著者
瀬木 俊輔 小林 潔司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_353-I_371, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
39

本研究は,マクロな社会資本投資政策の便益の世代別帰着分布を評価可能な動学的応用一般均衡(DCGE)モデルを構築した.その上で,構築したモデルを我が国に適用し,社会資本投資政策と長寿命化政策について分析を行い以下のような知見を得た.社会資本投資には,その水準を増やすと将来世代の厚生が増加する一方で現在世代の厚生が減少するという世代間厚生のトレードオフの問題が生じる.起債による世代間所得移転はこの問題を効率的に緩和できるが,これは公債残高を一時的に増加させる.長寿命化政策は,現在世代を含む幅広い世代に対して便益をもたらし,損失を受ける世代への補償は現在世代の中だけで行うことが可能である.
著者
加藤 裕人 宮城 俊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_121-I_130, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
22

本研究では,過去に実施された累次の財政政策の効果を検証し,いかなる条件の下に公共投資の効果が有効に発現するのかを分析する.具体的には,経済政策の分析ツールとして発展している動学的確率的一般均衡(DSGE)モデルに民間資本,社会資本の二つの資本を導入し,時系列データを取り込んでモデルのパラメータ推定を行う.モデルには,Time-to-buildラグを伴う公共投資や,毎期の可処分所得を全て消費に回す非リカード的家計を導入する.インパルス応答分析の結果,推定期間であるバブル崩壊以降において,公共投資は一定の景気刺激効果を有していたことがわかった.また,粒子フィルタを用いてパラメータを時変推定し,社会資本の生産弾力性の低下や,近視眼的な家計行動の傾向を観察した.
著者
相知 敏行 山中 英生 北澗 弘康 神田 佑亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_909-I_916, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
11
被引用文献数
5

自転車通行環境整備モデル地区等の整備が進む中で,自転車サインには多様な試みが見られるが,走行する自転車からの視認性への配慮が十分とは言えない状況にある.本研究では,走行中に計測が可能なアイマークレコーダーを用いて自転車運転中の多様なサインに対する注視特性を分析し,効果的な自転車通行空間でのサインの使い方を検討した.この結果,サイン種別毎の注視分析から,架空看板は注視している距離が長く,遠方からのみ注視されるため,交差点部での設置に適しており,看板柱は遠方で気づき,近くで内容を把握していることから文節部の設置に,路面表示は注視距離が近づくにつれて注視される割合が高くなり,視認性が比較的良好であり,路線内の連続設置が効果的であることが分かった.
著者
依藤 光代 松村 暢彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_363-I_372, 2013

大都市近郊に位置する都市の中心市街地に立地する商店街である生駒駅前商店街において,継続的な活性化の運営の変遷および継承の要因を,担い手個人レベルに着目しながら明らかにすることを目的として,文献およびヒアリング調査を実施した.その結果,特徴的な4つの運営の時代に分けられ,ハード整備事業が中心の行政主導の運営から,ソフト事業に比重が移され,その運営の担い手が,商工会議所主導,商店街役員主導,商店街役員及び多くの個店主導と変遷してきたことが分かった.<br>ハード整備実施後に活性化活動が途切れることなく,ソフト的な活性化活動にスムーズに結びついていくためには,商店主らが共同で定例的に行う取組によるつながり,及び活性化活動の実践の中で商店街役員らの間に形成されるつながりが重要であると考えられる.
著者
河尻 陽子 金森 亮 山本 俊行 森川 高行
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_487-I_500, 2014
被引用文献数
2

各都市でカーシェアリングサービスの拡充が進んでいるなか,本研究では名古屋市を中心に事業展開されているカーシェアリングの利用実態の把握を目的に,運営管理データを分析する.用いた運営管理データは数カ月間の車両GPSデータや予約データであり,利用車両軌跡の追跡による利用目的の把握,クラスター分析による利用パターンの把握,地域特性を考慮した利用目的判別モデル(決定木)を構築する.分析結果から名古屋のカーシェアリングは男女で利用パターンが異なること,利用直前の予約が多いこと,私事目的での利用が最も多いこと,を明らかにした.
著者
鈴木 温 鈴木 和佳奈 栗田 歩
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_375-I_385, 2015
被引用文献数
2

