著者
塚本 満朗 高木 朗義
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.I_181-I_191, 2022 (Released:2022-05-18)
参考文献数
21

近年頻発する豪雨災害では様々な要因により人的被害が発生しており,住民避難の促進に関する課題に対して依然として取り組む必要がある.本研究では,機械学習モデルを用いて住民避難選択行動モデルを構築し,eXplainable AI (XAI)という技術を用いて住民避難選択行動の要因を分析した.具体的には,平成30年7月豪雨時の岐阜県と西日本の調査データ,令和元年台風 19 号の東日本の調査データに対して XAI の PI 分析および PD 分析により,避難/非避難および避難場所選択に影響をもたらす要因を明らかにした.
著者
菅野 健 大森 宣暁 長田 哲平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_809-I_816, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
27

少子高齢社会に直面する我が国において,近年,大学生の東京一極集中の進行など,地方都市における若年人口の減少が問題となっている.今後の大学キャンパスおよび周辺の施設立地を検討する上でも,大都市と地方都市の学生生活の実態と生活の質との関係を探ることが有効であると考えられる.本研究は,首都圏および地方都市の大学生を対象に,学生生活の実態と意識,特に余暇活動と主観的幸福感との関係を明らかにすることを目的とする.分析の結果,大学所在地が東京都心寄りであるほど余暇活動施設数や余暇活動に対する満足度および主観的幸福感が高く,学年,交際相手の有無,サークルや部活動への所属,アルバイトに対する意識,自宅内外の嗜好,余暇活動の頻度,余暇活動の満足度が,主観的幸福感に影響を与えることが明らかとなった.
著者
鈴木 弘司 志村 連
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_971-I_980, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

本研究では,複数の大規模交差点で観測調査を行い,挙動データに基づき自転車と右左折車の交錯危険性を分析した.まず,交差点構造と自転車の危険行為の関係について相関分析した結果,左折角が大きく,横断歩道設置角が小さい場合に自転車は横断歩道外側の車道を通行する傾向があることを示した.次に,PET指標に基づく分析より,左折車と自転車の交錯頻度は横断歩道,エリアによって異なり,右折車との交錯ではエリアによる差異がないことを示した.また,判別分析の結果より,危険な交錯事象の発生要因として,横断歩道のセットバック長が長いこと,青開始後の経過時間が長い自転車の交差点進入が影響を与えていること等がわかった.また構築したモデルの感度分析より,セットバック長の縮小に伴う危険事象発生予測率の減少傾向を確認した.
著者
大野 沙知子 中村 俊之 薄井 智貴 手嶋 茂晴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_799-I_807, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
14

Wi-Fi対応のスマートフォンなどの機器が発信しているProbe Requestを受信するWi-Fiパケットセンサーにより収集されるデータは,設置の高さや屋内外の設置位置,設置周辺の建物の密集度合,人や自動車の密度などにより影響を受けることが既往研究で報告されている.本研究は,Wi-Fiパケットセンサーにより収集されるデータの特徴をスマートフォンより収集されるGPS位置情報との同期により求めること目的としている.本稿では,街中に設置した13基のセンサーからデータを収集する実験を試みた.そして,設置条件を考慮し,捕捉率,カーネル密度推定ならびに受信距離について分析した.その結果,高い設置,屋外設置,道路幅員により広く受信すること,市町村道や生活道路におけるデータ収集には設置の工夫が必要であることを示した.
著者
小林 渉 渡部 翔平 岩倉 成志 山下 良久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_693-I_700, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
16

わが国の都市鉄道需要予測モデルの変数には乗車待ち時間が含まれているが,現行の方法では乗車待ち時間を運転間隔の半分と設定している.これは,運転間隔の長い駅の待ち時間を過大に与えている可能性がある.本研究では,大都市圏の駅における待ち時間の設定方法の提案を目的として,運転間隔が 2.5 分から 30 分の間で列車が等間隔に運転している 26 駅で実測調査を実施した.調査の結果,運転間隔が 7.5 分以上の路線では利用者の平均乗車待ち時間が運転間隔の半分より小さくなり,運転間隔が長くなると,かい離が大きくなった.この結果は,海外の既存研究の成果とも整合する.また,乗車待ち時間を改良した鉄道経路選択モデルのパラメータ推定の結果,乗車時間と乗車待ち時間のパラメータ比が増加することを確認した.
著者
中西 航
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.24-33, 2022 (Released:2022-03-20)
参考文献数
19

