著者
浅田 真理 高橋 光輝 香田 夏雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.9, pp.1-6, 2014-01-16

本研究は VJ (ヴィジュアル・ジョッキー) と呼ばれる即興的映像表現を用いた環境演出への応用の可能性を考察し,実際に展開するための基礎的な位置づけのものである.ここでは筆者が制作したいくつかの研究事例を挙げ,それぞれに対するVJ表現の可能性の考察を行う.事例として,ダンスパフォーマンスとプロジェクションマッピング,Kinect,センサー,AR の組み合わせにインタラクティブな関係性を持たせた環境演出システム Cross Reality 2.0 を用いたライブパフォーマンス,そして横浜駅西口で行われたプロジェクションマッピングの事例を取り上げる.VJ 表現によるリアルタイム性,パフォーマーや観衆がプロジェクション映像に参加できるインタラクティブ性,そしてプロジェクションマッピングのような実際の空間に投影する映像表現を人を取り巻く環境への演出として捉えることで,これまでよりもさらに幅広い視野を持った VJ 表現の可能性を追求したい.This research is a study for a possibility of an application to produce environmental improvisatorial image expression with VJ (visual jockey), and this study focuses on the research for its actual development. We introduce case studies of the author's works and consider the possibility of VJ expression for each case. As the case study, we introduce live performances using environmental production systems called "CrossRealit2.0", which gives interactive relationship with the combination of dance performance, projection mapping, Kinect, sensors, and AR, and we also introduce a case study of projection mapping performed at the Yokohama Station west entrance. The real-time VJ expression, and the interactive property to which the performers and spectators can participate in a projection image enhance the possibility of VJ expression which has a broader view than before by regarding image expression projected on actual space, showing hints of projection mapping as a production for the environment which surrounds us.
著者
澤田清 梶並知記 服部哲 速水治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.77, pp.1-6, 2014-03-06

本稿では,動画コンテンツを用いて,アクション RPG を対象とした,コンボ (Combo) の習得の支援手法を提案する.コンボの習得には,実際にゲームをプレイして練習する必要があるが,練習する際に,自分のプレイ技量に適したコンボの解説記事や動画をWeb上で見つけ教材として参考にする場合がある.しかしながら,アクション RPG のゲームタイトルを題材にした,ゲーム進行の様子やスーパープレイを収録した動画は数多く存在しているものの,コンボの習得を支援する動画は,あまり存在しない.また,コンボ習得を支援する動画に,どのような内容を含むべきか,検討されていない.したがって,本稿では,アクション RPG のプレイの特徴や,要求されるプレイ技能の種類を考慮し,コンボの習得を支援するための手法を提案する.動画コンテンツとして提案手法を実装し,被験者実験を通して有効性を検証する.
著者
長谷部 礼 西本 一志
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2015-GN-94, no.8, pp.1-7, 2015-03-05

ブレインストーミングに代表される既存の発散的思考技法は,アイデアを発想する手段として企画や開発を行う場面で多用されている.しかし,このような技法を用いても,思考者が自分の固定観念から脱却することは容易ではなく,固定観念の外側にある新奇なアイデアを得ることは依然として難しい.この問題に対して本研究では,代表的な発散的思考技法であるブレインストーミングを,アイデア生成の手段としてではなく,思考者が持つ固定観念を発見する手段として使用し,その結果をもとにさらにアイデアを拡げることを支援する,新規な発散的思考技法 BrainTranscending を提案し,ユーザスタディによりその効果を検証する.
著者
星野 寛登 杉村 博 松本 一教
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-86, no.29, pp.1-5, 2013-01-09

この論文では従来からのアンケート調査によるデータ収集に加えて,人間の潜在的な特徴データを収集できるシステムを提案する.潜在的なデータを利用することで,従来のアンケート調査からは知ることのできなかった特徴を分析することが可能となる.本論文ではシステムの概要提案と小規模な実験結果を示す.
著者
加藤 隆雅 萩野 実咲 田山 友紀 岡田 謙一
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2015-GN-94, no.3, pp.1-8, 2015-03-05

