著者
大浦 宏邦
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.277-280, 2018 (Released:2019-09-28)
参考文献数
2
著者
大林 真也 瀧川 裕貴
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.99-108, 2016 (Released:2016-08-06)
参考文献数
2

今年で,数理社会学会は設立30周年を迎える.本稿では,これまで,数理社会学会機関誌『理論と方法』がどのような軌跡を辿ってきたのかを明らかにすることが目的である.そのために,『理論と方法』の1986年11月の通巻第1号から2015年11月の第58号までの記事を分析する.具体的には,この30年間で扱われてきたテーマ(内容)と方法についての特徴と変遷を明らかにする.分析にはトピックモデルを用いた.分析の結果,扱われているテーマも用いられている方法も大まかには2000年付近を境にトレンドが変化しているということが示唆された.また,テーマの変化と方法の変化は密接に関連していることも示唆された.
著者
太郎丸 博
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.277-278, 2020 (Released:2021-09-04)
著者
渡邊 勉
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.218-233, 2018 (Released:2019-09-28)
参考文献数
43

本稿の目的は,職業経歴の不平等の時代変化の特徴を明らかにすることである.これまで7回おこなわれたSSM調査の職歴データを分析した歴史研究は,ほとんどない.そこで本稿では,労働経済学における終身雇用,二重構造の研究を参照しつつ,社会階層論の枠組みで,1920年代から2000年代以降までの日本の労働市場の変化を分析した. 明らかになった点は以下の通りである.第一に,職歴の不平等は,1970年代半ばまでの入職者において小さくなり,その後大きくなっている.第二に,職歴の雇用安定性は,戦後1970年代まで大きくなっていき,その後若干小さくなる.また職歴の従業先安定性は,初職大企業のほうが中小企業よりも安定しており,初職ホワイトカラーのほうがブルーカラーよりも安定しており,時代による変化は小さい.第三に,通時代的に職歴パターンは,父職,学歴,初職職業,初職規模それぞれの影響を受けている.特に従業先規模は戦後影響が大きくなっている.まとめると,職歴の不平等は,まず戦前から戦後の社会,制度の大きな変化の中で,平等化が進んだ.その後終身雇用制度の浸透と共に,さらに平等化が進んだが,1970年代後半以降の入職者は,不安定な職歴が増え,不平等が進行した.
著者
富山 慶典
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.61-83, 1992

われわれの身の回りには、社会的マッチング現象が満ち溢れている。例えば、部屋割りやプロジェクト割当、プロ野球ドラフト会議、結婚、大学入試制度、ゼミナール配置、就職、人事異動現象などをあげることができる。最近、このような社会的マッチング現象に関する理論的研究が、ゲーム理論と社会的選択理論の枠組みの中で、社会的マッチング理論として様々に展開されてきている。本研究の目的は、『両側選好順序のもとでの「1-q型」社会的マッチング問題』の構造分析とその結果を踏まえた『社会的マッチング方式問題』に焦点を絞って、これらの社会的マッチング理論における成果を体系化することにより、残されている諸課題を、理論的課題、実践的課題、実証的課題に分けて論じることにある。特に、実践的課題と実証的課題については、本稿で体系化される理論的成果の含蓄を、現在社会問題となっている日本の大学入試制度に求めながら論じる。

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出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.159, 2020 (Released:2021-02-27)
著者
石井 健一
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.15-28, 1987-10-01 (Released:2009-03-01)
参考文献数
8
被引用文献数
7

Noelle-Neumannは、世論過程について「沈黙の螺旋状過程」として知られている仮説を提出している。この仮説は、各個人は世論の分布を考慮しながら、自分の意見を表明するかどうか決めるというものである。本論文では、この仮説に対して、M. Granovetterが集合行動のモデルとして提出した「閾値モデル」を基礎とし、これを世論過程に適合した形に変形してフォーマライゼーションを試みる。分析の主な目的は、世論の均衡分布についての吟味である。その結果、世論の潜在的分布の連続的な変化によって、顕在的な表明される意見分布がカタストロフィー的に変化することがあることを示す。また、対立する二つの意見集団について、それぞれの(1)順応性、(2)ハード・コアの存在の有無という点から世論の均衡点に及ぼす効果を分析する。
著者
小林 盾 能智 千恵子
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.70-83, 2016

この論文は,人びとが婚活(結婚のための活動)をするとき,どのような要因が結婚を促進したり阻害したりするのかを検討する.これまで,婚活について事例分析は豊富にあるが,計量分析がなかった.そこで,愛媛県の事業であるえひめ結婚支援センターを対象として,約4年間における登録者全員4,779人の推移をデータとした.結婚による退会のハザード率を従属変数としたイベント・ヒストリー分析をおこなった.その結果,(1)男性では,教育・正規雇用・収入という社会経済的地位が高いほど,結婚のチャンスが上昇した.女性では,これら社会経済的地位の効果がなかった.(2)年齢が若いほど,また結婚経験があるほど,男女ともに結婚チャンスが上昇した.(3)他に男性では,身長が高いほど結婚チャンスが上昇した.したがって,男性では働き方を中心とした地位(いわばスペック)が,女性では年齢が,結婚のおもな規定要因となっていた.実践的には,男女とも婚活をすこしでもはやくスタートさせることが重要であろう.
著者
赤枝 尚樹
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1-16, 2013 (Released:2014-09-01)
参考文献数
74

