著者
萬 貴裕 野口 卓也
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.254-260, 2022-04-15 (Released:2022-04-15)
参考文献数
13

本研究の目的は,長期入院中の統合失調症者を対象にポジティブ作業評価(Assessment of Positive Occupation 15:APO-15)を精神科作業療法の介入に用いた内容を後方視的に報告し,その有用性を検討することであった.方法はAPO-15で評価を行い,その結果から判断された対象者の強みを基に幸福を高める作業への参加が習慣化できるよう支援した.その結果,クライエントは作業療法への参加が積極的となり,病棟内生活でも他者交流が増えるなどの幸福の促進に寄与した.APO-15は長期入院統合失調症患者の幸福の促進に貢献できるスクリーニングツールとしての有用性が示唆された.
著者
庵本 直矢 竹林 崇 日比野 新
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.579-589, 2020-10-15 (Released:2020-10-15)
参考文献数
21

要旨:ロボット療法は,脳卒中後上肢麻痺の改善に有効だが,麻痺手の使用行動の改善が困難である.今回,亜急性期の脳卒中後中等度~重度上肢麻痺患者に対し,ReoGoⓇ-Jを用いた自主練習(Reo練習)と麻痺手の使用行動の改善に有効であるCI療法に準じたアプローチ(以下,修正CI療法)を6週間実施し,麻痺手の使用行動の改善が可能かを先行研究の結果と比較することで検討した.結果,先行研究よりも明らかな上肢機能の改善と実生活における麻痺手の使用行動の改善を認めた.これより,ロボット療法によって獲得された機能を実生活に活かし,さらなる上肢機能の改善といった相乗効果を得るには,修正CI療法の導入が有効であることが示唆された.
著者
田中 龍太郎 吉村 芳弘 嶋津 さゆり 北原 浩生
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.730-737, 2021-12-15 (Released:2021-12-15)
参考文献数
30

本研究は,回復期から自宅退院した脳卒中患者の退院後のIADLとサルコペニアとの関連性を検証した後ろ向きコホート研究である.対象は2015~2019年に当院を退院した脳卒中患者69名で,方法は退院1~1.5ヵ月後に自宅訪問による追跡調査を行った.IADLの評価はFAIを,サルコペニアの評価はAWGSを用いた.退院時のサルコペニア有群は無群と比較し退院後FAIが有意に低かった. 交絡因子を調整した多変量解析の結果,自宅退院した脳卒中患者のFAIにはサルコペニアが独立して関連していた.脳卒中患者のFAIの改善のために,サルコペニアの予防や改善を念頭に入れた作業療法が必要であると考えられた.
著者
岩田 祐美 田島 明子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.439-448, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
33

要旨:訪問作業療法(以下,訪問OT)での活動・参加の促進は,個々の作業療法士(以下,OTR)が経験から築きあげた実践知に基づいていることが多い.OTRの語りからその実践知を体系化することを目的とし,訪問OT経験5年以上のOTR 9名にそれぞれインタビューを行い,語りを質的に分析した.結果,テーマ1「訪問OTの介入指針を持つ」,テーマ2「介入指針を関係性の文脈に乗せる」,テーマ3「活動・参加に向けた作業を導入する」の3つのテーマが得られた.これらのテーマから訪問OTの実践においては特に,訪問OTの介入指針を持ち,事例とOTRの関係性の文脈を把握したうえで作業を導入する関わりが重要であると考えられた.
著者
マイク・D・ フェターズ
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.139-157, 2021-04-15 (Released:2021-04-15)
参考文献数
53

