著者
渡邉 重義
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.53-56, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

探究のためのプロセス・スキルを参考にして,小・中学校の理科カリキュラムで育成したい科学的な問題解決スキル(案)を作成した。科学的な問題解決スキルは,Ⅰ.科学的な思考に関連したスキル,Ⅱ.観察・実験に関連したスキル,Ⅲ.科学的なコミュニケーションに関連したスキルに分類した。そのⅠ~Ⅲのカテゴリーに合計 10 の基本的なスキルを配置し,さらにその下に「比較分類する」「推論する」「条件を制御する」等のスキルを設置した。
著者
松村 浩一 池田 幸夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.5-8, 2007 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7
被引用文献数
1

教科の理解は、本質をつかんだ理解,共感しながら得た知識,歴史的・文化的な背景を理解した上での幅広い知識のつながりを得ることが大切である。そのためには,ねらいを持った観察や体験を準備すること,科学理論が発表された当時の歴史的・文化的背景を知ること,科学史を活用すること,生活へ応用されていることを具体的に知ること等と同時に,楽しい・おもしろい・きれいなどの感情を大切にした授業の実施について配慮する必要がある。そのためにも,教師の幅広い研修や教材開発が必要である。
著者
藤原 秀行 飯沼 和樹 坂本 有希
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.57-62, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
2

中学 1 年の光の屈折の学習では,屈折が起こるしくみを扱わない。そのため,異なる媒質間の入射角と屈折角の関係を暗記する学習にとどまることが多い。そこで坂本は,屈折現象の理解を深めるために,光の速さが媒質によって異なること,それにより屈折が起こることを授業で扱った。これを受け,科学部員の藤原,飯沼は様々な屈折現象への関心が高まり,光の曲がり方をコントロールできないかと考えた。本研究は,藤原らが,砂糖とアガーという身近な素材を用いて平面レンズを作るという試みである。水と砂糖水を接触させて境界面に濃度勾配を作り,それを利用して光を曲げる。種々の濃度の砂糖水を用いて光の曲がり方,最適な凝固剤を明らかにし,レンズ中で光が曲がる砂糖水-アガーレンズの作成に成功した。
著者
垣花 京子 渡辺 信 青木 孝子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.55-58, 2020-06-20 (Released:2020-06-17)
参考文献数
4

コロナウイルスの流行が社会変化をもたらしている.この流行によって数学教育にも大きな変化を求めていることと,今後の国民の教養の在り方を暗示したのではないかと考えられる.今まであまり重要視しなかったデータの扱い方について,数学の新しい分野「データの整理」が重要になる情報化社会の数学教育を考える.
著者
木幡 大河 佐藤 真里 菅原 布美 佐々木 聡也 八木 一正 菊池 新司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.61-62, 2010 (Released:2018-04-07)
参考文献数
1
被引用文献数
1

本研究では、独自の粉塵爆発装置を作成して、生徒が視覚的に捉えやすい「粉塵爆発」の教室規模での教材化を試みる。粉塵爆発が起こりやすい条件を研究するとともに日常で爆発が起こり得る可能性も示し、生徒の防災の意識を高めることも目指したい。
著者
湯澤 敦子 日野 圭子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.19-24, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
8

本研究の目的は,児童の加法・減法の方略の実態を捉え,そこにはたらきかけることを通して,児童の方略の進展を促す指導,特に教具を用いた学習活動,を提案することである。児童の実態に応じた指導についての情報を得るために,高学年になっても素朴な方略を用いている児童に対し対象児の実態を把握し,それに応じた教具の活用の工夫をした個別指導を試みた。その結果,教具の特徴を生かした使用の場面を考え,具体的な操作活動を行うことで,既知の理解として身についている内容と不十分な理解の内容とがつながることがわかった。
著者
日高 俊一郎
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.73-78, 2005-11-26 (Released:2017-11-17)
参考文献数
12

質問紙調査を行った結果, 虫嫌いの子どもの親は虫嫌いである割合が高く, 虫好きの子どもの親は虫好きである割合が高いことがわかった。また, 虫好きと虫嫌いでイメージする虫の種類に違いがあることがわかった。さらに, 男女を問わず, 小さい時は虫が好きであり, ある年齢を境に虫嫌いになる傾向があり, その年齢が男女で異なることがわかった。この結果をもとに, 虫嫌いになる過程を仮説として設定することができた。
著者
遠西 昭寿 加藤 圭司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.7-10, 1992-07-18 (Released:2017-11-17)

本報告は、近年理科教育等の分野で注目されている構成主義理論について、特に子ども達の興味・関心に関わる側面に対して、具体的な実態調査の結果をもとに、その理論の適応範囲を模索しようとするものである。本報告では、特にウィットロックの生成的学習モデル^<1)>における動機づけの理論との整合性を中心に検討したが、小学校6年はこの理論によく適合するが、3・4年では理論への適合というよりも、即物的に興味を示すことがわかった。このような結果は、構成主義で説明されるような認知的行動の発達によって解釈することの困難さを示している。
著者
小林 俊行 森口 洋佑
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.5-8, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

