著者
〓 志宏 伊藤 崇博 大野 勝久
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.220-227, 2002-08-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
18

3次元箱詰め問題(three-dimensional container packing problem)は, 様々なサイズの荷物をコンテナ(トラック)に詰め込み, コンテナ(トラック)の空間利用率を最大化する組合せ最適化問題である.現実問題においては, 空間利用率以外に積み荷安定性とX-Y軸の回転も考慮しなければならない.本論文では, この現実問題を対象に, 独自の手法に基づいたメタヒューリスティックスを提案する.数値実験により, 本解法をベンチマーク問題に適用し, 公表されている最良解との比較により提案手法の有効性を示している.
著者
フランク ビョーン エルバス トッリコ ボリス 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.201-209, 2013-01-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
17

グローバルな競争が加速される中,ホフステードによる国の文化次元とそのスコアによる消費者態度への影響の研究が多くある.日本人の文化的特徴として不確実性回避が高く,それがCS(顧客満足度)等の品質評価について厳しい態度に結びついていることが知られている.しかしながら,それは国の平均値としての傾向であり,消費者個人の文化性向としての不確実性回避の影響については必ずしも明確な結論は得られていない.そこで,本研究では,10の製品・サービスを対象とした消費者のCSおよびその先行要因指標(知覚品質,知覚価値,企業イメージ)と不確実性回避の文化性向を測定することによって,不確実性回避の消費者態度の影響メカニズムの解明を目指すものである.その結果,不確実性回避は直接CSに影響を与えるよりも知覚品質等の先行要因指標を通して間接的に負の影響を与える,さらにその傾向はサービスよりも製品で顕著であることを示した.このような結果は,個人の文化性向が市場セグメント変数として有効であるとの新たな知見を与えるものである.
著者
三川 健太 後藤 正幸
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.335-347, 2016 (Released:2016-02-16)
参考文献数
24

入力データの統計的特徴を考慮した距離計量を学習するための手法としてDistance Metric Learnig(以下,計量距離学習)が提案されている.計量距離学習では,適切な制約条件のもとで,繰り返し法による最適化問題を解くことにより最適な計量行列を学習する.しかしながら,一般的な計量距離学習手法では繰り返し毎に固有値分解を行うアルゴリズムを採用していることが多く,学習データの次元数が増加した場合には計算量が大幅に増加し,現実的な時間で最適解を得ることが難しい.また,これらの手法では学習データ全体に対し唯一の計量行列の存在を仮定しているため,学習データの統計的特徴を考慮することが難しいという問題点も存在している.これらの問題点を改善するため,本研究ではカテゴリ毎に複数の計量行列の存在を仮定し,その学習方法について提案を行う.各カテゴリの計量行列導出時にはカテゴリ間の特徴の差異を考慮した定式化を行うとともに繰り返し法を用いずに最適解を得る方法についても述べる.提案手法により得られた計量行列は各カテゴリの統計的特徴を保持していると考えられるため,これらの情報を活用したデータの分類方法についても提案を行う.提案手法の有効性を,低次元密なデータセット,ならびに高次元スパースなデータセットを用いることで示す.
著者
斎藤 真 大西 範和 加藤 象二郎 宮尾 克 長江 拓子 池浦 良淳 水谷 一樹
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.10-16, 2007-04-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2

本研究は,作業負担の少ないノートパソコンの設計要件確立を目的に適切なディスプレイの高さについて作業姿勢と筋電図から検討したものである.ディスプレイは10.4インチ液晶,高さは床から800,900,1,000mmの3条件,作業は入力およびゲームの2条件とした.10人の被験者に対し,視距離,視線角度,頭部角度,頸部角度および右三角筋,右僧帽筋の筋電図が計測された.視距離は,ディスプレイが高くなると短くなった.視線角度は,ディスプレイ高に関係した.頭部角度は,高さと作業内容に依存した.筋活動は,頸部僧帽筋において入力作業で大きく,ディスプレイが低い場合も大きかった.以上よりディスプレイは本体と分離し,高さは1,000mmを基準として各自の身体特性に合わせて調整することを推奨する.
著者
池本 駿 鈴木 秀男
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-9, 2019-04-15 (Released:2019-05-15)
参考文献数
29

