著者
長谷川 恭子 吉田 歩 森藤 義孝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.25-30, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7
被引用文献数
1

平成 20 年の小学校学習指導要領の改訂により,「月の満ち欠け」に関する内容が,小学校第 6 学年において再び取り扱われるようになった。吉田らは,天動説の立場から,小学校第 6 学年「月と太陽」で取り上げる「月の満ち欠け」について,月早見板の作成活動を取り入れた授業を構想し,実践を行った。本研究では,小学校第 6 学年の「月の満ち欠け」に関する効果的な学習指導法の検討を行うため,吉田らの授業を受けた子どもを対象に,月の満ち欠けに関わる理解がどのように維持され,あるいは崩壊しているのかを明らかにした。
著者
山本 輝太郎 久保田 善彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.23-26, 2022-03-27 (Released:2022-03-24)
参考文献数
13

新型コロナウイルスの世界的な流行によるいわゆる「コロナ禍」において,科学的根拠に乏しいとみなしうるさまざまな説(疑似科学的言説)も登場し,問題となっている.なかには「新型コロナワクチンを接種すると不妊になる」といった,それが蔓延することでより深刻な問題を引き起こしかねない説もあり,そうした説に傾倒する背景要因の究明は社会的な喫緊の課題であるといえる.本研究では,こうした新型コロナに関連する疑似科学的言説への態度に関わる背景要因の分析を行った.具体的には,新型コロナに関して科学的根拠に乏しいと思われる個別の説を収集,質問項目を作成したうえで,「科学に対する認識」や「新型コロナ以外の疑似科学的言説への態度」「科学知識」などとの関連性を検討した.クラウドソーシングを用いた調査を行った結果,新型コロナに関する疑似科学的言説への態度に対して,従来の疑似科学への態度や科学に対する認識,科学知識との一定の関連性が示された.これらの結果に基づき,科学に対する認識の次元にまで踏み込んだ教材開発およびその教育実践の重要性について提案したい.
著者
寺田 文行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.39-44, 1987-03-14 (Released:2017-11-17)

この報告書は、約50名のメンパーによる高校数学カリキュラムの研究に基づいて、これからの高校数学の展開の方向を述べたものである。今日の教育の間題点は、一つには多様化への対応をいかにするかであり、二つ目にはコンピューター対応である。これらは高校数学の場合に特に顕著であり、これらへの対応が次期のカリキュラム改定の中心的な課題である。我々研究グループは、多様化対応の戦略の中心を次の二点におく。高校生一般に対する "数学的知性のかん養" 将来も数学を必要とする生徒に対する "数学的処理能力と思考力の強化" 高校の数学には、出来る限り多くの生徒に学習させたいコアとなる部分がある反面、大学進学後のためにもこの年齢で鍛えておくべき部分がある。学習における平等指向の強い教育環境であることも考え合わせ、いかにしてこの解決を計るかに応えて、我々はコア・オプション・モデュールと命名した高校数学カリキュラムを設計したのである。コンピューターへの対応もそのなかにおりこまれている。
著者
加茂川 恵司 菊地 洋一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.9-14, 2020-05-16 (Released:2020-05-13)
参考文献数
9
被引用文献数
3

小学校理科4年で学ぶ水の温まり方単元では,熱せられた水の動きをめぐり様々に異なるアプローチや理解・議論が混在している.本研究はこれまで構築してきた注入観察実験法で得られた知見を俯瞰的に眺めることにより,水の温まり方と水の動きについて学校実験器具に準拠しつつ知見を整理することを意図した.それにより,ビーカーや試験管実験では“水は熱せられて全体的に速やかに循環する”という共通の基軸が見出された.一方熱水が循環する時の回転や滞留の動きは概念的な正誤でなく,熱源の大きさなど加熱の設定で変わる形態差であることが示された.また熱せられた水は周りの水に混じり合い速やかに冷却されることがいくつかの観察結果から見出された.多様な観察やWEB情報はこの基軸と多様性を通して統合的に捉えることができる.
著者
藤澤 修平 吉田 秀典 林 敏浩
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.1-4, 2021-05-22 (Released:2021-05-19)
参考文献数
9

