著者
佐々木 正己
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-40, 1975
被引用文献数
3 3

12時間明,12時間暗の光周期,恒温条件下で,ウリキンウワバの諸行動にみられる日周期性の有無位相と強度を調べた。その結果,孵化と幼虫の摂食行動には周期性が認められず,4令から最終令への脱皮には弱い,蛹化と羽化には比較的強い日周期性が観察された。蛹化と羽化の位相は逆の関係にあり,蛹化が暗期の終り付近に,羽化は明期の終りにそのピークを示した。<br>成虫は顕著な3山型の夜間活動性を示した。雌雄共通の飛翔ピークが1日に2回,消灯後と点灯時にみられた。残るピークは消灯約7時間後に始まり,雌では3時間にわたって継続的に性フェロモンを放出,雄ではこれに同調して,しかし雌の性フェロモンの存在とは無関係に,1&sim;1.5時間の激しい飛翔ピークを示した。これらのリズムの生成は遺伝的に組み込まれたものである可能性が強い。
著者
昆野 安彦 松田 一寛 小西 和彦
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.182-184, 2002-08-25
被引用文献数
4

ウメエダシャクは北海道、本州、四国、九州、対馬に分布するシャクガ科シャクガ亜科の一種である。発生は年1回で幼虫はウメ、モモ、スモモ、ナシ、アンズ、リンゴなどのバラ科果樹類のほか、ニシキギ(ニシキギ科)、エゴノキ(エゴノキ科)、ガマズミ(スイカズラ科)など、7科17種の葉を食害する多食性の蛾として知られている。また、多発生した場合はウメの害虫として認識されることもある。本種の寄生蜂に関する報告はこれまでないが、今回、蛹から羽化した寄生蜂を調査した結果、5科6種の寄生蜂を確認することができたのでここに報告する。
著者
近藤 章 田中 福三郎
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.211-216, 1989-11-25
被引用文献数
5 4

実験室内においてスクミリンゴガイを餌として与えた場合のヘイケボタル幼虫の発育と捕食能力, および寄主選択性について検討した。1)スクミリンゴガイで飼育した場合のヘイケボタルの飼育開始79日後における供試卵数に対する全幼虫数の割合は63.4%で, カワニナの場合(86.3%)よりやや劣るものの, 幼虫はスクミリンゴガイで比較的良好に発育した。2)ヘイケボタル幼虫は全明・全暗条件にかかわらず, どの齢においてもスクミリンゴガイとカワニナを同程度に選択した。3)スクミリンゴガイの密度に対するヘイケボタル幼虫の捕食反応を, 幼虫の齢と貝の大きさを変えて調べたところ, 大部分の組合せで飽和型曲線を示した。幼虫の1頭1日当り最大捕食貝数は, ふ化数日後の貝では2齢幼虫で0.7頭, 3齢で2.3頭, 4齢で3.2頭であった。4)貝の大きさと4齢幼虫の最大捕食量との間には直線関係が認められ, 捕食可能な貝の最大殻高は1.1cmと推定された。
著者
石原 保
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.19-22, 1965-03-25 (Released:2009-02-12)
被引用文献数
3 7

琉球(沖繩本島および宮古島)で甘藷の天狗巣病の媒介者として記録されたクロマダラヨコバイおよび本州(山形県および長野県)で委縮病の著しい桑園に多発したヒシモンヨコバイ近似種の2種は,いずれも新種(後者は新属新種)と認むべきものであるため,本報で記載した。すなわち,両種ともにヨコバイ亜科Deltocephalinaeに所属する次の2種である。1. クロマダラヨコバイNesophrosyne ryukyuensis ISHIHARA分布:琉球(沖繩本島および宮古島)2. ヒシモンモドキ(新称)Hishimonoides sellatiformis ISHIHARA分布:本州(山形県および長野県)。
著者
中尾 弘志
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.193-200, 1984-11-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

キジバトは北海道では夏鳥で,長沼町での生息期間は3月下旬から11月下旬であった。調査期間中に,生息密度の大きな変動はなかった。繁殖期間は,4月上旬から10月下旬までであった。抱卵期間は14~17日(15.6±0.6日,n=126),育雛期間は14~19日(16.6±1.2日,n=126)であった。1978年までは,ダイズの発芽期と繁殖のピークがよく一致し,雛のいる巣が多く,ダイズの被害も多かった。しかし,ドイツトウヒの下枝の刈取りにより営巣環境が悪くなった1980年以後は,ダイズの発芽期に営巣数が少なく,雛のいる巣がほとんどなく,ダイズの被害は少なかった。孵化率は,8か年の平均で54%,巣立ち率は74%,繁殖成功率は40%であった。
著者
樋口 博也 高橋 明彦
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.113-118, 2005-08-25
被引用文献数
2 14

