著者
小林 克 堀内 秀樹 岩下 哲典 金田 明美 小川 保
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.337-348, 2008 (Released:2018-01-31)

オランダ各都市・アユタヤ・ゼーランディア・平戸・長崎(出島)から出土した資料をサンプリングし,胎土分析を行った。この結果,黄色レンガは,オランダ地域からアジア各地にもたらされた可能性が高いこと。平戸・長崎(出島)出土の赤色レンガの多くは台南地域からもたらされた可能性が高いことが明らかになった。更に日本の瓦と同質のレンガが平戸と出島から確認され,日本人によりレンガが生産されていたと考えられる。オランダ式桟瓦も,タイ・アユタヤのオランダ人居住地と,インドネシア・バンテン遺跡からも発掘されていた。アユタヤで確認されたオランダ式桟瓦については,アムステルダム出土桟瓦との比較を行ったが,明確な差異は確認出来なかった。
著者
檜枝 光太郎 高倉 かほる 小林 克己 MICHAEL Barr
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

あらゆる放射線生物作用の初期過程は、低エネルギー電子線の作用に還元できる。しかし、低エネルギー電子線(10eVから数100eV)の照射実験は技術的に極度に困難であり、DNA分子に照射できる施設は、現在、英国グレイ研究所にしかない。一方、励起・電離等のエネルギー吸収モードを制御できる低エネルギー単色真空紫外線源として、我々が多くの業績をあげた東大学物性研軌道放射物性研究施設が閉鎖された現時点では、KEK・PFのBL-20Aが残されている。低エネルギーの電子線と単色光子は、放射線生物効果誘発機構を解明するためには相補的な役割を持つ。本研究は、日本と英国の専門家が協力して、おのおののグループが得意とする放射線源を用いて、DNA主鎖切断誘発機構を総合的に解明しようという国際協力研究である。得られた結果をまとめると、(1)15eV電子線によって1本鎖および2本鎖切断が、総量に対してほぼ直線的に誘発された。このことは1本鎖および2本鎖切断誘発の閾値が15eV以下であることを示す。特に2本鎖切断誘発の閾値が15eV以下であることが実験的に示された成果は大きい。(2)低エネルギー電子線は2本鎖切断を1本鎖切断の数十分の1の比率で誘発し、この比がγ線による比と極端に違わないことが示された。(3)低エネルギー単色光子によるDNA主鎖切断は、効率は極端に低いが4.3eVでも誘発された。この意味では主鎖切断誘発の閾値エネルギーは存在しないが、通常の定義に従えば10eV程度の閾値エネルギーが得られることが実証的に示すことができた。(4)単色真空紫外線をプラスミド水溶液に照射するための照射方法を開発し、水溶液中DNAの2本鎖切断が7eV程度でも誘発されることを明らかにすることができた。本研究によって、シュミレーション計算で用いるDNA主鎖切断誘発の閾値を決める際に参考にすべき重要な情報を得ることができた。
著者
岡村 泰治 小林 克彦 草間 朋子 吉澤 康雄
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.231-237, 1984 (Released:2010-02-25)
参考文献数
10

The values of Derived Limits of Effluent Water Concentration, (DLEC)w, have been estimated in accordance with the principles of the recent recommendations of the International Commission on Radiological Protection.The (DLEC)w's were derived from the Annual Limits on Intake for individual members of the public (ALIp), considering realistic models of exposure pathways and annual intake rates of foods. The ALIp's were decided after consideration of body organ mass and other age dependent parameters. We assumed that the materials which brought exposure to the public were drinking water, fish, seaweed, invertebrate and seashore. The age dependence of annual intake rate of food might be proportional to a person's energy expenditure rate. The following results were obtained. Infants were the critical group of the public at the time of derivation of (DLEC)w. The ALIp's for the infants were about one-hundredth of those for workers and their (DLEC)w's were about one-third of those for the adult members of the public.
著者
樋口 真一 新野 七恵 中村 佳子 小林 克樹
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.117-120, 2023 (Released:2023-03-28)
参考文献数
3