道路ネットワークの性能評価においてFundamental Diagram (FD)は重要な役割を果たす.FDは原理的に場所ごとに異なるため,実データに基づいた任意地点でのFD推定が望まれる.そこで本研究では,全車両軌跡データを前提として,相互に異なるFDに従う区間を特定したうえで,各区間のFDを推定する.具体的には,軌跡データが与えられた連続空間に対して,スパースモデリングを用いることで区間分割とFD推定とを同時に実行できるモデルを定式化した.これにより,分析者の先験的な知識を必要とせず,統計的もしくは実用的に適した区間数を設定可能とした.提案手法を阪神高速道路における実データに適用し,推定結果の妥当性を示した.
著者
吉城 秀治 辰巳 浩 堤 香代子 奥村 友利愛 長友 陸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.I_721-I_733, 2022 (Released:2022-05-18)
参考文献数
27

人々にとって身近な移動手段である路線バスは誰にでも使いやすいものであることが望まれる.しかし多くの場合,基本的な情報が利用者にわかりやすい形で提供されておらず,そのため乗る際の心理的抵抗が大きいと指摘されるような状況にある.そこで本研究では,バス利用に関わる案内の中でも路線図に着目し,特にバス路線図の変形(デフォルメ)の実態と,デフォルメが人々の「わかりやすさ」に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,評価実験を行った.そのために,まず全国の 202 件の路線図に対してクラスター分析による類型化を行い 6 パターンに分類した.そして,各パターンの路線図に対して経路探索による評価実験を行い,路線図を見る際の人の挙動と意識の面からわかりやすさに関する要因について明らかにした.
著者
甲斐 慎一朗 和田 健太郎 堀口 良太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.I_963-I_971, 2023 (Released:2023-05-12)
参考文献数
21

本研究は,高速道路サグ部における Capacity Drop (CD)現象を内生的に表現可能かつ操作性が高いミクロシミュレーションの開発を目的として,IDM+ (Intelligent Driver Model+)をベースとした 2 つの追従モデルを分析する.1 つは,近年の CD の理論に基づく安全車間時間を地点によって変化させるモデルであり,もう 1 つは,勾配項を追加する従来型のモデルである.具体的には,これらのモデルについて,CD 現象が発生するか否かを,モデルパラメータを網羅的に変化させたシミュレーション実験により検証する.そして,適切にパラメータを選べば,どちらのモデルにおいても CD 現象が再現できることを示す.
著者
金崎 圭吾 和田 健太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.I_911-I_918, 2023 (Released:2023-05-12)
参考文献数
20

本研究は,高速道路サグ・トンネル部における Capacity Drop (CD) 現象を内生的に記述する連続体交通流モデルに基づく待ち行列モデルを構築し,渋滞発生確率の特性を解析する.構築するモデルは,CD 現象の考慮に加え,到着需要のゆらぎと交通容量のゆらぎを区別して 2 段階で渋滞発生確率を記述するものである.それぞれの段階についてモンテカルロ・シミュレーションを行い,(i) CD 現象は渋滞発生確率の分布をより需要が低い範囲にシフトさせること,(ii) 渋滞発生確率の分布形状を主に決めるのは交通容量のゆらぎであること,を示す.
著者
和田 健太郎 岩見 悠太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.I_899-I_909, 2023 (Released:2023-05-12)
参考文献数
26

本稿は,都市における通勤ラッシュに関わる時間集積の経済・不経済にテレワークが与える影響を分析する.具体的には,時間集積の経済・不経済を扱う Takayama1) の通勤均衡モデルをテレワーク(特に在宅勤務)を含むモデルへと拡張し,その均衡状態と社会的最適状態を理論的・数値的に分析する.そして,(i) テレワークの普及は始業時刻の集積を引き起こす(時差出勤と整合しない)こと,(ii) テレワーク導入により各企業・個人の生産性が向上する状況では社会全体の厚生が導入前より低下しうること,を明らかにする.
著者
長崎 滉大 中西 航 朝倉 康夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.I_825-I_831, 2023 (Released:2023-05-12)
参考文献数
10

