著者
下島 裕美 佐藤 浩一 越智 啓太
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.74-83, 2012-07-31 (Released:2012-09-07)
参考文献数
31
被引用文献数
6 16

「ある一定の時点における個人の心理的過去および心理的未来についての見解の総体」を時間的展望という(Levin, 1951 猪股訳 1979)。本研究は,時間的展望の個人差を測定する尺度であるZimbardo Time Perspective Inventory(ZTPI)を日本語に翻訳し,原版と同様の5因子構造が得られるかどうか確認することを目的とした。大学生748名を対象に調査を行い,探索的因子分析の結果,未来・現在快楽・現在運命・過去肯定・過去否定の5因子計43項目が見出された。回転前の5因子で全分散を説明する割合は37%であった。確証的因子分析の結果,CFI=.681, GFI=.829, AGFI=.810, RMSEA=.057, AIC=3125.726であった。α係数は.65から.76,再検査信頼性(n=110)は.63から.78(p<.05)の範囲であり,原版に劣らない信頼性が確認された。原版と日本版の項目を比較したところ,日本版の現在快楽は「刺激希求性」の意味合いが強いことと,未来とのつながりがあることが示唆された。妥当性を検討した上で日本版尺度を完成させ,現在進行中である国際比較研究への参加が期待される。
著者
太幡 直也
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.210-219, 2010-03-31 (Released:2010-04-28)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1

近年では,内面の被知覚の意識が注目され,内面の被知覚の意識に関する三つの概念が提唱されている。しかし,これまでのところ,三つの概念の相違点や位置づけは示されていなかった。そこで,本論文では,内面の被知覚の意識に関する三つの概念を整理することを目的とした。最初に,内面の被知覚の意識が生じる前提条件を論じた。続いて,内面の被知覚の意識に関連する,透明性の錯覚(Gilovich, Savitsky, & Medvec, 1998),自我漏洩感(丹野・坂本,2001),被透視感(太幡,2006a)について説明した。そして,三つの概念を比較し,位置づけを整理することにより,それぞれの概念の特徴を示した。最後に,諸概念の関係を検討するための視点を論じた。
著者
川本 静香 渡邉 卓也 小杉 考司 松尾 幸治 渡邉 義文 サトウ タツヤ
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-12, 2014-07-30 (Released:2014-08-26)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究では,うつ病患者と類似した抑うつ症状を持つ非臨床群を抽出し,その特徴を検討した。うつ病患者および非臨床群のBDI-II項目得点に対し,k-meansクラスター分析を行った結果,抑うつ状態が軽症の非臨床群の全員と中等症の非臨床群の一部の者が非抑うつクラスターへ分類された。一方,残りの中等症の非臨床群と重症の非臨床群の全員が抑うつクラスターへ分類された。このことから,軽症の非臨床群の抑うつ症状は,重症度の高いうつ病群とは類似性がないことが明らかになった。また,重症の抑うつ状態にある非臨床群と重症度の高いうつ病群には類似性が見られた。ただし,中等症の非臨床群については,その一部の者に重症度の高いうつ病群との類似性が認められる一方で,見られない者も確認された。
著者
渡邊 寛
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.28-41, 2019-07-01 (Released:2019-07-06)
参考文献数
49

本研究では,現代の男子大学生を対象に,以下2点を検討した。第1に,男子大学生が認知する親の男性役割期待の実態を検討した。その結果,男子大学生は,父親の伝統的な男性役割期待をあまり感じず,父母の新しい男性役割期待を強く感じていた。第2に,親の属性(学歴と就労状況)や親の男性役割期待認知が,男子大学生の男性役割態度に与える影響を検討した。その結果,学歴や働き方は父親の影響が強く,男性役割期待は母親の影響が強かった。これらの結果から,男子大学生は,父親の働き方や生き方を手本とする一方で,母親からの期待の影響を直接受けていると示唆された。これらの結果を踏まえて,本研究の意義と今後の課題が議論された。
著者
川島 大輔 小山 達也 川野 健治 伊藤 弘人
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.121-132, 2009
被引用文献数
4 8