大学生の物理分野における素朴概念の実態を解き明かすために,各種調査問題が作られ,その実態が報告されてきた。今回は,長洲・武田らが用いた小・中学校で学習する力の概念に関する調査問題を利用して,中学・高校の理科の教師を目指す大学生 1 年生と 3 年生の認知状況を調査,分析するとともに,当時の中学生の認知状況と比較してみた。その結果,調査内容のほとんどで大学生となっても素朴概念が修正されずにいることがわかった。
著者
岡本 紗知
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.67-72, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
11

科学リテラシーの向上には、『科学の本質:Nature of Science(NOS)』を適切に理解する必要がある。本研究は、国内の大学生が NOS をどの程度適切に理解しているかを把握するために実施した。具体的には、入学直後の国立大学 1 年生、理系・文系の各 2 学部に所属する学生を対象にアンケート調査を実施し、NOS(6 テーマ)の理解度を調べた。さらに、学生の所属学部や高校で学んだ理科科目の違いが NOS 理解に影響を与えるかどうかを調べた。その結果、理系と文系の学生間で、NOS の平均的な理解度に有意差は見られないことがわかった。一方、NOS 各テーマに注目した場合、学部や選択理科科目により、理解度の異なる NOS テーマがあることが明らかとなった。特に、科学に対する社会的および文化的影響や、科学研究における想像力・創造力の役割では、学部間で有意差が見られた。また高校で「化学・物理」を選択した場合、「地学」を選択した場合と比べて、科学の暫定的性質をより正しく理解する傾向があることも明らかとなった。本研究から、理科科目の総学習時間ではなく、選択した科目が、NOS の理解に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
黒田 友貴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.113-116, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
11

本研究では、愛媛大学理学部が実施した新入生セミナーAに着目し、授業日程を短期かつ集中的な日程で実施したことによる効果について検討を行なった。その結果、メインプログラムが終了した時点での調査結果であることに留意が必要なものの、到達目標の達成度はすべての項目でほぼ9割を越えており、授業において十分な学修機会が確保されていることが確認され、ソーシャル・スキルへ効果やSTEM人材に求められる能力においても全ての項目で8割以上の受講者が学修到達度については肯定的な回答をしていることから、短期的な日程においても十分学修を担保できることが明らかとなった。今後の課題として、学修効果の持続性に関する調査や基礎的な大学生活に必要なスキルの獲得とプログラムの関係性について検討することが挙げられる。
著者
佐野 友香莉 辻 宏子 森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.181-186, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
12

本研究では,思考力などの21世紀を生き抜く力の育成に向けて開発した,ゲーム型学習教材「ラスワン」における,教材としての特徴を示した上で,大学生22名を対象とした調査より,⑴本教材と学習者が持っている思考力の関係性,⑵本教材をプレイする際に用いる推論方法,について検討した.その結果,⑴論理的思考力の高い学習者は,論理的思考力の低い学習者よりも,本教材の起こりうる場面における適切な推察について問く「場面提示テスト」において,場面に応じて適切な選択をする傾向があること、⑵学習者は,本教材をプレイする際,および,場面提示テストに回答する際,論理的思考力を用いており,その推論方法は演繹的推論に限らず,帰納的推論および類似的推論も用いていること,が示された.また,調査によって,計算を間違えた際に即時にフィードバックができるようなシステムを,ゲームデザインに組み込むべきであることが,明らかになった.
著者
人見 久城 尾形 祐美
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.1-6, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

児童・生徒の自然体験と理科に対する意識について調査を行った。自然体験の多いグループでは,小学生と中学生で共通に,「理科が大好き」と回答した割合が高い。一方,自然体験の多くないグループでは,「理科が大好き」の割合は,小学生でやや高いものの,中学生では低かった。「理科の勉強が楽しいか」,「将来,理科を使うことが含まれる仕事につきたいか」に対する回答においては,自然体験の多少と明確な関係は見られなかった。
著者
松原 克志 大辻 永
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.27-28, 1992-04-04 (Released:2017-11-17)

本研究はSTS教育として科学の本性について構成主義的見地から講義方法を検討したものである. 科学の本性として「科学者杜会で観察事実 (データ) が帰納と演繹によって議論され、科学者杜会内の合意 (共通了解) が形成される. その合意が科学理論であり、科学理論を一般社会では知識と呼ぶ」を講義した後, KJ法の作業を経験させ, 科学の本性のモデルとKJ法のモデルとを提示した. そして演繹と帰納, 集団内の合意という観点から比較した課題作文を書かせた. その結果, 学習者は科学の本性を再定義した上で, 両者を学習者自身の観点から検討していた. このことは構成主義的な見地から科学の本性について学習者が理解していたことを示唆している。
著者
野田 尚吾 後藤 朱 紙本 裕一
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.251-256, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
7

