著者
須貝 哲郎 山本 幸代 渡辺 加代子 麻生 五月
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.421-430, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
21
被引用文献数
1

1974年から1979年にわたる6年間に施行した香料系パッチテストの結果を総括して報告する。対象は化粧品皮膚炎, 顔頸部の炎症後色素沈着症患者1, 325例である。当科常備の香料アレルゲンのうち27種をcomputer FACOM 230-28に登録し, 6年間の蓄積データからその陽性頻度を算出した。登録香料の内訳は天然香料9, 単離香料11, 香料成分ミックス1, 調合香料6である。陽性率の首位はICDRGの香料成分ミックスで06% (6/91), イランイラン油6.1% (51/833), benzyl galicylate6.0% (43/713), 調合香料ミックス義7% (19/336) の順であった。使用量のもっとも多いといわれるchemodermは11位で3.2% (10/314) の陽性率を示した。
著者
岡田 富雄 浅井 淳平 飯島 宗一 早川 律子 田中 隆義 大橋 勝
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.378-382, 1980 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

飽和炭化水素であるスクワランに長期紫外線照射すると, 経時的にTBA値が上昇し, その紫外線照射スクワランをモルモットの皮膚に繰り返し塗布すると明らかな紅斑が生じ, 血管透過性が亢進した。組織学的には, 表皮におけるacanthosig, hyperkeratosis, 基底細胞層の一部に空胞変性, exocytosisが見られ, 真皮上層では好中球を主体とした細胞浸潤と中等度の血管拡張がみられた。超微形態学的には, 表皮基底細胞においてミトコンドリアの膨化, 拡大した細胞間隙に細胞成分の残渣が浮遊している像がみられた。また, この紫外線照射スクワランをGLC, TLCを用いて分析した結果, 紫外線照射によって新たに生じた二次産物は過酸化物であることが確認された。
著者
吉田 正己 手塚 正
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.177-181, 1989 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

水痘・帯状疱疹患者40例を対象として, ウイルス特異抗原の検出とウイルスの分離を試み, 両方法のウイルス学的診断法としての有用性を比較検討した。ウイルス特異抗原の検出率は95%で, ウイルスの分離率は70%であった。塗抹標本でのウイルス特異抗原の検出は迅速かつ簡便であり, 検出率も高いことから, 水痘・帯状疱疹におけるウイルス学的診断法として臨床的に非常に有用な方法と考える。
著者
鏑木 豊 田辺 俊成 義澤 雄介 飯泉 陽子 北村 啓次郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.292-295, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

42歳男性。南会津の山中を歩いた10日後より, 38℃ 台の発熱, 右鼠径リンパ節腫大と全身に多発散在する小紅斑が出現した。近医にてセファロスポリン系の抗生剤が投与されたが症状が改善しないため当科を受診した。皮疹は自覚症なく小豆大ないし爪甲大の紅斑で浸潤を触れない。右下腿に刺し口が見られた。ツツガムシ病を疑い検査を進めたところ, 免疫ペルオキシダーゼ法でKarp型リケッチア感染と診断された。ミノサイクリン経口投与により治癒せしめた。
著者
福井 佳子 徐 信夫 前島 精治 酒谷 省子 草壁 秀成 清金 公裕
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.534-543, 1995 (Released:2010-08-25)
参考文献数
29
被引用文献数
9

昭和52年4月から平成7年3月までの18年間の転移性皮膚癌32症例を集計した。同期間内に当科外来を受診した新患総数に対する転移性皮膚癌患者の頻度は0.04%であった。年齢構成は平均58.9歳 (男: 59.2, 女: 58.6), 原発巣分類では胃癌 (9例)・乳癌 (8例)・肺癌 (7例) が多く, 全体の75%を占めていた。転移部位は胸腹部に多くみられ, 多発型が多かった。臨床像は結節型, 組織像は腺癌が圧倒的に多かった。原発巣発見後皮膚転移までの平均期間は36カ月で, 乳癌は長い傾向にあった。皮膚転移後死亡までの平均期間は5カ月で, 6カ月以内に死亡する例が全体の75%を占めていた。
著者
吉国 好道 田上 八朗 松本 吉郎 井上 邦雄 山田 瑞穂 佐野 勉
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.289-295, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

