著者
佐々木 雅英
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.442-444, 1978 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3

顔面色素増多症 (肝斑, リール黒皮症, 炎症後色素沈着症) に対しL-システィンおよびビタミンC合剤である。ハイチオールC錠を使用したところ次の如き臨床成績を得た。肝斑13例では改善率69.3%, リール黒皮症8例では改善率75.0%, そして炎症後色素沈着症3例では改善率66.7%であった。また長期投与 (最長6カ月) にも拘らず, 何らの副作用も認められなかった。
著者
葭矢 信弘 庄司 昭伸 北島 淳一 格谷 敦子 濱田 稔夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.702-708, 1985

48歳, 61歳, 47歳の男性および38歳の女性の4例のペラグラについて報告した。いずれも極端な偏食家で, うち2例がアルコール中毒患者である。顔面, 頸部, 四肢の露出部等にペラグラ疹が出現した。Dermatitis, diarrheaおよびdementiaの3D症状すべてを備えたもの2例, 残る2例のうち1例は消化器症状のみ伴い, 1例は皮膚病変のみみられた。血液ニコチン酸はすべて低下又は正常下限を示した。男性の3例はスラム街の住民であり, 現在でも特殊な社会環境下では散発的にみられる疾患ではないかと思われる。各症例の特徴を比較し, ペラグラの最近の傾向について文献的に考察を加えた。
著者
生野 麻美子 羽田 俊六 中山 坦子 仁木 富三雄
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.610-616, 1982

体温計破損後ないし歯科治療中に汎発性の皮疹を生じた9例を報告する。皮疹は間擦部位を中心とするびまん性紅斑で大腿内側部より下腹部にかけてのV字型の分布は全例に共通し一見して本症を疑わせる。半数の症例では腋窩を中心に表在性膿疱が密生した。7例は幼児期より赤チンかぶれの既往があり, 貼布試験では全例が水銀及びその化合物に広く反応を示した。臨床的見地よりこれらの症例は水銀蒸気の吸入によりsystemic eczematous contact-type dematitisを生じたと考えた。
著者
山本 敦子 小林 裕美 石井 正光
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.383-385, 1999

低アレルギー性, 低刺激性を意図して開発されたスキンケア製品 (アトレージュ<SUP>®</SUP>フェイスウォッシュ, スキントリートメント, フェイスモイスト, バリアーベール, クールローション, ヘアシャンプー, ヘアリンス) の皮膚安全性を, パッチテストにより検討した。対象はアトピー性皮膚炎患者22例, 接触皮膚炎患者31例, 酒鞁様皮膚炎患者2例の計55例とした。皮膚刺激指数は0から9.1でいずれも安全品と判定しえた。疾患別では接触皮膚炎患者群でシャンプーの刺激指数が12.9で最高であった。アトピー性皮膚炎患者ではすべて5以下と低く, 湿疹皮膚炎群に対する基準においても全製品とも許容範囲内にあると考えられた。以上より本スキンケア製品7種の低刺激性が確認された。<BR>(皮膚, 41: 383-385, 1999)
著者
阪奈アイピーディ研究会
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.384-392, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
4

成人アトピー性皮膚炎の患者105例を対象に, アイピーディカプセル (R) を1年以上にわたり長期投与した場合の安全性及び有効性の検討を行った。1) 安全性評価症例数は98例で, 副作用発現例は10例 (10.2%), その件数は12件であった。2) 有効性評価症例数は84例であった。著明改善例及び改善例は45例で, 改善率は53.6%であった。経時的全般改善度推移は, アイピーディカプセル (R) 投与4週後18.4%, 8週後32.3%, 3ヵ月後36.8%, 6ヵ月後50.9%, 9ヵ月後57.4%及び1年後67.3%であり, 投与が長くなるとともに改善率は上昇した。
著者
須貝 哲郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.216-225, 1976 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6

