著者
松尾 哲子 古賀 史子 福田 平八郎
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.323-328, 2002-10-15
被引用文献数
1

In Japan, transition to a few-children, old-aged society and a nuclear family society is escalating. According to a white paper on the old-aged society, in a comparison of predicated family composition in 2020 with that in 1995, the number of households where the age of a householder is over 65 will increase from 8.67 million to 17.18 million, and senior people living alone will also sharply increase to 5.36 million, 2.5 times that of 1995. In the meantime, senior citizens as well as regional retail stores themselves are calling for the survival and revival of regional retail stores, whose decline is being affected by the advance of large stores. Under such circumstances, survival measures for regional retail stores aimed at "construction of regional environment to enable senior people to live spiritually rich lives" and "assistance to home-bound care assistance centers" are now attracting public attention. In this paper, the authors have conducted the following action for obtaining a new method to meet this target. A "customer visit and home delivery" trading method is extracted from the role of regional retail stores in the old-aged society, and a cooperation network based on a rotational duty system is constructed by applying the above role to the needs of senior people, by making best use of fundamental features of Japanese-style management. As a result, a framework that enables the utilization of capacity available for conducting customer visits and home delivery without generating new costs has been constructed.
著者
早川 知道 伊美 裕麻 伊藤 孝行
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.317-326, 2016

日本のOpenStreetMap(OSM) は活発な活動により多くの成果物が作成されているが, 持続可能なコミュニティとなり多くの社会活動に成果物を活用するためには, 様々な課題がある. 本稿では, 日本のOSMの現状分析を行い, 今後の課題を明確にし, 日本のコミュニティに問題提起するための検証をした. 最初に, 成果物数と貢献者数について日本とOSM先進地域で比較調査分析し, 日本のOSMの現状と課題を明確にした. 次に, OSMの品質の要素である, 成果物の粒度について調査した. 調査の結果, 貢献者をいかに定着させるか, さらには, 新たな貢献者をいかに増やすのか, が日本のOSMコミュニティの課題となった.
著者
熊坂 治 鈴木 定省
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.219-226, 2014 (Released:2014-11-14)
参考文献数
14

知識データを有効活用するために,対象分野の情報を体系的に集約したポータルサイトが普及している.これを効果的に機能させるためには,検索や参照を経由したユーザーからのアクセスを活性化することが重要である.本研究では,経営工学的情報提供を企図したポータルサイト「ものづくり革新ナビ」を事例として,サイトへのアクセス数に影響する要因を検証することで,集合知メカニズムを活性化するための指針を得ることを目的とする.事例調査の結果,サイト内におけるコンテンツ数の増加や,Facebook,メールマガジンによる情報発信がサイトへのアクセス数増加に結びついていることが検証された.またいずれの方策においても,コンテンツ内容が訪問者に有用であることの重要性が示唆されている.
著者
天明 翔太 伊東 哲史 早坂 弘達 松本 俊之
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.98-109, 2014 (Released:2014-08-15)
参考文献数
18

深刻化する環境問題に直面している人類にとって,持続可能な社会を構築することは不可欠である.そのためには環境教育が重要であり,近年は学校などの教育機関でゲーム形式の教材が注目を集めている.しかし,既存の環境教育ゲームは教育者が教えたい環境教育内容を含んでいるとは限らない.そこで本研究では,教育者が教えたい環境教育内容を含んだゲームを容易に作成できるように,環境教育ゲームの作成支援システムを開発した.具体的には,スゴロクゲームを対象として,環境教育ゲームの作成手順を考案し,その手順の中で利用する環境教育内容としての環境情報をまとめた環境知識データベースを作成し,ゲームの骨組みとなる基本構造を設計した.これらを組み合わせて環境教育ゲームの作成支援システムを開発した.さらに,これらを用いて環境教育ゲームを作成および実施した.
著者
下村 良 三川 健太 後藤 正幸
出版者
Japan Industrial Management Association
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.51-60, 2014