香川大学では,大学低年次における数理・データサイエンス教育を実現するため,基礎科目となる「情報リテラシーB」の開講,ならびに応用科目となる新たな科目提供というつの方策を実施する.本稿では,2020年度に開講した「情報リテラシーB」を踏まえ,今年度(2021年度)に開講する数理・データサイエンス教育の応用科目「データサイエンス×危機管理科目群」の展開について述べる.本学の四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構の協力のもと,「データサイエンスを活用した防災・危機管理」,「レジリエントな社会の構築とコンピューターシミュレーション」,「災害とデータサイエンス」からなる応用科目群を提供することにより,実社会に即した,データサイエンスの学びを深める数理・データサイエンス教育を拡充する.
著者
河合 信之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.21-24, 2019-06-01 (Released:2019-05-29)
参考文献数
8

光合成によって葉でつくられたデンプンの検出方法について小学校理科の教科書では,(1)葉を煮てヨウ素液をつける方法,(2)葉をろ紙で挟んで木槌でたたき出し,ろ紙にヨウ素液をかける方法が紹介されている.これらの方法の問題点として,(1)の方法では,緑色の葉に直接ヨウ素液をつけるため,ヨウ素反応が青紫ではなく黒ずむことが多い.(2)の方法では,葉がろ紙に残ったり,木槌で叩いてろ紙が破れたりする.またろ紙にヨウ素液を直接かけるため,反応がきれいに出ないという問題が挙げられる.そこで本研究では,たたき出す道具や手順を工夫することによって,葉だけでなく,茎や根に含まれるデンプンをヨウ素液で青紫色に美しく検出することができた.また,この方法を使った発展的な指導法として,時刻別の葉を採取してヨウ素反応を調べると,その色の濃度差から,昼間に,光合成によって葉のデンプンが増加し,夜間にデンプンが葉から出ていくことが経時的に確認できることを紹介する.
著者
俣野 源晃 山口 悦司 渡辺 桜 置塩 佳奈
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.61-64, 2022-12-18 (Released:2022-12-15)
参考文献数
4

本研究の目的は,アーギュメントの証拠として利用すべき複数の観察・実験結果を必ずしも証拠として記述できていない「アーギュメント構成における証拠の十分性の問題」について,証拠の十分性に関する認識的理解の観点から事例的に検討することであった.俣野・山口・渡辺・置塩(2022)において報告された小学校理科の単元「太陽と地面の様子」に関する証拠の十分性の認識的理解のタイプに即して,事例となる学習者3名を抽出し,個々の学習者における証拠の十分性の認識的理解,証拠の選択,証拠の記述という3者の関係性を検討したところ,アーギュメント構成における証拠の十分性の問題には証拠の十分性に関する認識的理解が影響していることが示唆された.
著者
山本 容子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.17-22, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
25

バイオフィリアの概念を導入した環境教育,特に初等教育の展開についての文献調査を行った結果,アメリカでは,小学校の学習環境の設定に,バイオフィリックデザインを取り込み,それを使った体験学習のアプローチが検討,実践されていること,子どものバイオフィリアの育成時期として,幼児教育,初等教育段階が適切であるという議論がなされていること,子どものバイオフィリアを引き出す活動を導入したアプローチにより,認知と言語の発達などの教育実践目標の達成を図るような教育プログラムが行われていることが明らかになった。
著者
村津 啓太
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.93-96, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

近年の幼児教育では,科学教育の充実が課題として取り上げられている.その基礎的な資料を得るために,本研究では,アメリカの次世代科学スタンダードにおける幼稚園の教育内容を検討した.検討の結果,幼稚園における教育内容は,物理科学における「運動と静止:力と相互作用」と「エネルギー」,生命科学における「粒子から有機体へ:構造とプロセス」,地球・宇宙科学における「地球のシステム」と「地球と人類の活動」であることが分かった.また,それぞれの教育内容は,学習者によるスタンダードの到達を意味する「期待されるパフォーマンス」と,それを構成する 3つの要素,すなわち,(1)学習者が深化・洗練させていくべき最小限のアイデアとしての「領域のコア概念」,(2)科学者が自然界に関わる理論を構築する際に行う実践としての「科学の実践」,(3)科学の領域すべてにおいて適用可能な概念としての「領域横断概念」から構成されていることが明らかになった.
著者
石原 大地
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.203-208, 2021-12-19 (Released:2022-01-20)
参考文献数
15

