著者
中村 孝 中張 淳平 町田 登 桐生 啓治 町田 昌昭
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.405-408, 1984-06-01

日本カモシカの剖検例5例の肝臓に槍形吸虫 (Dicrocoelium dendriticum) の寄生をみとめた。吸虫は胆管内に寄生し, 粘膜における上皮細胞の過形成および globule leucocyte の出現, 粘膜下織におけるリンパ球・好酸球の浸潤, 胆管壁における肉芽組織増殖および線維性肥厚がみられた。
著者
加世田 雄時朗 野村 晋一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.335-342, 1973-08-25
被引用文献数
1 1

From a mec.hanical point of view, tlte swimming movement of fish was studied claieflyby electromyograph. Investigation was also carried out on the function of the segmentalarrangement of the body muscle which is found in fish and other lowest vertebrate.A carp was restrained to a fish holder in the water-tank. Then tactile stimulationwas given to the whole body of the fish, from head to tail. Reflex movements were evokedby stimulation.(l) The stimulation to a selected point on the operculurm produced a body bendingreflex toward the contralateral side of the stimulation.(2) Tl?e stimulation to the base of the dorsal fin evoked a body bending reflex to-ward the same side of the stimulation.These reflex movements were analyzed by cinematography and electromyography.The muscles observed by electromyography were M. carinatus dorsalis, M. latero-dorsalis,M. latero-ventralis, and M. carinatus ventralis. Results from the electromyographicalrecords are summarized as follows.(I) When the operculum was stimulated, the largest burst was observed at Id 6of M. Iatero-dorsalis and lv 6 of M. latero-ventralis.(2) When the base of the dorsal fin was stimulated, the largest burst was observedat ld 4 of M. latero-dorsalis.The results of analysis of those reflex movements by cinematograplay and electromyo-graphy are summarized as follows.(l) The reflex movement which was evoked by the stimulation to the operculumwas the initial motion of backward swimming nTovement.(2) The reflex movement evoked by the stimulation to the base of the dorsal finwas the initial motion of forward swimming movement.(3) The independence of the activities and function of each myomere of the bodymuscle was an essential factor of the swimming movement of fish.
著者
鈴木 孝司 大久保 真人
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.59-67, 1977-02-25
被引用文献数
4

Each lung of the domestic animals, exclusive of the horse, is divided intothe cranial, middle and caudal lobes with an addition of the accessory Robe in the rightlung. This lobation is in agreement with that described by Ellenberger and Baum (1932),but not with that mentioned by Seiferle (1956).The horse has the uniform left and right lungs divided into two lobes, as mentionedby Sisson and Grossman (1954). Regardless of the external difference, the left and rightlungs of the horse have those structures which correspond to the lobar bronchi and lobarblood vessels present in the lungs of the other domestic animals. There are, however, thefollowing differences: (l) The cranial and middle lobar bronchi in both lungs of the horseconstitute a common trunk, as is formed in the left lung of the other domestic animals,and (2) the caudal pulmonary vein in the right lung which is an unbranched vein in theother domestic animals is composed of cranial and caudal branches that enter the leftatrium.From a comparative anatomical point of view there are no fundamental differences inlobar bronchi and blood vessels between the unlobated lung of the horse and the lobatedlung of the other domestic animals.
著者
谷村 一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.643-656, 1977-12-25

家畜の眼球について形態学的研究を行った. 採取眼球のうち馬16個, 牛28個, 山羊26個, 豚30個, 犬18個, 猫20個および兎28個の眼球については各部位を計測し,ー方, 残りの馬8個, 牛22個, 山羊14個, 豚18個, 犬20個, 猫26個および兎16個の眼球の各部について走査型電子顕微鏡による観察を行った. 各部位の計測値は動物の種類により特異的なものであった(Table 1). 走査型電子顕微鏡観察の結果では, それぞれの動物の種類において各部位に特徴的な所見が得られた. 虹彩顆粒は馬, 牛, 山羊のほかに, 豚や犬でも小顆粒が瞳孔縁全周に配列することが認められた. 毛様体突起は動物種によりその形態を異にし, 馬や牛では太く, 起始部は分岐しないが, 山羊や豚では高いものと低いものがあり, 犬や猫では低い突起が集まって櫛状を呈する. 毛様小体は種々な太さの線維束から構成され, その伸長径路も動物種間で差が見られ, 硝子体包に終止する部位は特異なV字型(牛, 山羊, 犬, 兎), 楔形(馬, 豚), 馬蹄型(猫)を呈した. 水晶体には動物間による構造上の差はみられなかったが, 水晶体線維面に多数の小孔の存在が確認された. 視神経円板は各家畜により形態を異にするが, 牛および山羊ではこの部位に硝子体突起の存在が認められ, その立体構造が明らかにされた.
著者
高鳥 浩介 一条 茂 小西 辰雄 田中 一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.307-313, 1981-06-25
被引用文献数
1