本研究は医師が一般診療場面において希死念慮を有した患者にどのようなメッセージを呈しているのかを探索的に検討することを通じ,医師の自殺予防に対する説明モデルを明らかにしようとしたものである。希死念慮者への医師の対応に関する調査において,これまで死にたいと述べる患者に自殺をとどまるようにメッセージを伝えた経験があると回答した166名の医師の自由記述を対象に,テキストマイニングの手法を用いて分析を行った。結果,頻繁に用いられる言葉が同定され,また対応分析により「共感的理解と告白」,「精神科への相談」,「病気の診断と回復の見通し」,「自殺しない約束」,「生の価値と他者への配慮」の5つのクラスターが確認された。さらに得られたクラスター変数と患者の性別および年齢との関連についても検討を行った。
著者
岡田 涼
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.152-160, 2010-01-31 (Released:2010-02-28)
参考文献数
32
被引用文献数
2 4

自己決定理論(Deci & Ryan, 2000)では,さまざまな領域における動機づけをとらえる包括的な理論的枠組みを提供している。本研究では,メタ分析によって,自己決定理論における動機づけ概念間の相関係数の程度を特定し,動機づけ概念の背後にある次元を探ることを目的とした。レビューの結果,87論文115の相関行列を収集した。収集された相関行列から母相関係数を推定したところ,隣り合う動機づけ間の相関係数は,自己決定的なほうに進むにつれて大きくなる傾向がみられた。動機づけの次元について,自己決定性と統制的動機づけの2次元が見いだされた。動機づけ尺度の妥当性および動機づけの指標について論じた。
著者
市川 玲子 村上 達也
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.112-122, 2016-11-01 (Released:2016-09-13)
参考文献数
35
被引用文献数
2 3

パーソナリティ障害(PD)は対人関係機能の障害によって特徴づけられ,その根底にアタッチメント・スタイルの影響が指摘されてきた。先行研究において,境界性・自己愛性・演技性・依存性・回避性PDと不適応的なアタッチメント・スタイルとの関連や,これらの精神的健康への影響について明らかにされているが,媒介プロセスについては検討されていない。そこで本研究は,不安定的なアタッチメント・スタイルが,これと関連するPDを媒介して精神的健康に及ぼす影響について検討することを目的とした。調査対象者は298名の大学生であり,各PD傾向,2次元から構成されるアタッチメント・スタイル,抑うつに関する項目に回答した。共分散構造分析と媒介分析の結果,境界性・回避性PD傾向が2種のアタッチメント・スタイルと抑うつの間を媒介することと,演技性PD傾向は見捨てられ不安と抑うつの間を媒介して抑うつの低さに寄与することが示された。
著者
大隅 尚広 金山 範明 杉浦 義典 大平 英樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.117-120, 2007 (Released:2007-10-30)
参考文献数
16
被引用文献数
22 18

The purpose of the present study was to investigate reliability and validity of Japanese version of the Primary and Secondary Psychopathy Scales. First, similar to the original scales, exploratory factor analysis of the data from a sample of 475 revealed two factors for the scale items. In addition, a sample of 77 provided good indication of internal consistency as well as test-retest temporal stability. Correlations with BIS/BAS scales and PANAS also gave support for the scales' validity. These and other results suggested that, with some reservations, the Japanese version had usefulness of the original scales to measure psychopathic tendencies.
著者
任 玉洁 林 雅子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-26, 2020-05-07 (Released:2020-05-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2

The purpose of this study was to examine the effect of parental bonding instrument (PBI) on over-adaptation in adolescence from the viewpoint of gender difference. The participants were 299 university students (male=125; female=174). The results showed that the level of mother’s loving on the PBI positively predicted boys’ and girls’ external aspect (EA) of over-adaptation, but negatively predicted girls’ internal aspect (IA) of over-adaptation. The level of mother’s overprotectiveness on the PBI was found to positively predict both EA and IA in adolescence. The level of father’s overprotectiveness on the PBI was positively associated with IA in boys; however, it was not significantly correlated with IA in girls.
著者
澤山 郁夫 三宅 幹子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.137-146, 2015
被引用文献数
1

本研究では,ヘビーユーザーが多いことで知られるTwitterにおいて,ヒマさえあれば1日のうちに何度も閲覧してしまう者の心理特性が検討された。大学生を対象に質問紙調査を実施した結果,ヒマさえあれば1日のうちに何度も閲覧する者は,Twitterを利用していない者に比べて,公的自意識や同調志向,自己認識欲求,ネガティブ情報回避欲求について,高い傾向にあることが示された。また,高頻度閲覧者は,直接会うことの多い知人・友人の独り言のようなツイートが気になっていることも示された。これらの結果より,Twitterが身近な他者との同調や自己関連情報の収集を目的として利用されている可能性が示された。ただし,これらの心理特性はいずれも,Twitter利用の有無への影響は示唆される結果となったものの,閲覧が高頻度であるか中低頻度であるかといった頻度間では,明確な差はみられなかった。今後は,高頻度閲覧を規定する別の要因を含めた検討が必要であろう。
著者
谷 伊織
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.18-28, 2008-09-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
28
被引用文献数
9 21