【背景】シャント管理に聴診は重要であるが聴診器がない場合がある.スマートフォンは日常携帯していることが多くスマートフォンによるシャント音聴取法を報告する.【方法】スマートフォンの底面をシャント吻合部の上の皮膚に軽く押し当て,録音アプリで録音をする.【結果】経皮的血管拡張術(PTA)を施行した3例の術前後のシャント音を録音した.PTA前に比しPTA後でシャント音は音量が大きく聴取可能であり,聴診と同様の音を聴取できる.【考察】聴診器がない際に代用可能であり,また電話などでの遠隔で聴取が可能となると考える.個人情報の保護には留意が必要である.
著者
小林 克也 北野 博司
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.13-21, 2013 (Released:2021-03-17)

山形県高畠町に所在する高安窯跡群では,7 世紀後半~ 8 世紀初頭に操業されていた須恵器窯跡が5 基と,9 世紀後半~ 10 世紀前半の炭窯跡が1 基確認され,出土燃料材と窯体構築材の樹種と復元直径,年輪数の分析を行なった。須恵器窯跡では,最も谷奥に位置し古相を示すC1 号窯跡では復元直径10 cm 以下のイヌシデ節やカエデ属などが多くみられ,群内で新相を示すB1・B2 号窯跡では,復元直径10 cm 以上のマツ属複維管束亜属が多くみられた。これは,一見すると窯業活動に起因するマツ属複維管束亜属の増大にみえたが,年輪数では,マツ属複維管束亜属は樹齢を重ねているものが多く,古くから生育していた樹木であった。よって高安窯跡群では,燃料材として復元直径10 cm 以内の広葉樹を伐採していたが,広葉樹がなくなると,丘陵尾根部などに生育する復元直径10 cm 以上のマツ属複維管束亜属を伐採利用していたと推測される。そのため最後に操業が行われたB2 号窯跡の操業終焉時には,燃料材に適した太さの樹木は無くなり,燃料材の枯渇が須恵器窯跡終焉の契機となった可能性がある。炭窯跡では,コナラ属コナラ節のみを窯跡周辺の自然植生から伐採利用していた。復元直径や年輪数の計測では,炭窯跡には利用木材に対して一種の規格のようなものがあった可能性があり,須恵器窯跡終焉から約200 年後には,周辺植生から良質の木材を選択できるほどに植生が回復し,炭窯跡の操業が行われていたと考えられる。
著者
中原 まり 小林 克弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.59, no.456, pp.265-271, 1994
被引用文献数
2 2

The main object of this study is to clarify one of the morphological character of Mckim, Mead & White's works through the analysis on the plan of the Villard Houses in comparison with Low Library we have already analyzed. The following results are made clear. The configuration of the plan is designed by overlapping a double square and a Greek cross. 6 kinds of squares which are composed on a simple proportion can be found as datum line in deciding the shape of the central court and boudary walls between residential units. The walls in each house are designed based on combination of grid and square. This compositional principle is also reflected on facede.
著者
角嶋 直美 矢作 直久 藤城 光弘 井口 幹崇 岡 政志 小林 克也 橋本 拓平 小俣 政男
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1266-1271, 2005-06-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【背景と目的】内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の登場により,従来では考えられなかった大型病変も内視鏡的に治療されるようになってきた.しかし,ESDによって生じた大型人工潰瘍の治癒過程についての詳細は明らでかはない.そこで,ESD後の治癒過程を明らかにするため,経時的な内視鏡像の検討を行った.【方法】当科においてESDによって治療された胃粘膜内腫瘍70症例を対象として,ESD後潰瘍の治癒過程および瘢痕形態を,切除サイズ,部位,胃壁の断面区分別に検討した.内視鏡観察は,原則としてESD後1,4,8,12週目に行い,抗潰瘍治療として,プロトンポンプ阻害薬(PPI)及びスクラルファート通常量を投与した.【結果】ESDの切除サイズは平均34.7mm(20.0~90.0mm)であった.ESD後潰瘍は切除サイズや部位・周在によらず,全例において8週までにS1-2stageに治癒・瘢痕化した.【結論】ESD後潰瘍は大型のものでも,消化性潰瘍と同様の治療で術後8週以内に治癒・瘢痕化する.これらは,ESD後のフォローアップや治療計画の立案に非常に有用な知見と考えられた.
著者
小林 克己
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.838-842, 2009-08