近年の情報化により,企業は大量のテキストデータを蓄積可能となった.これらのデータからは様々な情報を抽出できる可能性があるため,データの効率的な分析手法が望まれている.これらのデータから情報を効率的に把握する方法としてその構造化が考えられ,既に様々な手法が提案されているが,全作業が人手によるため,その数が膨大な大規模テキストデータには適用できないという欠点がある.そこで本研究では,人手による分類手法に大規模テキストデータを扱う自動文書分類の技術を組み合わせ,大規模テキストデータの効率的な解析を支援する手法を提案する.また,ソフトウェア開発に関わる企業が保有する実データに適用し,その有効性を示す.
著者
下村 良 三川 健太 後藤 正幸
出版者
Japan Industrial Management Association
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.51-60, 2014

近年の情報化により,企業は大量のテキストデータを蓄積可能となった.これらのデータからは様々な情報を抽出できる可能性があるため,データの効率的な分析手法が望まれている.これらのデータから情報を効率的に把握する方法としてその構造化が考えられ,既に様々な手法が提案されているが,全作業が人手によるため,その数が膨大な大規模テキストデータには適用できないという欠点がある.そこで本研究では,人手による分類手法に大規模テキストデータを扱う自動文書分類の技術を組み合わせ,大規模テキストデータの効率的な解析を支援する手法を提案する.また,ソフトウェア開発に関わる企業が保有する実データに適用し,その有効性を示す.
著者
矢野 均
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.50-62, 2012-07-15

本論文では,多目的確率線形計画問題に対する確率最大化モデルと満足基準最適化モデルの特徴を同時に組み込んだ対話型ファジィ意思決定手法を提案する.確率最大化モデルでは,許容目的レベルを厳しい値に設定すると,許容目的レベル以下である確率が小さい値になるのに対して,満足基準最適化モデルでは,許容確率レベルを1に近い大きい値に設定すると,許容確率レベル以上の条件を満たす目的関数の値が悪化するという問題点がある.提案手法では,確率変数係数を含む各目的関数に対する許容目的レベルと許容確率レベルに対して,それぞれ,満足度を表すメンバシップ関数を設定した後,各メンバシップ関数をファジィ決定により統合したメンバシップ関数空間上で,対話的に満足解を導出するための対話型ファジィ意思決定手法を提案する.
著者
太田 貴子 田川 晋一 武岡 一成
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.364-373, 2006-12-15
被引用文献数
1

製品を発注する方式として,従来は定期発注方式や定量発注方式が用いられている.しかし,これらの発注方式は,劣化が早い弁当,野菜,ケーキ等の生鮮食品や,新聞といった製品には適さない.つまり,発注方式を決めるには製品特性を考慮しなければならない.本研究では,製品の特性として廃棄時間を取り上げている.廃棄時間は劣化の遅速により決まる.劣化の遅い製品は製品価値が変わらないので,ストック型コントロールを取ることができる.劣化の速い製品は製品価値が急速に変わるので,一般にスルー型コントロールをとる.このような製品は,売れ残ると廃棄処分されるため,時間と数量によって値引きが発生する.従来の発注方式の研究では,主にストック型コントロールが用いられている.そこで,本研究は製品劣化が速く,廃棄時間が短い製品を取り上げて,利益に基づいて最適発注量を算出する場合の基本式を,定価販売と値引き販売を含めて一般式として導出した.その結果,値引き販売の最適発注量を算出する基本式は,定価販売の基本式に修正項を加えるだけで構築できることが分かった.
著者
友廣 亮介 有薗 育生 竹本 康彦
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.519-529, 2014 (Released:2014-03-05)
参考文献数
15