角層へ水分をいかに効果的に補うかを目的として, 種々の外用剤が開発されている。私たちは基剤の性質によって角層の水分含有量はどのように影響されるか, それはどのような機序によって水分含有量を増しているかについて検討した。単純に角層へ水分を与えることを目的とした場合, 白色ワセリンのような皮表に油膜を作る基剤が下方へ水分を貯留せしめることにより最も優れていること,/W型乳剤性軟膏の場合, 時によっては逆に皮表角層の乾燥を生じる可能性があることを示したO 。ストリッピングにより角層の水分含有量を立体的に解析したが, これは角層水負荷試験とともに, 外用剤の評価や病的角層の分析に役立つものと考えた。
著者
玉置 昭治 村津 麻紀
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.369-378, 1994 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

アトピー性皮膚炎の患者34例にヨモギの熱水抽出エキス (ヨモギエキス) を含むスキンケアシャンプー, ボディーシャンプー, ジェル, クリームを使用して治療を行った.3週目以降にかなり改善6例 (24.0%), やや改善が10例 (40.0%) と改善を示した.最終全般改善度で不変が8例, 悪化が6例みられた.概括安全度で安全, ほぼ安全合わせて27例 (79.4%) で約8割の人に安全に使用できた.スキンケア商品としては安全性に問題ありとした例が7例 (20.6%) あり, 決して少なくない.また, 悪化例も多い.しかし, 本試験はステロイド軟膏の使用を行っていない成人アトピー性皮膚炎で病院を受診している中等度の患者での成績であることを考えると, 一般に市販されるスキンケア商品としては妥当と考えた
著者
庄司 昭伸 井上 明子 谷 幸子 武林 亮子 盛田 直毅
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.501-506, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

アトピー性皮膚炎患者のボランティア25名を対象に治療に併行して, スキンケア化粧品であるヨモギエキス配合シートの使用試験を実施した。試験終了時において, 全般改善度は, やや改善以上20例 (80%), 不変1例 (4%), 悪化2例 (8%) および試験実施不可2例 (8%) であった。安全度は, 安全19例 (76%), どちらとも言えない3例 (12%), 安全性に問題がある1例 (4%) および安全でない2例 (8%) であった。6例において副作用を認めたが, 1回の使用で中止が2例, 2週間の使用で中止が1例, 3週間の使用で中止が1例であり, 残りの2例は4週間使用し乾燥皮膚では良好な結果を得た。試験結果からヨモギエキス配合シートはアトピー性皮膚炎に対して良好なスキンケア化粧品であり, 治療補助効果が認められると考えた。
著者
新関 寛二
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.492-500, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

molluscum contagiosumの治療に行った40%硝酸銀法 (薬液法) の難点を改良し, 40%硝酸銀ペースト法を考案して施術し, 良結果を得たので, 再度実際面について報告する。当該法は40%硝酸銀液に小麦粉を25%の割に加え撹拝し, ペースト状とし, 竹ひごの尖端に付け, MCの頂点にのみ微量に塗布し, 完全に乾燥させるだけでよい。このように当該法は薬液でなく, paste状なので容易に付け得てMCのvirus塊は完全に黒色痂皮となって2-4週後に脱落治癒す (Table1)。1995年から'97年の3年間に施術した380/389症例 (97.7%) が治癒した (Table2)。尚, 痒み, 痛みの訴えは軽微で65/389例 (16.7%)(Table3) であり, その中痒み, 痛みのため当該治療を中止したのは5例に過ぎない。
著者
東 順子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-16, 1986 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

エタノールに起因する慢性蕁麻疹, 接触蕁麻疹および化粧品皮膚炎について報告した。これらの症例の原因確定には, 通常の48時間のパッチテストでは診断困難である。エタノールの場合20-30分間のクローズドパッチテストが有用である。スクリーニングテストとして消毒用アルコール (添加物を含まない) を用いた。陽性の場合は確定診断のために99.5%試薬用エタノールを段階稀釈 (2倍へ32倍, エタノール濃度50-3%) したものを用いて行なった。8倍稀釈 (約13%) 以下の濃度で陽性反応を示す場合にはエタノールが皮膚障害の原因となっている可能性が大である。
著者
角田 孝彦 山本 雅章 三橋 善比古 野村 和夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.81-86, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1

