著者
海老原 一之 楜沢 順 岩澤 昭一郎 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.507, pp.61-67, 1997-02-03
被引用文献数
2

本報告では,誰もが歌舞伎役者に変身可能な「バーチャル歌舞伎システム」について述べる。本システムは,仮想空間に3次元歌舞伎役者モデルをコンピュータグラフィックにより作成し演技者の全身の動きと表情を実時間で非接触な形式で検出し、歌舞伎役者の動きとして再現するものであり、誰もが歌舞伎役者に変身が可能である。さらに,このシステムは3次元モデルを変更することにより、任意のキャラクタに変身することが可能であり、自分を任意に変身させてコミュニケーションを行えるだけでなく、インターラクティブな映画作成等に使用できる見通しを得た.
著者
根ケ山 光一 篠原 一之
出版者
早稲田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

思春期の親子関係と匂いの関係を直接的に調べるため,質問紙を用いて,小学生から大学生までの男女(1047名)と高校までの子の父母(162名)に対し,相互の体臭をどの程度快・不快に感じているか尋ねた。その結果,親の様々な身体部位の中で特に口・脇の下・足の裏・頭の臭いが嫌悪され,その傾向は男子に強く,かつ父親がより嫌悪された。しかしながら,子どもの年齢によって親の体臭への嫌悪が顕著に増減する傾向は認められなかった。一方,親から子の体臭に関しては,足の裏や口,頭,脇の下の匂いが嫌悪され,父親からの不快感情が母親よりも有意に強かったが,ここでもやはり予想に反して子の年齢と体臭への嫌悪の対応は明瞭ではなかった。このように子の年齢よりは親・子の性が体臭への嫌悪のより大きな要因であることがわかった。20代、30代、40〜50代の男性の匂いの思春期前・後の女性の情動に及ぼす影響を調べた。思春期前は時期を選ばず一回、思春期後は卵胞期と排卵期に,男性の匂い(腋下、乳首周囲、会陰部、背中)を嗅いでもらい、その匂いに対する印象をSexy、男性的、快、強い、Happyの項目について評価してもらった。その結果、排卵期思春期後女性は思春期前女性と卵胞期思春期後女性に比べ男性の匂いに対しよりSexyに感じることが分かった。そこで、年齢別にSexyさを調べたところ、思春期前女性と卵胞期思春期後女性ではどの年代の男性の匂いにもSexyさは感ぜず、排卵期思春期後女性は20代の男性の匂いにSexyさを感じることが分かった。以上のことから、女性は、生殖可能な年齢しかも生殖可能な時期でのみ、男性の匂いにSexyさを感じることが分かった。さらに、生殖可能な年齢・時期であっても、自分の父親に相当する年齢にはSexyさを感じないことから、匂いによる近親相姦回避の可能性も考えられた。
著者
篠原 一之 諸伏 雅代 船橋 利也 美津島 大 貴邑 冨久子
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.11-17, 2000-04
被引用文献数
1

ヒトは、生活を豊にするために植物などの自然な匂いや香水などの人工的な匂いを用いているが、自然に体から放出される匂い(体臭)を介してもさなぎまな生物学的情報を交換している。例えば、体臭は性別、親子、同胞等の異なる生物学的カテゴリーを識別する際になんらかの役割を果たしているし、性行動、生殖生理にも影響を及ぼしている。そこで、これら体臭を介したコミュニケーションについて解説する。
著者
吉野 昌恵 井上 なぎさ 吉﨑 貴大 石橋 彩 近藤 衣美 元永 恵子 上東 悦子 蒲原 一之 亀井 明子
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Journal of High Performance Sport (ISSN:24347299)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.62-73, 2020 (Released:2020-10-10)
参考文献数
12