日本レダリー社提供の新基剤アクアティンベースを用いたレダコートクリーム新基剤について, 基剤の皮膚安全性を接触過敏症患者と思われた22例について検討し, ほぼ満足すべき結果をえた. また, 乾癬皮疹上のパッチテストで同種市販製剤と皮疹の改善効果を検討し, レダコートクリーム新基剤が旧基剤より効果が優り, 1級選択剤にランクされることを確認した. 偏光顕微鏡所見から, 密封チューブに充填する必要性をみとめた.
著者
松永 佳世子 上田 宏
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.177-186, 1993 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6

アトピー性皮膚炎患者21名に対し, 皮脂類似成分, 油性成分およびコメ胚芽油を含有する乾燥肌用入浴剤バスキーナを使用し, その有用性について検討を行った。皮疹部位の乾燥, 鱗屑, 亀裂に対する改善は, それぞれ89.5%, 89.5%, 90.0%の症例に認められ, また, 皮疹周辺部の乾燥皮膚も, 84.2%の症例に改善が認められた。治療補助効果では改善以上が76.2%, 有用性においても有用以上が76.2%と良好な成績が得られた。皮疹部位における角層水分含有量測定では, 試験前に比し試験後で角質水分含有量が有意 (p>0.05) に高い結果であった。以上より, バスキーナはアトピー性皮膚炎患者に対し, 簡便かつ有用性の高い優れた入浴剤であると考えられる。
著者
大畑 千佳 調 裕次 高木 圭一 川津 智是
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.556-561, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
22

大阪逓信病院皮膚科で1989年1月から1998年8月までの約10年間に男性1人, 女性14人の帯状疱疹再発例を経験した。本邦報告例と比較, 検討した結果, 帯状疱疹再発例は全帯状疱疹の2%弱に生じること, 女性に多く, 膠原病患者の比率が高いこと, 膠原病, 中でもSLE患者は, 比較的若年で初回の帯状疱疹罹患を生じ, 短期間で3回以上繰り返す傾向があること, 膠原病以外の患者では, 加齢が影響する例も少なくないことがわかった。
著者
南 宏典 佐藤 健二 乾 重樹 前田 知子 田口 博康
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.440-447, 1996

12歳以上のアトピー性皮膚炎患者でステロイド外用剤を中止したいと希望した28例と, すでにステロイド外用剤を中止してそれ以外の外用剤を用いているが皮疹が軽快しない4例を対象とし, ステロイド外用剤離脱後も紅斑が持続する場合は全外用剤を中止し, 内服, 入浴指導, ガーゼ保護など種々の治療を加えた。ステロイド外用剤を中止すると皮疹は増悪し, 平均7日後に最悪となるが, その後軽快した。さらに全外用剤を中止すると再び増悪して平均5日後に最悪となるが, 以後軽快に向かい平均6週間後に皮疹の面積は中止前の2割程度となった。またこのときの皮膚症状は古典的成人アトピー性皮膚炎に特徴的な乾燥性のものである。外用剤中止と外用以外の種々の治療を行った結果ほぼ全例が外用剤なしですごせるようになったことから, 現在問題とされているいわゆる成人型アトピー性皮膚炎の病変にはステロイドおよびその他の外用剤の影響が含まれていると推測された。
著者
三嶋 豊 芝田 孝一 瀬戸 英伸 大山 康明 波多江 慎吉
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.134-150, 1994
被引用文献数
1