従来,ロット品質はロット中の不適合品数や不適合品率といった計数特性に基づき評価されてきた.一方,不適合品率などの従来の計数特性に基づく品質評価基準に代わる新しい品質評価基準として,計量特性に基づく“品質損失”の概念がTaguchiにより提案された.これを受けて,Arizono et al.は品質損失に関する品質保証の観点にたった新しい計量規準型一回抜取検査を提案している.ところで,検査に要するサンプル数に関して,一回抜取検査でのサンプル・サイズからの削減を目的として,一回抜取検査に代わる繰返グループ抜取検査が考案され,近年でも盛んに研究成果が報告されている.この点に鑑み,本研究では,Arizono et al.による品質損失に関する品質を保証する新しい計量抜取検査の実用性の拡張を考慮して,品質損失に基づく計量規準型繰返グループ抜取検査の設計問題について考察する.
著者
鈴木 秀男 松尾 博文 アラウス リタ
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.28-39, 2009-04-15

近年,優良製造企業を中心に,日本の品質管理水準の低下を指摘,憂慮する声が頻繁に聞かれるようになった.経営環境の変化とそのスピード,価格競争の激化,商品サイクルの短期化などへの対応に企業活動の重点が移行し,経営トップの品質意識の低下,社内教育の縮小,現場管理者および従業員の数の縮小と品質改善意欲と能力の低下等を招いているとされる.一方で,品質はものづくりの中核的な概念であり,品質管理の基本に回帰し,この問題を再検討する必要があるとも認識されている.そのために,日本の品質管理の調査研究を実施することにより,現場による品質管理の現状と変化の認識を計量的に把握して,それらの水準の低下が生じているかどうかを実証し,どのような品質管理要素の向上を図るべきかを考察することは重要である.本論文では,2004年12月から2005年2月に東証1部上場企業の製造企業を対象にして品質管理に関するアンケート調査を実施し,品質管理基盤実践要素(例えば,経営トップのリーダーシップ,人的資源管理など),品質管理中核実践要素(例えば,製造プロセス管理)と品質成果の現状と中期的な変化について,現場認識の検証を行った.また,品質管理の基盤実践要素→中核実践要素→品質成果の因果関係の仮説モデルを仮定し,共分散構造分析に基づきモデル推定を行い,どのように品質管理実践要素が品質成果に影響を与えるかを検証した.さらに,品質成果に大きく影響を与える一方で,現状水準や変化の度合の低さが見られる品質管理実践要素を明確にした.これらの結果に基づき,品質管理のあるべき枠組みを再検討した.
著者
水山 元 淺田 克暢 山田 賢太郎
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.214-221, 2006-08-15
被引用文献数
1

多段階生産システムでの不良要因探索を支援するために,著者らは,多段階品質情報推移モデル(Multi-stage Quality Information Model:MSQIM)と呼ぶ,探索的データ分析のための新たなフレームワークを開発している.これは,製造履歴データの中に含まれている,製品の製造品質に関する情報が,工程を経るごとにどのように変化していくかに着目するものである.本報では,このMSQIMを実現するための一つの方法として,決定木分析を援用したアプローチを展開し,その適用例を示す.これは,対象生産システムの各工程に対応した複数の決定木を生成した上で,個々の決定木だけでなく,それらの間の関係にも着目することによって,不良要因に関する知見を得るものである.
著者
水山 元 淺田 克暢 山田 賢太郎
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.129-138, 2005-06-15
被引用文献数
1

多段階生産システムでの不良要因探索を支援するために,多段階品質情報推移モデル(Multi-Stage Quality Information Model:MSQIM)と呼ぶ,探索的データ分析のための新たなフレームワークを提案する.これは,製造履歴データの中に含まれている,製品の製造品質に関する情報が,工程を経るごとにどのように変化していくかに着目するものである.そして,一度の分析では不良要因や不良発生メカニズムの特定にまでは至らなかった場合でも,どの工程,設備などに焦点を絞ってさらなる分析を進めていくべきかについての指針が得られるようにする.本報では,MSQIMを実現するための一つの方法として,ロジスティック回帰を援用したアプローチを展開し,その適用例を示す.
著者
岩崎 日出男 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.176-183, 1999-08-15

