著者
湯川 智行 塩谷 哲夫 石田 良作 渡辺 好昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.71-74, 1988

ライ麦の2品種を用い, 1985年10月1日から2日おきに11回播種し, 播種期と根雪前生育量及び雪害との関係を検討した。地上部乾物重は, 播種期が遅くなるにつれて急激に減少した。雪害は, 播種期が遅くなるにつれて急激に増加した。これは, 乾物重の急激な減少と乾物重の一定値以下への減少とがあいまっておこると考えられる。地上部乾物率は, 明瞭な品種間差が認められ, サムサシラズが春一番より全播種期を通して高かった。また, 雪害に関与する要因について重回帰分析を行ったところ, 品種間では乾物率が重要となり, 品種内では, 乾物率はほぼ固定的となるために, 生育の量である乾物重や茎数が重要な要因となることが示された。
著者
関根 平 春日 重光 上條 佳郎 鈴木 裕太 芹沢 麻衣子 中津川 実里 西岡 杏子 芳川 諒 岡部 繭子
出版者
日本作物学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
no.47, pp.97-99, 2012-03-31

育成した極早生ライムギ(SUR-1)と市販品種を供試し3ヵ年にわたり主要農業形質の生産力検定試験を行った.乾物収量については,「SUR-1」は3ヵ年とも市販の早生品種「春一番」や「キングライムギ」と有意差はなかった.出穂日については,「SUR-1」は2009, 2010年では市販の極早生品種「ライ太郎」と同程度だったが,両年に比べl〜3月の平均気温が低かった2011年では,「SUR-1」の出穂日は早生品種「春一番」や「キングライムギ」よりl〜2日遅かった.これらの結果から,「SUR-1」は準高冷地において冬期の気温が低い場合,市販の早生品種とほぼ同じ熟期で,乾物収量は「キングライムギ」と同程度だが「春一番」に比べやや劣る可能性がみられた.しかし,「SUR-1」の耐倒伏性は市販の早生品種に比べて優れていた.
著者
春日 重光 仲谷 侑子 船越 裕子 松本 理絵 野宮 桂
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.41, pp.117-118, 2006

ソルガムおよびスーダングラスの市販品種における再生性の品種・タイプ間差異をもとに再生性の評価法について検討した.その結果,1番草刈取り2週間後の草丈と茎数を指標とすることで,ソルガム類の再生性は,従来より,再生性に劣るといわれる子実型,兼用型,ソルゴー型(Sorghum bicolor Moench)と再生性に優れるスーダングラス(Sorghum sudanense (Piper) Stapf)および子実型ソルガムとスーダングラスのF_1であるスーダン型に区分された.
著者
村松 謙生
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.20, pp.13-14, 1985

昭和57年8月に台風10号の影響で発生したフェーン害の見廻りの際, 出穂期が同じと判断されたが白穂被害の発生量が大きく異なる, こがねもちと越路早生の隣接する水田があった。耕作者や水管理が同一であったことから品種による被害差を想定し, 種籾を譲り受け, 風洞で被害の発生条件を再現して葉身の気孔開度を測定した結果, こがねもちは気孔開度が大きかったのに対し, 越路早生や新潟早生の反応は小さかった。
著者
丸山 秀幸 村山 敏 中山 利明 矢ノ口 幸夫 松永 啓 岡本 潔
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.78-81, 2010

耐倒伏性に優れた秋ソバ品種「タチアカネ」を長野県内の在来種から選抜育成した.「タチアカネ」は「信濃1号」,「常陸秋そば」,「階上早生」といった本州の主要なソバ品種と比較し倒伏が少なく,折損抵抗や引き抜き抵抗が高い.草丈,節数,花房数は「信濃1号」と同等で,分枝数は0.3本少ない.子実重は「信濃1号」と同等で,容積重,千粒重はそれぞれ21g,1.3g重い.ゆで麺の食味は「信濃1号」と同等で,色の評価が優れる.花色は白,果皮色は乳熟期に赤色で成熟期には黒褐色となる.本品種は農林水産省そば育種指定試験事業により育成した.
著者
水野 寛 萩原 素之
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.64-68, 2003