近年,大規模な災害が発生した際に市民が中心となって救助活動を行う必要性が指摘されており,日本各地で災害対応訓練が開催されている.しかし,現状の訓練は体位管理やトリアージを訓練する際に傷病者役の手配や資機材の事前準備が必要であり,訓練を手軽に実施する事ができない.さらに,訓練者個人のペースを配慮できていないという問題点がある.このような背景から本研究では,人型入力デバイス QUMARION を使用した災害対応訓練システムを提案する.訓練者は,人型入力デバイスを使用して個人で体位管理訓練を実行する事が出来る.また,学習と実践訓練を分けることで,個人のペースに合わせた訓練が行える.評価実験を行った結果,本システムを使用して正確に学習出来ている事を確認した.人型入力デバイスを使用する事で,事前準備の必要なしに個人のペースで災害救護訓練が行えるとわかった.
著者
本庄 勝 田上 敦士 橋本 真幸 黒川 雅幸 三島 浩路 吉田 俊和 長谷川 亨
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-87, no.15, pp.1-8, 2013-03-11

中高生の間で,プロフやマイリンク,ブログ,ゲスブと呼ばれるサービスを提供するソーシャルメディア (中高生向けソーシャルメディアと呼ぶ) の利用が広まっている.これらのサービスは,コミュニケーションツールとして円滑な人間関係構築に利用される一方で,特定の相手に対する無視や仲間外れといったネットいじめにも利用されることもあり,安心して利用できる中高生向けソーシャルメディアが求められている.我々はこれまでに,中高生の間で発生するネットいじめを自動で検出するためのフレームワークについて検討を進めてきた.本論文では,人間関係の推定に焦点を当て,教育現場の協力によって得られたソシオメトリのデータを用いて,中高生の二者が親密さを確認するために行う,特徴的な相互行為について分析調査を行った.また機械学習を用いた二者間の親密さの推定精度についても評価したので報告する.
著者
衣畑 俊希 三浦 龍 大原 紳司 垂水 浩幸 林 敏浩 市野 順子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.15, pp.1-8, 2015-03-05

PC やスマートフォンを用いて,ネットワーク上で将棋の対局が活発に行われている.また,将棋プログラムが急速に強くなり,将棋プログラムとプロ棋士が対局を行う電王戦も複数回開催されている.しかし,対局後の感想戦の支援が不十分であり,また将棋プログラム (人工知能) を感想戦に活かしきれていない.そこで我々はコンピュータによる感想戦や将棋研究の発展を狙い,ネットワーク将棋における感想戦を支援するシステムの開発を行っている.本研究では感想戦支援システムにおけるクライアントの感想戦支援インタフェースについて改善を行い,昨年度に引続き評価実験を実施した.大学将棋部員による本システムの評価により,本システムの有効性を確認し,今後の課題を抽出した.Shogi, a chess-variant game popular in Japan, is recently played on the Internet. Players enjoy the game on some major game service sites. The technology of AI players have rapidly improved; they are now almost as strong as the top-level professional players. However, groupware and AI technologies are not used for post-game discussions on Shogi games - Kansousen -. We have been developing an integrated environment, SAKURA, for networked shogi games and discussions. In this paper, we describe the design and evaluation of discussion support functions and user interfaces. After the evaluation by seven amateur players, we confirmed the basic design for the discussion support is acceptable, but still we need improvements.
著者
山下 裕考 伊藤 淳子 宗森 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.33, pp.139-144, 2009-03-11
参考文献数
4

圧力センサを用いたエクサテインメント(エクソサイズ (exercise)+エンタテイメント(entertainment))支援システム 「リモートケンケン」 を開発した.適用実験の結果,以下のことが分かった.1)シミュレーションソフトと比較して実際にケンケンをしているような感覚が高い.2)プレイ時間は 40 秒程度が適正と評価された. 3)実験後脈拍は上がり,運動した充実感は得られた.4)得点を設定し,相手との勝敗結果を表示することで面白さが増加したと感じられた.We have developed an exertainment system, named the Remote Kenken. The results of the experiments showed that 1) A sense making "hopping" is very really high comparing with a simulation software. 2) Around 40 seconds were judged to be appropriate in the play time. 3) The pulse rose after an experiment. The subject got the sense of fulfillment after the exercise. 4) The system got high evaluation that it displayed a victory or defeat result with the partner.
著者
芦田 亮 高橋 光輝
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2016-GN-97, no.8, pp.1-7, 2016-01-14