本論文では, 人間の嗜好や感性の評価をセマンティック・ディファレンシャル(SD〉法をもちいて実施するとき, 評価者の判断のあいまい性をできるだけ少数のサンプルからその分散値で把握し, さらにその信頼限界を推定する立場で考察することを目的としている.そして, SD法に対するあいまいな分散の推定の適用例として, 男性用オードトワレの香りおよび1964年に開催された東京オリンピックのシンボル・マークに対する視覚感性データについて検証を行った.
著者
滝 聖子 大崎 紘一 宗澤 良臣 梶原 康博
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.302-311, 2005-10-15
被引用文献数
2

本稿では,一般的なロボットシステムに料理を行わせるために,料理作業をロボット料理レシピとして定式化する手法を提案する.まず,人間の料理レシピの内容と料理知識からロボット化するために,ロボット料理レシピとしてまとめるために,料理作業の内容を5項目(料理作業名,食材,料理内容,料理用具等及び生じる中間食材)で示し,その内容及び条件を示した料理作業詳細表(レベル1,2,3)を作成する.レベル1では料理レシピの人間の行う料理作業を目的によって準備料理作業,主要料理作業及び完成料理作業に区分(以下,料理区分作業という)に分類する.レベル2では料理区分作業をロボットが単一の食材,料理用具・食事用具・厨房器具に対して行う作業,及び,ロボットを使用せず厨房器具・料理容器によって単一の食材を変化させる作業(ロボット料理作業)に,レベル3ではロボット料理作業をセンサで状態を見ながらロボットに行わせる動作(ロボット料理動作),さらにロボットの行うロボット動作とセンサの行う感覚動作に展開して料理作業詳細表を作成することにより,ロボット料理レシピを作成する.そして,著者らの開発した料理ロボットシステムで,提案したロボット料理レシピを用いて実際に料理を作ることでその妥当性を示した.
著者
羽石 寛志 宇井 徹雄
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.460-466, 2000-12-15

近年企業におけるネットワーク・コンピューティング環境の拡充は, 仕事のやり方や組織の在り方, そして人の意織の変化にも影響を与えつつある, 技術システム(情報技術)と社会システム(人・組織)とのバランスのとれた発展のために, 利用者の視点を考慮した研究が強く要請されている.本研究では, 『グループウェアの利用が人・組織に与える影響に関する調査研究』として, 企業のシステム部門・人事部門・従業員を対象にアンケート調査を行い, 分析および考察を行った.特に本報告は調査研究の第1報として, 情報技術利用形態による仕事の変化を数量化理論III類とクラスタ分析などを用い分析・考察した結果を報告する.そしてその結果に基づき, 情報技術(グループウェア/イントラネット)利用の変化のモデルを提唱する.
著者
宗澤 良臣 大崎 紘一 梶原 康博 巽 雅彦
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.36-45, 2003-04-15

本研究では, 廃家電品の回収方法として, 家庭において分解, 分別を行い部品, ユニット毎に排出する分散分解を提案する.分散分解により, 集積場所には鉄, 銅, アルミニウムを多く含むグループに分別された部品等が集積されるため, 以降のリサイクルセンタで行われる分解, 分別の作業量の低減が可能となる.このことを説明するために, 廃家電品の排出以降の流れについて, 現在の回収方法と分散分解についてモデル化を行う.さらに, 家庭における分解, 分別を効率的に行うため, 部品に分解グループ, 分解箇所の表示を行うなどする分解ガイドラインを提案する.適用例では, 岡山市が平成13年4月から10月に戸別回収により回収した廃棄物一覧を基に従来の回収方法と分散分解を行った場合の作業量の比較を行った.その結果, 我々の試算では, 従来の回収ではリサイクルセンタにおいて9,238作業発生するのに対して, 提案法では廃家電品を排出する298家庭が30作業を分担すればリサイクルセンタでの分解, 分別はなくなった.また, 分解ガイドラインの情報の違いによる作業量の変化, 分別の誤りを実験により調べた.
著者
関 庸一 橋本 巧
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.192-198, 1996-08-15
被引用文献数
4