都市社会学ではこれまで多くの都市理論が展開されており,その中でも,C.S. Fischerの下位文化理論は現在最も有力な都市理論として位置づけられている.そこで本稿では,受賞論文を参照しながら,下位文化理論のもつ意義と可能性について考えてみたい.下位文化理論の意義と可能性については,(1)様々な国や時代への適用可能性の広さ,(2)都市社会学の議論形式を発展・精緻化する可能性,の2点が挙げられる.よって本稿では,それに対応して,第一に,下位文化理論の日本への適用可能性に関するより総合的な検討,第二に,下位文化理論の今後の展開可能性について議論する.そしてそのために計量研究の側から考えていくべきこととしては,社会調査やデータ分析の過程において,理論の再現可能性を高めていくことが挙げられる.
著者
今井 博之
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.199-210, 2001-10-31 (Released:2016-09-30)
参考文献数
16

合計特殊出生率が1.4をもしたまわっていることが表すように、近年の日本では少子化が深刻となっているが、その原因分析においては、女子労働に注目して出生力を出産・育児の機会費用と結びつける新家政学的接近が有力な位置を占めている。本稿は、その日本における有効性を検討することを目的としており、2つの観点のそれぞれから否定的な結論を導く。 第1に、バッツ=ウォード型モデルによる時系列分析を試みる。既存研究を概観して2つの式をとりあげ、いずれが表すモデルも1968-2000年の日本の合計特殊出生率に適合しないことを示す。 第2に、新家政学的接近が出生力と妻の労働力参加との負の関係を前提としていることに注目し、都道府県別データによるクロス・セクション分析を行う。出生力の指標としては1995年の「国勢調査」からえられる平均同居児数を用いる。既婚女子については有業の割合をとりあげて、さらに有業の既婚女子については正規雇用の割合をとりあげて分析を行い、出生力と妻の労働力参加との間にむしろ正の関係が観察されることを示す。
著者
志田 基与師
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.299-312, 2000-10-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
32
被引用文献数
1

権力を主題とする社会理論を権力理論と呼ぼう。権力理論は、理論であるからには現象を説明する能力をもとめられ、与件から被説明項である社会状態を一義的に演繹するものでなければならない。この性能は理論が備える法則的言明あるいはそれらの組から導出される命題が担っている。権力理論は、理論に備わる法則あるいはそこから導出される命題のいくつかが非対称的な決定(ディタミネーション)の形式となる社会理論のことである。この非対称な命題を権力命題と呼ぼう。このことはすべての変数が一般には相互に連関するという社会理論に持ちこまれた特殊な仮説であり、つねに無条件に成立することではない。非対称的な決定形式を持つ法則的言明が理論に含まれるとはどのような場合であるのかまたどのような条件のもとでそれは可能となるのか検討すると、権力は一つの理論体系の中でも多様なものでありうることが明らかになる。またそれらの可能性に応じて権力理論がどのようにして可能になるのかについて、いくつかの権力理論の一般性と特殊性とについて検討する。
著者
大澤 真幸
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.23-42, 1990-04-01 (Released:2009-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
3

我々にとっては、任意の事物・事象は「意味」を帯びたものとして現象する。(1)最初に、我々は、意味についての現象学的な規定から出発し、意味に対する志向性が、一種の選択の操作として記述できることを示す。選択の操作は、異なる可能性の排除と保存によって特徴づけられる。すなわち、ある特定の「意味」において対象の同一性が規定されたとき、対象の他なる同一性は排除されると同時に、可能なるものとして保存されてもいるのだ。(2)ついで、我々は、意味の概念と情報の概念を区別することによって、意味に向けられた選択の操作が、自己準拠的な構成を取らざるをえないということを明らかにする。このことは、対象の同一性が意味を通じて決定されるとき、同時にその対象が所属する世界の同一性が指し示されていることを含意している。しかし、世界と自己準拠的な選択の操作は、その根本的な単一性(孤立性)のゆえに、同定不可能なものにみえる。というのも、我々は、選択の操作や世界がまさにそこからの区別において存在するような「外部」を、積極的に主題化することができないからだ。(3)そこで、我々は、分析哲学が提起した、「志向的態度(信念)についてのパラドックス」を検討する。志向的態度についての言明は、意味を規定する選択の操作を言語的に表示するものである。我々の解釈では、パラドックスは、他者が存在するときそしてそのときのみ、世界や選択の操作の同定を可能ならしめる「外部」が、構成される、ということを含意している。したがって、意味は、ただ、他者の存在を根源的な事実として認める理論の中でのみ、正当に論ずることができるのだ。言い換えれば、意味は、本質的に社会的な現象なのである。
著者
近藤 尚己
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.21-34, 2013 (Released:2014-09-01)
参考文献数
40