文部科学省が2014年に実施した調査によると高等教育中退者は約8万人である.しかしながら,高等教育中退後の就職,転職等のキャリアパスに関して個人レベルでの分析は焦点があてられてきていないのが現状である.本研究では,個人レベルでの調査・分析を指向して,2018年1月にWebアンケートを行い,調査時点で就業している高等教育中退者と高卒労働者の323サンプルを集めた.質問項目には初職の就業形態・現職の就業形態・2017年度の年収に加え,高校時代・高等教育時代・家庭背景等を含んでいる.条件付確率を用いたベイジアンネットワークにより高卒労働者と比較することで高等教育中途退学が就業形態や賃金に与える影響の因果関係を明らかにした.
著者
仲川 勇二 施 學昌 阿辻 茂夫 木村 作郎 仲川 希
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.17-22, 2010
参考文献数
11

本論文で,二目的多制約非線形ナップザック問題(変数分離形離散最適化問題)に対して意思決定者が希望する領域の有効解(パレート最適解,非劣解,または非優越解とも呼ばれる)を"厳密"に列挙する解法を提案する.ここで言う"厳密"とは,1)有効解であることが厳密に保証されていることと,2)隣り合う有効解の間に厳密な意味で欠けがないことの二重の意味である.1)に関しては仲川・疋田の定理を用いることで,2)に関しては2個の有効解によって形成される長方形(有効矩形)(Visee等の拡張)を含む領域内のすべての実行可能解を列挙することで有効解を欠けることなく"厳密"に列挙可能である.本解法の効率性を確かめるために二目的0-1ナップザックテスト問題を用い,実用規模の問題が実用的な時間で解けることを報告する.
著者
松井 正之 内山 広樹 藤川 裕晃
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.139-145, 2005-06-15
被引用文献数
3 2

オンデマンドSCM環境下では,チェーンにおける在庫の適正水準をオンラインに管理することが,過剰在庫で売れ残りを抱えることや品切れの機会損失を減らすために必要である.特にPCなどの短サイクル製品においては,部品や製品の発注が多段階に影響し,生産・流通段階の各拠点で把握できる在庫変動をリアルタイムに捉えて迅速に対応することが必要である.それには,需給系列の変動を迅速に検出する機能が必要である.本研究では流動数図表上で,新聞売り子問題により設定された移動基準在庫量(インディケータ)を,累積和管理図のVマスク法で継続的にチェックしてアクション(投入)を行う管理法を開発した.この開発は,PCを流通しているA社の倉庫を対象に行われ,約42%の累積在庫削減が得られた.
著者
松本 義之 和多田 淳三
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.209-217, 1998-10-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

規則性を見出しにくいデータを予測する方法に, カオス理論に基づく時系列データの短期予測がある.これは, 従来ランダムに推移すると思われていた時系列データをTakensの埋め込み定理を用いてアトラクタを多次元空間に再構成することにより, 短期予測を可能としている.しかし, ランダムプロセスと異なる幾何学的性質を持つ時系列データでも, 低次元のカオス性を示さない時系列データをカオスで予測することは困難である.そこで, 本研究では, それに関連する別の時系列データを同時に埋め込むことにより, 予測を行いたい時系列データのカオス性を抽出し, 予測精度を向上させることを目的としている.また, 本手法の有用性を示すため, 東京証券株式市場の日経平均株価の短期予測についてシミュレーションを行っている.
著者
曹 徳弼 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.321-330, 1998-02-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は多期間配送スケジューリング問題において, 車両台数や時間(資源)を一定にしたもとで, その利用率を最大にすることにより在庫や欠品削減を図る資源利用率最大化問題を提案するものである.具体的には1つのデボがN個の小売店に商品を供給する場合の多期間配送計画問題を考え, 週末に需要が高くなるような周期的に変動する需要に対して, 与えられた資源の利用率を最大化するとともに, 小売店における在庫水準と欠品率を最小限に押さえるための多期間配送計画モデルを構築し, その解法を提案した.提案したモデルおよび解法の有効性を検証するために, 自動販売機の実データとFTPサイトからのテストデータを用いて現状法および従来法を比較対象に数値実験を行った.その結果, 時間の利用率は最大99.67%まで上げるとともに, 平均最大在庫, 平均在庫, および欠品率を最大17.35%, 25.7%, および14.77%それぞれ削減でき, 資源利用率最大化の効果が表れた.
著者
津村 拓海 齊藤 史哲 石津 昌平
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.161-170, 2017 (Released:2017-11-15)
参考文献数
18

