著者
鷲塚 靖 日巻 茂美 楠美 明男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.150-152, 1986

昆虫類58種(台湾産15種,日本産43種),土壌動物,小動物17種(台湾産8種,日本産8種,台湾・日本産1種)に含まれるカリウム,カルシウム,マグネシウム,ナトリウムの含量について調査した。その結果,4元素の含量と分布は昆虫の食性や系統分類学上における顕著な有意差がみられず,土壌動物,小動物のそれらについても同様な結果になった。また,これらの4元素の生態系における移動と分布はリン,窒素のそれらと著しく異なっていた。
著者
金子 武 一戸 稔
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.165-174, 1963-09-30 (Released:2009-02-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

1. 茶樹に寄生する線虫の種類を,全国各地の茶園土壤について調査した。その結果つぎの7種がかぞえられ,各種類に対し形態的記載を与えた。Helicotylenchus dihystera Helicotylenchus erythrinae Hemicriconemoides kanayaensis Meloidogyne incognita var. acrita Paratylenchus curvitatus Pratylenchus loosi Tylenchorhynchus nudus2. 線虫の土壤中垂直分布は,Hemicriconemoides, Paratylenchusは比較的深部(30cm内外)に,Pratylenchus, Helicotylenchusは比較的上層(10cm内外)に多い。また,全般的に畦の西側では東側よりも生息数が多い。3. Hemicriconemoidesの寄生状況を観察した。Pratylenchusは根および根辺土壤の両者より検出される。4. Hemicriconemoidesの発生消長について調査した。土壤から検出されるHemicriconemoidesの大部分は雌成虫で,雄は年間を通じきわめて少ない。幼虫の占める割合は7月に最高となる。雌の蔵卵数は通常14∼15粒である。6∼7月の室内観察では,Hemicriconemoidesの卵期間は15∼20日である。またHemicriconemoidesの産卵状況を観察した。5. 窒素肥料を多用した園では,Hemicriconemoidesの密度が減少し,Paratylenchusの密度が増大する傾向がみられる。6. Hemicriconemoidesの天敵としての藻菌類の寄生状況について観察した。
著者
細田 昭男 浜 弘司 鈴木 健 安藤 幸夫
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.83-90, 1993
被引用文献数
1 8

1988∼1990年に広島県立農業技術センター(東広島市八本松町)内にアブラムシ類が移出・入のできない小型ハウスを組み立て,ナズナ,オオイヌノフグリとムクゲの3種の冬寄主植物上で越冬したワタアブラムシ個体群のナスとキュウリの夏寄主植物に対する選好性と各寄主植物上で増殖した個体群のフェニトロチオンに対する感受性を検討した。<br>1) ナズナ,オオイヌノフグリなどの冬寄主植物で越冬した個体群の中には,ナスを選好するタイプとキュウリを選好するタイプが存在し,地域や年次によって,一つのタイプが優占する場合と,二つのタイプが混在する場合が認められた。<br>2) ナスとキュウリに寄生した個体群をそれぞれナズナとオオイヌノフグリ上で越冬させると,翌春にはナス由来の個体群はナスを,キュウリ由来の個体群はキュウリを選好した。<br>3) 卵越冬すると考えられている越冬寄主植物のムクゲに寄生した個体群も,春にはナス由来の個体群はナスに,キュウリ由来の個体群はキュウリに選好性を示した。<br>4) ナス由来とキュウリ由来の個体群をそれぞれナズナ,オオイヌノフグリとムクゲの冬寄主植物で越冬させ,翌春ナスとキュウリ上で増殖した個体群のフェニトロチオンに対する感受性は,ナス個体群では高くキュウリ個体群は低く,両個体群間で薬剤感受性は異なった。<br>5) 以上の結果から,ワタアブラムシの中にはナスとキュウリをそれぞれ選好するタイプが存在し,越冬寄主植物上では二つのタイプが混在していても,春∼秋の間もそれぞれの寄主選好性は維持されることが示唆された。そして,このことがナス科とウリ科作物寄生個体群の有機リン剤感受性の差異を維持している大きな要因と考えられた。
著者
昆野 安彦
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.25-32, 2006-02-25
被引用文献数
1 3