従来, CUSUM Testなどが用いられていた自動検査などにより得られる逐次データを対象とし, 各データが正規分布に従うと仮定できる場合について, 母平均及び母分散の変化を検出し, 変化後の値を特定するという母集団変化の検出問題を取り扱う.この問題にMDL(Minimum Description Length)基準を用いることにより, 変化の特定と, 母平均値及び母分散値の推定問題を一貫して取り扱う方法を提案し, その特性をCUSUM Testと比較して明らかにした.また, トレードオフ関係にある誤り検出確率と検出遅れを調整する方法を提案する.
著者
玉之内 直 猿渡 康文
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.382-389, 2004-02-15

本論文では, 政策資産配分を策定するための最適化モデルを構築した.政策資産配分とは, 厚生年金基金が資産運用を行う際に作成する, 資産配分のベンチマークである.政策資産配分の策定にあたっては, 年金運用の目的が加入員に対する安定的な年金給付を行うことであることを考慮しなければならない.本研究では, 政策資産配分の持つ実務的な意味と, 運用上の制約を考慮したモデルを作成した.提案するモデルは, 非線形制約を含む最適化問題である.これに対し筆者らは, 問題の構造を利用した実用的な解法を提案し, 最適解の近似値を算出した.また, 数値実験により, 提案する解法によって得られる解の実務への適用可能性を検証した.
著者
澤 貢 宇賀神 博 大久保 堯夫 芳賀 繁
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.202-210, 2001-10-15
被引用文献数
5

本研究の目的は運転時間の長さが運転士に及ぼす影響について, 妥当さと簡便さを併せもつ新たな質問票を開発することである.研究方法は一継続作業時間が100分, 200分並びに400分のシミュレータによる列車運転作業実験に適合した主観データを用い, 負担評価に表れた因子を分析するとともに, 抽出した各因子とパフォーマンスおよび生理・心理反応との関連性を検討した.実験課題は運転時刻表にしたがい最高速度140km/hの運転を行うことであり, 1区間23分の周回路線を5周, 9周または17周することにより, 運転時間が約100分, 200分, 400分となるように設定した.被験者は20歳から24歳の男子大学生計19名とした.研究の結果, 作業経過に伴う自覚感として, (1)眠気・疲労, (2)負担に抗する努力, (3)あき・集中困難の3因子の重要性を指摘した.「眠気・疲労」と「あき・集中困難」は作業継続に伴う蓄積された負担の抽出に, 「負担に抗する努力」は注意や努力の心的エネルギーの抽出に有効である.現場への適用を容易にするために, 前記3因子を代表する項目を各々2個, 計6項目からなる質問票を作成し, 提案した.
著者
松尾 哲子 村田 厚生
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.190-203, 2011-10-15

2007年9月の敬老の日に総務省が発表した65歳以上の高齢者数は,2,744万人であり,総人口に占める割合は21.5%となり,人口数,比率とも過去最高になっている.一方,居住域の郊外への転移やモータリゼーションの影響によって,郊外を中心に巨大な駐車場を備えた大型ショッピングモールが乱立し,さらにインターネット販売,カタログ通販やインターネット注文で,最寄りの店から品物を配達するネットスーパーも活発になり,地域の商店街は人通りも減少し,空洞化に歯止めがかからない.しかし,商店街は車を運転できない地域の高齢者や生活弱者の生活必需品購入の唯一の生活ライフラインである.本研究では,九州の玄関口である,福岡県北九州市若松区と戸畑区の2ヵ所の商店街の来街者のアンケート調査研究に基づき,今後の高齢者など生活弱者のライフラインとしての商店街の維持や地域活性化を促すための施策について検討する.