2015 年 12 月現在,国内のパチンコ遊技機市場は規制のあおりを受け遊技者人口が減少している現状である.しかし今後国内のカジノ関連法案が成立し,新しい市場が開放され,カジノ遊技機の開発,販売が起こるだろう.その中でもカジノ遊技機を製造しようと目指す企業は従来のパチンコ・スロット遊技機の開発企業である.現在パチンコ遊技機は版権が多数使用されており,カジノの分野では盛んに使われていない.本研究では,カジノの産業発展の歴史を考察しながら日本における文化的要素も鑑みて,日本におけるカジノで版権利用のビジネスの可能性を模索する.
著者
中野 友裕 菅野 雅仁 佐藤 菊枝 疋田 智子 保谷 麗子 岡本 和也 黒田 知宏 大星 直樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.1-4, 2015-03-05

現在,病院情報システム (HIS) が導入され,様々な医療情報が計算機上に蓄積されているが,HIS の情報は十分活用されているとは言えず,近年報告されている医療インシデントは,看護師が取得した医療情報を現場まで運ぶ際の失敗など,情報の不足に起因する.本研究では,情報の不足に起因する医療インシデントを減らすことを目的として,これから行おうとしている医療行為に必要な情報を,看護師の持つモバイル端末に能動的に通知するシステムの開発を行った.本稿では,看護師の持つモバイル端末の状態に関わらず,看護師の持つモバイル端末に常に情報を通知できるようにするために構築した,通信モジュールをバックグラウンド動作させ,かつ,稼働させ続ける仕組みについて報告する.Nowadays, various clinical information is accumulated electronically due to introduction of hospital information systems. However, the accumulated information is not fully utilized. Actually, most of reported clinical incidents are caused by insufficient or incorrect information delivery. In this research, we developed information system to push information required for the clinical action, which is about to performed, to the mobile terminal of the nurse who is to perform the clinical action. In this paper, we made the mobile application immortal instead of conditions of terminal to make the proposed information system practical.
著者
清田 雅子 山田 泰宏 服部 哲 速水 治夫
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.3, pp.1-6, 2013-03-11

テレビドラマは四半期毎に新たな作品が多く放送されているため,視聴者は過去に見た作品すべてを覚えていることは困難である.また,どの作品が自分の嗜好に合うか判断するための数量的な基準が存在しない.そのため,過去に好んで見ていた作品を忘れてしまい再視聴する機会の損失や,誤った判断により自分の嗜好に合わない作品を視聴する可能性がある.本論文ではユーザが過去に見た作品を管理し,再視聴の機会を増やすとともに,ユーザの嗜好に合った未視聴作品を自動的に推薦することで新たな作品を見る機会を作ることを目的とする.そのため,本論文ではユーザが過去に見た作品を 5 段階評価で登録し,その情報を基に未視聴作品の評価を推測し,オススメ度を具体的な数値で示す機能を有した推薦システムを提案する.実験により,提案システムは過去に見た作品の管理に有効であり,ユーザの嗜好に合ったオススメ作品を提示できることが確認できた.For the Japanese television drama, new works are released and broadcast on a quarterly basis. Thus, it is difficult for the viewer of the work to remember most works that the viewer had seen. Moreover, there are not quantitative criterions which would indicate whether or not the work is suitable to the viewer. For those reasons, it is common that to lose the opportunity to view the work again, because the viewer forgot the works of which the viewer had been looking in favor, and there is a possibility to view the work that does not suitable to their taste occurred by the user's dis-appropriate decision. Our study is aiming at managing the work that was seen in the past by the user, making the chance to see new works by recommending automatically unviewed works that suit the every user's preference. Therefore we propose the recommender system. The user of the proposed system can register works that the user has seen, and score the work in the 5-point score scale. The proposed system could calculate the score that indicates how the work is suitable to the user. The score is specific numerical values: based on the evaluation of the score of work. From the experiments, the proposed system is effective in the management of work seen in the past, We were able to confirm that the work that is suitable to the user's preference presented by our recommendation function.
著者
山本 匡 坂間 千秋
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2011-GN-81, no.10, pp.1-7, 2011-09-08