新潟県上越市のアカヒゲホソミドリカスミカメ個体群について, 野外雌産下卵の休眠卵率の季節的な推移を調査するとともに, 休眠卵産下を誘起する環境要因についても検討を行った.22℃, 25℃, 28℃, 31℃, 34℃の5段階の温度と, 9L-15L, 10L-14L, 11L-13D, 12L-12D, 13L-11D, 14L-10D, 15L-9D, 16L-8Dの8段階の光周期を組み合わせた条件下で卵から飼育し, 羽化した雌の産下卵の休眠卵率を調査した.卵からの飼育温度が25℃の場合, 本種が休眠卵を産下する臨界日長は13時間と14時間の間にあった.しかし, 飼育温度が28℃, 31℃, 34℃と高くなると, 短日条件であっても休眠卵率が低下した.したがって, 本種雌は幼虫期からの飼育温度が28℃以上の高温であれば, 短日であっても非休眠卵を産下するようになると結論できた.休眠卵を産下している雌を31℃, 11L-13D条件下で個体飼育すると, 飼育開始5日後から非休眠卵を産下する雌数が増加したことから, 本種雌は, 5日程度高温を経験すると非休眠卵を産下する個体も現れるようになると考えられた.1999年から3年間, 野外雌を定期的に採集し産下卵の休眠卵率を調査した.1999年, 2001年9月に採集した雌が産下する卵の休眠卵率は, 時間の経過とともに高くなったが, 2000年については, 20日に採集した雌の産下卵の休眠卵率は7.4%と極端に低下した.2000年9月の上越市の平均気温の推移を見ると, 13日から平均気温で25℃を越える暑い日が4日連続していた.20日に採集した雌が休眠卵を産下せずに非休眠卵を産下した要因の一つとして, この数日間にわたる高温が関与している可能性が考えられた.
著者
松沢 寛
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.251-256, 1964-09-25
被引用文献数
2

現行流下式塩田の流下盤内に無数の坑道を作って生息するオオツノハネカクシの甚大なる虫害は, 本邦製塩業上大きな問題となっているが, 1963年秋以来1年余りの間, 本種の生態について調査研究を行なった結果, 1年3回(時に一部は4回)の発生をなし, 一部はさなぎ, 大部分は成虫にて越冬することがわかった。産卵期は大まかには, 4月中旬〜5月下旬ないし6月上旬, 6月下旬〜7月中下旬, 8月下旬〜9月下旬の3期で, またその発育所要日数は, 卵14〜20日, 幼虫40〜50日, 前蛹2〜4日, さなぎ6〜8日であった。幼虫は5令の令期をもつようで, 卵から成虫までは, 普通70日内外であった。成虫の生存日数は, 越冬期は2〜4月またはそれ以上にもわたるが, 活動期には概して20〜40日ぐらいであった。また産卵は1粒ずつ坑道の壁の小孔中になされるが, 5〜10卵ずつ2〜3回産卵されるもののごとく思われた。流下盤での生息は, 給水樋に近い, 盤長の大体1/3〜2/3にあたる部分で, 無数に作られた坑道は, 垂直的なものがもっとも多く, 盤底までの貫通率もかなり高かった。成虫の青色螢光灯への飛来は非常に顕著で, この方法は, 本種防除の1策となりうると思われた。本種の分布は, 調査の結果, 愛知県以西の現行流下式塩田に例外なく分布することが明らかとなり, また旧入浜式塩田跡にも, ほとんどすべて生息するようであった。
著者
窪田 敬士 志賀 正和
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.51-58, 1995-02-25
参考文献数
20
被引用文献数
2 7