わが国では,社会的望ましさ反応の測定についてCrowne & Marlowe(1960)の社会的望ましさ尺度が邦訳されて使用されているが(北村・鈴木,1986),社会的望ましさ反応を測定する尺度の因子構造は研究者によって異なっている。そこで本研究においてはまだ邦訳されていないPaulhus(1991)のバランス型社会的望ましさ反応尺度を邦訳し,安定した因子構造を持つ新たな社会的望ましさ反応尺度を作成することを目的とした。調査1では探索的因子分析によって自己欺瞞,印象操作の2因子構造が見出された。調査2においては他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,交差妥当性が確認された。調査3においては他の概念との関連から構成概念妥当性が示され,調査4においては基準関連妥当性が認められた。以上より,バランス型社会的望ましさ反応尺度日本語版の信頼性と妥当性が確認された。
著者
田村 紋女 小塩 真司 田中 圭介 増井 啓太 ジョナソン ピーターカール
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.26-37, 2015
被引用文献数
28

Dark Triad (DT)とはマキャベリアニズム,サイコパシー傾向,自己愛傾向という3つの反社会的なパーソナリティ特性を指す。本研究の目的は,DTを簡便に測定できるDark Triad Dirty Dozenの日本語版(DTDD-J)を作成し,信頼性と妥当性を検討することであった。246名の大学生がDTDD-J,各DT特性に対応する既存のDT尺度,ビッグファイブ尺度に回答した。確認的因子分析の結果,各DT特性に対応した3つのグループ因子と総合的なDT特性による1つの一般因子から構成されることが示された。内的信頼性はサイコパシー傾向を除くといずれも高い値が示された。併存的妥当性と弁別的妥当性についても概ね先行研究を支持する結果であった。以上から,DTDD-JはDTを包括的,かつ効率的に測定できる尺度として一定の信頼性と妥当性を持つことが示された。
著者
神野 雄
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.2.2, (Released:2018-06-01)
参考文献数
53

本研究では,先行研究で知見が一貫していない恋愛関係の嫉妬傾向と自尊感情との関連について,自己愛的観点に着目することで知見を整理し直すことが目的であった。交際経験のある大学生160名を調査協力者として質問紙調査を行い,相関分析の結果,自尊感情は嫉妬の三次元すべてと明確な直線的関係にないことが示された。また階層的重回帰分析の結果から,特に嫉妬の情動的側面に対して自尊感情と自己愛の誇大性に相当する変数を同時に投入した場合は自尊感情が負の,「有能感・優越感」が正の有意な影響を示し,先行研究の知見の混乱は自尊感情が自己愛的な自己評価の高さと弁別して測定されていないために生じた可能性を見出した。さらに自己愛の過敏性に相当する変数と「注目・賞賛欲求」を投入すると,「注目・賞賛欲求」「自己愛性抑うつ」の影響が強く示されたため,自己評価の過敏さ・脆弱さが青年の情動的な嫉妬深さを規定しうることが示唆された。
著者
畑 潮 小野寺 敦子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.37-47, 2013-07-30 (Released:2013-08-28)
参考文献数
34
被引用文献数
1 6

本研究では,Block & Kremen(1996)が作成したエゴ・レジリエンス尺度(ER89)の日本語版を作成し,その信頼性,妥当性の検討を行った。研究1では,ER89日本語版尺度を作成し,大学生520名に質問紙調査を実施した。主成分分析の結果,原版と同じ14項目1成分解が得られ,十分に高い内的整合性(α=.82)が確認された。研究2では,ER89日本語版尺度の妥当性の検討を行った。大学生261名(サンプル1)と大学生240名(サンプル2)に質問紙調査を実施し,他の概念(レジリエンス,精神的健康度)との関連から本尺度の併存的妥当性および構成概念妥当性が確認された。以上により,ER89の日本語版の信頼性と妥当性が明らかにされた。
著者
上野 雄己 平野 真理 小塩 真司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.1.10, (Released:2019-06-19)
参考文献数
14
被引用文献数
3