大雪山国立公園の白雲岳(2,240m)高山帯においてウラジロナナカマド,ウコンウツギ,チシマノキンバイソウに訪花したハエ目とハチ目の多様性を調べた.その結果,全調査の合計で9科35種317個体のハエ目とハチ目が得られた.内訳はハナアブ科が21種204個体,オドリバエ科が1種7個体,クロバエ科が1種2個体,ハナバエ科が2種52個体,ヒメハナバチ科が2種5個体,コハナバチ科が1種19個体,ミツバチ科が3種17個体,ハバチ科が2種4個体,コンボウハバチ科が2種7個体で,人雪山高山帯では訪花昆虫としてハエ目が優占し,とくにハナアブ科が種数,個体数ともに優占していることが明らかになった.高山植物別に見ると,ウラジロナナカマドとウコンウツギではハナアブ科が優占していたが,チシマノキンバイソウではハナバエ科が優占していた.種多様度(1/D)はウコンウツギが9.7でもっとも高く,ウラジロナナカマドとチシマノキンバイソウではそれぞれ7.2と3.9であった.高山植物間の種構成の類似度指数(QS)はウラジロナナカマドとウコンウツギでは0.71と高い値を示したが,ウラジロナナカマドとチシマノキンバイソウでは0.28,ウコンウツギとチシマノキンバイソウでは0.32とそれぞれ低い値を示した.ウラジロナナカマドについては赤岳(2,078m)でも調査を行ったが,白雲岳との種構成の類似度QSは0.55であり,同種の花であっても調査地点が異なると訪花昆虫の種構成が異なることが明らかになった.大雪山高山帯への侵入が警戒されているセイヨウオオマルハナバチについては採集も目撃もできなかった.
著者
古 徳祥 伊藤 嘉昭
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.228-231, 1982
被引用文献数
1

名古屋大学構内の大型アミ室で集団マーキングによって,ツマグロヨコバイの雌成虫の寿命を調べた。第1世代の平均寿命は羽化からマークまでの期間(平均約2日)を除き,高田産9∼11日,筑後産5∼8日であり,第2世代の平均寿命は高田産18∼35日,筑後産15∼17日であった。地域による差は見られなかった。最長記録は第2世代の84日であった。両世代の成虫は40∼50日間にわたり共存した。
著者
潮 新一郎 吉岡 謙吾 中須 和俊 脇 慶三
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-9, 1982-02-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
21
被引用文献数
4 20

奄美群島のミカンコミバエの防除は,メチルオイゲノールを利用した雄除去法により,1968年に開始され,1974年から同群島全域の一斉防除を行った。防除は,テックス板,木綿ロープ,綿棒の素材にメチルオイゲノールと殺虫剤の混合剤をしみ込ませて,航空散布および地上吊り下げにより定期的に実施した。その結果,1976年以降発生はほとんど認められなくなったので,1977年から1979年まで根絶確認のための調査を実施した。本調査は,寄主果実に対する調査を主体とし,トラップ調査を補助的手段として行った。1977年には,喜界島および奄美大島について実施したが,わずかながら本種の発生が認められ,まだ根絶されていないことが判明した。1978年には,喜界島,奄美大島および徳之島について,30万個以上の果実調査と,118個のモニタリング・トラップによる14回の成虫回収調査を実施し,1979年には,沖永良部島および与論島について,83,000個の果実調査と,30個のトラップによる17回の成虫回収調査を実施した結果,ミカンコミバエは全く認められず,根絶を確認した。
著者
内藤 篤
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.159-165, 1960
被引用文献数
5