5種クサカゲロウ(ヤマトクサカゲロウ,<i>Mallada alcestes</i>,カオマダラクサカゲロウ,ヨツボシクサカゲロウ,クモンクサカゲロウ)のコクヌストモドキ卵を幼虫期の餌とする累代飼育法が確立した。成虫は,酵母自己消化物(Amber BYF Series 100<sup>®</sup>もしくはAY-65)と蜂蜜の2:3(重量比)混合物か,ジャガイモ芽だしに集らせたモモアカアブラムシを餌として使い,飼育・採卵できた。5種のうち,ヤマトクサカゲロウと<i>M. alcestes</i>がこの餌での大量増殖に適していると考えられた。飼育温度26±0.5°C,光周期16L-8D,幼虫期の餌がコクヌストモドキ卵,成虫期の餌がAmber BYF Series 100<sup>®</sup>と蜂蜜の混合物という同一条件で,ヤマトクサカゲロウと<i>M. alcestes</i>を飼育し,内的自然増加率を求めた。ヤマトクサカゲロウが<i>r<sub>m</sub></i>=0.12, <i>M. alcestes</i>が<i>r<sub>m</sub></i>=0.09であり,大差ではなかった。上述の酵母自己消化物(特にAY-65)と蜂蜜の混合物は,肉食性のヨツボシクサカゲロウ成虫の飼育・採卵用の餌としても有効であることがわかった。
著者
宮尾 嶽雄 北沢 徹郎 両角 源美
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.255-258, 1959-12-30
被引用文献数
1

ネズミ科およびキヌゲネズミ科に属する8種のネズミのせきつい骨数を算定した。結果は第1表および第1図に示すとおりである。<br>せきつい骨数はネズミ科に属する種で多く(平均61.08),キヌゲネズミ科に属する種で少ない(平均48.63)。この両科はせきつい骨数によっても明らかに群別される。<br><i>Rattus</i>属のドブネズミとクマネズミでは,前者でせきつい骨数が少なく,差は有意である。また<i>Apodemus</i>属のホンドアカネズミとホンドヒメネズミの両者にもせきつい骨数に有意の差がみられ,前者で少ない。
著者
大島 格
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.212-225, 1960-12-31
被引用文献数
2

1)1掃立て口の微粒子病のり病率は雌雄ともに発ガ日の遅れるにしたがって次第に低下する。2)したがって1掃立て口の病ガの分布は多くの場合二項分布もポアソン分布もしない。3)同一発ガ期日の微粒子病ガは二項分布をする。4)それゆえ, 1掃立て口は発ガ期日順にり病率の次第に少なくなる二項分布(またはポアソン分布)をする有限母集団の順列的に並んだ集合母集団である。5)以上の理由により, 冷蔵浸酸種や越年種の母ガの検定にはWALDの逐次抜き取り検査法やASTM品質管理法は適用できない。6)検査試料の抽出法は比例抽出法によらなければならない。7)即時浸酸種の母ガ検査は鏡検した試料が全ガ無病のときは以後に発ガした母ガの蚕種は全部無検査のままで合格させてよい。付記 : 第2報としては"ガの混和器についで", その次には暫定的に"現行母ガ検査法の改良"を発表し, これが終わったら私の主目的である病ガ早期多発の特性を導入した新しいガの微粒子病検査法の設定に対する必要な研究事項を逐次発表する予定である。しかし繰り返していうが, 検査試料抽出法だけを合理化したとてガの鏡検が正しく行なわれなければ役に立たない。母ガの磨砕液は生ガなら水か0.5%カ性カリ液1.5〜2ml, 乾燥ガなら2%カ性カリ液2mlと定められているにもかかわらず, 鏡検実務者の現状を見ると0.5mlもはいっているかどうかくらいのことがひん発するようである。あれでは組織もろくに溶かされず, まざり物が多くてとてもよく鏡検できない。見にくいため実務者は可検液層を薄くして見よくする目的でデッキの上からガーゼで押して液を吸い取って鏡検しているが, そうすると胞子は液とともにデッキのはしに流れ去る危険が多く, また1視野の胞子の数量もヘってしまう。まざり物の多い場合には胞子はまざり物にせき止められる機会も多いが, まざり物が余り多いとそれにじゃまされて見落としが多くなるであろう。またこれはまざり物が多い場合にはめったにないことであろうが, 標本がきれいな場合, デッキの上から押して液を吸い取ってしまうと胞子は光線の曲折率がうすくなり, 普通の胞子とは全く違った様相を呈するようになることも留意しなければならない。いずれにしてもガの検査の合理的経済化を計るにはまず蚕種製造当業者に対する十分な指導が大切であるが, 現状においてこれが可能であろうか, 私は不安にたえない。
著者
大矢 慎吾 佐藤 昭夫
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.178-184, 1978-08-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
17