This study aimed to reinvestigate age differences in resilience in a large cross-sectional Japanese sample (N=18,843; 9,657 men, 9,156 women; meanage=47.74 years, SDage=14.89, rangeage=15–99 years). The data were obtained from a large cross-sectional study by NTT DATA Institute of Management Consulting, Inc. The results of hierarchical multiple regression indicated that age and squared term of age were significantly positively associated with resilience. These results reconfirm that resilience in Japanese individuals increases with age, corroborating the findings of previous studies.
著者
落合 萌子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.57-60, 2009-06-01 (Released:2009-07-24)
参考文献数
12

The purpose of this study was to examine the relationship between oblivious and hyper-vigilant types of narcissism, looking at their self-esteem and social anxiety. Undergraduates, 344 in total, completed NPI-S, three subscales of Narcissistic Vulnerability Scale (hypersensitivity to approval/admiration, covert sense of entitlement, and inhibition of self-exhibition), self-esteem scale, and SADS. Results indicated that narcissism was divided into three categories: the first had high self-esteem and low social anxiety, the second high social anxiety and low self-esteem, and for the third, the two were neither high nor low.
著者
中尾 達馬 村上 達也 数井 みゆき
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.3.1, (Released:2018-11-08)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究の目的は,児童用に,アタッチメント不安とアタッチメント回避を測定可能な尺度(児童版ECR-RS)を作成し,その信頼性と妥当性を確認することであった。調査対象は小学4年生から6年生540名(平均年齢10.5歳,男児260名,女児280名)であった。本研究では,まず,児童版ECR-RSが2因子(アタッチメント不安,アタッチメント回避)から構成されているとみなせるかどうかを検討した。次に,児童版ECR-RSの信頼性については,内的整合性と再検査信頼性(5カ月)を確認した。最後に,妥当性については,児童版ECR-RSと理論的な関連性・無関連性が想定される変数(アタッチメントの安定性,全体的自己価値,情動知能,共感性,生活満足度,対人不安傾向,孤独感,友人関係良好度,運動能力評価)との間で検討を行った。これらの結果は,我々の予測をおおむね支持していた。以上の結果から,児童版ECR-RSは,一定の心理測定的属性(信頼性と妥当性)を備えた尺度であることが示唆された。
著者
柴田 由己
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.198-208, 2008-01-01 (Released:2008-03-30)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

本研究は,青年用刺激希求尺度を作成して,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。研究1では,先行研究と予備調査において収集された126項目について探索的因子分析を行った。大学生189名のデータから,スリルと冒険 (TAS),抑制の解放 (Dis),内的刺激希求 (IS),日常的な新奇性希求 (DNS) の4因子が抽出された。研究2では,大学生480名のデータを用いたSEMにより,4因子構造と男女間での因子パターン不変性の確認,さらに男女間で因子得点の平均構造の比較を行った。結果は4因子構造の因子的不変性とTAS, Dis, DNSにおける因子得点の有意な男女差を示した。研究3ではα係数と再検査信頼性が検討され,SSS-JAの下位尺度における充分な内的一貫性と安定性が示された。さらに,他尺度との相関分析から,収束的妥当性と弁別的妥当性が論じられた。
著者
桃木 芳枝 中谷 素之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.101-111, 2016-11-01 (Released:2016-09-13)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究では性役割意識が認知スタイルを介してメンタルヘルスに与える影響を検討した。調査は認知スタイルを測定する共感とシステム化の尺度,Bem性役割尺度(BSRI),およびメンタルヘルスを測定するHopkins Symptom Checklistに基づいた尺度を用いて大学生981名を対象に質問紙法で行った。先に,共感・システム化の各下位尺度の特徴を明らかにした。階層的重回帰分析の結果,性役割意識とメンタルヘルス間で認知スタイルが媒介変数として機能していることが示唆された。男女ともに,性役割意識は認知スタイルに正の影響を与えた。男性性と女性性によって媒介された共感は,有意に良好な影響をメンタルヘルスに与えた。さらに,女性では男性性,または男性性と女性性に媒介されたシステム化はメンタルヘルスに悪影響を与える可能性を示した。すなわち,女性だけに性役割が関わるシステム化の在り方に多様化がみられた。
著者
上野 雄己 小塩 真司 陶山 智
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.26.3.8, (Released:2017-12-13)
参考文献数
12
被引用文献数
1

This study investigated the influence of the combination of an athlete's big five personality traits and athletic event (individual/group event) regarding competitive level. A questionnaire survey was conducted with university athletes (N=857, 303 men and 554 women, mean age=19.7 years, SD=1.0). The results showed that competitive level was significantly lower when individual events were combined with high agreeableness and higher when group events were combined with high conscientiousness. These results suggest that the function of the big five personality traits differs depending on their combination with the type of athletic event.