Japan Institute of Sports Sciences routinely publishes information about supplements for athletes on its website. This information needs to be regularly updated based on athletes’ needs, the International Olympic Committee Consensus Statement, various health hazard reports, and evidence of performance-enhancing effects of supplements used by athletes. We investigated supplement use among 682 Japanese elite athletes who participated in the 2016 Rio de Janeiro Olympic Games. Supplement use was investigated based on a self-reported medical health questionnaire. We observed that 631 (92.5%) athletes used ≧1 supplements within the year prior to study enrollment. Amino acids were the most popular supplements consumed by 58.8% of athletes who admitted to supplement use. Recovery from fatigue was the most popular reason cited for supplement use. Among the athletes who used supplements, 57.4% received information regarding supplement use from their coaches, managers, and trainers, and 16.3% received information from healthcare professionals (i.e., physicians, pharmacists, and dietitians). Some athletes were unaware of the types of supplements that they used. A few athletes reported using supplements only because these products were being used by their teammates and admitted that their consumption of supplements was not meant for any particular purpose. This finding indicates that some athletes did not consider the necessity for and effects of supplements before using them. Therefore, athletes should have access to appropriate information regarding supplement use, including the rationale that justifies their consumption, as well as their effectiveness and safety to ensure judicious use of supplements in this population.
著者
石川 詔三 河田 諭志 本村 陽一 西田 佳史 原 一之
出版者
社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.384-384, 2008

現在,室内の各種センサデータから大量情報を取得することが可能になっている.しかし,そのデータと行動の意味を結びつけることはなお容易ではなく,人間の日常生活行動の理解を進めるためにはまず人が解釈可能な行動ラベルを大量のセンサデータに対応づけることが必要である.そのために,動画像から行動ラベルを自動的に付与することを考える.<BR>本研究では室内における子供の日常生活行動を観測し,観測情報に内在する行動と状況の確率的因果構造を学習し,これを事前分布としたベイズ推定を行う.学習により得られたモデルを使用して動画像から子供の行動を推定し,認識精度を評価する.
著者
堀内 成子 中村 幸代 八重 ゆかり 片岡 弥恵子 西原 京子 篠原 一之
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、ローリスク妊婦に対して、オキシトシン・システム活性化プログラム(芳香浴と乳頭刺激)を開発し、正期産に導くことに効果があるか検討した。 A:芳香浴:健康妊婦に①クラリセージ・ラベンダー精油入り(27人)、②ジャスミン精油入り(26人)、③精油なし(25人)の足浴を実施し比較した。オキシトシンは足浴後に①で有意に増加し(p = .035)、②③では有意差はなかった。B:乳頭刺激:妊娠末期のローリスク初産婦22名(介入群)に、乳頭刺激を実施し、対照群の20名と比較した。介入3日目の唾液オキシトシン値は、有意に高く、子宮収縮回数も有意に多かった。反復乳頭刺激により、オキシトシン値は増加した。
著者
西田 伸 川原 一之 安河内 彦輝 江田 真毅 小池 裕子 岩本 俊孝
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.3-10, 2022 (Released:2022-02-09)
参考文献数
22

宮崎県西臼杵郡高千穂町上村の藤野家と,同じく高千穂町土呂久・佐藤家に保管されていた「熊の手足」の資料についてDNA解析を行い,情報の少ないツキノワグマ(Ursus thibetanus)九州個体群の遺伝的特徴について調査した.聞き取り調査から,明治中期~大正初期に祖母山系で捕獲されたと推測された佐藤家資料において,ミトコンドリアDNA コントロール領域648bp(ハプロタイプ:KU01)の解析に成功した.KU01は西日本系群に含まれる新しいタイプであった.先行研究の結果と合わせて考えると,絶滅したとされる九州個体群は他国内集団とは遺伝的に分化した独自の地域集団を形成していた可能性がある.
著者
古崎 新太郎 茅原 一之 伊藤 義郎 信川 寿 小夫家 芳明 江川 博明
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