穿孔米を発生させるイネゾウムシは8月中∼下旬に羽化し,割れ籾を食害する。このような早期羽化要因を解明するため,蛹化に及ぼす落水の効果,土壌水分含量の差違と蛹化,幼虫の生存とイネの根の役割,素寒天培地を用いて幼虫の寄生実態の観察および現地水田における羽化時期の年次変動について調査し,最近のイネゾウムシ発生生態の変動要因について考察した。1. 湛水条件下で蛹化は認められず,落水によって蛹化した。長期の湛水条件によって老熟幼虫は経日的に死亡する傾向が認められた。2. 土壌水分含量が減少するほど蛹化は促進された。蛹化可能な限界土壌水分条件は地下水位10cm,pF0.8,水分含量80%前後であった。3. 湛水条件下では,イネの根が無いと幼虫は死亡する。透明な素寒天培地を用いた観察では,幼虫は根のまわりに集まり気門を根に接触させて生存しており,根を呼吸源として利用していた。4. 落水による気相の増加は,イネの根から土壌中の酸素利用へと幼虫の呼吸源の転換を可能にしているものと思われる。5. 上越地方では8月第1半旬には蛹化できる老熟幼虫となっていたが,1976年は8月上旬以降の多量の降雨によって蛹化が遅れ,幼虫越冬も認められた。6. 羽化時期は土壌の水分含量に影響を与える要因によって変動した。変動要因として落水時期をはじめとする水管理方法,8月上旬以降の降水量,暗渠設備,地下水位の高さ,土質などが考えられる。7. 北陸地方では1970年ごろより収穫作業機械の利用面積が急激に増加し,刈り取り時期に水田の地耐力をつよめることが稲作農家の大きな目標となった。そのため早期落水をはじめ水管理方法が変化してきた。暗渠設備や水管理方法の変化が早期に蛹化条件を整え,羽化時期を早め,穿孔米を発生させる大きな要因の一つであると思われる。
著者
岩﨑 洋樹 須田 大祐 渡辺 守
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.165-171, 2009-11
被引用文献数
4 1

Adult Sympetrum infuscatum (Selys) live in the forest gaps throughout their life except when visiting rice paddy fields for oviposition. They prey on small flying insects in the forest gaps, using sit-and-wait tactics. They perch on the tips of branches or grass all day and take off when a small flying insect comes into sight. In the present study, the foraging behavior of S. infuscatum in the forest gaps was observed. The perching height was high in the morning and evening and low around noon. The diurnal change in the perching height corresponded to the abundance of flying small insects. The mean daily frequency of foraging flights was 251 for females and 182 for males, and the mean actual number of insects captured was 109 and 89, respectively. A total of 2,935,300 small flying insects were preyed on by S. infuscatum adults during one day in the Satomaya forest gaps.
著者
新原 直 渡辺 守
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.91-96, 2009-08
被引用文献数
5

Although sodium ions induce puddling behavior in males of some butterfly species, the role of sodium ions in the male life history is unclear. Effects of saline intake until the second mating on the mass of spermatophore and accessory substances, as well as the number of eupyrene sperm bundles and apyrene spermatozoa, were examined in the male swallowtail butterfly, Papilio xuthus Linnaeus. The virgin male transferred 6 mg spermatophore and 8 mg accessory substances with 38 eupyrene sperm bundles and 350,000 apyrene spermatozoa to a virgin female during copulation. A small spermatophore, a little accessory substance, and a low number of eupyrene sperm bundles and apyrene spermatozoa in the second mating of mated males the day after the first copulation were found. Mated males fed on both 20% sucrose solution and 0.01 M saline solution for two days after the first copulation transferred similar ejaculates at the first copulation. Saline intake recovered the ejaculate mass. Because a large spermatophore and a large number of sperm must be advantageous to the male under sperm competition in female polyandry, puddling behavior might be important to increase reproductive success in males.
著者
香川 理威 兼松 真 杉浦 正昭
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.114-117, 2012-08-25 (Released:2012-09-20)
参考文献数
17

We examined the color preference of Drosophila melanogaster Meigen (Diptera: Drosophilidae) under different illumination conditions. The results of a gray-scale experiment showed that D. melanogaster was attracted to less bright colors, with the highest attraction to black. The preference for black became stronger with an increase in the surrounding illumination; therefore, we suggest that D. melanogaster can see dark regions by recognizing the contrast at the periphery. Moreover, many D. melanogaster flies were attracted to both black and red below 1,500 lx but were not strongly attracted to any specific color under 500 lx, suggesting that the ability of D. melanogaster to differentiate between colors decreases under this illumination condition. Regardless of the illumination, D. melanogaster was attracted to green at a fixed ratio. These results suggest that the most effective method of attracting D. melanogaster under various illumination conditions is to use only black objects or a combination of objects in black and other colors (green or red).
著者
村上 陽三 平松 高明 前田 正孝
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.29-41, 1994-02-25
被引用文献数
2 12

