著者
高林 範子 山本 真代 小野 光貴 渡辺 富夫 石井 裕
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.112-123, 2016-06-20 (Released:2016-07-14)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

表情の中の微笑みや視線などの非言語メッセージは,看護コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしている.これまで,アバタを介した看護コミュニケーション教育支援システムを開発したが,アバタの視線や表情に関する表現性の課題が残された.本論文では,アバタに微笑みと眼球動作モデルを付加した看護コミュニケーション教育支援システムを開発し,システムの活用可能性を検証する目的で,ロールプレイングによるコミュニケーション実験を行った.実験用のシステムモードとして【A:真顔のみ】,【B:微笑み+眼球動作無し】,【C:微笑み+眼球動作有り】の3つのモードを用意した.実験の結果,システムのモードとしては,微笑みと眼球動作のあるCモードが最も高く評価された.自由記述においてもコミュニケーション時の表情や視線が与える効果に気づく意見が多くみられ,本システムによる看護コミュニケーション教育支援の有効性が示された.
著者
小松原 明哲
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.81-86, 1983-04-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9
著者
鈴木 浩明 藤浪 浩平 大野 央人 水上 直樹 末田 統 井手 将文
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.191-198, 2001-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 4

模擬空間に誘導用ブロックを敷設して視覚障害者の歩行特性の把握実験を計画する際の基礎データを得るために, 日常的な空間における視覚障害者の歩行特性の把握を目的とした調査を実施した. 被験者は徳島県立盲学校の生徒 (職業訓練課程の成人を含む), 教員46名であり, 被験者が誘導用ブロックに沿って歩行した際の歩幅と歩行速度を測定した. 調査は盲学校内の屋外通路と最寄り駅のプラットホーム上の2箇所で実施した. 調査結果から, 被験者の身長, 視覚障害の程度 (全盲, 弱視), 歩行環境の違い (本調査では校内, 駅で定義) が, 歩幅や歩行速度に有意な影響を及ぼすことを明らかにした. また, 回帰分析法を用いてこれらの要因の違いを考慮した歩幅・歩行速度の予測式を作成するとともに, 全盲者の歩行特性の予測には歩幅を用いる方が歩行速度より望ましい (回帰係数=0.86) ことを明らかにした.
著者
永田 久雄 大野 央人 小美濃 幸司
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-9, 1996-02-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
22
被引用文献数
3 4

本論において, 立位姿勢保持に及ぼす靴ヒール高の影響を, 開発したリニアアクセラレータを用いて実験的に究明した. 20歳前後の12人の女性を一連の実験に参加させ, 裸足とヒール高の異なる4種類の靴別に, リニアアクセラレータの走行台上に乗せて, 倒れるまで立位姿勢を保つようにさせた. 加速パターンは時間軸に対してステップ状の波形となるようにした.検査結果から, 水平加速外力を負荷した場合, 姿勢バランスを失わせる限界加速値とその持続時間の逆数とに直線的な関係がみられた. 姿勢前方へ加速外力を負荷した場合には, ハイヒールと裸足での限界加速値に有意差がみられた. また, 姿勢前方へ加速外力を負荷した場合には, ハイヒール (ヒール高89mm) はローヒール (ヒール高12mm) と比較して, 限界加速値が38%減じている. 立位姿勢の保持限界の観点からは, 靴ヒール高は30mm以下が推奨できる.
著者
土肥 麻佐子 持丸 正明 河内 まき子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.228-237, 2001-10-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
3 6

高齢者への靴の適合性の向上には, 高齢者独自の足部形態特性を把握することが重要と考え, 形態特性と靴の履き心地との関連を検討した. 高齢者女子50名 (60~81歳) を対象にアンケート調査を実施し, 靴に対する意識および靴の不適合部位を調べた. 次に, 高齢者90名 (60~81歳) と若年者148名 (18~27歳) の足長・足囲分布の世代差を検討した. さらに, 高齢者50名 (60~81歳) と若年者166名 (18~27歳) の足長サイズ別形態特性の世代差について, 寸法・角度等20項目の計測値と2示数および3次元形態特徴の推定得点より検討した. この結果, 高齢者の足は同一足長の若年者より足囲が大きく (JIS足囲サイズのEEEを中心に分布), つま先形状が第1指がまっすぐ伸び第5指が内反した先広の傾向である. 足部前方は分厚く, 足首より後方が長いことがわかった. これらは, 第1指や外果下方に不適合が多いことと関連があり, 履き心地の不満を裏付けるものである. 靴設計に高齢者の形態特性を反映することで適合性の向上が期待できる.
著者
江間 徹郎 水倉 幸夫
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.207-213, 1998-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13