総量約42億トンと計算される海水中の溶存ウランを工業的に採取する技術の確立は、エネルギー政策上極めて重要である。採取法として、ウランを選択的に吸着する固体吸着剤を用いる吸着法が実用性が高い。本研究では、経済的な海水ウラン採取プロセスの確立をめざして、1.吸着速度が大きく、また繰り返し使用に対して耐久性のある吸着剤の製造方法の確立、2.大量の海水との接触に適した中空繊維および粒状繊維吸着剤を用いる接触装置の評価、および3.海流、波などの自然力を利用した吸着剤と海水との接触装置の開発を行った。本研究によって得られた新しい知見、成果は次の点である。1.合成条件を工夫して比表面積の大きいアミドキシム樹脂を合成した。この樹脂はアルカリ処理後、1日当たり100ー200mg/kgーRという高いウラン吸着量を示した。2.イミドジオキシム基の大きな平衡定数、アルカリ処理に伴うアミドキシム基の消失という事実から、優れたウラニル吸着剤として、イミドジオキシム構造を主として与える条件で調製した繊維状吸着剤を用い、一日の吸着で650mg/kgーRのきわめて優れた吸着速度を達成した。3.キャピラリー繊維状アミドキシム樹脂を充填した海流利用吸着装置周辺の流れを数値解析して、実験結果と比較した結果、吸着装置を流れ込みのない構造体として扱ってよいことを示した。さらに、びょう風型吸着装置のサイズとウラン採取量との関係を求めた。4.海流と波力を利用する浮体式ウラン採取システムのコストは、現在開発されている吸着剤の性能(20日間で6g/kg)の10%の回収率において、174千円/kg/yearとなった。5.圧力損失の結果に基づいて循環流動層式吸着装置のスケールアップを検討したところ、黒潮海流を直接利用して運転するとき、接触部槽高は約1ー3mになるという結果を得た。6.海流を直接利用して、吸着剤流動層を流動化し、ウランを吸着する四角錐型吸着装置は三角柱型吸着装置に比べ、どのノズル径でも良好な流動状態が得られ、最大充填率も上回った。
著者
篠原 一之 西谷 正太
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.303-309, 2012-12-31 (Released:2013-12-20)
参考文献数
72

Whether pheromone signaling exists in humans is still a matter of intense discussion. In this review, the likelihood of pheromonal communication in humans is assessed with a discussion of the vomeronasal system is functional in humans; and the possible ways pheromones operate in humans. Although the vomeronasal organ (VNO), a putative pheromone receptor organ, has been implicated in the reception of pheromones in many vertebrates, it is not the only pathway through which such information has access to the central nervous system. In fact, the main olfactory system also detects pheromones. In addition, an important caveat for humans is that critical components typically found within the functioning vomeronasal system of other, nonprimate, mammals are lacking, suggesting that the human vomeronasal system does not function in the way that has been described for other mammals. Therefore, linking detection of pheromones with the vomeronasal system as pheromones is a non sequitur. Thus, in the years since the introduction of pheromones, the extensiveness of the concept has expanded. In a broader perspective, pheromones can be classified as primers, signalers, modulators, and releasers. Examples include affects on the menstrual cycle (primer effects); olfactory recognition of newborn by its mother (signaler effects); individuals may exude different odors based on mood (suggestive of modulator effects); breast crawl of newborn (releaser effects).
著者
篠原 一之 西谷 正太 土居 裕和 尾仲 達史
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

父親、母親に見られる脳とホルモンの特徴を調べ、父性、母性をもたらす生物学的基盤を明らかにするべく、乳児表情に対する脳活動は、親と非親間で異なるか、ホルモン受容体遺伝子多型により親集団で異なるかを調べた。結果、父親特徴的な脳活動を明らかにした。また、妊娠~産後2年の母親を調べ、産後のホルモンや経験が母親脳の変化に貢献することを示唆した。一方、母性へのオキシトシン受容体遺伝子多型の影響を明らかにした。
著者
柿本 陽平 大前 佑斗 豊谷 純 原 一之 高橋 弘毅
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.77-89, 2023-07-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
20