序論:混合研究法を用いる研究者が世界で増えている中,作業療法研究者も,この調査アプローチの本質と力を知る必要がある.本稿の目的は:1)質的,量的,および混合研究法アプローチの基本的特性を確認し,2)混合研究法デザインの3つの基本型について特徴を説明する作業療法分野の研究例を用いて各デザインを示し,3)それら混合研究法を用いた作業療法研究に共通する統合の特性をレビューすることである.結果:ここで取り上げた3つの作業療法の研究例では,統合の特性が多く見られる.まず,タイトルに,混合研究法のデザイン手続きを用いた研究であることが示されている.また,統合の目的を示し,両タイプのデータ収集を意図したことを明示あるいは暗示している.各研究には,それぞれ特定の混合研究法デザインの名称が使われている.これらの論文には,主にデータの連結,積み上げ,マッチング,比較といった,データ収集段階における統合の意図の好例が見られる.さらに,結合,データ変換,およびジョイント・ディスプレイの作成といった,分析作業における,統合の意図とデザイン手続きも取り上げられている.考察:ここで取り上げた研究例は,作業療法研究者が混合研究法における最新の統合戦略の数々をどのように用いているかを示している.本レビューは,作業療法研究者が,他の研究者による混合研究法を用いた作業療法研究を解釈する上で,また,自身の研究で混合研究法を活用する上での参考となるであろう.
著者
野口 貴弘 戸嶋 和也 中西 千江 今井 志保 竹林 崇
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.114-119, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
21

要旨:麻痺手の実使用を増やすためにCI療法のTransfer package(以下,TP)を修正し,病棟と協業することを目的とした.修正TPは以下の手順で実施した(①TPの対象となる活動の映像を撮影,②看護師に動画を用いて伝達,③ADLで病棟看護師が動画を参考に実動作を指導).対象者は回復期病棟入院中の4名とした.4症例の変化量の結果を以下に示す.4症例ともにMotor Activity Log(以下,MAL)のQuality of Movement(以下,QOM)が向上した.本研究では,2症例が先行研究のMAL(QOM)の臨床上重要な最小変化量を超えた.病棟での看護師によるTPは,麻痺手の使用行動に良い影響を与える可能性がある.
著者
吉田 裕紀 向 文緒
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.532-540, 2019-10-15 (Released:2019-10-15)
参考文献数
21

本研究では,若年層作業療法士の職業的アイデンティティ(Occupational Identity;以下,OI)に影響を与える因子を検討した.愛知県,岐阜県,三重県で勤務する35歳未満の作業療法士に郵送調査をし,アンケートは,回答者の個人属性,環境属性,OI測定尺度で構成した.その結果,有効回答率は36%となった.統計解析の結果,年齢,臨床経験年数と,OI得点間に弱い相関が認められ,後輩指導経験の有無,取り扱い件数目標の有無,多職種カンファレンスへの参加の有無による,OI得点に有意差が認められた.また,重回帰分析では,臨床経験年数,取り扱い件数目標の有無,多職種カンファレンスへの参加の有無の3因子に対する影響が示唆された.
著者
青栁 翔太 篠原 和也 鹿田 将隆 野藤 弘幸
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.102-108, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
14

回復期リハビリテーション病棟に入院する重度認知症者に対し,人間作業モデルに基づく介入がもたらした変化と要因を提案する.Mini-Mental State Examination,認知症行動障害尺度短縮版,機能的自立度評価法,人間作業モデルスクリーニングツールを,入棟1週目,介入2ヵ月後,それ以降1ヵ月毎に測定した.自宅退院に必要な日常生活活動への介入と,興味や役割の情報と人間作業モデルスクリーニングツールの結果から計画したちぎり絵やキャッチボールといった介入を約4ヵ月間実施した結果,各評価法の評定は入棟1週目よりも全て改善した.従って,人間作業モデルに基づく介入は,対象者の認知機能と行動・心理症状の良好な変化を導いたと考えられた.
著者
武田 裕子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.129-134, 2023-04-15 (Released:2023-04-15)
参考文献数
18

“人々が生まれ育ち,生活し,働き,そして歳をとるという営みが行われる社会の状況”が健康格差を生じるとき,WHOはそれを「健康の社会的決定要因(Social determinants of health;以下,SDH)」と定義した.舗装されていない道路や段差などの物理的環境にとどまらず,雇用や収入,社会保障制度,さらには自立を阻害する差別や偏見といった社会状況は,困難を抱える人たちにこそ大きく影響する.SDHは社会的公正(social justice)に基づく取り組みと位置付けられているが,この公正の考え方をいちはやく明示した医療職は作業療法士である.“作業を利用し,環境に働きかける”行いは,作業の権利を保障するものであり作業的公正の実現に他ならない.
著者
齋藤 弘匡 宮崎 祐太 杉 正明
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.595-603, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
48

