著者
渡辺 信一郎 伯田 宏 松尾 敬志 原 寛 原志 兎太郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.42-50, 1981-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6

原は以前に灸の効果を従来の経絡説ではなく「非特異性加熱自家蛋白体療法説」を提唱した。これは今日の非特異的免疫療法に相当するものと考えられる。ラットを用い通常のモグサ施灸と同一条件なる電子灸を用い, 連日一定期間施灸し, その後, ヒトγグロブリンを抗原とし, 感作後の足蹠の浮腫増強作用, 血中抗体価の変動を測定し, 抗原にじゃっきされる炎症性浮腫は抗原抗体複合物III型の即時型反応によること, 免疫賦活剤であるレバミゾールと比較すると施灸群の方がより高い抗体価が得られ, 両者併用群で更に強い効果のあることが明らかとなった。灸の臨床面での有効性の1つに免疫増強作用のあることが示唆された。今後細胞レベルで免疫賦活作用の機序について検討を加えたい。
著者
渡辺 信 安野 正之 彼谷 邦光
出版者
国立環境研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

有毒アオコMicrocystisが細胞内に産生する毒素ミクロシスチンの湖沼生態系での挙動を野外調査及び実験によりあきらかにすることを目的に本研究を実施した。霞ヶ浦及び印旛沼においてアオコ細胞中の毒素ミクロシスチン量は74〜632μg・g^<-1>と変動し,湖沼水中には0〜0.33μg・L^<-1>の濃度で溶解し,動物プランクトンBosmina fatalisに6.3〜270μg・g^<-1>の濃度で蓄積していることがわかった。混合栄養を行う黄金色藻類Poterioochromonas malhamensisは有毒アオコを捕食すし,消化して増殖する。これは,長鞭毛によるアオコ細胞の捕獲-長鞭毛の収縮運動による鞭毛基部への移動-Feeding cupによる捕獲-食胞内への取り込みと消化,という過程でおこなわれる。消化されたアオコ細胞より放出されたミクロシスチンの殆どは分解されずの細胞外に放出される。湖沼水への毒素ミクロシスチンの溶存はアオコ細胞のバクテリアによる分解だけではないことが判明した。イ-ストエキスに含まれるL-リジンは1ppmの低濃度でもMicrocystisの細胞を溶解し,Microcystisのみに特異的に作用することが判明した。霞ヶ浦に溶存する遊離アミノ酸は平均して0.5ppmであるが,季節によってはMicrocystis細胞の溶解,ミクロシスチンの湖水への放出に関与している可能性が示唆された。タマミジンコMoina macrocopaに対する有毒アオコの影響を調べた結果,タマミジンコに致死影響を及ぼす毒成分はミクロシスチンではないが,ミクロシスチンの合成と密接に関連している物質であることが示唆された。一方,食用ガエルRana grylioのオタマジャクシは有毒アオコ及びそれが産生する毒素ミクロシスチンの影響を全くうけないこと,さらに有毒アオコを餌として,オタマジャクシはカエルまで生長すること,また,オタマジャクシは有毒アオコを非常によく摂取し、有毒アオコの水の華を減少させること,が判明した。
著者
垣花 京子 渡辺 信 青木 孝子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.55-58, 2020-06-20 (Released:2020-06-17)
参考文献数
4

コロナウイルスの流行が社会変化をもたらしている.この流行によって数学教育にも大きな変化を求めていることと,今後の国民の教養の在り方を暗示したのではないかと考えられる.今まであまり重要視しなかったデータの扱い方について,数学の新しい分野「データの整理」が重要になる情報化社会の数学教育を考える.
著者
佐方 功幸 西澤 真由美 古野 伸明 渡辺 信元 岡崎 賢二
出版者
久留米大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1992

c-mosキナーゼ(Mos)は、細胞分裂抑制因子(CSF)として、脊椎動物の卵成熟を第2減数分裂中期で止める生理活性を有する。一方、Mosは体細胞で発現するとがんをひきおこす。本年度の研究では、MosのCSF活性の発現制御機構、およびMosのがん化活性と細胞周期・細胞内局在性との関係について調べた。1.卵成熟および受精におけるMosのCSF活性の制御機構Mosはツメガエルの卵成熟過程において、代謝的に不安定型から安定型へ、また機能的にも、卵成熟誘起活性からCSF活性へと変換する。40種をこえるMos変異体を用い、Mosの代謝的安定性がMosのN末端の単一のアミノ酸(Pro^2)によって規定されていること(2nd-codon ruleと命名)、CSF活性のためにはPro^2に隣接するSer^3のリン酸化による代謝的安定化が必須であることを示した。また、Mosの代謝が、ユビキチン経路によることをはじめて明らかにし、細胞周期制御におけるユビキチン系の重要性を指摘した。さらに、受精に際するMosの分解がSer3の脱リン酸化を伴うユビキチン経路によることも明らかにした。2.Mosのがん化活性と細胞周期・細胞内局在性Mosは生理的(卵成熟)には細胞周期上のG_2→M転移で機能し、がん化の際にどの細胞周期の時期で機能するかが問題となっている。そこで、M→G_1期に特異的な分解を受けるサイクリンとMosのキメラ遺伝子を作製しNIH3T3にトランスフェクトすることにより、Mosが細胞をがん化するときにはG_1期での発現が必須であることを明らかにした。この結果は、原がん遺伝子の生理活性とがん化活性の違いを細胞周期上での発現の違いとしてはじめてとらえたものである。さらに、Mosキナーゼの基質が、細胞質から核に移行する物質(たとえば、転写因子等)であることを示した。
著者
渡辺 信一郎
出版者
専修大学社会知性開発研究センター
雑誌
専修大学社会知性開発研究センター東アジア世界史研究センター年報
巻号頁・発行日
vol.2, pp.5-20, 2009-03-17