本稿では,ラカトシュの可謬主義の見地から,数学の発展を弁証法的に解釈することの意義と課題について考察した.また,算数・数学教育において弁証法的発展を志向した授業を構想することが如何なる教育的意義を持ちうるか,前述の議論を踏まえながら検討した.そこでは,今日の算数・数学教育で重視される「数学的な考え方」の一側面や,教育課題についても触れながら,教育的意義として,先行研究で指摘されているものに加えて,⑴ 子どもの統合的な考察を促す,⑵ 教師の数学観の変容の二点を指摘した.また,具体的な学習場面についての検討から,弁証法的発展を志向した授業の構想が可能であることを示した一方で,弁証法的解釈の限界として弁証法的トリアーデでは捉えられない授業の局所的な側面があることについて指摘した.
著者
板橋 夏樹
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.11-14, 2022-12-03 (Released:2022-12-01)
参考文献数
7

本研究は,小学校段階でのエネルギー概念の導入を検討するための基礎的知見を得るための一環として,エネルギーをテーマとした小学生向けの学習漫画『ドラえもん科学ワールド エネルギーの不思議』に掲載された4つのエピソードを事例に,エネルギーに関する登場人物の台詞の表現とその特徴について分析した.その結果,以下のことが明らかになった.(1)共起ネットワークによる分析から,エネルギーと関連付けられた言葉は「熱気球,ダイナミック,役に立つ,便利,遊べる,車,新しい,遊べる,ママ」等のような日常生活に関するものであった.(2)液体のような流動的なもの,燃焼に必要な燃料としての資源,保存できずに消滅してしまうもの,また,ある形態から別の形態に変換できるもの,としてエネルギーが表現されていた.
著者
山本 容子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.61-66, 2019-06-22 (Released:2019-06-19)
参考文献数
11

本研究では,中学生のバイオフィリア仮説に対する認識の実態を調査・分析し,その特徴を探った.その結果,調査対象にした中学生の認識の実態の特徴として,以下の3点が明らかになった.(1)生徒間でバイオフィリア仮説に対する賛否の偏りはみられず,生徒各人が賛否の判断を行う際には,他の生物に対する自身と家族との好みの相違・類似点,自身の生き物との関わりの経験を基準としている.(2)賛否の判断基準には,ペット,もしくはペットとして飼われる哺乳類と生徒との関わりが影響している,(3)生徒各人のバイオフィリア仮説に対する賛否に関わらず,ディープ・エコロジー・ワーク「身近な校庭の自然との一体化体験」により生徒のバイオフィリアが活性化される可能性がある.
著者
高橋 泰道 藤原 奈月
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.37-42, 2018-06-02 (Released:2018-07-22)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,小学校教員が理科の授業で教科書をどのように活用しているのかについて,広島市内の小学校教員に実態調査を行い,その結果をまとめ,小学校理科授業における教科書活用の実態と実践上の課題を明らかにすることを目的とした。調査の結果から,理科の教科書は,教員が「毎回活用している」割合が46.2%で,国語,算数に比べて低いこと,児童の授業中の使用についても「毎回使っている」割合が22.7%で低いことが分かった。その理由として,「理科の教科書には答えが載っているから,児童に読ませたくない」という理由が過半数以上であることが明らかになった。また,小学校の理科教科書は,児童のためでなく,教員自身が授業を展開していくために活用されていることが明らかになった。
著者
中村 大輝
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.165-170, 2022-12-18 (Released:2022-12-15)
参考文献数
15

近年,機械学習(Machine Learning)の技術を教育評価に応用する動きが加速している.しかしながら,科学教育における機械学習を用いた評価方法は研究蓄積が不十分であることに加えて,今後の研究へ向けた成果と課題が十分に整理されていない.そこで本研究では,科学教育における機械学習を用いた評価方法の先行研究をレビューし,研究の現状と課題を検討した.Zhai et al.(2020a)の先行レビューに新たな論文を加えた60件の論文を対象にレビューを実施した結果,次の3点が明らかになった.1.機械学習の導入によって自由記述などのより多様なデータを使用して妥当性を担保しつつ,採点の自動化によって評価の負担を減らし,大規模な評価の実施を目指す研究が多くみられる.2.評価内容や領域には偏りが見られる.3.多くの研究が転移可能性の課題を抱えている.
著者
下川 瑞貴 江頭 孝幸 野口 大介
出版者
日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 = JSSE Research Report (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.127-130, 2023-02-23