導入天敵の効果に及ぼす土着天敵の影響を予測する目的で,チュウゴクオナガコバチ未分布地の宮城・岡山両県で,1991年春から2年間にわたってクリタマバチの寄生者複合体について調査を行い,熊本県のチュウゴクオナガコバチ放飼園での結果と比較した。<br>1) 寄生者複合体の構造は地域によって異なり,土着の一次寄生蜂は宮城で3種,岡山で8種,熊本で12種観察され,南に向かうほど種数が増加する傾向が見られた。宮城と岡山での優占種はクリマモリオナガコバチであったが,その優占の程度は異なり,宮城では著しく高く岡山では比較的低かった。熊本ではキイロカタビロコバチとオオモンオナガコバチが優占種であった。また同じ地域でも環境条件の違いによって寄生者複合体の構造が異なった。<br>2) 寄生率は宮城と岡山の間で差は認められず,また寄生者種数との間の相関は見られなかったが,周辺の植生,寄主密度,随意的高次寄生者の影響がうかがわれた。<br>3) 宮城と岡山で優占種であったクリマモリオナガコバチは,終齢幼虫期に高い死亡を受け,終齢幼虫初期密度と死亡率の間には宮城では有意な相関が見られなかったが,岡山では有意な負の相関が認められた。MORRISの方法で分析した結果,岡山では本種は密度逆依存の死亡を受けることが示唆された。<br>4) クリマモリオナガコバチの幼虫と蛹を攻撃する随意的高次寄生者は4種認められたが,そのうちの2種<i>Eupelmus</i> sp.とトゲアシカタビロコバチが岡山と熊本で高い寄生率を示した。これらの随意的高次寄生者の二次寄生が,クリマモリオナガコバチの終齢幼虫期の密度逆依存的な死亡要因となっているものと推察された。<br>5) 以上の結果から,将来クリマモリオナガコバチの近縁種であるチュウゴクオナガコバチが,宮城・岡山両県に導入された場合には,岡山では随意的高次寄生者の二次寄生による密度逆依存的な死亡のために,チュウゴクオナガコバチの増殖に長年月を要するが,宮城ではその作用が弱いので,短期間のうちにヂュウゴクオナガコバチの密度が増加するであろうと予測された。
著者
大津 正英
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.31-35, 1971-03-25
被引用文献数
1 1

トウホクノウサギは,一般野生哺乳類のごとく,比較的明瞭な繁殖周期を持っており,卵巣重量は,11月から1月にかけて最小となり,2月下旬から3月には大きくなり始める。繁殖期は春から夏にわたるが,この頃の卵巣は大きく,肉眼的にも組織的にも活動的である。そして9月から10月には急速に退行する。<br>本種の繁殖期に対する長日照効果を明らかにするため,1968年12月11日から成獣,雌25頭雄10頭に対して長日照処理を行なった。これらの動物には,日の出から午前9時までは自然光線により,その後日の入までは自然光と螢光燈により,また日の入から午後9時までは螢光燈によって照射を行なった。<br>長日照処理動物の卵巣重量は,処理開始後50日経過した1月30日には急速に増大していた。自然状態における動物の卵巣が,これと同じように発育するのは,2月下旬から3月にかけてである。長日照処理は3月6日に終了したが,4月12日において,処理動物の卵巣重量に退化はみられなかった。<br>対照動物では2月26日に最初の妊娠個体が認められ,また最初の出産は4月5日で産児数は3頭であった。処理動物の最初の妊娠個体は1月30日に認められ,最初の出産は2月22日で産児数は1頭であった。処理動物の繁殖は2月22日から4月10日まで続き,その後4月11日から6月29日まで中断したが,6月30日に再開し,8月22日まで繁殖を続けた。<br>長日照処理動物と対照動物の卵巣組織には,周年成熟しているか,それに近い濾胞が存在しているのがみられた。
著者
井上 広光 篠原 和孝 奥村 正美 池田 綱介 芦原 亘 大平 喜男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.66-68, 2006-02-25
被引用文献数
2

The occurrence of Psylla evodiae Miyatake, which has been known to occur on Euodia meliifolia (Rutaceae) in the Yaeyama Islands of Japan and in Taiwan, has been newly recorded in Kyushu (Fukuoka, Nagasaki, and Kagoshima prefectures) and on Yakushima Island and Okinawa Island in southwestern Japan. In addition, it has been confirmed that P. evodiae feeds on Murraya paniculata (Rutaceae), which is a newly recorded host plant in southern Kyushu (Kagoshima Prefecture) and Yakushima Island. It has also been confirmed that P. evodiae feeds on Zanthoxylum beecheyanum var. alatum (Rutaceae) in Okinawa Island.