学生のための手計算とSAS JMPによる生物統計学へのいざない。前臨床試験および一般生物統計に関する統計解析Q&A。質問189:毒性試験でWilliamsの検定を用いたいと思っていますが、Dunnettの検定の方が良いのりでしょうか?回答:Williamsの検定は、毒性試験のように用量依存性を示す場合に応用できると自信は述べています。閉手順を利用しています。これは高用量に有意差がなければ全ての用量群に有意差がないとします。従って、被験物質の影響が良くでている場合は高用量**、中用量*、低用量というアスターリスクの表示となります。用量依存性を考慮したWilliamsの検定は、毒性試験のみに使用することと述べています。
著者
小林 克己
出版者
帝京短期大学
雑誌
帝京短期大学紀要 (ISSN:02871076)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.89-100, 1996-05-10

発生論的に宗教は常に戦士としての男性中心に構築せられるものという宿命にある。その附随的存在としての女性は差別と蔑視によって独特の女性観の対象となった。特にイスラム教は戦いと布教が一体化されて拡張され砂漠という自然環境から来る生活苦と危険性から極端な女性の人格否定を生じそれを強制するために神の啓示という手段をとることによって女性の自由を奪った。又、熱帯種族の属性として、トロピカルの男達は極めて情熱的であり、嫉妬深いことも、特異な女性観を生ぜしめたと考えられる。この厳しい女性への戒律が、コーランの各章句に唄われている。その絶対性によってイスラムの女性観は固定化された。コーランの独特の言い回しの中から抽出し文要全題として、結婚、離婚、再婚、相続 (遺産) 及び一般日常の規範の五章を樹て解説を試みた。緒言で女性観を述べ、その裏をとる形式で書いた。国際文化論の研究の上で所謂、価値観の違い文化の独自性の背後にあるこの稀有の女性観が存在していることを知って貰えば幸甚である。紙数の都合で次第に近代化しつつある。イスラム社会の女性からの女性観ひいてはイスラムそのものにどう対応し、何を求めているかを論述することができなかったことは筆者の甚だ心残りである。
著者
椎橋 武史 小林 克弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.612, pp.169-175, 2007

The purpose of this paper is to make an analysis of Louis Sullivan's architectural thought focusing on his idea of 'mobile equilibrium.' We made clear that for him the idea is the law of all things in nature, and the principle which must be expressed in man's work of art. In the end, we explained how he expressed the idea of 'mobile equilibrium' in his work through analyzing his last work of architectural ornament.
著者
椎橋 武史 小林 克弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.619, pp.223-230, 2007

The purpose of this paper is to make clear how the "mobile equilibrium", which is essential concept in Louis Sullivan's architectural thought, is expressed in his building design. We analyzed his facades focusing on the vertical elements (pier, mullion, etc.) which have the most primitive meaning for Sullivan, from two points of view; the composition method of facade, and the ornamental motifs. As to the former, he gradually made the composition synthesized to visualize the "mobile equilibrium" of moving force in structure. As to the latter, he used botanical ornament accompanied with the vertical elements, to represent whole facade as one growing organism.
著者
椎橋 武史 小林 克弘
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.628, pp.1387-1393, 2008-06-30

The purpose of this paper is to study how the idea of "mobile equilibrium" is expressed in building design of Louis Sullivan, following our former papers. In this paper, we analyzed the relationship between the idea and the contrasting composition on the facade of his buildings. In many of his facades, "the mass" which is static rigid and massive and "the detail" which is dynamic, organic and delicate are clearly contrasted. By this contrasting composition, Sullivan expressed in his facade the idea of "mobile equilibrium", both "emotional and intellectual", both "subjective and objective".
著者
野崎 正行 小林 克己 中村 厚志 吉川 郁子 深澤 雄一郎
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.543-544, 1998-09-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
3

We report a case of retinoblastoma in an adult male without any family history. A 23-year-old man came to our hospital complaining of myiodesopsia in his right eye.Funduscopic examination demonstrated a tumor on the periphery of the right fundus in the optic area.Fine needle aspiration cytology revealed many clusters of small round cells and necrotic debris. Rosette-like formation was also present.Immunocytochemical study of the smear showed that the tumor cells were positive for neuron-specific enolase (NSE) and synaptophysin. Extraction of the eyeball was performed and histological examination confirmed the presence of retinoblastoma.
著者
石原 哲 小林 覚 前田 真一 斉藤 昭弘 兼松 稔 栗山 学 坂 義人 河田 幸道 小口 健一 小林 克寿 出口 隆 北島 和一
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.1291-1295, 1991-09-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
15