学習指導案は教科によって書き方も異なり,各項目も異なっている.教科全体で見たときに,その前に学習指導案はどのような傾向・特徴を持っているのだろうか.本稿は,教科全体で見たときの学習指導案の特徴を明らかにすることを目的とする.小学校学習指導案細案を題材として分析した結果,「①西日本・東日本で見て学習指導案細案の特徴に傾向の差はない.②質的に見ると,社会が最も他の教科と特徴が近く,理科が最も遠い傾向がある.③質的に見ると,近畿,中国・四国,九州は比較的特徴が近い指導案を書く傾向にある」という結果が得られた.
著者
山川 結衣
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.291-294, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
3

本研究では,沖縄の生徒が理科の授業で学ぶものは身近ではないという潜在意識があることが課題であるとし,沖縄の文化に関連した理科の授業を行うことで,生徒の学習意欲に変化がみられるのではないかと考えた.授業づくりにおいて,沖縄の自然や文化に関する題材を用いることで,生徒の興味・関心を引き,理科と日常生活との関連性への気づきが得られることや,実践意欲が高まることが分かった.また,生徒自身で学習内容を応用し,科学的な根拠に基づき,新しい考え方へと発展させることができると実感できた.
著者
服部 裕一郎 上ヶ谷 友佑
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.59-64, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
13
被引用文献数
1

ユーモアを取り入れた数学教育の研究が,一般に,ユーモアが数学学習の情意的側面に肯定的な影響を与えることを期待する中,本研究は,ユーモアが数学学習の認知的側面に与える影響を検討する.とりわけ本稿の目的は,中等教育の文脈で「ユーモア」を意図的に取り入れた数学授業において,生徒達の数学的活動が真正となるためのユーモアの役割を明らかにすることである.理論的枠組みとして,ユーモアにおける不一致理論の立場に依拠し,中学校数学でユーモアを取り入れた数学授業の実践の具体から,生徒達の活動の様相を分析した.分析の結果,数学教育にユーモアを取り入れることにより,「生徒個々人の数学的な問題解決における思考の自由性の保障」,「授業者と生徒達によって交わされる教授学的契約の更新」,「生徒達の批判的思考の誘発」の3点をユーモアの役割として特定し,ユーモアが生徒達の真正な数学的活動の実現に貢献することを指摘した.
著者
酒本 涼 小倉 康
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.43-48, 2019-03-16 (Released:2019-03-13)
参考文献数
6

本研究の目的は,中学校段階の生徒に対して有効な,クリティカルシンキングの育成を図る理科指導法を開発することにある.そのためにまず,クリティカルシンキングに関するアンケートを設計し,大学生を対象に実施した.アンケートの結果から,批判的思考習慣の中でも特に「操作的定義」について習熟度が低いことが示された.これを踏まえて,クリティカルシンキングの育成を図る授業を設計し,実施した結果,一部において指導の有効性が示された.
著者
山代 一成 栢野 彰秀 有藤 裕衣 渡邉 潤 大谷 修司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.17-20, 2015 (Released:2018-04-07)

教育実習で中学校第 3 学年の単元「植物の成長と生殖」を担当した。ニンニクの根端を使用し体細胞分裂の観察をさせたが、観察できた生徒は多くはなかった。そのため、根端の処理方法を見直す必要があった。そこで、根端の固定と塩酸処理、染色等は定法で行い、根の先端から 5 [mm] で切断していた方法を根冠と成長点のみを切断する方法に変えたところ、体細胞分裂中の細胞を見つけやすくなった。その結果 1 クラス 35 人の生徒のうち半数以上が観察できた。
著者
山田 優基 今井 壱彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.1-4, 2019-03-16 (Released:2019-03-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では『AI vs.教科書が読めない子どもたち』にて扱われている,リーディングスキルテストによって判定する基礎的読解力の1分野である「イメージ同定」に焦点を当てている.筆者らは「文章や図形やグラフを比べて,内容が一致しているかどうかを認識する能力」という「イメージ同定」の定義と,例題を基に,「イメージ同定」を測定する問題に必要な4つの要素を挙げている.本稿では,全国学力・学習状況調査とTIMSS調査の問題を参考にして,「リサイクル問題」と「ぬりつぶし問題」の提案をおこなう.参考にした全国学力・学習状況調査とTIMSS調査の問題の趣旨を述べた後,「リサイクル問題」と「ぬりつぶし問題」のリーディングスキルテストとして出題する趣旨,「イメージ同定」を測定する問題に必要な4つの要素を満たしていること,および選択肢を確認する.また,「リサイクル問題」と「ぬりつぶし問題」において想定される誤答を記述する.