普通ソバ品種信濃1号における開花期の水ストレスが受精から登熟の過程に及ぼす影響を調査・検討した.水ストレス強度の指標にはcrop water stress index (CWSI)を用いた.受精率(受精小花数/開花小花数)は水ストレスの影響を受けなかったが, 結実率(結実粒数/開花小花数)および登熟率(登熟粒数/開花小花数)は水ストレスで低下した.結実率, 登熟率とCWSIとの間に一定の傾向は認められなかった.対照区では結実粒数が一定数を越えると登熟粒数が減少し, 光合成産物量による登熟粒数の決定機構が示唆された.一方, 水ストレス下では結実数が制限されたため, 登熟粒数の頭打ちはみられなかった.
著者
金高 正典 高橋 敦子 東 聡志
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.11-14, 2005

水稲移植栽培における使用苗箱数を減らすことを目的として, コシヒカリの稚苗を密播で育苗し移植後は疎植栽培(播種量250g/箱-栽植密度11株/m^2)するもの(以下密播疎植)と, 慣行栽培(140g/箱-18株/m^2)の生育の違いについて検討した.密播疎植で必要な苗箱数は慣行の約3分の1であった.密播疎植は慣行に比べ株当り茎数では多いもののm^2当り茎数は少なく, 葉色は濃く推移し, 出穂期は2〜3日, 成熟期は1日程度遅れた.密播疎植は穂数が少なくなるため精玄米重は慣行栽培より10%程度減収したが, 玄米の外観品質は同程度であった.
著者
山田 里恵 春日 重光 丁沢 賢治 松本 理絵 宇南山 聡美 萩原 小百合
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.93-96, 2008

準高冷地で4月中の早刈りが可能で多収なライムギ品種の育成に関する基礎的な知見を得るため,ライムギ市販品種の「春香」(晩生),「春一番」(早生),「キングライ麦」(早生),「ライ太郎」(極早生)を育種素材に用いて育成・選抜した極早生ライムギ系統の特性評価を行った.供試材料には市販の4品種およびこれらを育種材料として早熟性と収量性で選抜・育成した4系統群10系統を用いた.その結果,全ての育成系統で育種材料とした市販品種より早生化か認められ,その平均出穂日は4月22〜28日であった.また,乾物収量についても大幅な減収は見られなかったことから,市販品種を育種素材とした極早生・多収ライムギの選抜・育成は十分可能であると考えられた.
著者
吉田 恭子 三輪 章志 黒田 晃 梅田 清彰
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.51-54, 2007

著者らは,有色素米玄米を加熱するとポップコーン状に爆裂することを見い出した.そこで,有色素米が爆裂を起こす加熱温度,玄米水分,品種,年次間差について検討した.その結果,爆裂に最適な加熱温度は190℃で,玄米水分による爆裂への影響は認められないことがわかった.品種間差では,糯品種の爆裂が大きい傾向にあり,中でも有色素米の爆裂率が高いことが明らかになった.また,玄米の断面を観察したところ,爆裂し易い品種の断面は,胚乳の中心部と周辺部で明暗差が認められ,周辺部の組織が密なことが爆裂の条件となっていることが示唆された.
著者
吉澤 遥平 春日 重光 今井 康平 大谷津 明子 樋口 奈保子 岡部 繭子
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.75-77, 2010

2005年より極早生・多収を目標に選抜を行ってきたライムギ4系統(A,B,C,F)の生産力検定を行った.育成系統はいずれも標準品種「春一番」に比べ草丈は短く,倒伏の発生も少なかった.また,育成系統はいずれも標準品種「春一番」より早生であり,乾物収量においては同熟期の「ライ太郎」に比べ同等〜高い収量を示した.これらの結果から,育成した極早生系統は準高冷地において十分利用可能であると考えられた.
著者
村井 耕二
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.40, 2005