血液透析患者における膿尿, 細菌尿の実態を知る目的で, 尿路感染症の急性症状を示さない時期に尿検査を実施した結果を報告する.尿沈渣白血球数は5コ/hpf以上が59.7%, 10コ/hpf以上が43.5%, 細菌尿は104CFU/ml以上が29.8%, 105CFU/ml以上が21.0%と, いずれも高頻度であった. 膿尿, 細菌尿の頻度に有意な性差はなかった. 腎炎群, 糖尿病腎症群間にも有意差は認められなかったが, 多発性嚢胞腎が原疾患である症例では, 膿尿, 細菌尿の程度が高い傾向が認められた.1日尿量と膿尿および1日尿量と細菌尿の分布および統計学的検討より, 少なくとも1日尿量400ml以下の場合には通常の基準を用いて感染尿の決定をすることは好ましくないと考えられた.
著者
吉川 博昭 西部 伸一 酒井 大輔 今西 宏和 大野 聖加 小林 克江 北村 晶
出版者
埼玉医科大学 医学会
雑誌
埼玉医科大学雑誌 (ISSN:03855074)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-11, 2018 (Released:2018-10-25)
参考文献数
18

【目的】脳神経外科術後早期に,不安定な循環動態や疾患の重症度とは関連のない高乳酸血症を経験することがある.脳神経外科予定手術患者を対象とし,術後早期の高乳酸血症の発症要因と術後合併症との関連について後方視的に検討した. 【対象と方法】予定脳神経外科手術患者のうち,麻酔導入後および手術終了直前に,動脈血ガス分析で乳酸値を測定した症例を対象とした.手術終了直前の乳酸値が2 mmol/L以上を術後早期高乳酸血症と定義し,高乳酸血症群と正常乳酸値群に分類した.患者背景,バイタルサイン,術前合併症と術前投与薬剤,手術術式,脳腫瘍の悪性度と大きさ,手術時間,出血量,動脈血ガス分析結果,周術期カテコラミン投与,集中治療室滞在日数,術後人工呼吸,術後合併症について群間で比較し,多変量ロジスティック回帰分析を行った. 【結果】対象患者 225名のうち 49名に術後早期高乳酸血症を認めた.高乳酸血症群では,脳腫瘍手術患者の割合,手術時間,術前乳酸値,出血量が高値であった(P < 0.05).多変量解析から,術前の高乳酸血症(オッズ比 27.83)と脳腫瘍手術(オッズ比 4.806)が術後早期高乳酸血症の発症要因として考えられた.脳腫瘍手術患者 89名のうち38名が高乳酸血症群であった.高乳酸血症群では正常乳酸値群に比較して,腫瘍が有意に大きかった(1016 mm² [四分位範囲:545,1951 mm²] vs. 780 mm² [四分位範囲:3 22,1107 mm²])(P= 0.02).また,2日以上集中治療室に滞在した患者が,術後早期高乳酸血症群で は正常乳酸値群よりも多かった(31% vs. 16%, P<0.05). 【結論】予定脳神経外科手術患者の術後早期高乳酸血症の発症要因は,術前からの高乳酸血症と脳腫瘍手術であった.術後早期高乳酸血症患者は,集中治療室滞在時間が長くなる可能性がある.
著者
小林 克寿 宇野 裕巳 永井 司 多田 晃司 北島 和一 出口 隆 栗山 学 河田 幸道
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.1313-1316, 1990-11-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
8

CAPD (continuous ambulatory peritoneal dialysis) は腎不全の治療として血液透析や腎移植と共に重要な治療法の一つである. しかし最大の合併症として腹膜炎があり, これがCAPD継続の鍵を握っている. 最近この腹膜炎の中に無菌性のものがあることが知られている. 特に排液中の好酸球の割合が多く, 自然寛解をみる好酸球性腹膜炎が注目されてきている. 今回我々は3例の好酸球性腹膜炎を経験した. 3症例ともCAPD導入後2-3週間で発症し, 抗生剤を使用せずに1-3週間で自然治癒した. このうち2症例に肝機能障害が出現した. 好酸球性腹膜炎の発症機転はアレルギー反応と推察されているが, 我々の症例においては末梢血の好酸球の増加はなく, カテーテルの滅菌方法をEOGからオートクレーブに変更したところその後の症例においては1例も好酸球性腹膜炎の発症を認めていない. 好酸球性腹膜炎は自然治癒し腹膜機能も低下させないので, 腹膜炎発症時には白血球分画も測定し, 本疾患の診断をつけることが大切であり, 抗生剤治療は無意味である.