著者
森口 佑介 上田 祥行 齋木 潤 坂田 千文 清河 幸子 加藤 公子 乾 敏郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.SS-031, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

これまでの実験心理学は,一人で課題に取り組む際の認知プロセスを明らかにしてきた。一方,近年,他者と一緒に同じ課題に取り組む(ジョイントアクション)場合における認知が,一人で取り組む場合とは異なる可能性が指摘されている。たとえば,一人で個別にフランカー課題に取り組む場合よりも,他者と一緒に取り組んだ場合に,フランカー効果が大きくなる。たが,依然として研究知見は十分ではなく,個別場面で明らかになった認知プロセスは,他者の存在によってどのように拡張されるのか,また,様々な課題にみられる効果が同じようなメカニズムに基づくのか,などは明らかではない。本シンポジウムでは,共同行為場面を扱う知覚(齋木・濱田),記憶(坂田),問題解決(清河),発達(加藤)の専門家による実験的研究を紹介いただき,実験心理学・認知神経科学者の乾から討論をいただきながら,これらの点について深めたい。
著者
栗原 実紗 大平 英樹 みーた ぷらんじゃる
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PN-006, 2021 (Released:2022-03-30)

私たちは,常に感情制御ができるわけではなく,感情的になって仕返しをしてしまうことも度々ある。現在まで,感情の制御の失敗の原因として,神経内分泌的なプロセスについてはまだ明らかにされていなかった。近年,メラトニンという睡眠ホルモンは,感情制御に影響しているのではないかと示唆されていることから,今回,メラトニンという睡眠ホルモンが,どのように意思決定場面における感情制御に影響しているのかについて検討した。この研究は,プラセボ対照二重盲検法で行い,2セッションに渡って実験参加者はメラトニンかプラセボを投与された。結果は,メラトニン投与後に不公平な配分に対する拒否の選択が増加した。メラトニン投与後の眠気の上昇や感情反応の変化は,自己報告上は見られなかった。しかし,メラトニンの眠気が強まった場合に拒否の傾向が高まったことが分かった。おそらく,メラトニンはDLPFCやVLPFCに影響をし,制御能力の低下が生じたのではないかと考えられる。今後の研究では,メラトニンによって感情反応が上昇しているのか,身体指標やfMRIなどを用いて検討することが望まれる。
著者
森永 康子 平川 真 福留 広大
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PS-008, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

システム正当化理論(Jost & Banaji, 1994)によると,人々は,たとえ格差がある社会でも,その現状を肯定するよう動機づけられており,そして,現状を正当化することで心理的安寧を得るという。また,こうした正当化は社会的地位の高い者だけなく低い者にも見られるという。本研究では,日本の既婚者(男性331人,女性339人)を対象に,ジェンダー格差の正当化(ジェンダー・システム正当化;GSJ; Jost & Kay, 2005; αs>.740)と人生満足度(LS; Diener, et al., 1985; αs>.925)の関連を検討した。LSを目的変数とし,性別,年齢,家庭全体の年収,GSJ,性別×年収,性別×GSJ,性別×GSJ×年収を説明変数とする重回帰分析を行ったところ,性別(女性の方がLS高),年齢(若いほどLS高),年収(年収高ほどLS高),性別×GSJの有意な効果が得られた(ps<.024)。下位検定の結果,女性はGSJが強いほどLSが高い(p<.001)が男性はGSJの効果は見られなかった(p=.172)。GSJ得点そのものは男性の方が高かった(p<.001)が,女性の中でジェンダー格差を正当化する者ほど,人生満足度が高いことが示され,システム正当化の緩和効果が確認された。
著者
勝谷 紀子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-086, 2021 (Released:2022-03-30)

落語の口演,稽古,鑑賞の体験が演者にもたらす影響を調査し,社会人落語家における対人ストレスユーモア対処およびユーモアスタイルの程度を調べ,落語経験との関連も調べた。24名の社会人落語家(男性16名,女性6名,その他の回答2名,平均年齢59歳)が調査に回答した。調査では落語経験(落語口演歴,持ちネタの数,1年のうち高座に上がる平均的な回数,落語鑑賞歴など),落語を演じる影響,落語の稽古を重ねる影響,落語鑑賞の影響(いずれも自由記述),対人ストレスユーモア対処尺度(桾本・山崎,2010),日本語版ユーモアスタイル質問紙(吉田,2012)へ回答を求めた。落語を演じる影響は,人前で話す行為への影響が最も多く,ついで対人関係への影響だった。落語の稽古の影響は,「自分の特徴,性格,資質への気付き」が最も多かった。落語鑑賞の影響は,「興味・理解の深まり」が最も多かった。高座に上がる回数が多い人ほど,鑑賞歴が長い人ほど対人ストレスユーモア対処尺度得点が低い傾向があった。ユーモアスタイルに関しては,落語口演歴が長い人ほど,自虐的なユーモアの程度が低く,自己高揚的なユーモアも低い傾向がみられた。
著者
前澤 知輝 河原 純一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PI-010, 2021 (Released:2022-03-30)

ブランド名など,その製品を象徴する情報は,消費者の印象を変化させ,購買行動に影響を与える。例えば,製品ラベルの時間方向(例:新製品)が,製品写真が示す時間方向(未来方向を示す右向き)と一致する場合に,消費者は製品を高く評価する。この時間的一致の効果は,製品広告に限定的ではなく,飲食店広告に対しても一般化できるかもしれない。そこで本研究では,過去情報の表示が,飲食店への消費者態度を向上させるかを検討した。5つの実験で,参加者は創業年が記載された飲食店広告を観察し,その後に品質期待,味への期待,訪問意欲の主観的態度を7件法で測定した。その結果,創業年表示が古い広告(寛政,大正)は,ラベルがない広告や創業年が新しい(令和)広告に比べて,特に品質に対する評価が向上した。また,創業年を縦書き表記で呈示した広告は,横書きで表示する場合よりも品質に対する評価が向上した。したがって,創業年表示の効果は,ラベルの単一呈示だけでなく,過去へ時間的焦点の存在や,縦書き表示による伝統的側面の補強によって消費者態度を高める。品質の良い製品は生存するという,適者生存バイアスが関係していることが考えられる。