文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業オープン・リサーチ・センター整備事業
著者
堀内 清華 石黒 精 中川 智子 庄司 健介 永井 章 新井 勝大 堀川 玲子 河合 利尚 渡辺 信之 小野寺 雅史
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.526-532, 2012 (Released:2012-12-31)
参考文献数
13
被引用文献数
3

IPEX(immune dysregulation, polyendocrinopathy, enteropathy, and X-linked)症候群は1型糖尿病や甲状腺機能低下症などの多発性内分泌異常,難治性下痢,易感染性などを主症状とし,転写因子forkhead box P3(FOXP3)遺伝子の変異による制御性T細胞の欠損や機能低下を原因とするX連鎖性の原発性免疫不全症である.1型糖尿病,甲状腺機能低下症に難治性下痢を合併し,IPEX症候群と考えられた12歳女児例を報告する.患児は10歳時から下痢が遷延化し,著明なるいそうが認められた.12歳時に行われた消化管内視鏡所見と病理所見からクローン病と診断され,5-アミノサリチル酸製剤に加えてプレドニゾロン,アザチオプリン,インフリキシマブによる治療を要した.その結果,便性の改善ならびに炎症反応の低下など一定の治療効果が認められたが,プレドニゾロンの減量により下痢が増悪して体重も減少し,治療法の選択に難渋した.患児は2歳時に1型糖尿病を,3歳時に甲状腺機能低下症を発症しており,難治性腸炎とあわせてIPEX症候群でみられる臨床像を呈していた.ただ,本症例ではCD4+CD25+ T細胞中のFoxp3の発現は低下していたがFOXP3遺伝子には異常を認めなかった.過去の報告においてFOXP3遺伝子に変異のないIPEX症候群例では易感染性を認める場合が多いが,本症例では反復する細菌感染は認められなかった.
著者
竹峰 秀祐 高田 光康 山本 勝也 松村 千里 藤森 一男 渡辺 信久 中野 武 近藤 明
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.55-60, 2013 (Released:2013-09-25)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

In this study, an analytical method for perfluorinated compounds (PFCs) in granular activated carbon (GAC) was investigated. The investigation of analysis was conducted by using GAC which adsorbed PFCs from artificial waste water containing PFCs of known amount. As results, it was confirmed that Accelerated solvent extraction (ASE) method using acetone as the solvent was appropriate for the extraction of PFCs in GAC.PFCs in used GAC samples, regenerated GAC samples, and a new GAC sample were analyzed by using the investigated method. The concentration of PFCs in the regenerated GAC was decreased by more than 99.9% compared with the used one. PFCs in GAC may transform and/or desorb at regeneration processes.
著者
正田 悦朗 石川 斉 広畑 和志 渡辺 信
出版者
日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症 (ISSN:03894290)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.535-538, 1984-11-01 (Released:2010-04-12)
参考文献数
7
著者
渡辺 信
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 46 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.471-474, 2022 (Released:2023-03-07)
参考文献数
5

科学教育は生涯学習へと延長できるかを問う.この生涯学習を考えるにあたって,生涯学習の姿を眺め,どのような生涯学習を目指すのかを検討する.工業社会から情報社会へと過度期な現在,日本の教育・学習はどの方向に進むのかを眺め,情報社会に必要な生涯学習を見たときに,いかに日本の教育制度が工業社会のままで新しい社会を目指すことに乏しい姿を見ることによって,どのような未来の教育の在り方を眺める.このような社会の改革の中で科学教育は生涯学習 Out School に進めるかを否定的な立場に立たざるを得ない方向から眺める.新しい社会には新しい学習が必要である.
著者
渡辺 信三
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1963

博士論文
著者
渡辺 信
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.57-60, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)

情報機器の発達は数学を新しく見ることを可能にした.「可視化」の可能性は,抽象化が進んだ数学の美しさを再び知ることを可能にした.数学の美しさを簡素化に見るとともに,規則的な美しさを見ることができる.グラフ電卓によって見えなかった数学,計算不可能な数学から我々は解放されて,広い数学の世界を見ることができる.