2004年7月12日から13日にかけての新潟豪雨, 7月18日から19日にかけての福井豪雨では, 道路, 河川, 家屋の損壊ばかりではなく, 農地にも多大な被害が生じた.両県がまとめた統計によると, 農作物被害は新潟県で13,662ha, 福井県で2,660haに上る.私たち北陸支部では, 豪雨災害後直ちに, 新潟・福井両農業試験場を中心とし, 数名の大学関係者有志が協力して, 水稲とダイズにおける豪雨被害の実態調査と被害発生要因に関する作物学的研究に着手した.ここでは, これらの研究の概要について紹介する.個々の研究の詳細については, 後ほど提出されるであろうそれぞれの原著論文あるいは報告書を参照していただきたい.
著者
荒川 浩二郎 田中 雅透 中村 浩蔵 南 峰夫 石田 了 六角 啓一 松島 憲一 根本 和洋
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.120-124, 2007
被引用文献数
2

レタスに含まれるSesquiterpene Lactones含量を測定するためのHPLC分析用試料の調製時間の短縮を目的として,Priceらの方法を改変した分析用試料調製方法の有効性を検討した.改変した方法と従来のPriceらの方法による定量値の間に,高い有意な相関関係が認められた.このため改変した試料調製法は有効であると結論し,Priceらの方法で13時間以上かかっていた試料調製時間を改変した方法で約1/7の2時間程度に短縮することができた.
著者
清水 恒 小林 明晴
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.20-22, 2002

「コシヒカリ」, 「アキヒカリ」, 「夢十色」の精米を冷凍し, 解凍後その品質を分析した.その結果, 米粒硬度や米飯物性に関して, 冷凍しない精米と比較して, 有意な差が認められなかった.官能試験においては, 精米を冷凍することにより, その米飯が若干硬くなる傾向が示された.
著者
佐藤 菊雄
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-18, 1984

1982年8月2日未明から早朝にかけて富山湾から能登半島を通過した台風10号は, 新潟県北蒲原郡の南西部に大きな被害をもたらした。最寄りの水原消防署等の観測によれば, 8月1日17時〜8月2日11時の平均風速は7.26m, 最大瞬間風速34m, 夜間気温29℃, 同湿度40%, 降水量1mmで, 長時間吹き荒れた熱乾風によって, 出穂期前後の早生種を中心に多くの白穂が発生した。その被害は古老も体験がないほどであったので, 白穂の程度が収量と米質に及ぼす影響を調査した。また現在被害推定のめやすとして用いられている「夏作減収推定尺度」が作成された時点と現今では, 稲作様式や収量構成型を異にしているので, 収量面で比較検討したので報告する。
著者
石崎 和彦
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.26-28, 1994
被引用文献数
7

円筒型の型に水で練った糯粉を充填したのち茹でてもち生地を調製し, テンシプレッサーで堅さを測定することにより, 硬化性を少量の試料で簡易に測定する方法について検討した.直径25mm高さ10mmのアルミ製リングを型に用いることで約3.3gの糯粉から1個のもち生地が調製できた.糯粉への加水量は団子生地の水分が52%となる条件, 冷蔵条件は5℃で24時間が適当であった.テンシプレッサーの測定条件は50kgロードセル, 10φアルミ製プランジャーを用いたときクリアランス6.5mmが適当であった.なお, 平均値を95%の確率で±5%の範囲内で推定するときに必要な標本数は4個で十分であった.
著者
石田 良作 青田 精一 田村 良文 渡辺 好昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.20, pp.9-10, 1985