シロイチモジマダラメイガは広く世界の熱帯,亜熱帯,温帯地方に分布し,本邦では九州,四国および本州の中国,東海近畿,北陸,関東に分布し,一部は東北南部太平洋沿岸地帯にも及んでいる。しかし九州および西南暖地の平坦部を除いては発生が少ない。本種の分布北限帯は,仙台平野の南部太平洋岸に始まって海岸沿いを南下し,関東地方の北部山ろく地帯を通り,本州の中部山岳地帯をう回して北陸に達し,反転して富山平野の山沿いを東北に進み,越後平野の北部あたりから日本海に抜ける。<br>本邦におけるシロイチモジマダラメイガの分布北限界の指標として,年平均気温11.5∼12.5°C等温帯および夏期平均気温(5∼10月)18.5∼19.5°C等温帯をあげることができる。しかし分布限界を大陸にまで延長して考えるならば,後者のほうがより適合性が高いようである。<br>マメシンイガは極東地域の寒帯,亜寒帯および温帯に分布する。本邦では北海道,本州,四国の全域および九州の一部に分布し,北海道および本州の東北,北陸,関東東山,山陰地方では発生が多いが,それ以南の暖地の平坦部や九州では少ない。また種子島以南の諸島では本種の存在が確認されておらず,おそらく九州本島が南限のように思われる。<br>以上のような両種の発生分布の状態から,明らかにマメシンクイガを北方系,シロイチモジマダラメイガを南方系の害虫とみることができる。両種は東北の南部から九州に至る広範囲にわたって混在し,関東,東海近畿,山陽および四国地方では両種の勢力はほぼ等しい。しかし総体的にみた場合は,本邦においてはマメシンクイガのほうが優勢である。
著者
阿久津 喜作
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.56-62, 1971-06-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3

1) 顆粒病ウイルスを散布したキャベツに産みつけられたモンシロチョウは,ふ化してから6日&8日後に2令または3令で最も多く死亡した。葉の表面に散布した場合よりも,表・裏両面に散布した場合に死亡する令が早かった。2) キャベツ畑に顆粒病ウイルスを散布してから6日後と12日後に調査したところ,モンシロチョウの虫数はり病虫発生のため激減し,被害度も無散布と比較して明らかな差が認められた。3) 顆粒病ウイルスとディプテレックス50%乳剤,エンドリン50%乳剤の混合散布では,殺虫剤の効力が失なわれた後でも,顆粒病ウイルスの感染力が保持されていて,虫の密度を低くおさえる効果があった。
著者
内山 徹 小澤 朗人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.109-117, 2017-05-25 (Released:2017-06-18)
参考文献数
45
被引用文献数
5

We investigated the inheritance of resistance to diamide insecticides, flubendiamide, and chlorantraniliprole in the smaller tea tortrix, Adoxophyes honmai Yasuda, using resistant(R)and susceptible(S)strains obtained from Shizuoka Prefecture, Japan. Lethal concentration 50(LC50)values for flubendiamide in the R and S strains were 129 and 3.26 ppm, respectively. LC50 values for chlorantraniliprole in the R and S strains were 48.2 and 1.33 ppm, respectively. The results of crossing experiments showed that resistance to the two diamides was an autosomal incompletely dominant trait controlled by polygenic factors.
著者
水田 国康
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.146-152, 1960-09-30 (Released:2009-02-12)
参考文献数
8
被引用文献数
9 15

チャドクガもマイマイガも卵は卵塊として産付されるがその幼虫の習性は異なり,チャドクガの幼虫は終齢に達するまで密接に集合し集団的に行動するが,一方マイマイガはこのような集合性は示さない。両種の室内での飼育によると,チャドクガでは集団の個体数が少ないほど死亡率が高く,幼虫期間も長くなり,脱皮回数も多くなった。また集合飼育の幼虫を各齢期に1頭に分離した場合にも,早い齢期に隔離したものほど死亡率が高く,幼虫期間も増加する傾向があった。ことに若齢(1∼3齢)期に隔離したものは発育を完了することができなかった。しかしさなぎ期間,終齢幼虫の頭幅,さなぎ体重,蔵卵数については,集団の大小あるいは隔離齢期による差は認められなかった。マイマイガでは,幼虫期間,さなぎ期間,幼虫の頭幅,さなぎ体重および蔵卵数などは1頭区において最大になり,容器あたりの個体数が増加するにしたがいこれらは減少する傾向が認められた。しかし幼虫期間は中間区で最小となった。
著者
徳田 誠 湯川 淳一 井村 岳男 阿部 芳久 Keith M. Harris
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.185-188, 2009-11-25 (Released:2009-12-16)
参考文献数
26
被引用文献数
5 8