コウジ酸 (KA) のメラニン生成抑制作用を基礎的ならびに臨床的に検索した。マウスB16メラノーマ細胞から抽出したtyrosinaseの活性は添加KA濃度に依存して抑制された。DOPAchromeからDHIを経由するメラニン重合体形成過程において, KAは更にDHIに直接的に反応し中間代謝物を形成することにより抑制的に働くことが見出された。培養B16細胞系でKA 2.5mM添加により, tyrosinase活性の低下と共に細胞は白色化する。なお, この細胞をKA無添加の新鮮培養液で更に培養するとtyrosinase活性およびメラニン生成は回復した。黒色金魚を0.15%KA添加水中で54日間飼育すると槌色し黄淡褐色へと変化した。これらKA群の金魚皮膚のtyrosinase活性は, 対照群の18.2%に低下した。有色モルモットで紫外線照射誘導色素沈着もKA塗布により濃度依存的に抑制された。本邦人男性31名および女性46名のボランティアの上腕内側に紫外線を照射し, 1%KAクリームを塗布し, 男性90.3%, 女性75.5%のKAクリーム塗布部位の色素沈着が明らかに抑制された。以上の基礎的知見も基に, 1%または2.5%KAクリームを肝斑, 日光性および老人性黒子, 炎症後色素沈着ならびに雀卵斑の患者に2カ月以上適用し, 合計204例で臨床効果を調べた。有効以上の例は93例 (45.6%) やや有効以上は151例 (74.0%) であったが, KA1%と2.5%の両群の有効率には大差がなかった。
著者
幸野 健 石井 正光 濱田 稔夫 谷井 司
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.699-707, 1991 (Released:2010-08-25)
参考文献数
33

自律神経失調症を合併する皮膚科疾患患者12図に対して, 自律神経調整剤トフィンバム (グランダキシンR) の有効性を検討した。トフィンバムは1日150mgを2週間以上投与した。蕁麻疹では, 著効2例, 有効1例, 皮膚癌痒症では有効と無効各1例, 多汗症では, 著効2例, やや有効と無効が各1例, 円形脱毛症では, 著効とやや有効が各1例, ヘルペス後神経痛1例では, やや有効であった。すなわち, 12例中7例に有効以上 (58.3%), 10例にやや有効以上 (83.3%) の効果を認めた。皮膚科的症状に伴い, 種々の身体的・精神的症状も軽快が見られた。副作用は1例にのみ軽度の眠気が見られた。以上の如く, 症例を選べば, トフィソパムは皮膚科領域においても有用な薬剤と考えられた。

1 0 0 0 OA Pachydermodactyly

著者
瀬戸 英伸 花垣 博史 荒木 典子 谷 昌寛
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.42-47, 1994 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Pachydermodactylyの16歳男性例を報告した。13歳時より, 両側第II指から第V指の近位指節間関節部皮膚の背面および側面に, 無症候性腫脹が生じてきた。病理組織学的に, 過角化を伴った表皮肥厚を認め, 真皮は膠原線維の増生による真皮肥厚を認めた。また, 真皮上層から中層にかけて弾力線維の数の減少, 断裂, 縮小化を認めた。電顕的に, 弾力線維は分枝傾向が強く, エラスチン内のmicrofibrilが減少し, エラスチンに取り込まれていないmicrofibrilがエラスチン周囲に多数認められた。自験例は, 臨床的組織学的にPachydermodactylyの典型例と考えられるが, 電顕像において, cutislaxa様のelastolysisが認められた点が, その病因を考える上で興味深いと考えられた。
著者
松永 佳世子 大岩 久美子 請井 智香子 早川 律子 正橋 鉄夫 松本 義也 伊藤 富士子 辻 麻里 安積 輝夫 戸谷 良造
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.1016-1022, 1984 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5

今回第2報として1, 778名の乳児保育者の手荒れの状態とその解決策の一手段となり得る紙おもつの現状につきまとめ報告した。7月現在手が荒れていると答えた母親は25.3%であったが, 出産後手荒れがひどくなったものは55.5%であった。紙おむつを常時使用している乳児は1.1%で少ないが, 全く使用しない乳児は12.9%で, 他のものは, 外出時, 夜間に使用していた。紙おもつは価格が高すぎる (57.0%), むれやすい (31.7%), かぶれやすい (31.4%) との意見が多い反面, 衛生的 (18.1%), 外出時便利 (84.1%), 特にむれない (10.8%), とくにかぶれない (15.7) などの意見が存在した。紙おむつ常時使用者のおむつかぶれの頻度は特に高くなかった。
著者
石井 正光 幸野 健 北島 淳一 谷井 司 細井 洋子 庄司 昭伸 依藤 時子 浅井 芳江 濱田 稔夫
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.74-81, 1986 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