技術情報の複雑化・多様化に伴い,専門知識が異なる技術者や意思決定者の間で技術傾向に関する情報の共有が難しくなっている.こうした中で近年,テキストマイニングに基づいたパテントマップが注目されており,これを用いることで特許データから技術に関する知識の抽出・可視化が実現されている.本研究は,複数の分野を跨いで実用の可能性に富む技術に関する情報の可視化およびそれらに関する知識抽出を行うものである.提案法では出現した単語の情報を属性とし,技術分野などに関する情報をクラスとしたランダムフォレストの学習結果の内部モデルに対する解析を通じて知識抽出を行う.知識抽出にあたり,ランダムフォレストの内部モデルから特許文書間の類似度行列を作成し,多次元尺度構成法によるマッピングを行っている.ここで得られた出力結果に対してカーネル密度推定を施すことによって,適用領域を考慮した文書ベースのパテントマップが構築できる.また,非負値行列因子分解により,単語の類似性に基づいて次元縮約することでランダムフォレストの内部モデルの解釈を与えた.分析対象にはWeb上に公開されている特許に関する文書データを用いて分析を行った.
著者
髙野倉 雅人 三田 博也 峯垣 淳平 戸塚 健一
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.261-271, 2016

<p>加齢による歩行機能の低下を補う歩行車に制御機能を組み入れ,歩行支援機能を高めた製品が開発されている.本研究では,センサとモータによるロボット技術を搭載した歩行車の歩行アシスト効果を,歩行速度と歩行車に作用する加速度,ユーザの筋負担の観点から検証した.70~81歳の高齢者を対象に,ロボット技術搭載歩行車と従来製品を用いて,2つのハンドル条件で,上り坂,平坦路,下り坂を歩く実験を行った.人力に加えてロボット技術による推進力や制動力が付加されることで,上り坂だけでなく下り坂でも歩行速度が速くなるが,下肢や体幹の筋負担を軽減させていた.坂道などでの歩行をサポートすると同時に,身体負担を軽減させる効果のあることがわかった.</p>
著者
小野 道照 野渡 正博
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.61-70, 2002
参考文献数
15
被引用文献数
3

フラットな組織によるチーム・マネジメントが注目され, チームワークの重要性が再確認されている.本研究では, 産業界における実態調査に先立って擬似経営活動としての経営シミュレーションに着目し解析を行う.各チームにおけるチームワークの認識度と経営業績の関連性について考察し, チーム構成員の組織構造の差異を確認することを研究目的とする.結論としては, 次の仮説が採択され今後の実態調査の指針となった.仮説: 高業績チームは, 低業績チームよりもチームワークに対する認識は高い(平均値の比較).仮説: 高業績チームは分岐階層型であり, 低業績チームは分派型の組織構造である(クラスター分析).
著者
久宗 周二 岸田 孝弥
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.183-189, 1997
参考文献数
15
被引用文献数
2