In June 2005, an unidentified species of Dasineura (Diptera: Cecidomyiidae) that induced leaf-fold galls on cultivated roses was found in a greenhouse in Heguri, Nara Prefecture, Japan. Similar Dasineura species have been known to occur in Japan on two wild roses, Rosa multifolia and R. rugosa. In Europe, rose leaf midge, Dasineura rosae, induces leaf-fold galls on both cultivated and wild roses. In order to confirm the phylogenetic relationship among Rosa-associated Dasineura species, we analyzed a partial region of the mitochondrial DNA cytochrome oxidase subunit I (676 bp) gene. The nucleotide sequence of the Dasineura species collected from cultivated roses in Nara was identical to that of gall midges that induced leaf-fold galls on wild R. multiflora in Nara and Kyoto Prefectures, Japan. However, D. rosae and Dasineura sp., which are associated with R. rugosa, were phylogenetically distinct from them. This indicates that the Dasineura sp. associated with wild R. multiflora has invaded the greenhouse in Nara Prefecture and infested the cultivated roses.
著者
片井 祐介 石川 隆輔 土井 誠 増井 伸一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.1-6, 2015
被引用文献数
13

温室メロン栽培の重要害虫であるミナミキイロアザミウマに対して,メロンの播種直後からLED電球による赤色光(波長620-630nm)を1×10 18photons・m-2・s-1の光強度で照射したところ,成幼虫数は24時間連続照射区および昼間12時間照射区で無照射区と比較して有意に少なかった。また,ガラス温室において定植後のメロン株に赤色光(同上)を光強度4.7×10 18photons・m-2・s-1の光強度で照射したところ,成幼虫数は赤色照射区が無照射区より有意に少なかった。また,ビニールハウスにおいて定植後のメロン株に赤色光(同上)を1×10 18photons・m-2・s-1で照射したところ,成幼虫数は赤色照射区が無照射区より有意に少なかった。これらのことから,温室メロン栽培において,赤色LED光の照射はミナミキイロアザミウマの防除に有効であると考えられた。
著者
棚原 朗 桐原 成元 垣花 廣幸
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.245-250, 1994-11-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
12

To evaluate the effect of chilling on mass-reared melon fly, Bactrocera cucurbitae COQ., groups of adult flies were exposed to 3, 0.5, -2.2 and -3.5°C for 6, 12, 24 and 48h. The recovery and longevity of adult chilled for less than 24h at about 0.5°C was not adversely affected. A special container for chilled flies, which was able to keep the temperature below 10°C for 4h, was designed for their long-distance transport. The longevities of flies using aerial distribution by helicopter and hand release on the ground using the chilled transport container were compared with direct release from an emergence box without chilling at Miyagi Island in Okinawa Prefecture. There were no significant differences in longevity between the three release methods.
著者
照屋 清仁 大石 毅 鶴井 香織
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.32-35, 2017

<p>Prevention or reduction of infection by the neogregarine parasite <i>Farinocystis</i> sp. is indispensable for effective mass-production of the West Indian sweet potato weevil <i>Euscepes postfasciatus</i>(Fairmaire). The established method of weevil collection, coercively drawing weevils from the larval rearing cage, was suspected to increase the risk of breaking infected individuals, which causes horizontal transmission of the parasite to uninfected individuals. Here, we developed a novel collection method in which the weevils were permitted to spontaneously leave the larval rearing cage. The significant decrease in infection rate and the significant increase in the fecundity of weevils collected by the novel method suggested that this method may improve the mass-production of weevils.</p>
著者
内田 一秀 後藤 千枝 務川 重之 光永 貴之 鈴木 芳人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.157-164, 2009-11-25 (Released:2009-12-16)
参考文献数
27
被引用文献数
1