本研究では近年 Web 上に見られるようになった 「物当てゲーム」 の知識循環性と概念の事例収集特性に着目し,このゲームを概念学習における事例収集のために用いる方法を提案する.本システムの特徴は,過去のゲーム結果から概念を学習し,その結果を新たな概念の学習に利用できることである.また,多くの人にプレイされることにより,獲得される概念が平均化される 「集合知特性」 を持つ.実験の結果,本システムではゲームを繰り返すことにより概念学習が行われ,ゲーム効率が向上することが確かめられた.
著者
吉田 翔 金井 秀明
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2014-GN-91, no.52, pp.1-8, 2014-03-06

本研究は,食事中のそしゃく癖の改善を目的としたそしゃく状況通知手法に関する研究である.共食の場において周囲に悪影響を及ぼす 「クチャラー」 を対象とし,聴覚遅延フィードバックを用いたそしゃく状態の通知を行った.被験者のそしゃく音を遅延させて再生することで,自分のそしゃく行為が周囲からどのように認識されているかを通知する.構築システムでは通知だけでなく,被験者の顎の動きを検出することで,そしゃく状態を測定することが可能である.このシステムを用いた実験により,遅延時間を大きくした場合,被験者は自らのそしゃく状態を認知でき,そしゃく行為を控えようとする傾向が確認できた.
著者
小菅 徹 吉野 孝
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.10, pp.1-8, 2009-11-19
参考文献数
15
被引用文献数
2

Web メディアの発展は著しく,特にユーザにより情報発信されるメディアとして Weblog や SNS などのコミュニケーションツールがある.しかし,多くのユーザがその手間と見返りの少なさから利用継続が出来ない現象が発生している.最近では,Twitter などのユーザの行動を逐次投稿するライフストリームサービスが流行りつつある.そこで,小型 PC と周辺機器をウェアラブルコンピュータとして身につけ,日常の活動を行うことで自動的にブログ記事が生成されるシステム BlogWear を提案する.本稿では,BlogWear の開発,および使用実験の結果について報告する.実験の結果,下記のことが明らかになった.(1) 記事における地図と画像の組み合わせにより,記事内容の理解や発見がある.(2) 任意投稿を容易に行えるようにすることで,記事内容の充実が見込める.(3) 不明瞭な画像の記事や連続した類似記事は,閲覧者・記事作成者両方にとって必要ではない.(4) 過去の記事を閲覧する際,閲覧者にとって多くの記事が必要ではないものとなっている.The Web media has been developing remarkably. Weblog and SNS which are sent information by users are popular for communication tools. Life stream service, such as Twitter, to post the action of users is also popular. However, many Weblog users in Japan tend to stop the use of Weblog because of the time-consuming process and the fewness of the reward. Therefore, we propose BlogWear system that generates weblog entries automatically using a wearable computer. In this system, a user has only to wear a wearable computer which has a small PC and peripheral devices. This paper describes the development of the system and the result of the experiment. The results of the experiment are as follows: (1) By combination of a map and a poted image, there are entry contents understanding and discovery. (2) We believe that easy posting by freewill encourages the enhancement of the content. (3) The entries of a blurred image and a continued similar image are not necessary for both watchers and entries makers. (4) Many past articles are not necessary for watchers.
著者
瀬古 俊一 青木 良輔 井原 雅行 小林 透
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-86, no.15, pp.1-8, 2013-01-09