自動販売機は, 日常生活で多く利用する機械の一つである.利用者が買い間違えた等のエラーが起こるが, 機械を購入するのが設置業者であるために, 利用者の意見が自動販売機の製造会社まで反映されないことが多い.そこで, 人間の行動特性を研究し, 自動販売機を改善する必要がある.はじめに, 自動販売機導入による利用者の行動の変化をモデル化し, 利用者に新たに加わった負担について研究を行った.次に, 自動販売機を利用しづらい年代である高齢者の利用頻度が多い駅の自動券売機で, 4,407人の利用者の行動を調査した.その結果.年齢別, 性別のエラー時の行動特性が観測された他, エラー後の対処の方法についても, 年齢によって特徴的な行動がみられた, それらの実態をふまえて自動券売機の表示の改善を行い, 3,817人の行動を調査した結果, エラーの低減, 及び利用者の行動に変化がみられたので報告する.
著者
石川 裕 坪根 斉
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.180-188, 2001-08-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
11

本研究は, 同一の製造設備を用いて見込品と注文品を生産する見込・注文複合生産システムを対象に, 見込品と注文品の製品設計の違いが製造のパフォーマンスにどのような影響を与えるかについて研究している.まず, 複数の機械が連結する多段階製造工程において2階層からなる階層型生産計画システムを構築し, 上位計画では能力余力を設定するための政策変数を, 下位計画では見込品と注文品の生産量を決定するための政策変数を導入する.様々な製品設計の違いが条件として与えられたとき, これらの政策変数が見込品の品切れ率および注文品の平均リードタイムに与える影響を明らかにし, 見込・注文複合生産システムを設計するためのガイドを提供している.
著者
Suriati AKMAL Rafael BATRES
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2E, pp.303-316, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
38

The representation of knowledge of manufacturing processes plays a key role in the reuse and sharing of knowledge in areas such as product design and process planning. One common approach for knowledge representation is ontologies. Ontologies are formal models that use mathematical logic to disambiguate and define classes of things. The reasons behind this are twofold. First, ontologies have the ability to be integrated with automated reasoning applications. Second, ontologies are also useful for enabling knowledge sharing between different knowledge-based applications. However, in the absence of systematic methods for their design, most ontologies are developed in an ad-hoc manner. This paper presents a methodology for developing manufacturing process ontologies, which combines formal concept analysis with a set of criteria for characterizing classes of processes. The application of the proposed methodology is illustrated with a case study on the development of an ontology for machining processes.
著者
Shinji INOUE Shigeru YAMADA
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4E, pp.406-415, 2016 (Released:2016-03-05)
参考文献数
26

Considering an actual software testing phase, we have no doubt that the software reliability growth process depends on test environment factors, such as testing coverage, the number of test-runs and debugging skills, which affect the software failure occurrence or fault detection phenomenon in the testing phase. In this paper, we propose a software reliability modeling approach that considers the effects of the testing environment factors based on a program size that depends on a discrete binomial-type software reliability model which is consistent with software reliability data collection and enables us to consider the effect of the program size. Finally, we compare the accuracy of our model through a software reliability assessment of our model with the existing corresponding model by using actual data.
著者
小野 勉 宮崎 茂次 金川 明弘
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.218-226, 2005-08-15

人が移動するとき、人全体の移動の効率をあげるには、どのような対策を施せばよいかを考察する。まず、人と物の移動を、それぞれ体系的に整理し、その後、人が移動するときの移動補助手段を有効活用するための課題を述べる。移動補助手段の利用効率を上げるには、その需要をなるべく小さい誤差で予測し、それに合わせた効率的な供給が実現できればよい。本論文では、人流の移動補助手段の需要予測を説明する数理モデルを提案し、その精度について検証する。また、その数理モデルによる需要予測の説明変数には、日付、曜日、時刻のような時間的な要因、天候、風速、風向、気温、また湿度のような気象要因、住宅地や工業地や商業地や夜の飲食街のような地域要因、交通事故、交通規制、イベント(各種の祭、店舗の開閉店、入試、卒業式、入学式、学会など)のような突(単)発要因などが考えられる。数理モデルを作成するにあたり、これらの要因の有効性を実在するO市のタクシーの輸送履歴について検証することにする。
著者
大崎 紘一 〓 恰虹 李 貞子
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.365-373, 1999-02-15