顔面に湿疹・皮膚炎を有する30症例に対して酪酸クロベタゾン (キンダベート®) 軟膏の外用を行ない, その臨床効果と副作用について検討した。外用期間は平均47.0日, 最長, 175日と比較的長期にわたり, 薬剤の総使用量は1.8gから100gであった。30例中2例はやや改善と評価されたがその他の全例にて改善以上の効果が認められ, 有効率は93%と高い値を示した。副作用は全症例において認められなかった。このため有用度も有用以上94%と高値を示した。以上の結果より, 本剤は, 顔面などのステロイド外用剤により比較的問題を生じやすい部位にも使いやすい薬剤であると考えられる。
著者
奥田 庄二
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.179-195, 1961 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9
著者
須貝 哲郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.496-502, 1992

ハーブ保湿浴剤 (オードレマン) とその関連試料2種およびボディシャンプー (オードレマン) とその関連試料2種の計6試料の皮膚安全性を比較検討するために, 正常成人30名 (男女各15名) における予知パッチテストを, 各製剤ともas is, 10倍および100倍水溶液の3段階濃度で実施した。保湿浴剤は100倍の水溶液では皮膚刺激指数3.3以下で3種すべて安全品と判定した。皮膚刺激性は高い方からオードレマン<SUP>®</SUP>, シャンラブ<SUP>®</SUP>およびクアタイム<SUP>®</SUP>の順であった。ボディシャンプーも100倍水溶液では3.3以下ですべて安全品と判定した。皮膚刺激性は高い方からシャワーソープ<SUP>®</SUP>, ビオレU<SUP>®</SUP>およびオードレマン<SUP>®</SUP>の順であった。なお, アモニックスおよびローリル酸ジエタノールアミドに接触アレルギーを有する1例は各ボディシャンプーにアレルギー反応を疑わせる反応を呈した。
著者
東 禹彦 久米 昭廣 谷口 龍生 宮本 朋子 荻原 俊治 樋上 恭子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.153-156, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

今回われわれはUVBに過敏を示した慢性光線過敏型皮膚炎がキャベツの摂取を中止することにより治癒した症例を経験したので報告した。症例は60歳, 男性, タクシー運転手で, 6ヵ月前から露光部位に痒みを伴って軽度に苔癬化した紅斑を生じて受診した。初診時のUVBに対するMEDは51.3mJ/cm2以下と低下していたが, UVA照射試験では照射量が不十分であったために, UVAに対する過敏性は証明出来なかった。入院の上原因を検索したが見つからなかった。退院後キャベツの摂取について尋ねたところ, 患者は自発的にキャベツの摂取を中止し, UVBに対するMEDは正常化し, 皮膚炎も治癒した。キャベジンを内服させた後にUVBに対するMEDは低下した。以上の結果からキャベツにより生じた慢性光線過敏型皮膚炎と診断した。光線過敏型皮膚炎の原因の一つとして食物も重要であることを強調したい。
著者
水越 直子 佐藤 健二
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.1166-1171, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1

大阪大学医学部附属病院皮膚科外来初診患者台帳と外来カルテをもとに, ステロイド皮膚炎とステロイド座瘡について昭和55年から59年まで経時的に調べた。両疾患の合計患者数は順に30, 26, 31, 30, 45人であり, 近年両疾患が減少しているとは言えず, 逆に, 昭和59年ではその前4年間の約1.5倍であった。原因薬剤として, 最近新たに発売された外用剤による発症の比率が増加傾向にあった。これらのことは副腎皮質ステロイドホルモン含有外用剤による副作用を減少させる対策を立てる必要のあることを示唆しており我々は一つの提案を行った。対照として調べた尋常性座瘡の有病年令は50才代に及んでいた。