- 著者
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橋本 唯
- 出版者
- 公益社団法人 日本心理学会
- 雑誌
- 日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
- 巻号頁・発行日
- pp.PC-096, 2021 (Released:2022-03-30)
本研究の目的は,とらわれ型の愛着スタイルは日本の文化的環境に適応的であるかどうか検討することであった。日本の大学生256名(男性89名,女性167名,平均年齢19.4歳,SD=1.33)を対象にして,4分類の愛着スタイル,アサーション,過剰適応,抑うつについて質問紙による回答を求めた。その結果,安定型78名(30.6 %),拒絶型22名(8.6 %),とらわれ型111名(43.5 %),恐れ型44名(17.3 %)でとらわれ型が最も多く,安定型が最も多い欧米の割合とは異なっていた。分散分析の結果,理論的にネガティブな愛着スタイルと考えられてきた,とらわれ型と恐れ型の愛着スタイルは,アサーションのポジティブな側面である他者配慮は,安定型と拒絶型と比較して有意に高かった。しかし,過剰適応および抑うつは安定型,拒絶型と比較して有意に高い結果になった。つまり,とらわれ型の愛着スタイルは,日本の文化的環境に求められる対人関係スタイルに最も近い型であるが,内的不適応に陥りやすい結論に至った。最終的にとらわれ型の愛着スタイルが日本に多い理由について考察された。