著者
高柳 泰世 宮尾 克 石原 伸哉
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Supplement, pp.296-297, 2005-06-11 (Released:2010-03-15)

1933年に公布の船舶職員法では小型船舶操縦士の弁色力は安易に先天色覚異常の検査によって評価された。しかし先進諸外国ではこの様な規制はないことおよび、先天色覚異常者であっても小型船舶操縦に必要な色識別が可能なものがいると考えられるため、現場に必要な色識別テストを考案した結果、眼科的検査は止め、夜間灯色識別テスト器により判定され、眼科的検査により不可とされた人たちの人権が守られる時代に入った。
著者
中村 孝文 黒岡 紀哉 田内 雅規
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.43-53, 2013

目的:車いすのティッピングレバー(TPL)は前輪の上げ下げに用いられるが,現状のTPLは形や位置の面から前輪上げ下げ操作がしやすいとはいえない.そこで本研究では,前輪上げ下げ時のTPL位置と操作時に感じられる身体的負担の関係を調べ,負担を軽減できる最適なレバー位置について検討した.<br>方法:被験者は介助操作に慣れた健常成人12名とした.介護用車いすの左右のTPL先端部にアダプターを取り付けてその間に棒(バー)を渡し,床からの高さを75~175 mm,後輪軸からの水平距離を110~230 mmの範囲でその位置を調整出来るようにした.車いすには被験者が前輪上げが可能と感じる質量の70%の重りをシート上に乗せた.被験者はバーを踏んで前輪上げ下げ動作を行い,その際の腕,脚,腰の負担を記録した.<br>結果:前輪上げ動作では,バーの後輪軸からの水平距離の増加に伴い腕,脚,腰の負担はどれもほぼ直線的に減少した.バーの高さの変化に対しても腕,脚,腰の負担特性は類似していた.3部位の負担はバーの高さが低い場合は減少するが,その関係は線形ではなく,後輪軸からの距離に依存して変化した.前輪下げ時の特性は上げ時と類似していた.車いす後部空間における前輪上げ下げ時の負担の結果から最も効果的なTPL位置は水平距離225 mm,高さ125 mmであった.<br>結論:TPLを置くべき位置は腕,脚,腰の負担及び走行時の妨げの少なさの観点から,後輪軸から水平距離225 mm,床からの高さ125 mmが適当と考えられた.
著者
大西 範和 斎藤 真 平林 由果 片瀬 眞由美 栗林 薫 塩之谷 香
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.51-56, 2005-04-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
13

本研究の目的は, 筋電図の解析によりミュールを履いて歩行する際の身体的ストレスを評価することである. 被験者は11名の若年女性で, 50m/minの速度でトレッドミル上を, 裸足, スニーカーおよびヒール高9cmの3種類のミュールを履いて2分間歩行した. それぞれの歩行において後半1分間の上下肢の筋電図および心電図を記録した. 心拍数および歩調は, ミュールを履いて歩行した場合に, 裸足およびスニーカーと比べ統計的に有意 (p<0.05) に増加した. 股関節の屈曲, 膝関節の伸展および足関節の背屈に関係する筋において, 筋電積分値は, 裸足およびスニーカーを履いた歩行に対し, ミュールを履いた歩行の際に増加した. これらの筋活動の増加は, 爪先を上げてミュールの脱落を防止することや, 爪先と踵を同時に接地させて歩行の安定を図るための努力に関係すると推察される. ミュールを履いて歩行した際の前脛骨筋の活動増加は, 甲ストラップの装着により消失した. 歩行時にミュールを履くことで増加する身体的ストレスは, 構造を工夫することで低減され得ることが示唆された.
著者
小松原 明哲
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.73-82, 1991-04-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

対話型システムにおいて, 多数の選択項目から効率よく目的項目を選択するためのメニュー選択システムとして, 1画面にすべての選択項目を, 類似したものどうしをグルーピングして呈示する単層階層メニュー選択システムを提案し, このグループサイズの決定方法について検討した. このシステムのユーザ行動をモデル化したところ, グループ数とグループ内選択項目数の積の平方根の近傍の整数値となるようにグループサイズを決定すれば, 最短目的項目探索時間が期待できることが予想された. この仮説を検討する実験を行ったところ, 仮説が支持される結果を得ることができた.
著者
三浦 豊彦
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.219-225, 1970-10-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
26

最適温度, 至適温度についての研究のうち, 作業能率との関連, 最適温度を移動させる因子のうちで時間の因子を考えてみた.作業能率との関連については主としていくつかの作業をモデル化して実験した資料がある. 作業能率の上では快適であることと必ずしも一致しないが, 作業上の最適温度と快適温度はかなり近いものであることも事実である. 時間的な関係では, 時代, 年間の季節変動, 季節のなかの短期間の気候の変化などは最適温度に影響する. 1日のうちでは昼夜の最適温度には相違があり, 冬期夜間はやや温度の高い方を快適としている. 昼間の午前と午後の最適温度に差があるかどうか, まだ資料はない.
著者
小木 和孝 内村 喜之 堀野 定雄 酒井 一博
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.171-184, 1973

空港管制席作業空間について, 人間工学研究者10人と学生12人が2種の評価的リスト (米国ダンラップ社A, 日本人間工学会N) および修正的リスト (オランダのワーキンググループH), の3種の人間工学チェックリストを用いてチェックした. 研究者に比べて学生群は問題項目を見落しやすく, とくに定性的評価を行なうリストで目立った. 他方Aリストのように限定しすぎる定量的設問を主にする場合も指摘される問題点が制約された. 当管制席で重要とされた姿勢転換・脚空間の余裕とそのための視界の確保について, 対策選択式のHリストは問題意識を広げやすく, 一致度もよかった. このように人間工学チェックリストでは, 項目の網羅性のほかに, 融通性の高い修正的機能をもつことと人間工学知識をもつ多人数による使用とが肝要だと考えられる.