疫学は,集団の健康状態を把握することに加え,健康の決定要因を探求することも重要なテーマとしている.近年,社会疫学により,社会階層や所得格差といった健康の社会的決定要因についての研究が進められ,階層間の健康格差が存在することは今や「確固たる事実」として認識され,様々な保健政策に応用されている.しかし,社会と健康との関係についての研究のアプローチについては,疫学とその他の社会科学とで異なる場合がよくあり,しばしば論争が行われてきた.疫学は疾病や死亡といった不健康の発生を予防する公衆衛生活動のツールであるという実学としての側面が強いことがその理由の一つとだと思われる.また,疾病の発生に関する生物学的・社会的なメカニズムが非常に複雑であることもその理由の一つであろう.社会の諸事象と健康との関連を扱う研究は,疫学をはじめとした医学系の研究者と社会科学者とによる共同作業で進めるべきであろう.
著者
櫻井 義秀
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.80-96, 2017

<p> 本稿では,近年の宗教研究とウェル・ビーイング研究のレビューを通して「宗教」と「幸せ」の関連を問う適切な問題設定を行うことを目的とする.この研究の難しさは,被説明変数としての「幸せ」のみならず,説明変数としての「宗教」も多様な側面を持つために,幸せのどの側面と宗教のどの側面との関連を考察の対象としているのか十分に自覚することなく,宗教は人を幸せにするかという高度に抽象的で哲学的な命題が議論されてきたことにある.したがって,本研究ではまず,宗教を宗教意識,宗教行為,宗教集団と制度の次元に分節化する社会学的方法論を示し,次いで,ウェル・ビーイングの多面的性質を論じたルート・ヴェーンホヴェンの研究を参照して,生活の機会と結果,生活の内的質と外的質の二軸から,生活の環境,生活満足感,生きる力と幸福感と類型化された「幸せ」の諸側面と宗教との関わりを検討する.そして,最後にヴォルフガング・ツァップフの考察を参考にして,「幸せ」の客観的指標と主観的評価が乖離する不協和と適応,および剥奪の状態においてこそ,宗教が「幸せ」を再構築する独特の機序があることを示そうと考えている.</p>
著者
佐藤 俊樹
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.151-170, 1988

理解社会学という方法は,社会学の最も古典的な方法の一つで,かつ,現在でも多くの社会学者が意識的または無意識的に用いている方法である。にもかかわらず,この方法はこれまで,理解をめぐる哲学的議論や学説史的な視点からのみ問題にされ,具体的な社会記述の方法として反省的に定式化され理論的に検討されることは,ほとんどなかった。本論考ではまず,理解社会学の方法を,Weber固有のジャーゴンを離れ,行為論の一般的な術語を用いて,公理系として捉える。そして,この公理系の検討を通して,通常全く自然な作業と思われている「理解社会学的に理解している」ということが実際にはどういうことなのか,その射程と限界について明らかにする。
著者
浜田 宏
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.183-198, 2006-09-30 (Released:2007-08-02)
参考文献数
23
被引用文献数
2

数理社会学者が解くべき問題を共有するためには、問題そのものへの共感以前に問題の可解性基準を共有しなければならない。本稿ではこの可解性の基準を「弱い経験的妥当性」として特徴づける。社会学は伝統的に、行為の意味を解釈するという方法で行為のプロセスと結果を説明しようと努めてきた。行為の意味を直接観察することはできないので、行為者の主観的意味の問題に過度に拘泥すると、理論の経験的な正しさを判定することが困難になる。したがって意味を仮定に組み込んだモデルの経験的な正しさは、仮定そのものではなく目的の社会現象のおおよその傾向がモデルから導出できているかどうかで判定すべきである。特に弱い経験的妥当性とは、モデルから導出されたインプリケーションが、説明対象である社会現象の大まかな傾向性と一致していることをいう。科学としての数理社会学は弱い経験的妥当性を満たすモデルを開発し続けることで発展する。
著者
小林 大祐
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.287-302, 2011 (Released:2012-09-01)
参考文献数
28

フリーターと社会階層との関連を指摘する研究は数多いが,量的な研究においてはその関連性についての知見は必ずしも一致していない.この理由のひとつとして,フリーターには幾つかのタイプがあり,そのタイプごとに出身階層に幅があるという可能性を考えることができる.もしそうであれば,なんらかの基準でフリーターを分類することで,フリーターのサブ・カテゴリーと出身階層の関連がより明確になるかもしれない.そこで,フリーターをしている「理由」に着目し、3分類したフリーターに対して出身階層が効果を持っているのかを検討した。その結果,本人の教育達成をコントロールしても「やむを得ず型フリーター」へのなりやすさには「15歳時財産得点」がマイナスの効果を持っていることが示された.この結果は,意に反してフリーターをせざるを得ない層において,経済的困難が学力の低下や学校への不適応につながったり,就職先未決定のままでの大学卒業につながったりすることで,職業への移行において不利になることを示唆するものである.また,フリーターとして一括りにされてきた若年パート・アルバイト層が,階層的出自について幅を持つものであり,従来の量的研究ではそれを一括りに論じていたため,出身階層の効果が見えにくくなっていた可能性を示すものである.