パイロット誘導振動 (PIO: Pilot Induced Oscillation) は航空機のミッション遂行の操作中に突然誘導される. この原因は機体特性だけでなく人間の操作方法にもあり, 機体特性だけでは解決しない.本研究は人間の操作法とPIOとの関係およびその抑制法について実験的に検討した. そして, PIOは人間の操作法と機体の応答との干渉に起因していると考えられること, 人間を含めた閉ループ系のバンド幅 (位相が-90degにおける周波数) が1 (rad/s) 以下の特性を有する場合, これが顕著であることなどを示した. また, その抑制法としてパイロットゲインの低下, 位相進み操作が効果的であることなどを示唆した.
著者
梅沢 侑実 土井 幸輝 藤本 浩志
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.88-95, 2016
被引用文献数
1

本研究では,人差し指第3関節(中手指節間関節,以下MP関節)の屈曲錯覚を生起させる振動提示条件と,そのときの錯覚特性を明らかにした.実験要因は振動周波数とし,50,70,90,110,130,150,170,190 Hzの8条件とした.実験参加者には,錯覚が生起したか否かを二肢強制選択で回答させた.生起したと回答した場合,明瞭度を等間隔主観5段階評価で回答させた.また,錯覚特性としては,振動提示から錯覚生起までの反応時間と,人差し指MP関節が屈曲したと感じた角度を再現してもらい,その角度を錯覚角度として計測した.実験の結果,錯覚生起率・明瞭度が高い振動周波数は70,90,110,130 Hzであった.また,これらの条件において,反応時間は5秒であり,最大の錯覚角度はおよそ40度であった.本研究により得られた知見は,運動錯覚を用いた新たなインタフェース開発を行う上で,一助となることが期待できる.
著者
万井 正人
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.45-52_2, 1967
被引用文献数
2

A continuous recording technique of the systolic blood pressure during work has been developed. A blood flow detector by means of a CdS-cell applied of a finger or an ear-lobe was combined with an air compressor through an and-or-not circuit which worked to keep the air cuff pressure approximate to the systolic blood pressure. Ear-lobe application was preferred in case of motor-car drivers. A polygraphic recording during the motor-way driving revealed that the blood pressure increased by 35-40mmHg or even more at the maximum. Blood pressure level was not always parallel with heart rate variations. In critical cases of some drivers as in passing, a blood pressure level of more than 40-60mmHg higher than the resting level was observed. Personality of drivers seemed to have certain relations with blood pressure increase during driving.
著者
金谷 末子 宮前 あつ子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.163-167, 1989-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
12
被引用文献数
2

1 0 0 0 OA 衣服と運動量

著者
笠井 美恵子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.161-166, 1968-05-30 (Released:2010-03-11)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

衣服とは, 静姿の人体によく合っていて, しかも日常生活における運動機能を十分に果すことのできる立体的構造をもった着心地のよい“きるもの”をさす. 広くいって“肌着からドレスまで”ふくまれることになる.そういう衣服のために運動量 (ゆとり) を合理的にするため“上腕の動き”に例をとり, 胴の構造体を組立てた実験研究の報告である.(1) 上腕の動きを日常生活にしぼって, 斜前方向で, 高さが低位・水平位・高位の3種類とした.(2) 静姿の人体に直接, 水平・垂直の線を引き, 上腕の動きにともなっておこる人体表面 (皮膚面) の伸縮の変化を視覚的に捕えた.(3) 人体の線を紙に写しとったものを Shell (殻) という. 静姿・低位・水平位・高位の Shell をそれぞれ一平面上にひろげてみた.静姿の Shell は衣服の造型性を生み出し, 運動の Shell は運動量を算出するのに役立った.(4) 更に, 断面構造に焦点を当てて, 運動量 (%) を貯える位置を明確にした.(5) 運動量をふくめた, 衣服のための構造体 (胴) を(3)と(4)から造り上げた.この実験の結果, 胴の構造体の運動量は腕孔を中心として前後面の奥行にとり, 側面脇下には不必要なこと, 特に背巾の運動量は3動作のうち, 最も目立たない低位にその基準をおくべきことなど重要な結論を得た.