本研究では, Web 上の欲しい情報を簡易かつ容易に取得可能なユーザインタフェース, InfoSkin を提案する.手軽な情報取得を実現するために実世界でのウィンドウショッピングの行動メタファに着目した.本研究では,そのメタファに基づいて情報の取捨選択を容易に行えるユーザインタフェースを設計・実装し,検証実験を行った.その結果,提案方式が既存のユーザインタフェースと比較して情報に対する興味・認識を向上させる効果があるとともに,ユーザビリティに優れていることを示した.
著者
笹川 喬介 和泉 順子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.27, pp.1-6, 2013-09-04

報道などで誹謗中傷に関する事例が取り上げられる際、インターネットの持つ 「情報の拡散」 や 「匿名性」 といった特性によって誹謗中傷問題が不特定多数に拡散・増加した、悪質化した、と指摘される傾向がある。しかし、誹謗中傷はインターネット上だけに生じる問題ではなくインターネット以外の実空間に従来から存在している問題であり、この指摘は実空間での問題が顕在化または注目されていないための相対的な評価であるとも考えられる。つまり、指摘される誹謗中傷問題の増加や悪質化が実空間からインターネット上に転移した際に特に着目されただけと考えると、「インターネットが問題」 なのかは不明瞭である。本論ではインターネットとインターネット以外の実空間における誹謗中傷問題の違いについて、情報を流通するメディアの観点から検討を進め、絶対的な指標として誹謗中傷問題の発生件数を調査した。その結果、インターネットだけではなく実空間を含んだ誹謗中傷問題の発生件数自体には増加傾向は見られないことが分かった。その上で、誹謗中傷問題の悪質化に関して、インターネットの特性による変化と実空間への影響について考察する。Libel and slander problems on the Internet were often reported by mass media maliciously due to the abilities of the internet as the media, such as anonymity or diffusivity of the information. However, libel and slander also has been existed actions in the real society in the past. Thus, in this paper, we considered the influence of the behavior on the Internet against libel and slander problems through the study using the objective statistical data.
著者
山本 太郎 関 良明 高橋 克巳
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-88, no.11, pp.1-8, 2013-05-09

我々は,情報工学と社会科学の学際的アプローチにより,インターネットを利用する際の 「安心」 に関する研究を行っている.その一環として,不安を制御することによる安心の獲得を実現するための現実的なソリューションを検討するにあたり,23 種類の実在ネットワークサービスの各利用者を対象として,各サービスにおける不安に関する Web アンケート調査を 2011 年に実施した.本論文では,そのうち画像共有サイト 2 種について,それぞれ不安を感じるサービス利用者 89 名および 100 名が,どのような不安を,どのような理由で感じ,どのような解決策を望んでいるのか等について,調査結果を提示するとともに,得られた知見と考察について言及する.
著者
海宝 竜也 脇田 玲
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2014-GN-91, no.76, pp.1-6, 2014-03-06

Origamic I/O device は,日本の伝統的造形活動である折り紙とコンピューティングを融合することで,従来の折り紙作品の持つ静的で繊細な造形表現に加えて,動的な色彩表現を可能とした折り紙である.本研究は,固い電子部品を含まず,サーモインクや導電性インクといった機能性インクを用いている.それによって,誰でも自由に作品制作を行う事ができるという折り紙の特性を保持したまま色彩制御機能を実現している.折り紙の制作過程から大きく逸脱することなく,電気を用いた色彩変化を可能としている.これによって,従来の折り紙にはない動的な色彩表現を持つ作品を制作することができる.本論文では,色彩制御可能な折り紙の設計とそれら折り紙を用いて創作された作品群について述べる.加えて,電子工作の経験のないユーザーを対象にしたワークショップの様子とそこから得た知見について述べる.
著者
本庄 勝 田上 敦士 橋本 真幸 黒川 雅幸 三島 浩路 吉田 俊和 長谷川 亨
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.15, pp.1-8, 2013-03-11