本邦における馬の皮膚真菌症の最近の発生状況については十分検討されていない. そこでわれわれは, 1978年に本邦でも馬の生産地として知られる北海道内での発生状況について, 臨床的ならびに真菌学的検索を行なった. 対象地域は北海道内上川, 日高, 十勝および北見の4支庁管内で, 軽種馬育成牧場と競走用輓馬を繋留している競馬場であった. 7軽種馬育成牧場での発病率は, 21.9〜100%であり, 対象牧場すべてに馬の皮膚真菌症発生を認めた. また, 3競馬場での発病率をみたところ, 8.6〜18.8%であり, いずれの競馬場でも本症の発生を認めた. 発病の時期をみると, 軽種馬では7〜9月の放牧期に多く, 輓馬では7〜10月の競馬開催時に多く, いずれも感染馬や原因菌で汚染された馬具との接触が発病に関係深いものと考えられた. 皮膚病巣の発生部位は, 育成馬では全身各所にわたることが多く, 輓馬ではゼッケンの装着部位である胸部から病巣が始まる例が多かった. すべての発病馬の病巣から共通してTrichophyton equinumが分離され, 本菌が発病の主な原因と考えられた. また一部の発病馬からは, Microsporum canisが分離された. M. canisの本症発生における原因菌としての役割については, 今後の検討すべき問題と思われた. 以上の成績から, 北海道おける馬の皮膚真菌症は定着した疾患となっており, また本病が全国的に認められるものと考えられた. したがって, 今後本病に対する適切な予防と治療対策が重要な衛生上の課題であると思われた.
著者
三枝 順三 上田 雄幹 後藤 義孝 藤原 公策
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.75-80, 1978-02-25
被引用文献数
2

A total of 945 adult dogs, 572 stray and 373 nonstray ones, collected fromTokyo area, were examined for Brucella canis infection and 27 (2.9%) cases were found tohave high titered agglutinin and/or the organism. With the exception of a colony of non-stray dogs showing a positive rate of 12.77., no significant difference in positivity rates wasseen between stray and nonstray dogs. Bacteremia was detected in 12 cases out of 459cases examined, and 9 positive cases had high titered antibodies. In 9 out of 11 autopsiedcases having high levels of agglutinin or positive blood culture, the organism was isolatedfrom the spleen, Nymph nodes, liver and male genital organs with high frequency. Amongthese cases carrying the organism, high titered specific agglutinins were usually resistantto 2-mercaptoethanol treatment, while low titered agglutinins, probably nonspecific, weresensxtuve.
著者
野村 晋一 茨木 弟介 白旗 総一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.135-147, 1969-06-25

ニジマスの心電図と呼吸運動を無線的に記録し,魚類の生態研究に新しい技術を導入することを企図し,その基礎的な実験を行なった.成績の概要はつぎの通りである.1)脊髄穿刺により不動化した後,開胸し,心表面誘導による波形を記録した.穿刺による出血は,従来の記載に反し,極めて微量であった.静脈洞,心房,心室波の波形はBAKKER(1913),KIscH(1948),OETs(1950),NOSEDA(1963)らの記載とほぼ一致した.この成績に基づき,ラジオ・テレメーターの入力として用いる心電図の誘導方法を決定した.この誘導法は,一種の胸腔内誘導であるが,電極装着後,2ケ月以上を経過しても生存した.波形は唾乳類,鳥類などと同様であったが,まれにBAKKERのV波を確認した.2)水温と心拍数の相関々係はおよそ直線的であった.水温の上下に比例して,心拍数は増減したく水槽内).3)中禅寺湖で水温の垂直分布に従って,計測した心拍数は温度の下降に比例して減少したが,水温の上昇に追従できなかった.実験槽で行った実験結果から考えられる適応時間を与えても同様であった.4) 中禅寺湖に放流したニジマスにつき,水深50m,水温4.3°Cまでの心拍数をFM式ビート・メーターにより計測した.水温の変化による心拍数の変動は,実験室内でえた成績とほぼ同様であった.5)養鱒池に放流したニジマスにつき,心拍数の日周変化を計測した.心拍数は早朝に少なく,午後ないし夜間に増加した.因みに水温は9.5°Cを維持していた.
著者
茅根 士郎 板垣 博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.665-670, 1977-12-25
被引用文献数
1
著者
大越 伸 北野 訓敏
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-PLATE II, 1966-02-25