新潟県下約20ケ所について, 59年豪雪による大小麦の被害を調査した。本年は10月播種時の天候不良, 早い根雪, 遅い融雪が重なって雪害が助長され, とくに播き遅れ圃場, 排水不良圃場で被害が著しかった。しかし, 適期播種, 排水対策を行なった圃場では130日を越える根雪でも, 300kg以上の収量が見込まれた(ミノリムギ)など, 改めて基本技術の重要性を再認識する結果となった。
著者
石田 良作 青田 精一 渡辺 好昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.29-31, 1986

1) 積雪地帯に適すると考えられる小麦13品種・系統を用いて, 耐雪性, 収量性, 早晩性等の諸特性を比較した。2) 供試した小麦品種・系統は, いずれも適期播種を行った場合, 80日の根雪では雪害も小さく, 枯死株を生じなかった。しかし, 根雪が100日を越えると, 東山系統は若干の枯死株を生じ, 132日では13〜45%の株が枯死した。しかし, 現在奨励品種に採用されているものや東北系統は132日の根雪でも5〜10%の枯死株率にとどまった。3) 供試系統小麦の成熟期は6月14日〜7月6日で, 積雪及び消雪日により著しく変動した。この中でナンブコムギと東山系統との熟期の差は, 成熟期が早い場合は2日程度あったが, 遅い場合は0〜1日の差となった。4) 子実収量は根雪が80日の場合, 東山13, 16, 17, 18号が最も高かった。しかし, 根雪が100日を越えると収量低下が目立ち, 132日では80日の46〜60%の収量となった。これに対して, ナンブコムギやユキチャボは132日でも80日の81〜90%の収量水準を維持した。5) 上麦千粒重は, ナンブコムギ, ユキチャボや東北系統のものは比較的高かったが, 東山系統は10号を除いてはやや小さかった。6) 昭和59年収穫小麦のうち1品種4系統について, 製粉研究所に小麦粉の品質, 麺の評価の分析を依頼した。比較対照品種としたナンブコムギと供試4系統はよく似た粉の性質であったが, 東山16号のアミロ値が低かった。麺の評点はいずれの系統もナンブコムギよりやや劣った。7) これらの結果, 少雪地では東山17号, 多雪地ではナンブコムギ, ユキチャボ, 東北167号が適するものと考えられた。
著者
吉田 健 橋本 勉 佃 和民
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.9, pp.26-28, 1975

品種, 播種期, 窒素施用量, 秋刈等の条件を組合わせて播種量と雪害の関係について3ケ年検討した。その結果果, これらの条件には右左されず, 播種量が多くなると徒長気味の生育をする場合でも雪害の少なくなる傾向が認められ, 収量も高くなった。
著者
渡辺 好昭 湯川 智行 塩谷 哲夫
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.67-69, 1988
被引用文献数
1

オオムギの播種期を変えて根雪前の生育と雪害の関係を検討した。10月15日以前に播種した場合, 根雪前地上部乾物重は0.5g以上となり, 越冬茎数は90%以上であった。10月30日以降に播種した場合, 根雪前地上部乾物重は0.1g以下となって越冬茎数は0%となった。そして, 10月15日から30日までに播種した場合, 播種日が遅くなる程雪害は増大して, 地上部乾物重が0.08gから0.57gまでの間では地上部乾物重と越冬茎率との間に高い相関関係が見られた。このことから, 根雪前地上部乾物重が耐雪性を規定する1つの要因と考えられた。秋季の施肥窒素量を増加すると, 乾物率が減少して, 播種期が早かった区でも耐雪性が減少した。したがって, 乾物率もまた耐雪性を規定する1つの要因と考えられた。
著者
内山田 博士 藤田 米一 木村 健治 山田 利昭
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報
巻号頁・発行日
vol.11, pp.22-24, 1977

暖地の早期栽培水稲では, 梅雨が長びくと低温が強くなくても品種によって障害不稔が発生し品種間差があることが知られている。日照制限による障害不稔の発生と耐冷性との関係を明らかにし, 品種の簡易検定法を確立するため検討したものである。