近年,我が国では大都市を中心に保育所待機児童の発生が問題視され,施設の拡充等による子育て支援体制の強化が求められている.保育所の需給ギャップと空間的ミスマッチを解決するため,保育所アクセシビリティに関する研究が行われてきた.しかし,いくつかの課題も残されていた.そこで,本研究では,それらの課題を解決するため,マッチング理論を応用した新たな保育所アクセシビリティ指標を提案し,名古屋市緑区を対象として,新たな保育所アクセシビリティを用いた分析を行った.その結果,より現実に近い入所選考プロセスを表現可能となり,保育所アクセシビリティの空間分布だけでなく,待機児童の発生を分析可能であることが確認できた.
著者
依藤 光代 松村 暢彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_363-I_372, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
8

大都市近郊に位置する都市の中心市街地に立地する商店街である生駒駅前商店街において,継続的な活性化の運営の変遷および継承の要因を,担い手個人レベルに着目しながら明らかにすることを目的として,文献およびヒアリング調査を実施した.その結果,特徴的な4つの運営の時代に分けられ,ハード整備事業が中心の行政主導の運営から,ソフト事業に比重が移され,その運営の担い手が,商工会議所主導,商店街役員主導,商店街役員及び多くの個店主導と変遷してきたことが分かった.ハード整備実施後に活性化活動が途切れることなく,ソフト的な活性化活動にスムーズに結びついていくためには,商店主らが共同で定例的に行う取組によるつながり,及び活性化活動の実践の中で商店街役員らの間に形成されるつながりが重要であると考えられる.
著者
三浦 久 洪 性俊 田中 伸治 桑原 雅夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_1143-I_1148, 2012
被引用文献数
1

本稿では首都高速道路3号上り線の六本木付近を対象に追突事故直前における交通流特性について分析した結果を報告する.大橋JCT供用前後の日交通量の変化に比べて事故発生率が大きく変化したことは,追突事故が発生しやすい特定の交通流状態が存在し,その状態が減少したことが要因と考えられる.パルスデータを利用して個別車両の速度等を分析した結果,研究対象区間の下流側から上流側への減速波の伝播の有無が大きく影響することが確認され,追突事故リスクの高い交通流状態となる条件を抽出した.また,判別分析を行い,ある交通状況において減速波が上流側に伝播するかを精度高く予測することができた.
著者
松永 千晶 塚本 恭子 大枝 良直 外井 哲志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_699-I_709, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
21

本研究は,防犯環境設計に基づいた安全・安心な通学路設計を考察するため,登下校時の中学生対象の犯罪および不審行為とその影響要因の関係を表現する数学モデルを作成する.モデルは,これらの犯罪や不審行為の多くが,ターゲットに適した人や物,犯行に適した環境要因が時間的・空間的に揃った場合に遂行されやすい機会犯罪と呼ばれるものであり,現場周辺でのターゲットとの遭遇機会と環境要因が犯行企図者に影響を与えるという仮説に基づくものである.モデルを実際の中学校区での事例に適用したところ,モデルは学校からの距離に応じたエリアごとの犯罪・不審者の発生しやすさの分布を再現できた.また,ターゲットとの遭遇頻度と,沿道からの監視性に関する物理的環境要因が犯罪・不審者発生に与える影響を定量化できた.
著者
長曽我部 まどか 武吉 弘樹 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_69-I_80, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
50

市民や地域住民自らがコミュニティに存在する問題を解決するためには,コミュニティの問題認識を明確化する必要がある.本研究では,コミュニティの中で市民や住民自らが主体的に問題解決を図る仕組みをコミュニティ・ガバナンス,コミュニティ全体の認識を「社会的文脈」と呼ぶ.社会的文脈は,時系列的に遷移するものと考えられる.そこで,近年の自転車交通問題を例として,コミュニティ・ガバナンスにおける社会的文脈の遷移過程を明らかにした.新聞記事テキストの内容分析を行い,ある特定の語と共起する語群より社会的文脈を特定した.さらに共起語の時系列的な変化より,社会的文脈の遷移過程を明らかにした.近年の自転車交通問題では,自転車の放置問題から,道路空間上での自転車走行のあり方へと社会的文脈が遷移したことを示した.
著者
羽鳥 剛史 小林 潔司 鄭 蝦榮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.101-120, 2013 (Released:2013-05-20)
参考文献数
92
被引用文献数
4 3