道路の一地点を通過する交通量は一日の間で時間によって変動する.地点交通量の確率分布を推定することにより,路側での観測が容易な交通量データからドライバーの行動の時間変動を知ることができる可能性がある.また,交通量の時間変動のように24時間単位で繰り返されている現象に対しては,角度を扱う方向統計学を適用し,0時と24時を同一と見なして分析することが適切である.本研究では,方向統計学における確率分布である円周分布を混合した分布を用いて,高速道路の複数地点で観測された地点交通量の分布のパラメータ推定を行った.分布の推定により,交通量の時間変動を朝の出勤と夕方の帰宅の分布に分離することができた.また,朝の分布は左に歪んだ立ち上がりの速い分布であり,後者の分布は緩やかな分布であることがわかった.
著者
日下部 貴彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_21-I_31, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
73

目覚ましい情報通信技術の発展によって交通分野におけるデータに対する関わり方が変りつつある.近年では,継続的・長期的に収集された大量の交通に関わるデータの蓄積が実際にみられるようになってきている.一方,これまでの交通分野では,空間的に広い範囲のデータを時間的に高密度でかつ長期的に収集することは困難であったことから,変動に対する理論的なフレームは必ずしも十分でなかったと推察される.本稿は,これまでの交通分野での研究について,データ取得と蓄積という視点から整理し,新たな枠組みであるデータオリエンテッドな交通研究に焦点をあて,蓄積データを背景とした交通変動の分析に関する展望についてまとめるものである.
著者
植村 洋史 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_1127-I_1135, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
24

本研究では,1981年から1990年に廃止された地方鉄道の駅と存続している地方鉄道の駅を対象に,30年4時点分の駅勢圏人口パネルデータや廃止前の鉄道に関する様々なデータを構築したうえで,地方鉄道の廃止が駅勢圏人口に及ぼす因果効果を,差分の差分法によって推計した.まず,欠損しているデータを多重代入法で補完したうえで傾向スコアを推定し,層別化を行ったうえで分析した.その結果,地方鉄道の廃止によって4-8%程度の駅勢圏人口への負の平均処置効果が確認され,地方鉄道の廃止が駅勢圏人口に負の影響を及ぼすことを統計的に明らかにした.また,鉄道の廃止による駅勢圏人口への影響は,鉄道廃止前の地域特性によって異なる可能性があることが示唆された.
著者
中島 秀之 野田 五十樹 松原 仁 平田 圭二 田柳 恵美子 白石 陽 佐野 渉二 小柴 等 金森 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_875-I_888, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
22
被引用文献数
4 5

バスとタクシーの区別を無くした,主として都市部を対象とした新しい公共交通システム(Smart Access Vehicle System)の概念を示す.これは,コンピューターにより全ての車輛の位置と経路を管理し,固定路線やダイヤを持たず,乗合いで,デマンドに即時対応するシステムである.これを交通サービスのクラウド化と呼ぶ.タクシーの利便性とバスの経済性を併せ持つことが可能である上に,渋滞,事故,天候変化,災害などに柔軟に対応できる.筆者らは函館市内において小規模な実験を行い,数日間の完全自動配車に成功している.
著者
須﨑 純一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.211-226, 2014 (Released:2014-10-20)
参考文献数
21

本論文では,車両や建物の影といった局所的な日照変化にも頑健で,昼夜間を問わず適用可能な交通流からの四輪車の位置と軌跡の自動抽出手法を提案する.提案手法は時間差分画像を一定時間内で累積した累積時間差分画像と呼ぶ画像を作成し,閾値以上の輝度値の変化回数を計数して影領域の大半を除去する.この際に車両の一部が欠損するが,累積時間差分画像を更に重ね合わせて車両領域の欠損を補い車両軌跡を決定する.この影を含まない軌跡領域とある時刻における影を含む車両領域との積を取ることで,影なしの車両領域を決定する.最後に上方から見下ろす鳥瞰画像に変換し,車両領域の位置の差分を計算することで車両速度を推定する.歩道橋で撮影した交通流画像に提案手法を適用した結果,昼夜間を問わず高精度かつ安定的に機能することが判明した.
著者
柳原 崇男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_459-I_465, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
25
被引用文献数
8 12