青森県のシソ栽培農民において手指を中心とする皮膚炎を経験し, 患者6例, 対照10例にシソの葉とその抽出液, 使用農薬, 無農薬の葉などのパッチテストを施行した。患者では, 農薬使用のシソの葉で6例中5例陽性, シソの葉のアルコール抽出液は6例全て陰性, 使用農薬では被検5例全て陽性, 無農薬のシソの葉とアオジソの葉は被検5例全例陰性であった。今回の皮膚炎の原因は, 葉に残留した農薬の可能性が最も高いと推定した。
著者
須貝 哲郎 東 順子 高木 喬 庄司 昭伸
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.288-293, 1974

貼布試験は接触皮膚炎であることが明らかな患者に限らず, 慢性湿疹患者にも試みるべきである。貨幣状湿疹様皮疹を有する5例で, クローム感作によることが判明し, 以後の管理に成功しえた。また, 機械油皮膚炎のうち, 5例にCr<SUP>+6</SUP>貼布試験陽性をみ, 機械油, カッチング油および流動パラフィン中へのCr<SUP>+6</SUP>混入の可能性が示唆されたが, 発光分光分析で全検体にCrを認めず, 共通して検出されたのはCuとSiとであった。昭和47年における当科接触皮膚炎患者502例中, 医原性のものは122例で, その頻度は24.3%であった。医原性接触皮膚炎患者における貼布試験の陽性頻度では, 水銀系薬剤がもっとも多く, ついで, hexachlorophene, ラノヒドロ級還元ラノリン, 抗白癬剤, deodrant系殺菌剤, ラノリン, chloramphenicolおよびdiphenhydramineの順であった。
著者
駒村 公美 吉川 邦彦 東 禹彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.101-104, 1997

敏感肌用化粧品として開発された化粧品について, 接触皮膚炎患者58例 (内アトピー性皮膚炎を合併した患者12例), アトピー性皮膚炎患者15例 (内接触皮膚炎を合併した患者12例) の計61例を対象として, 2施設でパッチテストを施行した。使用した試料は, 美白美容液 (ホワイトニングエッセンス), 保湿美容液 (モイスチュアコンセントレイト), 保湿パック (モイスチュアパック) の計3種で, すべてasisで, 対照として白色ワセリンおよび蒸留水を用いた。皮膚刺激指数は, 2.5から4.1であった。疾患別では, 接触皮膚炎群の, 保湿美容液の皮膚刺激指数4.3が最も高かった。
著者
斎藤 文雄 松岡 芳隆
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.578-584, 1985

主抗原としてalkane-α, β-diols, alkane-α, diolsを含有する水添 (還元) ラノリン (HL) 過敏者はエタノール, メタノール, 2-プロパノールと高率に交差することを既に報告した。エタノール接触アレルギーの17例を経験し, アルコール類, ラノリン誘導体間の交差感作について検索した。エタノール過敏者の主要原因物質は化粧水 (7例), アルコール飲料 (4例), 化粧水とアルコール飲料1例, 抗真菌剤2例, 抗化膿剤2例, 制汗剤, 防臭剤各1例であった。エタノール過敏者17例中9例はメタノールに, 6例は2-プロパノール, 5例はHL, ウールアルコール (WA) に, 2例はラノリンにそれぞれ交差反応を示した。化粧水, エタノール, アルコール飲料過敏者においてアルコール類とラノリン誘導体間の交差感作を調べた。1例はn-ブチルアルコール, n-アミルアルコール, HL, WAに, 他の1例はシンナミックアルコール, シンナミックアルデハイド, ラノリン, HL, WAにそれぞれ交差反応を示した。また2例はアルコール飲料の摂取により汎発性の発疹を生じた。
著者
櫻根 純子 福原 佐保 佐野 榮紀 田所 丈嗣 浅田 秀夫 板見 智 吉川 邦彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.162-166, 2000

原発性肢端紅痛症の27歳と6歳の母娘例を報告した。母娘共に幼少時より両足から下腿にかけて潮紅, 灼熱感, 疼痛を認め, 成長につれて症状は増悪した。持続性疼痛に対し消炎鎮痛剤等の投与は無効であったが, 冷水浸漬によりわずかに緩和された。なお母の姉にも同症を認めた。この3例はいずれも血液疾患などの基礎疾患は認めなかった。以上より家族性原発性肢端紅痛症と診断した。母娘ともにserotoninreuptake inhibitorである塩酸クロミプラミンを投与し, いずれも症状の著明な軽減を認めた。