社会基盤整備事業に関わる合意形成を行う上で,パブリック・インボルブメントをはじめとする公的討論が重要な役割を担っている.本研究では,社会基盤整備における公的討議の意義と課題について整理し,社会的意思決定における正統性を様々な討論過程を通じて担保するための理論的枠組みについて考察する.その際,討論システムの概念を導入し,公的討論が特定の公的討論を対象としたミクロ討論,討論システム全体を対象としたマクロ討論で構成されており,パブリック・インボルブメント等が,ミクロ討論とマクロ討論を接合させる役割を果たすことを指摘する.その上で,討論システムを構成する公的討論の基本原理や望ましい討論を実現するための課題や問題点,討論の望ましさを評価するための基本的な考え方について考察する.
著者
田中 皓介 中野 剛志 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_353-I_361, 2013
被引用文献数
4 4

人文社会科学において,"物語"は,人間,あるいは人間の織り成す社会の動態を理解するにあたって重要な役割を役割を担うものと見なされてきている.それ故,人間や社会を対象として,公共的な観点からより望ましい方向に向けた影響を及ぼさんと志す"公共政策"においても,物語は重大な役割を担い得る.また公共政策の方針や実施においては,マスメディアが少なからぬ影響を及ぼしていることが十二分に考えられる.ついては本研究では,現在の日本において,政策が決定,採用されてきた背景を把握するにあたり,新聞の社説を対象とし,新聞各社に共有されている物語を定量的に分析することとする.
著者
松永 千晶 田嶋 龍 吾郷 太寿 角 知憲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_659-I_666, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
4

本研究は,防犯環境設計に基づいた通学路設計を考察するための基礎段階として,登下校時の児童対象犯罪および不審行為とその影響要因の関係を表現する数学モデルを作成する.モデルは,これらの犯罪や不審行為の多くが,ターゲットに適した人や物,犯行に適した環境要因が時間的・空間的に揃った場合に遂行されやすい機会犯罪と呼ばれるものであり,現場周辺でのターゲットとの遭遇機会と環境要因が犯行企図者に影響を与えるという仮説に基づくものである.モデルを実際の小学校区での事例に適用したところ,モデルは学校からの距離に応じたエリアごとの犯罪・不審者の発生しやすさの分布を再現できた.また,ターゲットとの遭遇頻度と,沿道からの監視性に関する物理的環境要因が犯罪・不審者発生に与える影響を定量化できた.
著者
佐藤 啓輔 吉野 大介 小池 淳司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_229-I_240, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
16

アジアの"Land-locked" countriesと呼ばれている内陸国は,貿易にかかる輸送コストの比重が大きく,これが貿易の発展を阻害する大きな要因となっている.このボトルネックを解消すべくADB等の援助機関が各国政府とともに国境をまたぐ幹線道路の整備を行っているが,これらの幹線道路の整備を各国の経済活動の活性化に繋げるには道路整備が地域経済活動へ及ぼす影響を定量的に把握することが重要である.本研究では,"Land-locked" countriesの一部の国々を対象に,現地の交通・物流状況を整理するとともに既存の統計調査結果を用いた産業・物流の実態を分析する.分析にあたっては,現状把握に加えて応用一般均衡(SCGE)モデルを適用し幹線道路整備による空間的な経済効果の波及状況を算出する.
著者
王 茹剛 山中 英生 三谷 哲雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_951-I_959, 2014
被引用文献数
1

自転車関連の交通事故の割合は増加しており,自転車と自動車の出合い頭事故は自転車関連事故の5割を占めている.特に,幹線道路小交差点における出会い頭事故では,自歩道で車道の車両とは逆方向に走行している自転車の危険性が指摘されている.本研究では,ドライビングシミュレータを用いた仮想実験を用いて,見通しが異なる幹線道路小交差点を対象に,細街路から幹線道路に合流する自動車と幹線道路を通行する自転車の出会い頭状況を再現し,自転車の走行方向・草稿位置が異なる場合のドライバー挙動を計測した.ドライバーの注視挙動,及びTTC等の安全性指標を分析した結果,自動車は左側見通しが悪くなると注視しなくなり,歩道寄りを走行する自転車,逆走する自転車は,他の位置・方向の自転車よりも危険性が高くなることが明らかになった.
著者
王 茹剛 山中 英生 三谷 哲雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_951-I_959, 2014
被引用文献数
1