高齢者の外出頻度は心身機能や社会活動性を包含した健康指標であるとも考えられている.つまり,健康指標として,外出頻度を交通施策等の評価にも応用できると考えられる.高齢化社会に向けては,交通施策等が健康維持や介護予防に寄与することを,実証的データにより立証していくことも重要となる.本研究では,外出頻度と移動手段,活動能力の関係を実証的データから検討し,今後の高齢者の介護予防や健康維持の観点から移動手段のあり方について考察する.その結果,外出頻度に最も影響を与えるのは,移動手段であり,特に「車(自分で運転)」であり,自分で運転しない場合は,年齢やIADL(手段的自立)が影響している.また,本調査地域においては,公共交通や家族送迎・タクシー等の交通手段は,外出頻度に影響を与えていないことがわかった.
著者
平井 一成 嶋本 寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_701-I_708, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
11

近年,環境問題抑制や都市活性化から公共交通の利用促進が叫ばれており,利用促進のための適切な対策をとるためには乗客のトリップパターンの把握が必要である.本研究では乗客のトリップパターンを,系統単位における乗り換えを考慮しないレグODを推定する第1段階と,乗り換えを考慮したジャーニーODを第1段階で推定したレグODを用いて推定する第2段階からなる,2段階アプローチで推定するモデルを構築した.仮想ネットワークにおいて構築したモデルの推定精度を検証したところ,第1段階におけるレグODの推定精度は路線OD交通量の先験情報の精度の影響を受けることを確認した.さらに,第2段階のジャーニーODの推定精度は第1段階で推定されるレグODの推定精度の影響を受けることを確認した.
著者
嶋本 寛 平井 一成
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_631-I_638, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
17

近年,環境問題抑制や都市活性化から公共交通の利用促進が叫ばれているが,利用促進のための適切な対策をとるためには乗客のトリップパターンの把握が必要である.筆者らは先行研究で,複雑な路線網が形成され,高頻度のバスサービスが提供されているような都市圏公共交通への適用を念頭に置き,乗客のトリップパターンを2段階にわけて推定する手法論を提案している.本研究では,先行研究で構築した推定モデルを実規模ネットワークに適用し,入力データの精度と推定精度の関係を明らかにすることを目的とする.実規模ネットワークにおける推定精度検証の結果,乗客のトリップパターンの推定精度に大きな影響を及ぼす入力データを明らかにし,その誤差水準と推定精度の関係性についても考察した.
著者
永江 大右 中村 太一 紀伊 雅敦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_505-I_512, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1

都心は都市活動が集中する場所であり,都市構造や交通需要を分析する上で把握するうえで重要なエリアである.しかし,都心の把握方法は必ずしも確立しておらず,多くの場合大規模な交通調査を基に経験的に設定されている.しかし,大規模交通調査の高頻度な実施は困難であり,特に都市構造の変化が著しい途上国では,簡便な都心の把握方法が必要である.本研究では,人工衛星により観測される夜間光に基づく都心抽出の可能性を検討する.具体的には,日本の3大都市圏を対象に,集中交通量に基づき都心ゾーンを定義し,夜間光データによる判別を行った.その結果,夜間光データに一定の都心判別性能があることが示された.また郊外核を抽出できる可能性が示された.
著者
田中 皓介 神田 佑亮 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_373-I_379, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
9
被引用文献数
3 5

先の東日本大震災からの復興や,高い確率でその到来が予測されている首都直下型地震及び東海・東南海地震等に対する防災・減災の観点からしても,公共事業の重要性は近年一層高まっていると考えられる.そうした公共事業の実施に当たっては,国民世論並びにそうした世論形成に影響を及ぼし得るメディアの報道が重要であるといえる.ところがそうした主要なメディアの一つである新聞の報道が公共事業に対し批判的な傾向であることが示唆されている.ついては本研究では,大手新聞社の公共事業に対する批判的な報道の傾向を分析し,その背景について考察を加えることとした.