本研究では, 地域の活性化に重要な役割を果たしている地域産業の経済的意義を定量化するため, 基本となる地域産業構造, 産業および住民の納税額, そして, 自治体からの地域社会への歳出額を基本要素とし, それらの間に対数線形関係を仮定した地域産業-生活関連モデルを提案する.まず, 地域に立地する製造業の基本特性は, 業種の多様性および業種別の従業員1人当たりの付加価値額を用いて示す.次に, 産業の地域社会への経済的貢献の程度は, 3大産業, 10大産業分類の従業員数と市町村税との間の対数線形関数で示す.さらに, 地方自治体の地域への施策が地域社会に直接関係していることから, 歳出項目と歳入項目との関係を対数線形関数で示す.そして, 中国地方と四国地方9県のデータを用いて提案しているモデルの妥当性を明らかにする.
著者
Kento IGARASHI Tetsuo YAMADA Masato INOUE
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2E, pp.293-302, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
14

To promote a closed-loop supply chain for assembled products, disassembly systems are required to recycle End-of-Life (EOL) products. To increase the total recycling rate of products in disassembly systems, it is desirable to keep rather than destroy parts since disassembly costs are increasing. Therefore, a disassembly system design should be considered based on selecting parts for disassembly in order to minimize the recycling cost while maintaining the recycling rate. On the other hand, since the precedence relationships among disassembly tasks also change according to the parts selection, it is required to consider allocation of the tasks in designing a disassembly line. For the disassembly system design, it is also necessary to have disassembled product information such as the recycling rate and profit of each part, disassembly task times and precedence relationships among the disassembly tasks. This study proposes a disassembly system design with environment and economic parts selection, which balances the recycling rate and cost using the Recyclability Evaluation Method (REM) developed by Hitachi, Ltd. The first step is to optimize the environmental and economic parts selection with integer programming, and the second step is line balancing to reduce the number of stations. Next, a design example is shown and discussed by preparing a 3D-CAD model for a computer and a cleaner. Finally, product and line evaluations are carried out by comparing four scenarios; namely 1) all parts disassembled, 2) maximum recycling rate, 3) minimum recycling cost and 4) balance of recycling rate and cost. It is demonstrated that the recycling cost is reduced as a result of maintaining a higher recycling rate and that the number of work stations and the smoothness index are also improved through use of environmental and economic parts selection.
著者
古賀 史子 福田 平八郎 松尾 哲子
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.282-291, 2002-10-15
被引用文献数
3

今日サービス供給の仕方が自給から外部依存へと推移してきており, その一つの要因として質の高いサービスが求められるようになってきたことがあげられる.しかしながら, サービス企業の品質評価に関する一般的な指標は未だ得られていない.そこで, われわれはサービス企業の品質を評価する手法の開発を目的として, 次のことを行った.(1)製造業に最も近いサービス業としてクリーニング企業をとりあげ, 顧客属性の最低要求水準を稼働率のある上限という最小コストで評価するという論点から, 福田の"相対的期間利益と稼働率の理論的関係"のノウハウを活用することにより, 品質面の相対的収益性(品質力)とその理論的標準値を求める.(2)品質力と標準的稼働率の関係を理論的に導き, 標準的稼働率をパラメータとして品質力と相対的期間利益の関係を求め, これらの妥当性を白洋舎の実績資料により検証する.(3)品質力の理論的標準値と標準的稼働率を用いて, クリーニング取次手数料率の理論的標準値の算出式を与え, それによる試算が現実を反映しているかをみる.その結果, サービス企業の一般的に比較可能な品質評価指標(品質力)とその標準値が得られた.