱モードを用いて加熱速度,消費エネルギー量,力学特性を比較した。(1)水温上昇速度,バッター生地の凝固速度,食パンの焦げ速度とも熱風モードに比べてスチームを併用したコンビモードの方が速くなった。(2)180℃の熱風モードを基準とした単位時間当たりの消費電力量は,280℃熱風では1.87倍となり,コンビモード(スチーム100%)では3.62倍(180℃),3.95(280℃)倍となった。(3)180℃の熱風モードを基準とした水,バッター生地加熱時の消費電力量は,280℃熱風では1.37~1.44倍となり,コンビモード(スチーム100%)では2.41~3.01倍となった。(4)食パンの焦げ速度は,庫内温度を180℃から280℃に上げると6倍以上となり,一定の焦げ色にするための消費電力量は庫内温度180℃の1/2以下となった。(5)熱風モードでは加熱時間が長くなると乾燥して硬くなる傾向があるが,コンビモードでは食パンの力学特性の変化が速いにもかかわらず長時間加熱しても硬化が少なかった。
著者
李 利 江原 絢子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.193-201, 2007-06-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
16

本研究は,中国明朝に李時珍によって編纂された『本草綱目』(1587年)と,この書を学び,日本の食生活にあわせて編纂した食物本草書『本朝食鑑』(人見必大著1697年刊)の分類上の比較を通して,両国の食文化の特徴を明らかにすることを目的としている。その結果『本草綱目』で取りあげられなかった食品が,『本朝食鑑』で多く取りあげられていたものは魚介類であり,逆に『本朝食鑑』で積極的な解説がなく,わずかな種類しか取りあげられなかったものは,獣類や虫類である。その取りあげ方を見るだけでも両国の食文化のちがいが明確になる。また,獣畜類に着目すると,『本朝食鑑』では,胆,皮などは薬として扱っているが,『本草綱目』のように,血,心臓など多くの内臓については紹介していないのも食文化のちがいを示す特徴の一つといえる。
著者
高橋 智子 河村 彩乃 大越 ひろ
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.342-350, 2015 (Released:2015-11-05)
参考文献数
18
被引用文献数
3

本研究では,食パン,およびミルク溶液の一部をサラダ油に置換した液状食品を材料としたゲル状パン粥を基本パン粥とし,加えて,基本パン粥試料の表面にとろみ(粘稠液状食品)を付加した試料を用い,ゲル状パン粥にとろみを付加することがヒトの嚥下状態にどのように影響するかを検討した。テクスチャー特性の硬さは品温20℃パン粥試料が45℃試料に比べ,有意に硬いことが認められた。官能評価より,品温20℃でとろみを付加したパン粥試料は,とろみを付加しないものに比べ,口中でべたつかず食べやすいと評価された。試料品温20℃の嚥下直前の食塊の硬さは,口中で食塊形成中に顕著に軟らかくなることが示され,嚥下直前の食塊のテクスチャー特性の試料間の差は小さいものとなった。表面にとろみを付加した45℃試料は20℃基本パン粥試料に比べ,嚥下時筋活動時間が短くなることが示された。
著者
立屋敷 かおる 山岸 好子 今泉 和彦
出版者
日調科誌
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.355-361, 2005

Developmental changes in the handling motion of chopsticks and writing motion of a pencil were studied in elementary and junior high school students. The handling motion of chopsticks and the writing motion of a pencil were respectively classified into four (I to IV) and five (A to E) types. The linkage between the motion type for chopsticks and that for a pencil was also examined. The relative proportion of type I (conventional) increased with increasing age, while those for types II (less complete) and III (incomplete) decreased with increasing age. The relative proportion of type IV (others) was 14%, being independent of age. The relative proportion of type A (conventional) was 42% in three age groups. The total relative proportion of types B (less complete folding of the thumb), C (extended thumb) and D (forefinger control) were 39%. The total numbers of types I and II were 79% for all subjects, with 44% and 56% of these subjects being respectively assigned to types A and B to E (others). The number of type A was 42% of all subjects, with 83% of these subjects being assigned to types I and II. These results suggest that development of the handling motion for chopsticks was slower than that of the writing motions for a pencil, and that the age at which many students attain type I capability may be at least 15 years old.