中高生の間で,プロフやマイリンク,ブログ,ゲスブと呼ばれるサービスを提供するソーシャルメディア (中高生向けソーシャルメディアと呼ぶ) の利用が広まっている.これらのサービスは,コミュニケーションツールとして円滑な人間関係構築に利用される一方で,特定の相手に対する無視や仲間外れといったネットいじめにも利用されることもあり,安心して利用できる中高生向けソーシャルメディアが求められている.我々はこれまでに,中高生の間で発生するネットいじめを自動で検出するためのフレームワークについて検討を進めてきた.本論文では,人間関係の推定に焦点を当て,教育現場の協力によって得られたソシオメトリのデータを用いて,中高生の二者が親密さを確認するために行う,特徴的な相互行為について分析調査を行った.また機械学習を用いた二者間の親密さの推定精度についても評価したので報告する.Recently, the use of social media which provides services such as profile, friend list, blog or guestbook (referred as teen's social media) prevails among high school or junior high school students in Japan. They utilize teen's social media aiming at maintaining intimate relationship with their friends, while they use it as a tool to attack their friends, namely causing cyber school bullying. In order to mitigate this problem, we have developed a framework which detects cyber school bullying among high or junior high school students. In this paper, we focus on the estimation of the intimate relationship and report an investigation results which analyzed mutual interactions among intimate friends on teen's social media, using sociometric data which was acquired through the cooperation with educators. Furthermore we evaluated the accuracy of estimation of intimate relationship using a typical machine learning engine.
著者
三木 孝 山田 泰宏 服部 哲 速水 治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.58, pp.1-5, 2014-03-06

Twitter は身の回りの出来事などを手軽に投稿できる Web サービスである.Twitter では投稿することをツイートと称し,利用者は様々な場面でツイートすることができる.本論文ではTV番組を視聴しながらツイートしている実況者といわれるユーザに着目する.近年,実況者によるツイートを用いた TV 番組のネタばらしが多い.大抵の実況者は特定のハッシュタグを付加したツイートをするが,中にはハッシュタグを付加せずツイートをする実況者も存在する.実況者をフォローしているユーザは自身のタイムラインが放映時間中に実況者のツイートで埋まってしまい,必要なツイートが見ることができなくなってしまう.また,リアルタイムで観ることができず,後日録画した番組を観る場合,話の筋や結末を知ってしまっているので観る楽しさが減少する.現状で特定のキーワードを含むツイートを非表示に設定できるクライアントは存在するが,それだけではネタばらしのツイートのすべてを非表示にできない.本論文では,ハッシュタグ付加ツイートをTV番組放送時間中に取得と解析を行い,頻繁にツイートされているキーワードを抜き出し,自動的に非表示する.解析した結果から共通するキーワードが含まれるツイートをタイムライン上から非表示にすることでネタばらしを防止するシステムを提案する.提案システムはネタばらしツイートの非表示を優先することとした.このため,ネタばらしでないツイートも非表示になることも多少あるがそれは致し方ないこととした.2 種類の評価実験の結果,提案システムは高評価を得た.Twitter is a Web service that can post with ease and events around us. It can be called tweets to be posted on Twitter, user Tweets in various situations. Attention is paid to the user which is said to live who tweeted while watching a TV program in the present study. In recent years, spoilers of the TV program using a live tweet by the person in many cases. Live 's most a tweet obtained by adding a hash tag of particular, who live a tweet it without adding the hash tag is also present in. Timeline of itself would be filled with tweets live person to broadcast during the time, a user who follows live person can no longer be seen is required tweet. Further, pleasure to watch is reduced if it can not be viewed in real time, and view the recorded program later, because it has known consequences or story line. Client that can be set to hide the tweet that contains specific keywords in the present circumstances exist, but it can not hide all of the tweets spoilers. In this paper, we analyze and get to a TV program broadcasting time in the hash -tagged tweet, extracting keywords that are frequently tweet, it is automatically hidden. We propose a system for preventing the spoilers by hide from timeline tweets keywords in common from the results of the analysis and the like. The proposed system was decided to give priority to the non-display of tweet spoilers. For this reason, there is also some that tweet you do not spoilers also be hidden, but it was decided can not be helped. Results of the evaluation two experiments, the proposed system is to obtain a high evaluation.