本研究の目的は訪問リハビリテーション利用者を対象に,被介護者の抑うつ状態と介護者の介護負担感の関連を明らかにすることである.被介護者の基本情報,抑うつ度,認知機能,ADL自立度,生活空間の広がり,介護者の基本情報を調査し,介護負担感との関連を検討した.重回帰分析により,被介護者の抑うつ度の高さ,排便管理の自立度の低さが介護負担感の重要な因子として抽出され,介護負担感軽減のための介入には,被介護者の抑うつ状態を考慮する重要性が示唆された.
著者
田中 創 吉原 理美 伊藤 恵美
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.655-662, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
15

【目的】ドライブレコーダーを用いて包括的に運転行動を評価し,対象者の運転再開を支援することを目的とした.【方法】脳損傷者1名を対象に実車運転評価を実施した.作業療法士は評価結果を書面にまとめて対象者へ郵送し,その内容について感想の返送を求めた.【結果】実車運転評価実施後のアンケートでは,自身の運転行動を客観的に振り返る機会を得たことに対する肯定的な感想が記載されていた.【結論】ドライブレコーダーを併用した運転評価を行い,その評価結果を書面にて呈示したことは,対象者本人が運転行動を振り返る機会となり,かつ,家族が対象者本人の運転能力を理解してもらう際に役立つ情報提供となった可能性が考えられた.
著者
南 庄一郎 中澤 紀子 永吉 美香
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.221-227, 2023-04-15 (Released:2023-04-15)

医療観察法病棟において,統合失調症の対象者に関わる機会を得た.本介入では対象者の「他者との会話がうまくなりたい」という希望に着目し,この実現に向けて作業療法介入プロセスモデルと社会交流評価を用いて関わった結果,対象者の対人交流技能が向上し,コミュニケーションの困難さが軽減した.危機介入モデルが先行する医療観察法医療において,作業療法介入プロセスモデルに基づいた司法精神科作業療法の実践は,対象者の保護要因を見出すことを可能にし,再犯の防止に間接的に作用すると考えられ,社会内再統合モデルに基づく医療観察法医療を推進する可能性があると考えられた.
著者
佐野 菜緒子 早川 貴行 吉岡 和哉
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.398-406, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
24

COVID-19感染により重度の呼吸不全に陥り,人工呼吸器離脱後に不安や抑うつ状態を認めたA氏を担当した.作業療法ではA氏にとって価値ある作業に焦点を当て,さらに作業参加に影響する要因をMOHOの視点を参考に分析し介入した.経過中,A氏は再び人工呼吸器管理となったが,床上でのメールや読書など,本人にとって価値ある作業を提供していく中で笑顔が見られ,不安や抑うつの軽減を認めた.重症COVID-19患者に対して,急性期から作業に焦点を当てた介入をすることは作業療法士の重要な役割として示唆された.
著者
本間 莉那 大瀧 亮二 笹原 寛 斎藤 佑規 竹村 直
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.683-690, 2021-10-15 (Released:2021-10-15)
参考文献数
17

Pusher現象を呈する脳卒中患者のうち約80%は,発症約3ヵ月でPusher現象が消失すると報告されている.Pusher現象が長引く場合,リハビリテーションの効果は低く,ADLの回復に影響を与え,結果入院期間が長期化するとされている.今回,脳卒中発症後3ヵ月以降もPusher現象が残存し,ADLに全介助を要した症例に対して,Pusher現象の発生機序とされている主観的身体垂直(SPV)の再学習を目的に長期的な作業療法を実施した.結果,Pusher現象が軽減し,ADLの自立度が向上した.Pusher現象の発生機序や病態を理解したうえでの,段階的で長期的な作業療法は有効である可能性が示唆された.
著者
鳥居 誠志 石岡 俊之 小池 祐士 濱口 豊太 中村 裕美
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.654-662, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
23