The relationship between larval instar and head-capsule width in Helicoverpa armigera (Hübner) was examined in laboratory-reared and field-collected insects from Ibaraki and Yamanashi in eastern Japan. Each of the first three and each of the last three instars could reliably be distinguished using head-capsule width for both strains fed on an artificial diet. In the laboratory, 91.8% of larvae from Ibaraki had five instars, and 8.2% had six or seven instars, while 36.1% of the larvae from Yamanashi had five instars, and the rest had six instars. Pupation occurred when the larval head-capsule width reached about 2.6 mm, and the development time for each instar was independent of the total number of instars. Consequently, head-capsules were typically larger at each instar for larvae with fewer instars. The distribution of head-capsule widths in larvae obtained from sunflowers in Ibaraki showed peaks corresponding to the first, penultimate, and ultimate instars of laboratory-reared larvae. However, the widths supposedly representing the second and third instars were smaller than those found in the laboratory, suggesting that H. armigera larvae molt more times in the field than in the laboratory and require a longer time to complete development on sunflowers. These results may enable improvement of H. armigera forecasting and insecticide bioassay tests.
著者
竹内 将俊 田村 正人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.221-226, 1993-11-25
被引用文献数
1 2

1) ウリキンウワバ幼虫のトレンチ行動を野外および室内で観察し,ククルビタシン,師管液,隠蔽との関連性について検討した。<br>2) 幼虫のトレンチ部位は,発育に伴って葉端から葉脈基部へ変化した。<br>3) 寄主植物に対する人為的な処理がトレンチ率へ与える影響を調べた結果,野外の自然状態の葉に対し,茎を切って水差し状態にした無傷の葉ではトレンチ率は低かった。<br>4) 師管液の量は野外状態の葉で多く,また茎を切って水差し状態にした無傷の葉では切断からの放置時間が長いほど少なかった。<br>5) 葉の表に細く切った紙を貼り,葉の強度を増した条件でのトレンチ率を調べたところ野外状態では100%のトレンチ率を示したが,室内において切断から2時間経った葉ではトレンチを描かずに摂食した。<br>6) ウリキンウワバ幼虫のトレンチ行動は,ウリ科植物の師管液に対する適応的行動である可能性が示唆されたが,師管液説,ククルビタシン説のいずれかに断定することはできなかった。
著者
杉本 渥
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.60-67, 1978-05-25
被引用文献数
3 12

久米島での不妊虫放飼実験のためのウリミバエ大量飼育法を設定するため,大量採卵法を検討した。<br>飼育個体群のとう汰を避けることに留意したが,野生の成虫は産卵開始が緩漫で,採卵能率上,とう汰して産卵前期間を短縮させることはやむを得なかった。しかし,従来は人工採卵器に適応させるためのとう汰も必要としたと考えられるが,筆者の採卵器はカボチャ果汁で濡らしたちり紙で内張りし,産卵孔を潤すことによって野生の成虫からもよく採卵できた。なお,この採卵器は内張り材料をポリエチレン網に変えることによって,使用方法を簡易化することができた。<br>成虫の飼料は蔗糖とたん白質加水分解物を分別給与するよりも,混合して与えるのが良いことを認めた。飼料のたん白分および飼育箱の収容虫数を多くすることは,成虫の排泄物による箱内の汚れを増して長期間の飼育採卵を困難にするが,短期間に多量に採卵する上には得策と考えられた。<br>試作大型飼育箱による採卵実験によって大量採卵の可能性を確認するとともに,小型飼育箱との比較から,飼育箱の成虫収容能力は箱の容積よりも内壁面積に比例すると推測した。この結果に基き,週450万個を採卵する方法を計画し,そのための成虫飼育箱を設計した。<br>今後の課題として能率面での改良のほか,個体群とう汰軽減の見地から成虫の液状飼料の使用方法を再検討すること,飼育個体群への野生虫の遺伝形質の補給手段,大量採卵用とは別に遺伝形質・習性保持のための飼育システムを設けることなどが重要と考えた。