昭和38年1月23日, 東京都下三鷹屠場において, ホルスタイン種, 3才牝牛の涙腺嚢から, T. rhodesi と異なる眼虫7隻を検出した. 可検虫体の各部計測値を測定した結果, 1928年ロシアの W. S. ERSCHOW によって報告された T. skrjabini の計測値とほぼ一致するのでこれを同種と同定した. わが国において牛の眼球から T. skrjabini が検出されたことは, まだ報告されていない. 次いで T. skrjabini の分布を知るため, 全国から牛が参集する芝浦屠場において, 17府県から集まった屠殺牛96頭の眼球を検査した結果, 2地区の牛(千葉県4頭, 茨城県1頭)から, 合計16隻の T. skrjabini を検出することができた. さらに昭和40年7月から10月にわたり, 東京都の八丈島と大島, 北海道の新冠種畜牧場, 茨城県の東京大学付属牧場における合計199頭の牛を, 生理食塩液加圧眼球洗浄によって検査した結果, 合計226隻の眼虫を得た. そのうち35隻(15.4%)が T. skrjabini であったので, 本虫はわが国においても広く分布していることが判明した.
著者
康 炳奎 輿水 馨 尾形 学
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.295-305, 1970-12-25

豚の伝染性萎縮性鼻炎(AR)の主体をなすと考えられるBordetellabronchisePtica感染豚の血清学的診断として,凝集反応が応用されうる可能性について,基礎的な検討を行なった.まず,AR由来および実験動物由来のB.bronchisePtica20株につき,抗原用菌株の選択と本菌の相変異の関連性をみるため,血液寒天上の集落形態と生物学的諸性状につき検討した.ついで本菌の家兎免疫血清,AR自然感染豚血清およびspr豚血清を用い,反応用抗原作成培地の種類,抗原の処理法,反応感作温度の影響,反応の特異性につき検討した.さらに,隔離飼育した自然感染豚を対象に,抗体価の推移と菌の分離状況を追究した.得られた成績を要約すると,次のとおりである.1. B.bronchisePtica菌株の相変異と生物学的諸性状の関連性は,血液寒天上の集落形態および溶血性と,従来本菌属の相変異判定の指標とされている酸凝集性,あるいは血球凝集性などについて,菌株間の相互関係に必ずしも一定した関係が認められず,また初代分離株からも明らかにIII相菌と判定された菌株が検出されたことから,凝集反応における抗原用菌株の選択には,慎重な検討が必要であることが明らかにされた.2. B.bronchisePticaI相菌のトリプトソイブイヨン24時間培養生菌液を用い,直接,可検血清を希釈し,56°02時間感作,4°C24時間後に判定する゛′Boui110n法"が,反応の特異性および鋭敏度において,比較的すぐれた結果を示した.さらに自然感染豚血清とB.bronchisePticaを用いての吸収試験の結果,本反応の特異性が確認された.3・ 隔離飼育されたAR自然感染豚2群19頭の豚につき,凝集抗体価の経時的推移と菌分離の関係を,約3カ月にわたって追究した.本反応による凝集抗体(1:10以上)は,生後約20週(約4カ月)ごろより検出される傾向があり,と殺時に病変(甲介萎縮)および凝集価(40~10240倍)が認められたが,実験期間中B.bronchisePticaが検出されなかった2頭の豚では,凝集抗体価の上昇は全く認められず,また病変も陰性であった.このことから,野外例におけるB.baonchisePtica感染保菌豚の摘発に,本反応が応用されうる可能性が示唆された.
著者
安川 正敏 長野 慶一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.135-PLATE II, 1960-04-25

白レグの成鶏(♂)に, Ta^<182>の0.05〜1.5μc/g を皮下注射し, 血漿蛋白分屑に及ぼす影響を中心に追求し, つぎの結果をえた. 1. Albuminが減少した. 投与量の多い,1.5μc/gおよび0.5μc/gにおける減少は特に顕著で, Albumin peakがφ位成分あるいはγ Globulinのそれよりも低いPatternを示した. 2. Albumin減少に対し, 相対的に増加する分屑は一定してない. 3. 血球像の変動としては, 赤血球および白血球(特にHeterophylic L.)の増加が所見された. 4. Ta^<182>は肝, 肺に最も多く蓄積し, 脾, 腎がこれにつぐ.