2021年9月現在,COVID-19が世界的に流行し日本の外食産業においては,店舗の営業形態が強く制限されている.多くの飲食店はガイドラインに従った感染予防対策を講じており,特に顧客同士の物理的距離が保てるような座席表を作成する,という手法がよく見られると思われる.しかし感染リスクを削減する座席割当は,店内の混雑状況により常に同一とは限らない.そこで本研究は,店舗運営者が感染リスクを単一のパラメータθにより定量的に調整することができる座席割当モデルを提案する.パラメータθは店舗内の空間全体に対する感染リスクの閾値となる.提案したモデルを仮想の飲食店に適用した結果,店舗の収益損失を減らしつつ感染リスクの削減効果が期待できること,単一のパラメータにより感染リスクと収益を調整できることが確認された.
著者
海老原 一之 楜沢 順 岩澤 昭一郎 大谷 淳
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 21.6 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.61-67, 1997-02-03 (Released:2017-06-23)

本報告では, 誰もが歌舞伎役者に変身可能な「バーチャル歌舞伎システム」について述べる.本システムは, 仮想空間に3次元歌舞伎役者モデルをコンピュータグラフィックにより作成し, 演技者の全身の動きと表情を実時間で非接触な形式で検出し, 歌舞伎役者の動きとして再現するものであり, 誰もが歌舞伎役者に変身が可能である.さらに, このシステムは3次元モデルを変更することにより, 任意のキャラクタに変身することが可能であり, 自分を任意に変身させてコミュニケーションを行えるだけでなく, インターラクテイブな映画作成等に使用できる見通しを得た.
著者
天野 秀樹 神原 一之 寺垣内 政一 植田 敦三
出版者
広島大学
雑誌
中学教育 : 研究紀要 (ISSN:13441531)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.41-50, 2004-03-31

This Study, the purpose of which is to enhance Student's mathematical ability as applied to daily life, approaches it from building up Student's ability of communication. We propose a curriculum adapting Quick Draw, which is practiced in the United States, and examined the effect of it through an experimental lesson. As a result, the following points are discoverd '・ Students come to consider an explanation and a reason of a solution for the mathematical problem, their motivation for participation in negotiation rises, and it is possible to deepen their understanding of mathematical contents. After this study, we will promote this study and declare the function of the ability of communication in mathematics in application to daily life.
著者
篠原 一之
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.39, pp.S6-4, 2012

最近、自閉症や注意欠陥障害などの発達障害が増加していることや、疾患とは診断されない、衝動的暴力、ひきこもり等の思春期問題行動が増加していることから、対人関係の問題と化学物質の関連性が指摘されている。 しかし、対人関係能力の定量的評価法が確立されていないため、それら対人関係の病態・病因は明らかにされていない。つまり、これまでの対人関係能力の評価は、医師の問診・行動観察による診断や心理アンケートによる調査であり、定性的評価の域を出ず、定量的評価が行われてこなかったのである。 そこで、我々はPCベースの思春期以降の対人関係能力評価法を確立し、検証を行ってきた。①情動認知能力評価課題(モーフィングテクニックを用いて情動表出強度を変え、表情や音声から相手の情動を読み取る能力を測定)を用いて、思春期生徒の表情と音声による情動認知能力とダイオキシン受容体(AhR)遺伝子多型が相関していることを明らかにした。また同じ課題を用いて、自閉症群と健常群を比較したところ、自閉症群は音声による情動認知能力は低下するが、表情による情動認知能力はあまり低下してないことも示した。その他、②衝動性評価課題、③不安、孤独感、ネガティブ感情評価課題を用いて、それら項目と化学物質の影響を受けうるホルモンの濃度との相関等を見いだしている。 一方、化学物質の脳への毒性作用は、胎児期に起こると考えられているので、直接的に「化学物質の母体血中濃度や新生児体血中濃度」と「児の対人関係行動」の相関を調べるためには、乳幼児の対人関係能力を調べなければならない。我々は、乳幼児期の対人関係行動の定量評価を行うための手法(④共感性、⑤衝動性)を開発し(PC上のプログラムを用い、画像や音に対する乳児の反応を記録)、現在、コホート集団における母と子のPCB類濃度と乳児期の対人関係行動能力との因果関係について検討している。