「炭酸アンモニウム」は不安定な物質であり,市販品は炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムの混合物とされる.炭酸水素アンモニウムとカルバミン酸アンモニウムには結晶構造が知られており,最近では炭酸アンモニウムについても一水和物の結晶構造が報告された.こうした結晶構造データを効果的に用いれば,高校化学の無機物質分野におけるより魅力的な授業を展開できるかもしれない.すなわち,簡易型アンモニアソーダ法の生徒実験を湯煎および氷冷による二通りで実施すれば,高温と低温で生じる違いを事前に予想させつつ,観察に目的意識を持たせることができる.そして反応温度により生成物が異なることに気づかせ,思考を深めさせることも期待できる.結晶構造を立体的に表示すれば,視覚的理解に基づくさらに発展的な学習も可能だろう.
著者
佐藤 陽 安藤 秀俊
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.13-16, 2022-12-03 (Released:2022-12-01)
参考文献数
5

ヒメチャマダラセセリは,鱗翅目セセリチョウ科の蝶である。日本では,北海道の特産種で日高山脈アポイ岳付近に産し,国の天然記念物(絶滅危惧ⅠA類)に指定されている。近年,生息環境の変化により個体数が急激に減少し,日本チョウ類保全協会などの調査では,調査地(計11カ所)における7月下旬の幼虫数の変化を見ると2013年には361頭であったが,2020年には70頭まで減少し絶滅の危機に瀕している。絶滅を避けるためには,生息域外保全による増殖などの対策が必要であるが,1973年の本種の発見から,2年という短い期間で天然記念物に指定されており,生息域外保全のための基礎的な飼育データがほとんどない。そこで今回,日本チョウ類保全協会から環境省と文化庁の許可を得て採集した母蝶から強制採卵した300卵の生息域外保全を委託され,温度,日長,2化の条件など,累代飼育のための基礎的データの収集を行った。
著者
足立 将太 御園 真史
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.111-116, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

本研究は,大学生を対象に数学の調査問題を行い,一週間後に数学の課題において誤概念のリバウンドが起こるかを調査した.少数ではあるが,一週間で 35 名中 2 名が誤概念のリバウンドを起こした.誤概念のリバウンド発生プロセスを調査するために,誤概念のリバウンドを起こした調査協力者にインタビューを行ったところ,誤概念の修正を図っても,誤概念は正しい情報と統合されない場合があり,統合されないと誤概念のリバウンドがおこる可能性があること,及び,誤概念は修正されたのではなく,正しい解法を単に記憶した場合に誤概念のリバウンドが起こる可能性があることの 2 つの可能性が示唆された.
著者
澤内 大樹 坂本 有希 高橋 治 佐藤 真里 八木 一正
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.11-14, 2007 (Released:2018-04-07)
参考文献数
15

近年、温室効果ガス増加による地球温暖化防止のため、カーボンニュートラルの観点からバイオマスを用いたエネルギーが注目されている。また、今年度から前倒し施行された学習指導要領では環境教育の一層の充実とともに学習内容が自分たちの生活と結びつく実感を伴った理解が強調されている。このような背景の下、本研究では岩手県の特産であるリンゴを用いた効率的なエタノール合成および教材への応用を視野に入れた研究を行っている。品種や酵母ごとでの検討の結果、糖度の高いリンゴほどエタノールの生成量が多く、酸度の高いリンゴほどエタノールの生成量が抑制される傾向が見られた。今後はサンフジについて、時間ごとでの生成量の変化や精製条件のさらなる検討を行う予定である。また、12 月上旬に授業実践を行い、生徒たちの環境・エネルギーへの意識の変化を調査する予定である。
著者
齊藤 智樹
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.15-20, 2022-12-03 (Released:2022-12-01)
参考文献数
24

This study aimed to depict the structure of integrative STEM education. Referring to literature from the period when discipline-based education was actively discussed, the paper argues the nature of the structure, its three-dimensional view, and the differences depending on the structures of teaching and learning. As a result, it is shown that there is a need to reconsider the boundary between Inter- and Trans-disciplinary STEM education and to redefine the classification.