自転車関連の交通事故の割合は増加しており,自転車と自動車の出合い頭事故は自転車関連事故の5割を占めている.特に,幹線道路小交差点における出会い頭事故では,自歩道で車道の車両とは逆方向に走行している自転車の危険性が指摘されている.本研究では,ドライビングシミュレータを用いた仮想実験を用いて,見通しが異なる幹線道路小交差点を対象に,細街路から幹線道路に合流する自動車と幹線道路を通行する自転車の出会い頭状況を再現し,自転車の走行方向・草稿位置が異なる場合のドライバー挙動を計測した.ドライバーの注視挙動,及びTTC等の安全性指標を分析した結果,自動車は左側見通しが悪くなると注視しなくなり,歩道寄りを走行する自転車,逆走する自転車は,他の位置・方向の自転車よりも危険性が高くなることが明らかになった.
著者
谷口 綾子 川村 竜之介 赤澤 邦夫 岡本 ゆきえ 桐山 弘有助 佐藤 桃
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_309-I_316, 2013

本研究では,運動着(ジャージ・スウェット)の日常的な着用が大学内の景観と授業態度に与える影響を定量的に明らかにするため,運動着での登校が学内の景観イメージにネガティブな影響を及ぼす,運動着での登校と授業態度との間にネガティブな関係が存在する,との二つの仮説を措定し,筑波大学の学生を対象としたアンケート調査により検証した.その結果,運動着での登校は大学内の景観イメージに「似合わない」とネガティブな影響を及ぼすこと,運動着で登校している学生は遅刻や居眠りをする度合いが高いなど授業態度との間にネガティブな関係が存在することが明らかとなった.また,公共交通で通学する学生の方が,そうで無い人と比べ運動着登校経験が少ないこと,運動着登校経験がある人の方が運動着登校にポジティブな意見を持つことが示された.
著者
金 度源 大窪 健之 荒川 昭治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_115-I_123, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
23

日本の近代化を支えた伝統的な利水技術として代表される用水,疏水,水道といった水利環境は,国の重要な近代化遺産として保全される一方,その機能が失われることも少なくない.本研究では,既存の歴史的な水利環境を再生することで,歴史の保全と防災水利の確保を目指す.ケーススタディとして,明治期に造られ現在は老朽化や漏水などが原因となり配水が止められている「本願寺水道」を対象とした.本願寺水道の再生に向けた技術的な検討を基に,各対象地区の消防システムの運用に必要とされる水量と比較することにより,消防水利としての活用可能性を明らかとした.このケーススタディの結果をもとに,歴史的な水利環境の再生と活用を検討するためのプロセスについて整理を行った.
著者
山本 俊行 木方 千春 鈴木 美緒
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_815-I_822, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1

自転車対歩行者の事故は近年増加傾向であり,自転車運転者に高額な損害賠償が発生するケースも増えているため,より一層の安全対策が求められている.本研究では,自転車利用実態及び自転車の安全制度の現状を把握し,これからの保険・保障制度のあり方を検討するために,自転車に関連する交通事故の補償,すなわち,損害賠償保険制度の現状調査を実施した.さらに,損害賠償保険に対する自転車利用者の意識調査を実施した.調査結果より,自転車利用者の損害賠償保険加入率は低く,損害保険会社も自転車の損害賠償保険から撤退する傾向にあることが明らかとなった.また,加入率の低さは自転車利用者の損害賠償保険に対する知識不足や自転車事故に対するリスク認知バイアスが原因である可能性が示された.
著者
大石 希 浅岡 朝泰 高木 朗義 北浦 康嗣
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_197-67_I_208, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
12

プロサッカーチームはJリーグが掲げる百年構想に従い,サッカー以外の活動を行うことで,地域の魅力向上など地域活性化に貢献している.その一方,チーム運営には厳しい現状があり,プロサッカーチームの存在意義が問われている.本研究ではプロサッカーチームがもたらす市場価値のみならず,非市場価値を評価し,プロサッカーチームが地域活性化に貢献していることを明らかにする.具体的には,FC岐阜に対するアンケート調査を実施し,大分トリニータのデータも用いて,CVMや機会費用,消費者余剰法によりプロサッカーチームによる地域活性化の便益を評価する.その結果,試合開催時における便益以外にも,生涯体育や社会貢献などの地域貢献活動に対する便益が小さくないことを示す.