我々は,脳卒中患者の排泄動作のうち,ズボンを上げる工程の練習方法を考案したいと考えた.脳卒中片麻痺者を対象に,その工程の自立群15名と,監視群7名のズボンを上げる工程中の足圧中心動揺を測定した.足圧中心動揺の速度や範囲を,自立群と監視群で比較したところ,監視群の左右方向への動揺範囲が,自立群の動揺範囲より有意に大きかった.監視群では,左右方向に大きい動揺が生じる結果,転倒の可能性があると推測された.それにより,生活場面の排泄動作に監視を要していると考えられた.この結果をもとに,本研究が提案する練習方法には,左右方向への重心動揺を制御する支援があげられた.
著者
山口 卓巳 沖 侑大郎 沖 由香里 大平 峰子 石川 朗
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.160-167, 2023-04-15 (Released:2023-04-15)
参考文献数
30

本研究の目的は,AMPSを用い在宅COPD患者の動作特性を明らかにすることと,COPD特有の重要なアウトカムとの関連性を明らかにすることである.対象は,在宅酸素療法未導入かつ自宅でAMPSが測定できた13例とした.呼吸機能検査,mMRC息切れスケール,CAT,NRADL,PFSDQ-m,AMPSを測定し,AMPSと各項目測定値との相関を検討した.結果,AMPSの運動技能・プロセス技能ともにCAT,NRADL,PFSDQ-mと相関を認めた.またAMPS運動技能は呼吸機能,mMRC息切れスケールとも相関を認めた.AMPSは既存の疾患特異的ADL尺度と相関を認めたことから,COPD患者のADL能力を反映することが示唆された.
著者
塩津 裕康 奥津 光佳 倉澤 茂樹
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.72-78, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
16

要旨:新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の影響により,クライエントに対面で作業療法を提供することが難しい状況に陥った.そこで,我々はCognitive Orientation to daily Occupational Performance(CO-OP)を基盤とした遠隔作業療法を実施した.実践形態が遠隔であっても,読み書きが苦手な子どもたち,および保護者からポジティブな反応が確認できた.この実践を報告することによって,COVID-19の第二波やその他の理由で対面での作業療法が困難になった際の一助となることを期待している.
著者
野口 卓也 京極 真
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.592-601, 2022-10-15 (Released:2022-10-15)
参考文献数
15

本論の目的は,事例を通じてポジティブ作業評価(Assessment of Positive Occupation 15,以下APO-15)における関与度推定システム(以下,推定システム)を活用した作業療法実践を後方視的に報告し,その有用性を検討することであった.方法は,APO-15の推定システムでポジティブ作業への関与状態を評価し,評価結果と事例の強みを参考に支援した.その結果,事例のWell-Being(以下,幸福)や社会参加に寄与した.APO-15の推定システムは,クライエントの関与レベルに適したポジティブ作業への参加機会を促進できるため作業療法実践で幸福の促進に寄与できると考えられる.
著者
野口 佑太 伊藤 卓也 横田 美空
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.736-740, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
14

対象者の住環境把握に向けて,Virtual Reality(以下,VR)を活用した.その結果,病院スタッフが自宅へ訪問することなく,対象者の自宅の環境や設置された手すりなどを確認することができた.VR動画は従来の写真での確認とは違い,実際の場に行かなくても擬似体験が可能な点が利点である.また,VR動画の確認にタブレット端末を使用した場合,映像酔いも認められず,安全に映像を確認することが可能であった.しかし,VR動画のみでは映像内の段差や物品の高さなどが正確にはわからないことが,課題として挙げられた.VRは,自宅退院に限らず,施設へ入所する場合や外出先の状況の把握など,作業療法の展開に活用できる可能性が示された.
著者
東 登志夫
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.136-141, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
6

作業療法士を取り巻く情勢の変化に対応するため,作業療法のエビデンス構築に向けた研究活動の活性化が急務となっている.本稿では,それらの情勢に触れた上で,我が国の作業療法士による研究活動の現状と,日本作業療法士協会が発刊している学術誌に掲載された論文や,作業療法に関係した国際誌の分析結果等をもとに,いくつかの課題を列挙した.そして,それらを改善するための方策として,日本作業療法士協会員各位が現状の作業療法を取り巻く情勢に危機感を持ち,現在の自分の状況からワンステップ上の目標に向けて行動を起こすことを提言した.